11/15〜11/21のサンフレッチェ日記



<98.11.21> 福岡×川崎Fのゲームについてですが、おそらくゲームの「質」と言う点では、今日行われるチャンピオンシップの磐田×鹿島にはかなり劣ることでしょう。でも、面白いゲーム、と言う一言では言い表せないような、重みのある戦いでした。両チームの選手の意気込み?背負っているものの重さ?大観衆の後押し?どれもがこう言うゲームになった重要な要因であったとともに、どれ一つを取っても十分条件にはならないでしょうけど、でも逆にこれらが揃えば、どんなチームでも感動的なゲームを演出できる、と言うことを示したゲームだったように思います。
思うに、Jリーグ開幕の頃ってどのチームも(経営も、選手も、サポーターも)もっとフレッシュな気持ちでやっていたような気がします。メキシコ五輪の頃の盛り上がりはどこへやら、W杯どころかオリンピックも長く出場できずじり貧状態の日本サッカー界で、それまでの企業チーム中心のJSLではどうにもこうにもならない、と言う状況で、起死回生の大きな賭けとしてのプロ化でした。最初の10チームはどれも「10年間の赤字は覚悟」でチーム作りを始めたのでしたし、選手も「プロフェッショナル」と言うものに対するイメージが無いところからの出発だったと思います。ここにジーコや、リネカーや、リトバルスキーのような世界の超一流選手を招き、手探り状態から始めたのがJリーグだったのです。93年の開幕自体は華やかなスポットライトを浴びながらのものでしたが、その前年に初めて「プロ」として行われたナビスコ杯にはそう沢山の観客も集まらなかった、と記憶しています。そう言うところから、あの熱気溢れる開幕前後の数年間になっていったのは、単に「バブル経済」の残滓があったから、とか広告戦略がうまく行ったから、とか、あるいは「ドーハの悲劇」があったから、とか言う外的な要因だけではなかった、と思います。チームそれぞれが、選手それぞれが生まれたばかりの日本のプロサッカーのために、精いっぱいの力を発揮していたからではないか、と思うのです。
この間、フリューゲルスの問題に端を発して、読売新聞がヴェルディの経営から撤退したり、フジタがベルマーレの共同出資者をさがしたり、と暗いニュースばかりが報道されるJリーグは、確かに曲がり角に来ているのかも知れません。しかしそれは、単にブームが終焉したから、とか不況が長く続くから、とか言うだけの要因ではないように思います。開幕当時の初心を忘れ、色々なところで「手抜き」とまでは言わないまでも全力を尽くしていないところがあったのではないか、と言うように思います。福岡と川崎Fが緊張感溢れるプレーでぞくぞくするようなゲームを演出したように、また「合併問題」以降のフリューゲルスが怒涛の4連勝をしたように、今の全てのJリーグのチームが、いやJFLやその下のリーグも含めた全てのサッカーのチームが良いゲーム、観客を引きつける可能性を持っているのです。
翻って今年のサンフレッチェは、主力を放出して2部落ちも視野に入れた背水の状況からのスタートでした。そして序盤に6連敗してまさに崖っぷちに追いつめられてから、力を発揮したのでした。だからこそ、例えば1st stageに同点に追いつかれながら、攻め込まれながらVゴール勝ちしたヴェルディ戦や、劣勢から逆転勝利を上げたアントラーズ戦、あるいは疑惑の判定からPK戦の勝利にまで持ち込んだエスパルス戦など感動的なゲームを繰り広げることができました。しかしその一方で(特に終盤に)集中力を欠いたゲームを見せて、まだまだこれからのチームであることを露呈しました。これはまさに、今後に向けての2つの道を示したものだ、と思います。精いっぱいのプレーを見せて観客を引きつけるようなゲームを見せ、徐々にでもファンを増やしていくか、あるいはせっかく来た観客に「つまらないからもう来ない」と思わせてしまうのか。営業がどんなに頑張っても、結局最後はいいサッカー、感動的なサッカーをしてくれることが、Jリーグとサンフレッチェにとって大事なことです。そして今のサンフレッチェというチームは、そう言う可能性を十分に持っている、と思います。


