2/18〜2/27のサンフレッチェ日記



<98.2.27> サンフレッチェには直接関係ない話なのですが、日刊スポーツによると昨日九州で合宿中のU-19代表候補が京都サンガと練習試合をし、U-19は0-2で敗れたそうです。U-19と言えば浦和入りした「将来の代表の中心選手」小野伸二選手が注目を集めていますが、彼を森保選手が徹底的にマークし仕事をさせなかった、と言うことでした。サンフレッチェのファンとしては、「さすが森保」と快哉を叫びたいところですが、しかし今年一年は他所のチームの選手。高木選手と言い、路木選手と言い、活躍してもできなくても、複雑な心境を味わわなくてはならない年になりそうです。


<98.2.27> 中国新聞のホームページによると、豪州キャンプのメンバーが発表になったようです。メンバーはGK:下田、山口、DF:宮澤、伊藤、小島、ポポビッチ、MF:柳本、桑原、クルーク、吉田、笛、古賀、皆本、山根、服部、金本、FW:アーノルド、久保、大木、松永の20人で、DFとして良い動きをしている、と評価の高かった池端や、サンフに欠けているパッサーとして期待される大久保などの新人選手は選ばれませんでした。これらの選手はやはり戦術理解などの点で不安が残る、と言うことなのでしょうか?少なくともシーズン最初はこの20人を基本に戦うことになりそうです。この中でまずGKですが、前川の肩の脱臼の手術により、下田にかかる期待はいやが上にも高まります。技術的には問題ないとは思いますが、何が怖いと言って怪我が怖い。山口にはいつでもゲームに出るつもりで、しっかりと鍛えて欲しいものです。(それにもし下田が代表に呼ばれることにでもなれば、ナビスコ杯では出ないといけないわけですし。)DFは本来MFの小島を含めて4人。紅白戦ではクルークをリベロに入れたり、4バックを試したりと試行錯誤を繰り返している模様です。どうしても人数的に少ないので、怪我や出場停止などで選手が欠けたときにどうなるか、が心配です。不安が残るという意味では攻撃陣も同様。アーノルドはともかく、後の3人のFWや山根とあと誰?と言う感じの攻撃的MFは、相手に与える威圧感、と言う意味ではまだまだ。ここは豪州で若手が飛躍的に成長してくれることを祈るしかありません。クルーク、桑原、皆本の他に吉田や金本も居る守備的MFの層だけは厚いわけですし、また左右のWBのレベルも高いので、これまでの「困ったら高木の頭」だったサンフのイメージを破るような、中盤でしっかりプレスをかけてボールを奪ったらすかさず全員攻撃、と言う感じの現代的で若々しいサッカーをして欲しいものです。


<98.2.24> シーズン開幕までほぼ1ケ月。そろそろ今年の順位予想などが専門誌などに出る頃かと思います。(少なくともそろそろ取材はしているでしょう。)今西総監督は「1st stageは真ん中ぐらい」「2nd stageは優勝を狙う」と宣言し、トムソン監督は「6位以内には入れる」と言っていたそうですし、年末年始の、「これでは2部落ち必至か」と思われた頃に比べると多少風向きが良くなってきたような気もしますね。今年の順位予想については人それぞれ意見があると思いますが、私がどう予想するか披露します。
【1】1st stageの順位----->16 位
今年はトムソン監督の2年目、とは言えチームを引っ張ってきた高木、森保が居ないのはやはり大きい。チームの核となる選手を欠いた状態では如何にもろさを見せるか、と言うのは昨年まで十分経験してきましたし、それを考えるとリーグの上位どころか中位進出も難しい、と見ます。一番下まで落ちてもしょうがない、と個人的には思っていますが、それではあまりに寂しいので16位としました。
【2】2nd stageの順位----->10 位
このところ前半頑張っても後半になると落ちて行ってしまう、と言うパターンが続いていますが、今年こそは違う、と期待したい。理由はペドロ・ラッツさんの存在です。故障持ちの選手がリタイヤを未然に防ぎ、若手選手が良く言うことを聞いてきっちりとからだ作りをすればチーム力を100%近く発揮できるでしょう。となると、チームのまとまりができて戦術理解が進むはずの後半に落ちるはずは無い、と思います。
【3】総合順位----->13 位
16位と10位の間を取っただけですが、何だかんだ言っても1部残留はギリギリセーフの線かな、と期待しての順位です。
【4】サンフは1部に残留できるか?----->できる
今年、今西さんがトムソン監督に何を求めているか、と言うと、当然若手を育てることとともに1部残留、だと思います。逆に言えば、トムソン監督にしてみれば1部に残れるか残れないかで監督としての評価が決まる、と言うことです。トムソン監督を信頼している私としては、そう言う立場で「プロフェッショナル」を問われればそれを実現しないはずは無い、と信じます。(それに、ラッツさんの招聘、通訳の採用や豪州キャンプは、トムソン監督の希望が通った、ということでしょう?良い監督が居て上がちゃんとサポートしてやれば、目標達成ができないはずはありません。)
【5】今年一番期待する選手----->久保
結婚して父親になって、ポジションまで空けてもらって(?)活躍できなければ男じゃない!彼の試合中に熱くなりすぎるところ、やんちゃなところは個性だと思って諦めますから、「気迫」でチームを引っ張れる選手になって欲しいものです。


