12/6〜12/12のサンフレッチェ日記



<98.12.12> 明日は天皇杯の初戦、川崎フロンターレとの対戦です。このチームはヴァルディネィ、ツゥットのツートップが強力。攻撃はこの2人+攻撃的MFの伊藤彰の3人に任せて、後は守りを固めるというカウンター型のサッカーを得意とします。こう言うチームは、サンフにとっては苦手中の苦手。ツートップにフリーで仕事をさせないこと、単調な攻撃に陥らないよう気をつけること、そして何と言っても先制点を与えないことがポイントとなるでしょう。
          下田
        
    伊藤 ポポビッチ フォックス

 柳本    桑原         服部
           吉田康
     山口敏
            ビドマー
         久保
 
 SUB:前川、上村、古賀、皆本、大木
中国新聞の小笠記者によると、最近練習ではディフェンスのコンビネーションが悪く特に上村の調子が良くないようです。宮澤も怪我で出れるかどうか微妙、と言うことで伊藤がストッパーで先発でしょうか。中盤から前は、これ以外の起用の可能性は無さそう。サブに皆本を入れていますが、彼にとっては地元で最後のゲームになる可能性が非常に高い訳ですし、なんとか出してあげたいものです。試合間隔が空いているのが気になるところですが、集中力を切らさないでしっかりと戦って欲しいものです。


<98.12.11> 明日から、中学生年代の日本一を決める「高円宮杯 全日本ジュニアユースサッカー選手権大会」が行われます。明日、明後日にかけての1、2回戦は仙台、愛媛、鳥栖とともに福山市の竹が端運動公園陸上競技場が会場。サンフレッチェのジュニアユースはこの福山会場で14時より、長嶺中を相手に1回戦を戦います。これに勝った場合2回戦は、12日の12時より優勝候補のジェフジュニアユースとガンバ堺ジュニアユースの勝者との対戦となります。


<98.12.10> 昨日見たサッカーの試合2つについて。一つは尾道のびんご運動公園陸上競技場で行われた天皇杯2回戦の「コンサドーレ札幌」×「FCプリメーロ」。プリメーロは福島県代表なのですが、昨年の今頃JFLからの撤退と解散を決めた福島FCに所属していた選手を中心にしたチーム。元プロの選手を数人含みますが、現在は全員が学校の先生など普通の仕事の傍らサッカーをしているアマチュア選手達です。一方、来季2部からの再出発が決まった札幌は、ディド、マラドーナ、バルデスなどの主力は出さず、来季に向けた若手中心の布陣でした。チームの「格」と言う点で言うと、一方はJリーグ、もう一方は東北2部リーグとかけ離れた立場だったにも関わらず、試合展開はほぼ互角。ボールの支配率こそ札幌が圧倒するもののGKのセーブとDFラインの必死の頑張りで後半半ばまで0-0で進みました。しかしさすがに札幌はプロ。70分にようやくゴール前でパスをつないで先制しました。しかしこれで諦めてしまうプリメーロではありませんでした。更に追加点を狙って攻め込む札幌のボールを奪って逆襲し、フリーでシュートに持ち込むシーンも何度か演出。一度などはポスト直撃のシュートも見舞うなど札幌にしてはひやっとするシーンもありました。札幌は突破にかかる選手に足をかけて、DFの木山(かつてガンバ所属で、サンフとのゲームで突然GKをやった選手です)が退場になる始末。偉大なるアマチュア達は最後まで札幌を苦しめました。おそらく札幌のプロらしいプレーを楽しみに来た観客も、プリメーロの必死のプレーには感動した様子。中国新聞の小笠記者とちょっと立ち話をしたのですが、「プリメーロのFWの選手、サンフレッチェに欲しいよ!」と言っていました。
2つ目はアジア大会のクウェートとのゲームです。こちらは今朝の各紙でも報じられているように、試合終了間際に2点を奪って逆転勝利を収め、決勝トーナメント進出への望みをつなぎました。昨日は夕方5時からのゲームで気温も涼しかったからか序盤から動きが非常に良く、これまでの3試合とはまるで別チームのよう。強力な攻撃力を誇るクウェートのロングボール&カウンターに何度か危ない場面が有り、また先制もされたものの、中盤でのパス交換で相手を翻弄する、と言うリズムの良いゲームを展開できました。試合が終盤に差しかかって敗戦の予感が漂ってからも、決して慌てずゲームをビルドアップ。これが素早い展開からの同点ゴール、そして逆転ゴールとなるPKをもらう場面に繋がりました。気温が上がるとミスだらけのゲームをし、下がると好ゲームを展開できる、と言うのは「経験不足」以外の何者でもなく、この点は今後の課題として受け止める必要はありますが、しかし彼らU-21代表が中東最強のナショナルチーム相手に劣るどころか勝っていた、と言うこともまた事実です。更に、完敗を喫した韓国戦から2日後に鮮やかに蘇った、と言う事実。これを見るに、彼らの成長の速さに驚かざるを得ません。マスコミ報道やファン・サポーターの意見などを見ると、アルゼンチン戦で「やった、すごい」と騒ぎ、韓国戦の敗戦で「もうダメだ」と騒ぎ、またクウェート戦で大騒ぎしていて、昨年W杯予選で一喜一憂したのと同じことを繰り返していますが、しかし1試合、1試合で上げたり下げたりするのはもうやめて欲しいもの。彼ら21歳以下の選手達のパフォーマンスに波があるのは当然です。もっと大きな流れの中で見れば着実に成長し、その潜在能力の高さを見せてきていることに、もっと注目すべきです。今の力はとても各国フル代表と対等に戦う力はない。しかし数年後には世界の強豪に伍すことのできることは可能である。そのへんが今のU-21を見るのに一番冷静なスタンスだと思います。次のUAE戦は、勝てば決勝トーナメント進出が有力になり、負けるか引き分けるとかなり危ない、と言う大事なゲームになりますが、今度は暑い中、5日で3試合目というきつい状況の戦いです。結果だけを気にするのではなく、どれだけ成長できるか、に注目したいと思います。


