10/10〜10/16のサンフレッチェ日記



<99.10.16> 今朝の中国新聞等によりますと、来季の新人獲得が最終段階に入って来た模様です。今年は「素材重視で他チームとの競合も覚悟」と言うことで候補者はいずれもU-18代表候補選手。ユースから駒野、森崎兄弟の昇格が内定しているほか、東福岡高のFW山形恭平、多々良高のFW中山元気、柳川高のDF八田康介が候補に挙がっており、いずれも今月に入ってから練習に参加したそうです。この中で特に山形選手は、昨年2年生ながらレギュラーとして東福岡の選手権優勝に貢献。とりわけ決勝では帝京を相手にハットトリックの活躍を見せており、全国的にも今季の「目玉選手」の一人です。広島フットボールによると、今週練習参加した彼は紅白戦に出場してトップチームのDF陣を相手に非凡な才能の一端を見せていたとのこと。地元の福岡などとの競合になっているようですが、ぜひ広島に来てほしい選手です。昨年あたりまでは、高校に優れた選手がいてもことごとく鹿島や名古屋などにさらわれてしまい、サンフは初めから諦めて(?)いた感じでした。チーム成績が奮わなかった上に、練習場はシャワールームもない郷原グラウンド、宿舎はマツダの独身寮、と言うのでは、アピールする材料もなかったようなものでした。しかし今は違います。吉田のグラウンドも新築の寮もあり、チームはもう少しで優勝を狙える位置まで来ています。その上、高橋泰選手の存在がある。今年の高卒ルーキーで最も活躍した選手は誰か、と言えば文句なく高橋。それは彼自身の才能のおかげであることは間違いないのですが、しかしサンフがそのような才能を埋もれさせないチームであると言う事を身をもって示してくれているわけで、これは獲得候補選手に対する大きなアピールポイントになるのではないかと思います。高橋、山形は一緒に高校選抜の欧州遠征を経験しており、当然話をする間柄でもあるでしょう。沢田が宮澤との友人関係があるからこそ広島に来たように、山形にとっても知り合いがいる、と言う事がチーム選択の重要なキーになるかも。この年代は2004年の五輪代表を目指して行く選手達でもありますし、ぜひサンフに入団してもらって、大きく成長してほしいと思います。

<99.10.15> タイ戦に向けJヴィレッジで合宿中のU-22日本代表に、昨日急遽藤本主税選手が召集されました。藤本選手のこの選出は2月の合宿以来のもので、昨日の練習終了後夕方の飛行機で慌ただしく広島を発ったそうです。ところでこの選出の意味ですが、おそらく左WBとして期待されて、と言うことだと私は見ます。カザフスタン戦でこのポジションを務めた中村は、中田英の代わりの司令塔としてトップ下に入ることは確定的。タイは日本の攻めを警戒して引いて守備に専念してくることは明かですから、これを破って得点を取るにはサイドからの揺さぶり、低い位置からのドリブル突破やミドルシュート、そしてセットプレーのチャンスを生かすことが重要になるでしょう。そうなると両WB、特に中村が抜けた後の左WBをどう埋めるか、が一番の問題点です。これまでのこのポジションの2番手は本山ですから、普通に考えれば彼が入るはず。しかし、調子が落ちているのかあるいは実力なのか、韓国戦、そしてカザフスタン戦とほとんど機能していません。トルシエ監督は韓国に城定を呼び、また今週に入って平山を呼ぶなど代役探しに必死ですが、城定は1試合で帰され、更に平山はトルシエから付きっきりで指導されているなどなかなかお眼鏡に叶う選手が現れていない様子です。ここにJリーグでは只今絶好調!の藤本を当てはめるというのはある意味当然で、むしろ遅すぎた、とまで言って良いくらい。その突破力、キープ力、そして精度の高いFKと実力を発揮できれば、U-22代表にとっては大きな戦力となるはずです。
しかしながらその「遅すぎた」と言う事は、むしろ大きな問題かもしれない、と実はかなり心配です。サンフレッチェのトップチームは先週1週間オフを取り、今週から練習を再開しています。だから藤本選手も、まずは休ませた筋肉をほぐし、一度身体をいじめてから20日のプレシーズンマッチ、そして30日のJリーグ再開に向けて徐々にコンディションを作って行こうという状態だったはずです。それがいきなりトップコンディションの他の選手達に合わせて練習し、自分のプレーをアピールしなければならない。これは彼にとってかなりの負担になるのではないでしょうか。身体が重くて十分アピールできなかった、と言うぐらいならまだ良いのですが、気負いすぎて無理をして、どこか怪我をしてしまう事を恐れます。もしここで彼が活躍できなかったとしても、それは彼が悪いわけではなくもっと早く準備させなかったトルシエ監督の責任です。藤本選手は「びっくりしている。広島の看板を背負っていくんだから、多少の疲れはあるが、言ってられない」と意欲満々で、その意気や良し、なのですが、「上位チームの中心選手」と言う藤本の実績は、中田英以外の誰にも負けないもの(匹敵するのは中村、明神、南ぐらい?)です。チャンスをつかむために必死で頑張る、と言うよりも、「自分を使わないでどうする」と言うつもりで、自信を持って堂々とプレーしてきて欲しい、と思います。

