6/7〜6/13のサンフレッチェ日記



<98.6.13> 折角W杯のツアーに申し込んだのにチケットが取れないたくさんの方々、本当にお気の毒様です。でも、今更こんなことを言うのもなんですが、出場が決まった直後から、フランス国内でさえ「チケットを取るのは難しい」と言われていたのにも関わらずたくさんのツアーが企画され、サンフレッチェのファンクラブや5万人の会経由でもツアーの案内が来ているのを見て「本当にそんなにチケットが手に入るのだろうか」と思っていました。旅行業界では、どんなに人気のイベントのチケットでも最後には何とかなる、と言う「伝説」があったそうですがもしそれをあてにして甘い見込みで手配していたとしたら、それはW杯をなめていたと思われても仕方がないように思います。これもW杯、と思えば第三者の私などにはそれだけですみますが、しかし本当に1人でも多くのサポーターの方が応援できることを願います。
さて、簡単にこれまでのゲームの感想を。まず「ブラジル×スコットランド」は、ブラジルのチームとしての出来の悪さはともかくスコットランドが良く頑張った、ある意味感動的なゲームでした。もし日本がアルゼンチンに善戦できるとすれば、スコットランドのように組織を崩さずしっかり守って、数少ないチャンスを生かすと言う戦いしかない。自分たちがこれまでやって来たことを信じて強い気持ちでやり続ければ、きっと結果がついてくる、と言うことを示したように思います。残念ながらオウンゴールで敗れましたが、健気なスコットランドサポーターはきっと暖かく選手の健闘を讚えたことと思います。
次の「モロッコ×ノルウェー」も、お互い自分たちの信じるところの全く違ったサッカースタイルの対決でした。個人の能力を最大限に発揮して撹乱するモロッコと、実直なまでにハイボールを上げ続けるノルウェー。サッカーはそれぞれの国民性の反映である、と良く言われますが、W杯はその展示会であると本当に思います。我らの日本代表は、どのように「日本国民」を表現してくれるでしょうか?
「イタリア×チリ」。サラスとロベルト・バッジオ。この2人の活躍は本当に光っていました。決定的な場面になぜか顔を出していてちゃんと足が出る、「決定力」とはこういうものだとお手本を示した、前半ロスタイムでのチリの同点劇。そしてまるで空中で停止していたかのようなジャンプを見せた2点目と、サラスのゴールはどちらもワールドクラス。対して先制ゴールを生んだスルーパス、後半のインザーギへのスルーパス、更にまるでハンドを狙ったかのようなキックからアメリカW杯の悪夢を振り払うようなPKと、イタリアの攻撃を次々と演出したロベルト・バッジオ。ツートップ以外は「並」ながらその2人を生かすために周りの選手が最大限の努力をするチリがイタリアを追いつめるさまも面白かった。
「カメルーン×オーストリア」はゲーム自体は低調なものでした。エムボマはボランチの位置では生きないように思いましたし、オーストリアもあれだけミスパスが多いと攻撃が構築できないでしょう。でもカメルーンの選手の一瞬の輝き、例えばロベルト・カルロスばりの強烈なウォメのキックや、ゴールまで至ったヌジャンカのドリブルなどすばらしものでしたし、一方の「ミニドイツ」オーストリアの決して最後まで諦めず自分たちのサッカーを貫き、ついに同点に追いついた「ゲルマン魂」も見ごたえがありました。
「パラグアイ×ブルガリア」。いずれもこの後スペインとナイジェリアとの対戦を控えるため、落としたくないゲームだったせいで、引き分けに満足せず最後までゴールを狙って戦う姿は0対0のゲームながらなかなかに見せてくれました。パラグアイのチラベルト、ブルガリアのストイチコフと両スター選手もそれぞれに見せ場を作ってくれました。
ここまでのゲーム、ブラジル以外は全て引き分けでしたが、本当にW杯で勝つと言うことは難しいことですね。韓国はこれまでの5大会でまだ勝ちを収めていない、と言うことは有名な話ですが、前大会ベスト4に入ったブルガリアだって6回目の出場にして初めて勝利をあげたそうですし。何だか最近、「日本代表は勝てる!」と景気の良い話が最近色々なところで聞かれますが、W杯はそんなに簡単なものではないと思います。明日どんなゲームをしようとも、スコットランドサポーターのように暖かく迎えたいものです。
さて、最後に今日の注目カード。韓国がメキシコ相手にどれだけやるか、初勝利を上げれるかどうかも興味深いところですが、何と言っても「スペイン×ナイジェリア」と「オランダ×ベルギー」の2試合がどうなるか。どちらも「これぞ世界のプレー」と言われるものが満載の面白いゲームになるのではないか、と期待できると思います。今回から32チームの参加となって試合数が増え、フォローするのが大変になりましたが、本当にサッカーファンとしては至福の1カ月です。