<98.2.23> 日本代表は豪州合宿を終えて帰国し、ダイナスティカップに向けて国内での調整を進めるようですね。こちらドイツの代表も、今週はブンデスリーガを休みにして中東に遠征しています。水曜日はマスカットでオマーン代表と、また日曜日はリヤドでサウジアラビア代表との試合でした。この両ゲームとも、ドイツはまずまずの出来でオマーンには2対0、サウジには3対0で勝ちました。どちらのゲームも決してドイツが押しまくった、と言う感じではなく、お互いに持ち味を出し合ったゲームだったと思いますが、やはりドイツは強い。どんな相手に対してでもドイツの「組織的なサッカー」と言うスタイルを崩しません。まだチームの出来、と言う点ではいまいちだったのか、センタリングのミスやシュートでふかすケースも結構多かったのですが、しっかり守って決めるべきときに決める、と言う危なげないゲーム運びでした。ただ、頼りになる選手が相変わらずコーラー、メラー、ヘスラーというあたりのベテランで、期待して見ていたビアホフやキルシュテンは不発。「仮想イラン」の両チームに無難に勝利を収めたとは言え、本番では案外一発にやられるかも。なんせイランのツートップの速さ、強さ、そして勝負強さはワールドクラスですから。
一方のアジアの両チームですが、敗れたとは言えまずまず持ち味を出したように思いました。まずオマーンの方ですが、負けはしたものの昨年日本代表と対戦したときよりはレベルアップしているのではないか、と言う感じでした。このチームの選手達は、足技に自信があるのか例えばゴール前でボールをキープしているときに相手に詰められても決して慌てて蹴り出したりしません。相手が一人だったらちゃんとドリブルでかわしてからパスを出すのには感心しました。ただ、相手ゴールに迫ったときの速さ、迫力が足りないのでなかなか決定的なチャンスは作れませんでしたが、しかし強国ドイツに対して自分達のサッカーができて、どこまで通用するかが分かった、と言う点では彼らの収穫は大きかったのでは。まあここからレベルアップしていくのが本当は難しいのですが、しかし一次予選のときに「このチームは2002年に向けてのチームだ」とオマーンの監督が言っていたように、着々と強化しつつあるような印象を受けました。もう一つのサウジですが、チームの質は、確かにオマーンより高かった。決定的チャンスも何度か作っていましたので、先制していたら面白いことになったかも知れません。しかし、レベルアップしているか、と言う点ではどうなのでしょう?以前のサウジは、テクニック、身体的強さでアジアの他チームに勝っており、これに組織力が加わってアジアでは頭一つ抜けた存在でした。だからこそW杯アメリカ大会では初出場にしてベスト16に入ることができたのでしょう。しかし、今のチームにはそう言う「凄味」が感じられない。ドイツ相手なので特にそう感じたのかも知れませんが、「並のチーム」と言う印象はぬぐえませんでした。フランス大会ではフランス、デンマーク、南アフリカと同組ですが、もしかしたら全敗するかも?
しかし、それにしてもこうやってW杯前の他国の親善試合を楽しめるのも日本がW杯に出場できるからこそ、と言う気がします。我らの代表も3月にはいよいよ始動です。ダイナスティのメンバーを見る限りでは、岡田監督は選手のテストの場として使うつもりは無い様です。豪州合宿でどれだけのレベルアップができたのか、楽しみにしたいと思います。(と言っても、私は見れないのですが。)


