11/28〜12/4のサンフレッチェ日記



<99.12.4> 昨日Jリーグから発表された「優秀選手」にサンフレッチェからは久保選手が、また「優秀新人」には高橋選手がそれぞれ選ばれました。この優秀選手はJ1の16クラブの監督、選手の投票結果を基に選考委員会で決定されたもので、久保も高橋も互いに対戦する相手から高く評価された、と言う事を意味すると思います。久保選手は「今年の自分のプレーを多くの人に評価されて、喜んでもらえたのかなと思う。本当に嬉しい」、高橋選手は「入団最初の年にJ1に出られたし、光栄です。新人王は一生に一度なので、もし選ばれれば凄いことですね」とコメントを発表しています。優秀選手はGK3人、フィールドプレーヤー30人の選出でしたが、前後期を通じての1位だった清水からはレギュラー全員が選出されるという快挙。堅い守備、組織だった攻撃、そしてフェアプレーが高い次元で融合した清水のサッカーがそれだけ高く評価された、と言う事なのでしょう。今日はチャンピオンシップで「年間王者」を争いますが、相手の磐田は2nd stageは12位に沈み、年間の勝ち点も6番目の成績だったチームですし、「格の違い」を見せつけて欲しいものです。

<99.12.4> 今朝の中国新聞によると、今夏ヨーロッパに挑戦して仮契約まで行ったものの本契約を果たせず帰国した吉田康弘選手が、広島とは来季の契約を結ばず海外へ再挑戦することを表明したそうです。既にサンフレッチェの了承も得ていて「もう国内でプレーするつもりはない。欧州一本に絞っていきたい」と決意。そして「今は確かに欧州はシーズン途中。移籍には難しい時期になる。外国人枠の問題もあるし。でも、たとえ半年浪人を経験してもいい。また、2部チームからのスタートとなってもいい。来秋、2000〜2001シーズンの開幕に間に合えば、という気持ちです」と、退路を断っての挑戦であることを強調したとのことです。希望する国については「スペイン、ポルトガルが自分に合っている」としつつも「例えば森山がいたスロベニアでもどこでもいい、とにかくもっとサッカーがうまくなりたい」と語っています。「代表」の肩書きも、スポンサーの後押しも無いサッカー後進国のベテラン選手が海外でプレーの場所を見つけるのはなかなか大変な事でしょう。少なくとも中田や名波のような(そして今話題の城のような)鳴り物入りで、と言うわけには行きません。しかし欧州、と一言で言ってもイタリアやイングランド、スペインのような「お金が全て」と言う風潮のリーグやクラブばかりではなく、むしろ地道な活動を何十年も続けているクラブの方が圧倒的に多いわけです。派手なプレーとは無縁な「いぶし銀」タイプの吉田選手は素人目にはなかなか良さが分かりにくいところがありますが、しかしその彼を高く評価していたのがジーコ、ヤンセン、トムソンと言った外国人だったことを考えると、見る目のある人に巡り会えれば必ず認められるはずです。吉田選手は1967年生まれの32歳。奇しくも最近所属クラブから戦力外通告を受けた井原(横浜FM)、高木(V川崎)、武田(市原)、浅野(名古屋)、森山(平塚)らと同い年です。彼らに加え長谷川、堀池(いずれも清水)などJリーグ初年度から活躍してきた日本を代表する選手達が「リストラ」される中で、来季の戦力としてクラブからは残留を求められた、と言う事自体凄いことですが、それを蹴って海外挑戦すると言うのは更に凄いことだと思います。成功できるかできないか、は運にもよるだろうと思いますが、是非その運を掴み取って欲しい、と思います。

<99.12.3> サンフレッチェオフィシャルホームページなどで募集している「サポーターが選ぶ サンフレッチェ'99MVP」の2回目の中間発表が昨日出ました。これによると1位は370票で久保。今年はチーム得点王となっただけでなく、居るだけで相手のマークを引きつけるなどまさにエースの風格。骨折のためリタイアしたジュビロ戦以降の4試合、FWの得点が無かったことから逆に存在感を示した格好になりました。今はギブスも取れて?別メニューで練習に参加しているもののまだピッチの外側を歩くだけで、チームメイトの練習を横目で見ながらサッカーをしたい、と言う雰囲気を漂わせているそうです。2位は5票差で森保。京都から復帰した今年当初は桑原の方が信頼度が高く控えスタートでしたが、開幕3連敗の後先発に復帰するとその後は快進撃。勝敗は相手にもよるので「たまたま」のところもあるでしょうが、しかし控えの間も腐らずにサテライトに出場して良い準備をしていたことは、若手へのお手本ともなりました。先週の第1回目の発表では2位に大きく差を付けられての4位でしたが、浦和戦でのプレーぶりと試合後に福田を慰める姿がファンの心を捉えたのだろうと思います。3位もわずかの差(352票)で藤本。彼も今季の当初はサブスタートでしたが、森保に倣ってサテライトへ出場するなどしてレベルアップし、途中からは完全にポジションを獲得しました。その小気味よいプレーぶりも光りますが、何と言っても「阿波踊り」「三本の矢」のパフォーマンス、そしてホームページの開設などその明るさとファンを大事にする姿勢は特筆もの。これまで「地味な選手が多い」で通っていた広島のイメージを一人で変えるほどの活躍でした。4位以下には「キャプテン」上村、日本代表に定着した下田、高卒新人らしからぬ活躍の高橋、そして沢田と続きます。投票〆切は来週の土曜日までに、V-POINT、吉田サッカー公園、はがき、ファックス、ホームページでできます。年間指定席やサイン入りユニフォームなどのプレゼントもありますし、まだの方はお早めにどうぞ。