<98.6.12> W杯を生中継で見ると翌日の仕事に差し支えることが昨日わかったので(^^;)、翌朝なるべくラジオなどで情報が入らないようにしてビデオで楽しむことにしました。と言うことで、結果については置いといて今日のカード。まずは9時半からD組のパラグアイ×ブルガリア、0時半からC組のサウジアラビア×デンマーク、4時からフランス×南アフリカとなっています。この中での私の注目カードはフランス×南アフリカ。GKにバルテズ、DFにデサイー、MFにデシャン、ジダン、そしてFWにジョルカエフと中心ラインにスター選手を揃え地元の期待を一身に集めてW杯に挑むフランスがどのぐらいやるのか、それに対して、初出場ながらアフリカをリードする国となりつつある南アフリカがどこまで戦うのか。このチームも、準優勝だった(と思いますが違ったかな?)アフリカネーションズカップ、ぼろぼろに負けたインターコンチネンタルカップと1年のうちに浮き沈みの激しいところを見せているチームで、「白い魔術師」と異名をとるフランス人監督トゥルシエがどのようにチームを作ってくるのか、非常に興味深いところです。


<98.6.12> 6/13から27にかけて、日本クラブユース(U-15)サッカー選手権大会中国大会が広島市を中心に行われます。16チームが参加しますが、サンフレッチェの下部組織からはサンフレッチェ広島FC、サンフレッチェびんごジュニアユースFC、サンフレッチェみろくの里サッカースクールと3チームが出場します。試合はトーナメント形式で、準決勝、決勝は東広島運動公園で27日に行われます。


<98.6.11> 昨夜はなんとかブラジル×スコットランドの前半だけリアルタイムで見て(今日の仕事に差し支えるので)そこで寝たのですが、結局ブラジルの勝ちだったそうですね。今朝の報道を聞いていると、次のモロッコ×ノルウェーのゲームはとても面白いものだったそうで、スコットランドは今大会も早くもグループリーグ突破が苦しくなったかな?
さて、今日の組み合わせはB組のイタリア×チリとカメルーン×オーストリア。普通注目、と言うと堅守を誇るイタリアの「カテナチオ」をサモラノ、サラスの両エースを擁するチリがいかにこじ開けるかというところだと思います。しかし私はあえてカメルーンとオーストリアの対戦に注目したいと思います。カメルーンはご存知エムボマが率いる不屈のライオン。その実力は高く評価されながらも監督人事のごたごたなどで活躍が危ぶまれています。しかし、アフリカ人の身体能力、これはそんな事情とは関係ない!ツボにはまったときの怖さはみなさんご存知の通りでしょう。対するオーストリアは、元々の民族的なものから言っても、更に中心選手の多くがブンデスリーガで活躍していることを見てもまさに「ミニドイツ」。ベテラン選手が中心であるところまで似ています。中でも個人的に1FCケルンに所属する人気者アントン(トニ)・ポルスターがひいきの選手なのですが、まあそれはそれとしてドイツ風の組織力の、まるで機械仕掛けのようなサッカーがどのようにアフリカンパワーを止めるのか、興味津々です。