<98.2.21> 1st stageのテレビ放送の予定です。J-SPORTSとDirecTVはCSデジタル放送。13節〔京都戦〕〜17節(鹿島戦〕のBS、CSの放送予定は未定です。
日時曜日kick off対戦相手(H/A)放送局
3/2115:00柏レイソル(A)DirecTV
3/2519:00ガンバ大阪(H)中国放送(録)
3/2815:00横浜マリノス(A)テレビ神奈川・J-SPORTS
4/415:00浦和レッドダイヤモンズ(H)広島テレビ・DirecTV(録)
4/1116:00名古屋グランパスエイト(A)NHK-BS1・東海テレビ
4/1519:00ベルマーレ平塚(H)DirecTV
4/1816:00ジュビロ磐田(A)静岡放送
4/2513:00ヴェルディ川崎(H)NHK-BS・テレビ新広島
4/2914:00ヴィッセル神戸(A)NHK-BS1
5/219:00ジェフユナイテッド市原(H)NHK-BS1
5/519:00横浜フリューゲルス(A)NHK-BS1
5/915:00セレッソ大阪(H)広島ホームテレビ
7/2519:00京都パープルサンガ(A)KBS京都
7/2919:00アビスパ福岡(A)福岡放送
8/119:00コンサドーレ札幌(H)なし
8/519:00清水エスパルス(A)なし
8/819:00鹿島アントラーズ(H)なし


<98.2.20> 先日にひき続きまして「ミュンヘン編」をお送りします。
ミュンヘン、と言うと飲んべえの私の頭の中ではイコールで「ビール」と結びついていたのですが、皆さんはどうでしょう?バレーボールの「ミュンヘンへの道」と結びつく方も多いかも知れません。私もこの度、1860ミュンヘンのホームである(そしてバイエルン・ミュンヘンのホームでもある)「オリンピア スタジアム」へ向かって地下鉄の駅を出た瞬間、ミュンヘンとオリンピックが頭の中で結びつきました。広い敷地の中に聳えるのはオリンピックタワーであり、また幕を紐で引っ張って吊ったような、あるいは内側から棒で支えたような特徴的な造りの建物群であったり、といずれも見たことのあるような光景でした。ここでオリンピックが開かれたのは確か1972年だったでしょうか?当時はバレーボールの金メダルもさることながら、ゲリラによる選手村の襲撃事件もあって、その後政治に翻弄される五輪の行方を暗示するような大会でもありました。しかし今は、市内から地下鉄で20分という便利な地にある広大な運動公園となって、ブンデスリーガの両チームのホームであると同時に市民の憩いの場ともなっています。スタジアムの周囲にはビールの屋台が立ち並び、一般市民とサッカーファンとが一緒になってビールを楽しんでいる所はまさにミュンヘンならでは、と言ったところでしょうか?(ケルンでは、中でも外でもアルコール無しのビールしか売っていませんでしたから。)
このスタジアムがサッカー専用のものではない、と言う所はビッグアーチと同様の問題があるようにも思えました。スタジアムは当然陸上トラック付きですり鉢状。屋根は申し訳程度にしか客席を覆っていません。ちょうど天気が良かったのでそれは問題なかったのですが、席が角の所の一番上の方では、やっぱり見にくくてやってられませんでした。たまたま客の入りがそれほどでもなく席種間の間の境界も低かったので、後半は勝手に前の方に行ってじっくり見ることができましたが。それにファンショップも常設のものは置けませんから屋台が出張してきている、と言う具合。その上1860は人気の面ではブンデスリーガNo.1のバイエルンと同じ街をホームにしていて、更に現在最下位争いの真っ最中。サンフも、カープに次ぐ広島のセカンドチームと言えば言えますから、1860のことを考えれば考えるほどサンフに境遇が似ているなぁ、と思いました。しかし、そんな状況でも26,500人を集めるのですからやはり伝統の力か?なんせこのチームは創立が名前の通り1860年。140年ほど前に作られたクラブで、なんと自分のひいじいさんの、そのまたひいじいさんの時代からあるわけです。この前のレポートでケルンは創立50年、と書きましたが、この歴史は実はリーガ1部16チームの中では創立44年目のハンザ・ロストックの次に新しく、他のほとんどは100年近くの歴史を誇っています。そしてその間に、更に「ブンデスリーガ」として始まってからの35年間でさえほとんどのチームが一度以上は2部転落を経験しているわけで、そう言う意味では「一度や二度落ちたってたいしたことは無いよ」と言う気持ちでいるのではないでしょうか?ついでですが66/67シーズンにリーガ制覇したブラウンシュバイクは現在アマチュアの地域リーグまで落ちていますし、逆にボルフスブルグは1945年の創立から92年までほとんど地域リーグで過ごしながら、その後2部リーグに昇格して5年で1部に昇格し、今やボルシア・ドルトムントと同じぐらいの位置を争うほどになってきています。それぞれのチームにはそれぞれの事情があったのでしょうけど、何にしても「伝統」と言うのは凄いものです。
さて、その1860がホームに迎えたのは、現在3位でチャンピオンズリーグの準々決勝にも駒を進めているレバークーゼン。こちらのチームも、創立から3/4世紀は沈黙を保っていたにも関わらず、その後の20年間で徐々に力を付けてここ数年上位の常連となってきたチームです。現在の調子からして1860は苦しいか、と思えばそうとも限らないのがサッカーの面白いところ。レバークーゼンに力を引き出されたように前半から押し気味にゲームを進め、何度かあったチャンスの一つをものにして前半1点リードで折り返しました。その後後半早々に同点に追いつかれながらも、交代出場した選手が出て5分間に2点をgetし、これは勝ちパターンか、と思われました。しかし、こういう状況でも慌てないのがレバークーゼンが強豪たりえるところ。交代などのベンチワークが無かったにも関わらず、自分達でゲームを立て直し、パスをしっかり繋いでゴール前に展開して隙あらばゴールを狙う、と言う正統派のサッカーで着々と点を返し、ついに最後には逆転して勝ってしまいました。まさに、相手に胸を出して最後は土俵に這わせる横綱相撲。なんだか、昨年のサンフの鹿島戦(もちろん、サンフが1860の側です^^;)を思わせるような展開で、1860には「良い内容のゲームができて良かったじゃないか。調子も上向きだし次に頑張ろう」と声をかけたいような気持ちになりました。しかしその一方で、魅力的なサッカーをするレバークーゼンに私の心が参ってしまったのも事実です。指令塔のバインリッヒ、DFのノボトニー、FWのキルシュテンなど、派手さは無いものの忠実に仕事をこなす選手を揃え、あくなき闘争心をコントロールしながら組織力で相手を圧倒する、まさにドイツのサッカーを体現したチームだ、と思いました。
なんだかミュンヘンの話ではなくなってしまいました(^_^;)ので最後にスタジアム風景について。このチームのファンはケルンよりはおとなしい感じで、試合前は全く盛り上がりは見せませんでした。しかし、やはりゲームが始まると違います。ブンデスリーガには珍しく(?)太鼓入りではありましたが、基本的には声を合わせての応援です。そして印象的だったのはスタジアム・ジョッキーとのやりとり。選手紹介やゴールを決めた選手の紹介のときに姓の方を敢えて言わず、ファンに言わせるというのは以前紹介したレバークーゼンと同じなのですが、さらに違うのは得点まで言わせるところ。例えばこんな感じです。