<98.12.9> 今朝のスポニチによると、先日広島が正式にオファーを出した呂比須選手の名古屋入りが有力になったそうです。移籍の条件として「優勝を狙えること」と「レギュラー起用」を挙げていたそうで、広島は第一の条件で落とされてしまったのでしょうか。ストイコビッチとともにプレーしたいことや、クリスティーナ夫人が浜松での生活を希望している事なども名古屋を選んだ理由だそうで、そう考えると広島はノーチャンスだったかな?来季呂比須・久保の強力ツートップともなれば十分上位を狙える、と思ったのですが、どうも断念せざるを得ない様子です。ただ、各チームの移籍リストを見ると広島出身でもある柏の棚田や、鹿島の真中など実績のある攻撃的な選手が入っていますし、他にも交渉次第では良い選手を取れるチャンスはあるでしょう。予算が潤沢、とは言えず、また地域的なハンデキャップがある中で大変ではあると思いますが、今西総監督はじめスタッフの方々には頑張って欲しい、と思います。


<98.12.9> 今朝の各紙報道によるとJリーグから発表された移籍リストには過去最高の158名が載っていたそうですが、サンフレッチェからは皆本、廣池とともに高田純選手が掲載されています。高田選手はユース出身で、入団1年目にはサテライトの得点王になるなど期待の選手の1人で、昨年からJFLのブランメル仙台にレンタル移籍していました。ブランメルでは「巳年カルテット」(77年生まれの4人の若手選手をそう呼んでいるらしい)の1人として結構人気者。ゲームではスーパーサブとしてそれなりに活躍しており、今のところそちらで戦力外と判断された、と言う情報は得ていませんので、たぶん正式移籍の手続きの前段階として、移籍金が発生しないようにリストに掲載したのではないか、と思われます。(まあ、それが本当に必要なことなのかは分かりませんが。)ブランメルは来季から「ベガルタ仙台」としてJ2からの昇格を目指すことが決まっており、高田選手には是非とも来年も契約してもらって、1部昇格に力を発揮して欲しい、と思います。なお、他チーム在籍の元サンフの選手で移籍リスト入りしているのは、浦和の田口禎則、V川崎の大石尚哉、磐田の森山佳郎、神戸の幸田将和、内藤直樹、鳥栖の田中哲也、と言うところ。それぞれの選手が、どこかにプレーできるチームを見つけられるといいのですが。


<98.12.9> サンフレッチェのサテライトは昨日、修道大と40分ハーフの練習試合を行い、圧倒的にボールを支配したものの決定力が無く、後半33分の松岡のループシュートで1点を奪ったのみの1-0で辛勝しました。