<98.6.10> ついに、と言うかやっと、と言うか、いよいよ今日からフランスワールドカップが開幕します。サンフレッチェもお休みですし、しばらくこの「Diary」もW杯モードでお送りしようと思います。(因みに昨日の広島FMの「ゴ〜ル!」のゲストは大久保選手でしたが、やっぱり話題の中心はW杯でした。あの番組の関係者では、サンフレッチェ公報の関さんやロベルト・ハマさんがフランスに行くそうです。)
さて、今日のゲームですがまずはA組、開幕戦のブラジル×スコットランドとモロッコ×ノルウェーが行われます。この中で私はブラジル×スコットランド、とりわけスコットランドに注目したいと思っています。理由はいくつかあって、その中には「3年前に広島に来た」とか「ユニフォームの色が紫っぽい紺色」だとか言うのもあるのですが、一番の理由はこのチームとサポーターに、ある意味での「健気さ」を感じるからです。ご存知のようにスコットランドはいわゆるイギリス(連合王国)を構成する地域です。スコットランドリーグはそれなりに強いリーグですが、良い選手はたいていイングランドのプレミアリーグに行ってしまう。だからこの「国」の代表選手になる資格(なんでも、スコットランド人でなくても「おじいさんがスコットランドに住んでいた」等の人でもなれるらしい)がある人はたいていイングランド代表になる資格もあるわけで、従ってスコットランド代表と言うとどうしても「1番」にはなれない宿命にあるわけです。実際、このフランス大会に際して1970年のメキシコW杯でブラジル代表で活躍したトスタオ氏は、「私は個人的にスコットランドというチームは嫌い。スコットランドは唯一の例外を除いて見るところのない選手揃いの弱小チーム。スコットランドはいわゆる『昔の英国スタイルのフットボール』に固執する、つまらないチーム。選手はまったく才能なしの並の選手だし、唯一の良い面は『誇りを持って全力で戦う精神力』のみ。彼らは本当に、90分を100%出し切って戦う。それは良いことだと思うが、しかしそれが勝つために充分な素質とは到底言えない」と極めて率直な感想を語っているそうです。これに対してスコットランド代表のブラウン監督は、「我々は失うものがないから、プレッシャーを感じずに戦うことができる。しかも、我々は経験豊富な選手揃い。相手が世界チャンピオンであるとは確かだが、我々は恐れてはいない」と、またロナウドのマークを担当するであろう主将のコリン・ヘンドリーは、「ロナウドに弱点はあるか?」との質問に「あるとすれば水曜日にそれを発見したい」と応えたそうです。
後藤健生さんの著書「世界サッカー紀行」によると、これまでスコットランドはW杯には8回出場し、特に74年の大会から90年の大会までは5大会連続で欧州予選を突破したと言う「記録」(他の強豪国は、たいてい途中に予選免除が入っている)を持つ立派な中堅国です。しかしその一方では、これまで一度もグループリーグを突破したことがない、と言う歴史も持っています。74年の大会では1勝2分ながら1ゴール差のグループ3位でトーナメント進出を逃し、90年のイタリア大会でも他のグループの展開によって土壇場で逃しています。従って日本代表にとって本大会出場が「悲願」だったように、スコットランドにとってはグループリーグ突破が悲願か、と言うと実はそうでもないらしい。キルトの巻きスカートを身に付けたスコットランドサポーターは熱狂的な点では他国に負けませんし、スコッチウイスキーで泥酔状態でゲームにやって来ます。しかしどんなにチームが不甲斐ない戦いで、あるいはツキがなくて敗退しても決して暴れまわったりせず、また楽しそうに歌を歌って引き揚げていくそうです。イングランドの侵略を受け、いまだに「後進地域」として貧困に沈んでいるスコットランド人と、アメリカなどに働き口を求めて渡ったスコットランド出身者にとって、ワールドカップは「勝ちを収める場」ではなく「スコットランド人」としてのアイデンティティーを確認する場なのです。本選に出場すること、そして願わくばイングランドに勝つことができれば、それで十分なのです。私は、ブラジルのファンタジーに溢れたサッカーは好きですしきっとグループリーグを突破すると思っていますが、しかしこの開幕戦に限っては、この健気なスコットランドチームとそのサポーターを応援したいと思います。


<98.6.9> 95年に在籍したファンルーン選手についての情報を入手しましたのでお知らせします。サンフレッチェ退団後オランダリーグのFCユトレヒトに移籍し、95/96シーズンには13試合出場で1ゴールをあげ2枚のイエローカードと1枚のレッドカード。96/97シーズンには24試合出場、6ゴール、イエロー4、レッド0、更に97/98シーズンは12試合、0ゴール、イエロー3、レッド0の成績でした。


<98.6.8> クラブユース(U-18)サッカー選手権の中四国予選が現在行われているそうです。サンフレッチェのユースは初戦を5/9に廿日市FCと戦い、7-1で勝っています。残りの日程ですが、まず13日(土)13:40から広島広域公園補助競技場でサンフレッチェユース対徳山ユースの試合、次いで14日(日)に徳山ユース対廿日市FCのゲームが行われます。この結果サンフレッチェユースの勝ち抜きが土曜日に決まった場合、14日の14:00より広島スタジアムにて、愛媛FCとの間で中四国代表決定戦が行われます。愛媛FCは昨年社会人、大学生チームを破って天皇杯愛媛県代表になったチーム。サンフのユースにとっては近いところでのライバルとなりうるチームだと思っています。W杯も気掛かりですが、こちらも気になる対戦だ、と言えます。