<98.11.20> 昨日、J1部参入決定戦の1回戦、アビスパ福岡対川崎フロンターレのゲームがありましたが、とても胸に迫るゲームだったと思います。後の無い1発勝負、敗れた方が来年の2部が決まるという崖っぷちの戦い。博多の森球技場は、自由席1000円というチケットの価格もあってか満員に近いアビスパサポーターで埋まり、小雨の降る寒々とした天候をものともしない熱戦となりました。ゲームは序盤は両チームとも動きが硬く、お互いに小さなミスが目立ちましたが、しかし「気持ち」が伝わってくる戦い。前半は福岡優勢、後半は川崎が攻め込み、ほぼ互角の戦いだったと思います。特に目だったのが川崎のツートップ+攻撃的MFの3人で組み立てるカウンター攻撃の鋭さで、イタリア代表、と言うか、2nd stage前半のサンフを見るような「打ち破るのが難しい」好チームでした。対して福岡は、守備でも攻撃でもやや組織の粗さを見せたもののサポーターの声援をバックに決して諦めない、と言う気持ちを見せてJリーグで3年間もまれた意地を見せました。後半ロスタイム、1点リードされて残り3分、ここで点を取れなければ2部陥落が決まる、と言うところでの必死の攻め。逆にもう少し凌げば、1部昇格の第一関門を突破できる川崎の守り。この必死の守りが、一瞬破綻します。GKとDFがもつれるようにしてはじいたボールがこぼれると、途中出場だった山下はこれを冷静に蹴り込みました。博多の森の観衆は、信じられない、と思ったでしょうか?それとも、祈りが通じた、と思ったでしょうか?大歓声がスタジアムを包みます。そして延長。サッカーの神様はホームの福岡には歓喜をもたらし、アウェイの川崎には残酷な結末を用意していました。(時間が無いので、続きはまたあとで。)


<98.11.19> 日曜日に行われたJユースカップ最終日で、サンフレッチェユースは1-2でセレッソに敗れました。この結果予選リーグは4勝2敗に終わりましたが、前節で既にグループ1位を決めていたため決勝トーナメントへの進出は確定しています。このゲームは、決勝トーナメント進出の2つ目の椅子を目指して必死のセレッソに対して、モティベーションで負けていたのかも知れません。先週までの段階でトーナメント進出を決めていたのは他に鹿島、市原、横浜M、G大阪で、2年ぶりの優勝を目指すサンフユースにとってはこれらのチームがライバルとなるでしょう。これからは負けられないゲームが続きます。ユースの選手達がどこまで成長するか、注目したいと思います。


<98.11.18> Jリーググッズの販売で一世を風靡した「カテゴリー1」ですが、まだやっているところはあるのでしょうか?私が知っていた場所としては唯一の店舗だった、上野駅構内の「カタクリコ」を一昨日出張のついでに見に行ったら、ついに改装してしまっていました。これまで大半を占めていたサッカーグッズは隅に押し込められ外国チームのユニフォームのレプリカと日本代表グッズの在庫処分セールを行っているのみ。他のほとんどの部分をMLB等のアメリカンスポーツのグッズに占められてしまっていて、Jリーグ関係は壁に張ってある非売品の「優勝記念Tシャツ」(ここには、サンフレッチェの1st stage制覇の記念シャツもある)だけになってしまいました。Jリーグオフィシャルグッズに関するソニー・クリエイティブプロダクツとの契約は今年限りで来年から他の会社との契約になるはずなので、これは仕方のないことなのかも知れませんが、かつて日本全国に展開したカテゴリー1がJリーグの普及に貢献したことを考えると、一抹の寂しさは拭えません。しかし逆に、このようにグッズ開発を一社に任せる、と言うやり方が今後も良い方向なのかどうか、を見直すには良い機会なのかも。チームの経営をどのように確立していくか、を求められている時に、独自のグッズ開発もままならない状態だったわけですから。来季からエンブレムも変えて新しいグッズ戦略を練り直すJリーグが、これからどのようにその態勢を立て直していくか。注目したいと思います。