SJ「さあ前半12分、ゴールを決めたのは〜ベルーント」
ファン「ホブシュ!」
SJ「これで1860の得点は?」
ファン「いち!」
SJ「で、かわいそうなレバークーゼンは?」
ファン「ゼロ!」
SJ「ご協力ありがとう」
ファン「どういたしまして!」

最後の「ありがとう」「どういたしまして」はドイツ語では「ダンケ」「ビッテ」と簡単なので言い易いのは分かりますが、しかしこういうパターンはレバークーゼンでもケルンでも聞かなかったように思います。日本でも流行らないかなぁ?面白いと思うのですが。


<98.2.18> FMなどの広島の地元マスコミが、2/7-10頃に今西総監督とトムソン監督の談話を紹介していたそうです。今西総監督は、今年はペドロさんと通訳の新しい採用により怪我の予防や監督とのコミュニケーションの点で改善できる点を強調し、堅い守備を基礎にしたゲームプランで戦い、1st stageは中位に付けて戦術理解を深め、2nd stageでは優勝を狙う、と語ったそうです。一方トムソン監督は、怪我人さえ無ければ十分戦えるチームであり、6位以内を狙える、と自身たっぷりの様子だった、とのことです。幾分リップサービスのところもあるでしょうが、戦力を詳細に検討した結果手ごたえを感じている、と言うことだと思われます。若い選手が多いので勢いに乗れば面白い存在になり得る、と言うのは確かでしょう。2部落ちの危険性と背中合わせなのがこれまでのシーズンと違うところですが、そう言うのは本来どこの国のリーグでも有り得るもの。それも、どこでもほんの一部の強豪を除けばいつでも転落の可能性があるのだ、と言うことも間違いないところ。首脳陣と選手を信じて、応援していきたいと思っています。