<98.12.8> 昨日のアジア大会の日韓戦は、完敗としか言えないゲームでした。日本U-21の生命線である中盤のパス回しを、身体を寄せた厳しいマーキングと鋭い出足のパスカットで封じられてはほとんど攻め手無し。逆に韓国伝統の戦い方である走力を生かしたサイド突破とハイボール攻撃に守備陣も翻弄され、3バックにしようが4バックにしようが関係ない、と言う感じで攻めたてられてしまいました。日本はFKから何度かチャンスを得たものの、流れの中からの崩しはほとんど無し。点差以上の差を付けられたゲームで、結果以上に内容的に見るべきところの無いのが残念でした。残る相手は、クウェートとUAE。どちらもフル代表が参戦しています。UAEはともかくクウェートは、先日のガルフカップで超攻撃的サッカーでチャンピオンとなったチームで、初戦UAEに5-0で勝っています。中一日置いてのゲームと言うことも考えると、2次リーグ突破は非常に難しくなった、と言えます。このU-21代表は、これまでの年代別代表では「最強」との呼び声が高かっただけに、その力もアジアの壁には通用しなかったのは真剣に受け止めなければならない、と思います。
ただ、この結果は予想されていた結果でもあります。韓国も当初U-21でアジア大会に臨む、と言われていながら中身はほぼフル代表。一部U-21メンバーやユース年代の選手もいたものの、チームの主軸はフランスに行ったメンバーで、実力的には日本よりかなり上であったことは間違いない。いくら今のU-21日本代表にいい選手が揃っている、とは言え所属チームでの完全な中心選手は誰もいないわけで、先週のサッカーダイジェストでも書いていたように日本のフル代表と対戦したって10回中1、2回勝てれば良いほうだと思います。それが、フル代表ですら苦労するアジアの強豪と対戦して勝てる、と考えるほうが甘い。「でも、韓国では李東国などの若手も活躍したじゃないか」と思う人もいるかも知れませんが、しかし経験豊富な選手が中心を占めている中で若手が力を出すのと、若い選手ばかりで全部を仕切らなければならないのとでは状況が全然違うでしょう。言ってみれば、会社のプロジェクトに新入社員を組み込んで仕事をさせるのと、新入社員だけで全部をやらせるのの違いみたいなもの。初めはうまく行かなくて当然で、周囲がいかに彼らをフォローしてやるかで、その後成長できるかどうかが決まるのです。。そう言う意味で、今大会のU-21は結果を出すことではなく力試しが目的で、その経験を生かすも殺すも、トルシエ監督や山本コーチや、その他のスタッフのフォローにかかっていると言えます。U-21代表は19歳から21歳までの、大学1、2年生の年代です。この年代は自信を失うのも早いが成長するときには一気に伸びます。「U-21だから」「中田、柳沢がいなかったから」と、結果が出なかったことの言い訳にするのは良くないのですが、しかし彼らを叩いて自信を失わせるのはもっと良くない。この結果から課題を抽出して、次の五輪予選、そして2002に向けてどのように解決していくか、が大事なのでは無いでしょうか。


<98.12.7> 今朝の日刊スポーツによると、京都にレンタル移籍中だった森保選手が昨日の天皇杯2回戦、福山大学との対戦後完全移籍の意向を示したそうです。「いいチームで、いいプレーをさせてもらっている。主将もやらせてもらっているから」と言うことで、京都側のオファーに応えた形。サンフレッチェ側も反対しない模様で、移籍はスムーズに進みそう。個人的には、森保選手にはもう一度チームのリーダーとして、時にはモティベーションの下がったゲームをしてしまう若いチームを率いて欲しい、と言う気持ちがあるので非常に残念なのですが、しかし彼が帰ってくるとなると桑原らとの守備的MFのポジション争いが待っているだけに、より必要とされるチームでプレーした方が本人のためになる、と言うのでは仕方がないと思います。その分、チーム創設期から残っている数少ない選手である前川や上村(や小島や柳本)にはどんどんチームを引っ張っていって欲しいし、山口敏などの移籍組にも、久保や下田、服部などの若手にも存在感をアピールして欲しいもの。トムソン監督のチーム作りの方針は一貫して、特定のリーダーに依存しない一人ひとりが自立したチーム、と言う事なのですから。