<99.10.14> 大分にレンタル移籍中の山根、金本両選手。今年前半は二人ともドイスボランチとして先発出場していましたが、後半になってやや明暗が分かれているようです。きっかけは、新外国人のエドウィンが加入したこと。この選手が中盤の前目の位置に入り、またこれと並んで元韓国代表の崔大植(この選手も、以前広島の入団テストを受けていたことがあったっけ)が入るため中盤のポジションが一つになってしまいました。これに伴い、このところ山根が先発、金本がサブという位置づけが定着しているようです。金本は途中出場でもあまり結果が出ていないようで、再びプロの厳しさに直面している模様で、ちょっと心配なところです。それに対して山根はボランチとしてずいぶん成長したようで、大分ファンの方の観戦記などを見ているととにかく中盤で動き回って守備と中盤の構築に非常に大きな貢献をしているとのこと。「山根は広島からもらった宝物」と言う表現まで目にしました。昨年までは、ボールをもらう動きや2列目からの飛び出しに迷いが見られ、またキープする場面とパスを出す場面の判断が悪いなど攻撃的MFとしてはいささか不満足な出来でした。ボランチとして使われ出したのは昨年後半の広島在籍中から(サテライトで)だったと記憶していますが、今年大分でずっとゲームに出る中でようやくそのポジションの動き方をつかみ、大きく成長しつつあるのだろうと思います。もともとサッカーのセンスには非凡なものを持っていた山根選手は、広島にとっても宝物。来年は復帰させたい広島と、正式移籍させたい大分とで、もしかすると既に綱引きを行っているかも知れません。一時は川崎フロンターレ(勝ち点60)とFC東京(勝ち点58)の昇格で決まり、と思われていたJ2も、このところ両チームが連敗して3位大分(勝ち点52)との差が詰まっています。残り6試合で2勝差というのはなかなか厳しいところですが、しかし十分射程距離内でもあります。山根、金本が大分に残るにしても広島に帰るにしても、「惜しくも昇格を逃した」では心残りになるというもの。ぜひ頑張ってほしい、と思います。

<99.10.13> 高校選手権の広島県大会の2次リーグは10/9,11に第2、3日目を行い、皆実高など8校が決勝トーナメントへの進出を決めました。
【A組】
     勝点 勝分敗 皆実 広工 如水 神辺
◎皆実   5 210 ----- ○9-0 △2-2 ○2-1
◎広島工  3 111 ●0-9 ----- ○2-1 △1-1
 如水館  2 021 △2-2 ●1-2 ----- △1-1
 神辺旭  2 021 ●1-2 △1-1 △1-1 -----

【B組】
     勝点 勝分敗 山陽 朝鮮 松永 井口
◎山陽   5 210 ----- ○2-0 △1-1 ○4-1
◎広島朝鮮 4 201 ●0-2 ----- ○1-0 ○3-1
 松永   3 111 △1-1 ●0-1 ----- ○7-1
 井口   0 003 ●1-4 ●1-3 ●1-7 -----

【C組】
     勝点 勝分敗 工大 観音 廿日 尾北
◎工大高  5 210 ----- △0-0 ○4-1 ○3-0
◎観音   3 111 △0-0 ----- ○3-0 ●0-1
 廿日市  2 102 ●1-4 ●0-3 ----- ○6-2
 尾道北  2 102 ●0-3 ○1-0 ●2-6 -----

【D組】
     勝点 勝分敗 国泰 修道 賀茂 大門
◎国泰寺  6 300 ----- ○6-0 ○3-2 ○7-2
◎修道   4 201 ●0-6 ----- ○1-0 ○3-0
 賀茂   2 102 ●2-3 ●0-1 ----- ○3-2
 大門   0 003 ●2-7 ●0-3 ●2-3 ----- 