<98.2.18> 2月11日の広島ホームテレビで、「緊急特集:サンフレを救え」と言う番組が放送されたそうです。初めに昨年末の契約問題の流れを紹介。その中で信藤社長がふんぞりかえってテーブルをコンコンと叩きながら「我々の仕事はボランティアみたいなもの。私だって交際費ゼロなんだ」と発言していたことが紹介されていたそうです。次に成功例として浦和の取り組みを紹介。立ち上げのときに広告代理店から「若い女性をターゲットにせよ」と言う助言があったのを無視して「硬派」の取り組みをしていたことが現在に繋がっている、と言うことだったとのことです。次いでスポーツクラブの本質に迫る、と言う意味でスイミングクラブやドイツのスポーツシューレの例を取り上げ、最後にサンフレッチェの進む道を示す、と言う内容だったそうです。私は当然見れず残念だったのですが、マスコミからこのような質の高い提言が現れる、と言うことは非常に高く評価できるのではないでしょうか?


<98.2.18> サンフレッチェユース出身でJFLでプレーしていたFWの原田鉱介選手が、モンテディオ山形に入団した、と言う発表がありました。前所属の西濃運輸が廃部になってしまったためどうなるか心配ではあったのですが、まずは良かった、と言うところですね。山形は西濃よりも「格上」とも考えられるチーム。一つ一つ階段を上るように、成長して行って欲しいものです。