<98.11.17> 京都戦でのVゴールのシーンについて、私は「判定は正しい」と書いたのですが、詳しい方に聞いたところ問題はあるそうです。副審はオフサイドポジションに選手がいればどんな場合でもフラッグを上げる、と言うわけではなく、オフサイドポジションにいる選手がプレーに関与した場合に限って上げるそうです。(もっとも、この「関与した」かどうか判断するのが難しいんですけど。)そして主審は旗が上がったらそれを目視して笛を吹くか、あるいは選手に対して「プレーオン」の声をかけるなどのアクションを起こすべき、だとのことです。それに対して例のシーンでは、まず副審はさっと旗を上げてすぐに下ろしました。そして主審はと言うと、どうもこの確認が遅れていたらしい。(このゲームでは、それまでのところでもオフサイドの判定が揺れていましたから。)そのへんを総合しての、試合終了後の選手の抗議だったのだ、とすれば納得できます。一応主審は、副審が選手に詰め寄られているときに「オフサイドだったかどうか」を確認するような様子を見せていました。それに対して副審は「オフサイドではない」と答え、これで試合終了のジャッジをしたように見えました。だとすると副審がフラッグを上げたのは、やはり「誤審」と言わざるを得ないようにも思います。まあ審判も人の子、間違いがあって当たり前だし、それを含めてのサッカーです。だけど以前の「ボール2個問題」の時もそうでしたが、このような「疑惑の判定」が合ったときにマッチコミッサリーなり、Jリーグなりから何らかの説明があってもいいのではないか、とは思います。


<98.11.16> 先週から行われていた高校選手権広島県予選は昨日決勝戦を行い、皆実高校が悲願の初優勝を果たしました。対して山陽高校は3年連続の決勝戦敗退となってしまいました。
【準々決勝】
皆実 5|1-1|1 府中
    |4-0|

観音 2|0-0|0 沼田
    |2-0|

松永 1|1-0|0 如水館
    |0-0|

山陽 0|0-0|0 美鈴が丘
    |0-0|
    |0-0|
    |0-0|
   PK|5-4|

【準決勝】
皆実 4|2-0|0 観音
    |2-0|

山陽 2|2-0|0 松永
    |0-0|

【決勝】
皆実 1|0-0|0 山陽
    |1-0|


<98.11.16> 先日豪州代表に選出されリベロとして出場したフォックス選手が、今度はU-23代表に選出されました。25、27日に行われる中国U-23代表と対戦するため昨日出発、30日に再来日する予定です。オーストラリアはシドニー五輪ではホスト国として好成績を狙っていますし、フォックスはその中心選手として期待されているのでは?


<98.11.16> 昨年、新潟にレンタルに出された後広島に帰って来れず、そのまま行方知れず(^_^;)だったGKの玉田真人選手が、埼玉県リーグの本田技研和光でプレーしていることが分かりました。玉田選手は大宮東高校の出身なので、地元に帰ってアマチュアとしてプレーしている、と言うことですね。本田技研和光は今年県リーグで1位となり、関東リーグ昇格のかかった関東社会人選手権に出場していましたが、残念ながら1回戦で敗退しました。


<98.11.15> 今年のJリーグ最終戦、京都サンガとの対戦は全体として押しながらもフィニッシュが決まらず、逆に隙を突かれてVゴール負けを喫しました。サンフレッチェのメンバーは
          下田
         
   フォックス ポポビッチ 上村

 柳本       桑原       服部(→古賀100分)
              吉田康
     山口敏(→伊藤90分)

        久保 ビドマー(→大木65分)