<99.10.12> JOMOカップについては、「オールスターもあるのに『花試合』をもう一つ作るのは意味が無い」とか「Jリーグの外国人の質が下がったから客寄せでバッジオを呼ばざるを得なかった」とか、色々と否定的な意見を目にします。それらにはそれぞれ頷ける点もあるのですが、しかし少なくとも昨日のゲームに関しては私は十分楽しませて頂きました。その理由は何と言ってもロベルト・バッジオ。このゲームの「目玉商品」と言うことでテレビでも持ち上げよう、持ち上げようとしていましたが、そんな事をする必要は全く無かった。そのプレーの一つ一つ、存在そのものが輝いていて、日本チームや他の外国籍選手ばかりでなく、レオナルドでさえ脇役に見えてしまったほど。その右足はまるで魔法使いの杖のようで(陳腐な表現ですみません)、私たちがいつも見ている「サッカー」とは異質の、単なる「一流のプレー」と言う言葉では表現できないような「芸術」を見たような気がしました。所属するインテルではあまり出番が無いようですが、それはバッジオが衰えたからではなくきっとイタリアのサッカーに合わないだけなのでしょう。こう言う天才をゲームに出さずに埋もれさせておくなんて、なんてもったいないことか。別にサンフに欲しいとは言いませんから(いやもちろん買えるもんなら買って欲しいけど)、Jリーグのどこかのチームに来て欲しい、と心底思います。自分自身が生で見れるチャンスが増える、と言うだけでなく、彼のプレーを見れることが、日本の選手やサッカー選手になりたい子供たちにきっと大きな影響を及ぼすことでしょう。解説の風間さんが何度も繰り返していたように、ゴール前の決定的な場面での落ち着きぶりはぜひ全ての選手に学んで欲しいところです。(学べるものなら ^_^;)
ついでにバッジオ以外の点についての感想を少々。真剣勝負では無いということでプレッシャーの緩いゲームだったせいか、両チームの選手の持ち味が出て少なくとも前半はなかなか楽しいゲームでした。今回は日本側はU-22代表を除く選手で構成したわけですが、彼らの技術も外国籍選手と比較して決して劣っているわけではない、と言うことが再確認できたように思います。(もっとも問題は、W杯やコパ・アメリカのような強烈なプレッシャーを受けたときにどれだけ冷静にプレーできるかと言う点にあるわけで、「これで安心」と言う事にはならないのですが。)外国籍選手の側では、アレックスが目を引きました。先日の清水×広島での先制点のシーンは記憶に新しいところですが、あの時同様の左サイドを駆け上がるスピードはあの錚々たる面々の中でも十分目立っていました。16歳の時に来日し、明徳義塾高を卒業後エスパルスに拾ってもらった形でプロになった彼は、今伸び盛りの22歳。先日のサッカーマガジンによれば日本への帰化も検討しているそうで、そうなったら日本代表、と言う可能性も十分に出てくるでしょう。今後が非常に楽しみです。サンフから出場のポポヴィッチ、フォックスはそれほど目立っていませんでしたが、しかしフォックスが相変わらずのプレー(DFラインでドリブルで相手をかわしたり、ヘッドでクリアするふりをしてスルーしてGKに取らせたり)を見せたのは何だか可笑しかった。トムソン監督から「簡単にプレーしろ」と叱られる事もあるそうですが、これがフォックスの個性、と言うことなのでしょう。サンフのゲームで見ているときには「早くパスを出せよ〜」とかついつい言いたくなりますが、しかし「ディシプリン」を保ちながら個性を発揮するのが良いサッカー選手と言うものですから、フォックスには今後も見て楽しいプレーをミス無くできるよう、成長してほしいと思います。

<99.10.11> 昨日行われたJユース選手権の第4戦、大分トリニータとのゲームは21-0(前半9-0)で広島が勝ちました。広島は森崎浩、三山、寺内などがハットトリックを決めた模様。F組ではガンバ、サンフの力が一枚上でこれに続くのがサガンとアビスパで、トリニータは一番落ちると見られており、トリニータはガンバに2戦とも0-9で敗れています。そう言う意味では勝って当然の相手ではありましたが、しかしだからと言ってサッカーで(それも同じカテゴリーの相手で)21点差というのは凄い。なんせ実力的に大きく差があった日本U-22代表とフィリピンとの対戦でも10点少々の差を付けるのがやっとだったのですから。