<98.6.8> 先日U-19代表候補合宿に参加した池端選手ですが、この度正式にU-19代表に選出されました。池端選手は「選出されるとは思っていなかったので、非常に嬉しい。1試合でも多く試合に出場できるように頑張りたい。そして、世界にレベルを体験し、今後の自分のプレーに活かしていきたいと思う。」とのコメントを発表しています。なおU-19代表は6/21から大宮で行われるアジアユース1次予選に参加します。


<98.6.8> 今後の日程ですが、トップ、サテライトとも昨日からお休みに入っています。トップは6/24まで、サテライトは6/21までだそうです。


<98.6.8> 昨日行われた中国社会人リーグ第6節の結果です。サンフレッチェのユースはこれで5連勝となりました。
広島フジタSC 4|2-3|3 ヤマコーFC
(4勝1敗)    |2-0|  (  4敗)

三菱石油    2|0-2|2 広島教員
(3勝3敗)    |2-0|  (1勝4敗)
        PK|3-2|

マツダSC   5|5-1|1 NKK福山 
(4勝1敗)    |0-0|  (3勝1敗)

サンフユース  3|1-0|0 SC鳥取
         |2-0|  (  4敗)


<98.6.7> 昨日のナビ杯最終戦、ジュビロ磐田との対戦は3点を奪われて完敗し、結局勝ち点4のAグループ4位に終わりました。サンフのメンバーは次のようだったと思われます。
        下田

     宮澤 柳本 川島

  吉田康 桑原 皆本  服部
         (→金本72分)
      山根 大久保(→古賀72分)
      (→笛81分)
        大木

このうち、72分からは大久保に代わって入った古賀は左WBにポジションを取り、服部が攻撃的MFでプレーしました。中国新聞によると幕張高校時代のポジションと同じだったそうで、得意の突破から何度も好機を作り「気持ち良くプレーできた」と振返っていたそうです。しかしそれまでの左WBのポジションでは「全然突破できなかったし、クロスも上げられなかった」と不満げな表情をし、「オフの間に身体を作り直し、いい働きをみせますよ」と語っていたとのことです。一方DFに入った川島は小島の故障で急遽先発したものの、序盤からボールへの反応が悪く磐田のFWに振り回される場面が多く出来が良くなかった模様。後半43分には相手クロスへの目測を誤って3点目を許し「完全な僕のミス」と反省しきりだったそうです。一方攻撃陣はというと、シュートは前半15分までに服部と桑原が放ったFK2本だけに終わり、得点の予感すらない状態。久保を欠いたメンバーはゴールへ向かう意欲も希薄で、桑原から「年長者ほどハードワークをしていた」と言われるほどのものだったそうで、磐田にはリーグ戦での0対5のゲームに続く完敗。公式戦での対磐田6連敗となってしまいました。
結局ナビスコ杯は4試合を通じて「良かった」と言えるようなゲームが無く、とりわけ若手攻撃陣にほとんど収穫がありませんでした。今後新外国人や山口敏弘が加入してきたときにチャンスが与えられるかどうかすら心配しなければならないと思います。ただ、私が思うに大木、大久保、山根らはマラドーナやロナウドのように1人で攻撃を組み立てることのできるほどの選手か、と言うとどんなに成長してもそこまでは行かないでしょう。となると、周りとのコンビネーション、チームとして機能する中でいかに光るプレーをすることができるか、が勝負です。久保だって、高木やアーノルドと共にプレーし、彼らの経験やプロ意識から学ぶことで成長しましたし、また彼らが作ったスペースに飛び込むことで活躍できたのです。そう言う意味では頼りにするベテラン選手が居ない中で自分たちだけで攻撃を組み立てなければならなかった、と言う事情は考慮しないといけないかも。この3人も、彼らを生かしてくれるような代表クラスの選手、あるいは頼りになる外国人選手と一緒にプレーすれば、飛躍的に成長できる可能性もあるのではないかと思います。ナビスコ杯での与えられたポジション、与えられたチャンスでではなく、自ら激しいポジション争いを勝ち抜くことでないと、やはり本当のプロ選手としては育って行かないのかも知れません。今後に期待したいと思います。


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