<98.2.17> 私の滞在も2ケ月が過ぎ、残り1ケ月を切りました。この間ゲームを見に行けたのは今のところ2回だけで、いくら冬休みがあったとは言えこれではあまりにも少なすぎる。これはいかん、見れるときに見るようにしなければ、と先週末はちょうど暇だったので、ブンデスリーガのハシゴを敢行してきました。ブンデスリーガは土曜日開催が基本なのですが、たいてい数試合を金曜と日曜にも割り振るのでそう言う真似ができるわけです。金曜夕方は私の住む町から一番便利なケルンに1. FC Koeln(以下「ケルン」と呼びます)×Hamburger SV(以下「HSV」)のゲームを、次いで土曜日はミュンヘンに移動してTSV 1860 Muenchen(以下「1860」)×Bayer 04 Leverkusen(以下「レバークーゼン」)のゲームを見てきました。これらのゲームを選んだのは、別に取り立てて理由があったわけではなく、ケルンのゲームを見た後で夜行に乗ってミュンヘンに移動すると、ちょうど良い時間寝れそうだと言うことだったのでした。(^^;)
さて、最初のケルン。35年前のブンデスリーガ創設時の初代チャンピオンで、かつて奥寺やリティも所属した日本でも名の通ったチームです。私が見に行った2月13日はちょうどこのチームの50年目の誕生日、と言うことで、相手にケルンとただ二つだけリーガ創設時から2部落ちしたことのないHSVを選んだゲーム。言わば「伝統の一戦」と言うところでしょうか?ケルンはこの記念に、1968年にカップ戦を制した時のデザインに現スポンサーのFordのエンブレムを付けた特別誂えのユニでこのゲームに臨みました。ただ、あいにくなことにこの両チームの現在の状態は伝統の一戦にふさわしい、とは言えず、どちらも2部陥落圏内をうろうろしています。「Sport Bild」と言う雑誌にはこの両チームを取り上げて「恐竜の氷河期」とまるで揶揄するような記事を書かれていました。ですから「記念のゲーム」と言う感じはまるでなく、むしろ1部残留のためにはお互い負けられない、と言うピリピリした雰囲気のゲームだったように思います。
ところで、このケルンのホームスタジアムは「ミュンガースドルフ スタジアム」と言う54,000人収容のスタジアム。ケルンの中心部からは市電で30分ぐらい。また国鉄の駅からも徒歩で15分程度の所にあります。市電の駅からは歩いて1分でスタジアムの敷地に入れますので、席に座るまでどんなにかかっても10分ぐらいで行けてしまいます。その上高速道路のICもすぐそば、駐車場もたくさんある、と、もう5万人でも6万人でもどんと来い!の状態です。スタジアムは陸上トラックも併設されているタイプで、私が座った席はほとんどメインスタンド最上段だったのですが、全スタンドが2階建てになっているため結構見やすいのには驚きました。また全席屋根付き。ここにチームの調子が悪いとは言え年季の入ったファンから若いサポーターまで、満員とは言えないまでも7割方は入り、更にHSVのサポーターも数百人来ていて気勢を上げていて雰囲気はとても盛り上がっていたと思います。私の回りは、メインスタンドということで幾分お年を召した方が多かったのですが、逆に観戦歴ン十年と言う目の肥えたファンが多いのか、味方がボールを持った瞬間「そこだー!そこに出せ」と大きく手を振って指さし、「トニ(オーストリア代表FWのToni Polsterのこと)を使え!」と指示を出し、選手がその通りに動かないと頭を抱えてうずくまる、とまるで監督になり切っている人が多かった。それに対してゴール裏のサポーターは常に声を出して応援し、花火を使ったり時には発煙筒を焚いたりしてましたけど、そちらはだいたい若い連中。年よりと家族連れはメインとバックスタンドへ、と住み分けされているようでした。
一方ピッチの方ですが、試合前には陸上トラックのところでチアガールが踊りを踊ったり、またピッチ中央でリフティングの名人がリフティングしながらハシゴを上ったり、あるいはピンポン玉でやってみせたりといろいろとアトラクションをしていました。しかしこれらが観客を楽しませたか、と言うとちょっと疑問。だってウォーミングアップに選手達が出てくると、HSVだったら盛大なブーイング、ケルンだったら大きな拍手、と沸き起こっていましたから。かわいそうだったのはリフティング名人で、最初は皆、お義理で拍手を送っていたのですが、そのうち選手が登場すると誰も見なくなってしまい、最後にはいつのまにかいなくなった、と言う感じでなんだか道化者の哀れを感じてしまいました。私は、観客は選手達を見に来ているんだからあんなアトラクションは要らないのに、と思うのですが、しかしもしかするとこれはクラブ首脳陣が観客を呼ばなければ、と危機感を持っていろいろやっているということなのかも。最下位争いでさえ3万人近くも観客が集まるのに、それでもそう言うことをやるということはある意味では頭が下がることではあります。
さて、いよいよ試合開始。このスタジアムはなぜか入退場門がメインスタンドの下ではなく、アウェイ側のゴール裏から入ってきます。それもチアガールが花道を作る間を、とんぼ返りをするチアガールに先導されて、となんとも珍妙な入場の仕方でした。で、キックオフ。試合は、まあ最下位争いにふさわしい凡戦だった、と言えると思います。特に前半はお互いにミスの応酬。選手もイライラがたまるのか、ラフプレーが多くしばしばプレーが中断されます。どちらかというとHSVが押し気味の展開でしたので、ケルンの監督は後半最初から動いてきました。それは、このところの2試合でどちらも70分ごろ途中出場してゴールに絡んでいる、スーパーサブ・アジジの投入でした。これが功を奏したのか?後半開始早々はケルンの選手の動きが全体的に良く、かなり押し気味にゲームを進めました。しかし、決定的チャンスをことごとく外し、いやな雰囲気が漂います。そんな中、HSVがカウンターからペナルティエリア付近までボールを持ち込みます。ケルンのDFは、慌てふためいて最終ラインに壁を作ります。しかし、そのおかげでその前にはぽっかりと広大なスペースができてしまい、HSVの選手は余裕を持ってコースを狙ってケルンの選手の間を縫って左ゴールポストに当てるシュートを放って先制しました。これですっかり意気消沈したケルンはまた前半同様の出来具合。期待のアジジも全くの不発で、ドリブル、パスともにキレがなく、FWの役目が果たせません。監督もこれではいかん、と思ったか、左サイドのキープレーヤーのミュンヒに代えてFWを投入し、アジジを2列目に下げますが、それでもいまいち機能しません。そうやってどたばたしているうちにFKを直接放り込まれて2点差。こうなるともうケルンに勝ち目はありません。観客もぞろぞろ帰り始める始末。結局おしまいの方で何度もシュートを放ったあげくようやく1点を返して1点差に迫りましたが、大勢に影響なし。ケルンはせっかくの記念のゲームにぶざまな敗戦を喫してしまったのでした。う〜ん、これじゃ2部落ちも仕方がないかなぁ、と何とはなしに不安にとらわれるようなゲームだったように思います。
書いているうちに長くなってしまいましたので、「ミュンヘン編」はまた次回ということにさせて頂きたいと思います。


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