<99.10.11> 23日から熊本県で開催される秋期国体の広島県選手団が発表されています。このうち、サッカー少年男子にはサンフレッチェユース(所属は吉田高)から最多の6人が選出されました。夏の高校総体で優勝したチームは単独チームで国体に参加し、高校選手権との「三冠」を目指すことが多いのですが、今回広島県代表は皆実の選手は5人しか含まない選抜チーム。これまでの歴史的な事情があるのかも知れませんが、逆にそれだけサンフユースの選手が期待されている、と言うことでもあるのでしょう。目指すのは優勝しか無い、と言うつもりで、頑張ってほしいものです。なお、全メンバーは次の通り。
監督 田中良和(山陽高)
選手 福島健介(山陽高)
   伊藤大伸(山陽高)
   足立真一(吉田高)
   森崎和幸(吉田高)
   宮本欣吾(吉田高)
   森崎浩司(吉田高)
   駒野友一(吉田高)
   寺内良太(吉田高)
   田村和也(皆実高)
   柴村直弥(皆実高)
   秦 賢二(皆実高)(本当は姓の字がちょっと違います)
   西川泰広(皆実高)
   堀 健人(皆実高)
   山口 平(観音高)
   松浦 淳(府中高)


<99.10.10> 昨日のシドニー五輪アジア最終予選のカザフスタン戦は中田英の活躍で2-0と勝ったのですが、私はこれを見て何となくW杯のクロアチア戦を思い出してしまいました。と言っても立場は逆で、カザフスタンが日本代表で、日本がクロアチア代表になったような印象です。あの時日本は、クロアチア対策を十分にしたのも功を奏してか暑さで足が止まったクロアチアを守備に専念させ、かなり攻勢を取って攻めました。しかし、結果的には1点も取れず、逆にスーケルの一発にやられて敗戦。「勝つチャンスはあったのに」と言う声が日本中に満ち満ちていましたが、しかしゲームは誰がどう言ってもクロアチアの予定通りで、日本との間には「惜しい」と言う一言では表現できないような差があったように思います。今回の五輪予選のゲームもカザフスタンはホームの有利を最大限に活かし、シェフチェンコ(あの、ミランの選手とは関係ないのでしょうか?)のスピードに乗ったドリブルや遠目からどんどん打ってくるシュートで日本を脅かし、何度かゴールのチャンスがありました。逆に日本はと言うと、中田英は厳しいマークに苦しめられ、FWはなかなかボールをキープできずで中盤を華麗に繋ぐサッカー、と言う訳には行かなかった。得点は2点とも中田英の個人的な資質に大きく依存するもので、彼がいなかったら1点でも取れていたかどうか分からない、と言うものでした。しかし、だからと言って苦戦だった、とも言えないでしょう。かなり押し込まれていた時間帯でもDFラインは全く崩れなかったし、何と言っても選手達が全くパニックになることなく、落ち着いてカザフスタンの持ち味を消していました。だから仮に中田英がいなくても、最悪でも引き分けに持ち込めるような戦いぶりで、そう言う意味では全く危なげのないゲームだった、とも言えると思います。わずか2年前のW杯予選で日本代表はこのアルマトイでナイーブなゲームを展開して「予選突破に赤信号」とマスコミに叩かれる始末で、カザフスタンとの実力差は紙一重に過ぎなかった日本のサッカー。ところが少なくともこのU-22のレベルでは、カザフスタンとの間になかなか越え難いほどの大きな差を見せつけた、と言う気がします。「これで世界のレベルに伍していける」と簡単は言えませんが、日本にとって高かった「アジアの壁」を、このU-22代表は今まさに越えつつあるのだろうと思います。
さて、こういう結果を見せられるともうアジア予選は突破したも同然で、次は五輪本番でどれだけ世界と戦えるか、と言う事が気になるところです。(かなり気の早い話ではありますが。)カザフスタン戦を見ると、GKからDF、MFまでは今後このまま個人の技術と戦術をシェイプアップしていくことで十分にものになる、と思うのですが、しかし心もとないのはFW。この日は平瀬、高原の先発で、途中で小島、福田にスイッチしましたが、いずれの選手にもアジアを越える可能性を感じることはできませんでした。期待の星だったはずの柳沢はメンバーにも入っておらず、1次予選のシンデレラボーイ吉原はJ2でも苦しんでいます。ここに久保がいればなぁ、と思ったのは決して私だけではないでしょう。久保は五輪には出れませんが、しかし来年以降構成されるA代表は今のU-22をベースにこの弱点を補強する形でチーム作りがされるはず。U-22の「黄金の中盤」に久保が入った構成を基本としてくれたら、その時こそ日本代表が世界と対等に戦うベースができた、と言えるのではないかと思います。

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