<98.12.6> 昨日行われたJ1参入決定戦の最終戦、「札幌×福岡」は見ていて息苦しいゲームでした。どちらも負ければ来季の2部落ちが決まる、と言うことで、負けられない、負けたくない試合。しかし90分で勝たなければならない札幌に対し、引き分けでもOKの福岡、と言う立場の違いが試合展開にも大きく影響したと思います。序盤から積極的に攻め込んだのは札幌でしたが、惜しいFKがバーを叩き、相手を完全に崩して放ったシュートも枠を外れなかなか得点できません。自分の流れの時に点を取れないと勝利の女神が逃げていってしまうのはどんな時でも一緒で、このゲームもしっかり守った福岡が流れを取り戻し、後半早々に混戦から1点を先制しました。これで「2点を取られなければいい」と余裕ができた福岡。対して焦って力攻めを繰り返す札幌。最後札幌は、3トップだか4トップだか分かりませんが攻撃的な選手をどんどん投入しての必死の攻めを見せましたが、逆にカウンターから連続失点し力尽きました。観客も、スタンドを真っ赤に染めた札幌だけでなく、少ないながら遠路はるばる応援に来た福岡も最後まで大きな声で力いっぱいの声援を送りましたが、最後は歓喜に沸く福岡、落胆に沈む札幌と好対照の幕切れでした。勝負事ですからどちらかが勝てばどちらかは負けるのは当然なのですが、しかし「当然」と言うにはあまりに残酷なエンディングでした。せっかく苦労の末にJリーグ昇格を勝ち取り、2nd stageでは中位の力があることを証明した札幌は、参入戦ではやや有利な立場であったにも関わらず4連敗に終わり、J2からの再出発を強いられることになりました。JFLから昇格するときに大きな赤字を作っていて、J2陥落はチームの存続にも関わる一大事ということになるのですが、しかし札幌は「北海道唯一のプロチームをサポートしよう」と言う沢山の声に支えており、ホームゲームにはいつも観衆が詰めかけています。そう言う支えがあれば、いつかきっと札幌の名が輝くときが来ます。たぶん、来季は予算規模の縮小で苦しいチーム編成を余儀なくされるでしょうが、これを良い機会として今度は他チームからの移籍選手の混成チームとしてではなく、新しいチームとして蘇ってきて欲しいものです。
一方、川崎F戦に続いて劇的な勝利で1部残留を決めた福岡には、まずはおめでとう、と言いたい。藤枝ブルックスを招致して福岡からのJ参入を果たしたものの、その後の盛り上がりが少なくじり貧傾向だっただけに、この度の崖っぷちからの生還はチーム自身も成長させたし、またファン・サポーターも多くを学び層を広げたことと思います。サッカーのレベルの高い九州唯一のJリーグチーム(大分、鳥栖はありますが)として、また数少ない西日本のチームとして福岡には1部残留ぐらいで満足してもらっては困ります。この戦いを糧として、強いチームとして大きくなっていくこと。そしてサンフレッチェの身近なライバルとして優勝を争うぐらいまで行くこと。そのことが、関西以西のサッカーファンを広げるためにも必要なことではないかと思います。来年以降は下から2チームは自動的に2部に降格します。広島も他のことは言えないのですが、しかし福岡はもっとレベルアップしないと、今度はリーグ戦で「降格争い」をしなければなりません。せっかく若くて良い選手が多いのですから、もっともっと強くなって欲しい、と思います。
ところで、話のついでなので気が早いのですが来季に向けての展望を少々。まず優勝争いですが、今年同様アントラーズとジュビロを軸とした争いになるでしょう。ドゥンガやジョルジーニョの退団などが話題になっていますが、両チームとも外国人だけでなく日本人選手のレベルが高い。この2チームの対抗馬となりそうなのがグランパス。楢崎、呂比須にオファーを出しているのでも分かるように、トヨタの資金力をバックに(?)積極的な補強を進めています。またU-21に多くの選手を送っていることでも分かるように、若手もどんどん育ってきています。このまま行けば上記2チームに並ぶ強豪になっていきそう。これらに続くのがマリノスとエスパルスでしょうが、合併で期待できたフリエの選手との契約が進まないマリノスよりも、早速平塚の田坂を獲得したエスパルスの方が元気です。これに分厚いファンのサポートのある浦和を加えての優勝争いとなりそう。来季トップ5を目指す広島としては、これらのライバルの一角を崩さなければならないわけで、不可能とは言わないまでもそう簡単でないことは間違いない。今後の選手補強とともに、若手がどれだけ成長してくるか、が課題です。一方、下を見るとどうかというと、やはり今季参入戦を戦った市原、神戸、福岡に加え、主力を大量放出したベルマーレとヴェルディが加わっての争いとなりそう。今度は参入戦の数試合の勝負ではなく年間の30試合のトータルで決まるので、リーグ戦の一試合、一試合が大事になってきます。どういう戦力を補強するか、どのようにチームを作り上げていくか、選手の力だけでなく、フロントや監督の力が問われることになりそうです。


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