SUB:前川、宮澤、服部、吉田康、大木
前半はサンフのペース。桑原、吉田康のハードワークやフォックスが中盤にまで上がっての積極的なディフェンスで中盤を支配し攻め込みます。しかしゴール前でのアイディアに欠け決定的な場面を作れません。しかしそれは京都も同じ。単発的に攻め込むものの決定的な崩しはなく、全体的にサンフ有利のままゲームが進みます。この均衡がようやく崩れたのは41分。左サイドからの上村のロングスローがゴール前へ流れ、これを頭でつないでポポビッチの足元へ。これを思いきり振り抜いたシュートを放つと、ボールはネットの上部に突き刺さりました。この後も攻めながらも追加点は奪えず。そのまま前半を終了します。
後半になると立ち上がりから京都が攻勢に出ます。広島が攻め上がろうとしても中盤でパスをカットされ波状攻撃を受けます。そして4分、左サイドからゴール前に上がったボールをクリアしようとしたフォックスと下田が交錯。こぼれたボールが光岡の前にこぼれ、これを蹴り込まれてしまいました。これで目が覚めたのか、サンフの積極的な前線からの守備が復活し、何度も京都ゴール前に攻め込みます。一番決定的だったのは、久保がドリブル突破で京都の守備を混乱させ吉田康にスルーパスを出したシーンでした。吉田はGKと1対1となると、これもかわしてフリーでシュート!しかし無情にもボールはゴールポストを叩いてしまいました。この後も決定的な場面が相次ぎますが、ボールは枠を外し、あるいはGKにセーブされどうしてもネットを揺らすことができません。延長に入るとフォックスを中盤に上げ伊藤をストッパーに入れ、更に怒とうの攻め。ここで一番のビッグチャンスは、左サイドを突破した服部?が低いボールを中央に入れた時。フォックスがスルーしてどフリーの久保の前へ。これを落ち着いて流し込めばいいものを、思い切って蹴ったボールはポストをかすめてゴールの枠外に逸れてしまいました。こう言う、点が取れそうで取れない展開の時にはえてしてこう言うことが起こるもので、延長後半3分、京都が広島ゴール前に攻め込みます。クリアしきれなかったボールがシーラスの前に出ると、これを落ち着いてファーサイドにふわりとしたボールを送ります。これに岩本が走り込んでダイレクトでゴールに蹴り込み、ついにVゴール負けを喫してしまいました。
この岩本のゴールの時、副審が一瞬オフサイドのフラッグを上げた、と言うことで試合終了後桑原を先頭に選手達が審判を取り囲み、スタンドからもものが投げ込まれて一時は騒然となりましたが、しかしこれは審判が正しい。副審がフラッグを上げようとしたのは岩本の前に居たもう1人の選手に対してで、岩本自身はオフサイドではありませんでした。まあ、オフサイドは「プレーに関与したかどうか」が問われるので、明らかにゴールに向かっていたこの選手がオフサイドであっても別に不思議ではないのですけど、しかしそこは主審の裁量の範囲内です。サンフの敗因は、あくまでもシーラスにフリーでボールを上げさせたこととファーサイドに2人もフリーの選手を作ってしまったこと。疲れで集中力が鈍っていたからであると言わざるを得ません。そして更にもっと大きな敗因は、決めるべきシュートを決められなかったことです。決定機の数で言ったら5-1ぐらいで勝っていても不思議ではないゲームでしたから。攻め込んでいたチームが勝てるとは限らないのがサッカーなら、審判の微妙な判定に泣くのもサッカー。むしろその後、スタジアムジョッキーの「我々はサッカーを愛している!」の声に興奮していたファンも落ち着いて、場内一周セレモニー(それもフリエの旗を掲げて)では両チームの選手に声援を送っていたのがとても良かった、と思います。
試合終了後トムソン監督は「何回もあったスーパーチャンスに点を決めることができなかったため」と敗因を挙げ、今年一年を振返って「チームは進歩し、2ndステージには鹿島・磐田・浦和など良い勝利もできた。どんなチームとも対等に戦えるチームになったと思う。」と結びました。今季はほとんどどん底からの出発だったことを考えると、思った以上に進歩した、と言えるのではないのでしょうか。「これは,すべての選手・コーチングスタッフのハードワークの結果だと思う。これからも,もっと良いチームになれるように努力していきたい。今シーズン一年を通じご声援いただきありがとうございました。」と言う言葉に対しては、こちらこそどうもお疲れさま、来年以降の更なる進歩に期待します、と言う言葉を贈りたいと思います。


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