<99.12.2> 昨日の中国新聞夕刊に、U-18代表合宿で活躍する駒野選手の記事が出ていました。最終日に行われた柏との30分×3の練習試合では「レギュラー組」として1本目の左WBで先発し、20メートル以上のミドルシュートを3本放つなど思い切りの良さを見せ、そのうち1本はゴールを決めもう1本はクロスバーを直撃するなど柏GK南が「あのミドルシュートの精度の高さはなかなかのものがある」と評価していたそうです。観戦した織田強化部次長も「駒野が一番目だっていた。来年が楽しみ」と語っていたようです。今年は沢田、服部の両WBに何かあるととたんに戦力ダウンした(左は古賀が良い働きを見せましたけど)サンフでしたが、この駒野の成長次第では、来年はサブの問題解決というだけではなくより高いレベルでのポジション争いが展開されることになるかも知れません。一方、来季の入団が内定している山形、八田の二人も出場したそうですが、こちらはそれほど活躍した、と言うこともなかったらしい。特に山形は(又聞きですが)右WBとしてのプレーでやや戸惑い気味だったそうです。また森崎浩は足を痛めて試合には出場せず、更にトップに帯同していた森崎和は合宿参加を辞退した、と言うことでアピールすることはできませんでしたが、この二人も能力的には駒野と同等らしいので今後に期待、と言うところでしょうか。12/19からは彼ら3人の世代としては最後の公式戦となるユース選手権の決勝トーナメントが始まります。初戦は横浜F・マリノスユース。天皇杯神奈川県予選では決勝まで進出し、横浜FCと接戦を演じた強豪です。予選リーグを1位で通過したおかげでビッグアーチでのゲームとなります(15時キックオフ。因みに同日に予定される天皇杯4回戦は岐阜・長良川での開催)し、広島在住のサポーターは観戦に行ってはいかがでしょう?

<99.12.2> 今朝の中国新聞によると、元札幌(9月に退団してブラジルに渡っていたらしい)の加藤竜二選手の入団テストが行われているそうです。今季は下田、前川の2枚看板に佐藤が加わってGKは磐石の体制だったはずですが、佐藤の名古屋へのレンタルでサテライトのゲームでは加藤GKコーチがサブに入るほど。来季前川選手が移籍することになると、佐藤が復帰したとしても人材不足になることは目に見えているので、それを補うという意味があるのかも知れません。

<99.12.1> 今朝の新聞報道によると、元サンフレッチェの高木琢也選手がヴェルディから戦力外通告を受けたそうです。サポータも巻き込んだ移籍騒動から2年。サンフレッチェにはヴィジョンがない、と志願しての移籍で当初はヴェルディでも中心選手として活躍しましたが、度重なる怪我もあって今年後半にはなかなか出場の機会も無く、ここで解雇されるのも仕方がない流れといえるでしょう。本人が現役を続行するつもりがあるのかどうかは分かりませんが、高木の高さ、強さは魅力ながら、足元があまり上手ではないこと、スピードが無いことなどから使い方が限定されるのは辛いところ。またどこかでプレーの機会を見つけてほしい、とは思うのですが。

<99.12.1> 自分が出張中の中国新聞を昨日チェックしていたところ、11/22付けの夕刊に面白い記事を見つけました。先日東福岡の山形選手の入団内定が決まりましたが、その裏には高橋選手の大活躍があった、と言う話。まずは3月の高校選抜の欧州遠征で友達になったことから始まり、サンフレッチェに山形が練習参加した3日間は付きっ切りで世話をし、練習後の昼食ではチームカラーの売り込み。そしてその後は電話でしっかりとフォローしていたそうで、まさにスカウト顔負けの奮闘ぶり。チームのスカウトは「ユタカのアシストですよ」と絶賛で、「高橋株は天井知らずで上昇中」なのだそうです。私は山形の獲得に動いている、と言う話を聞いたとき「知り合いのはずの高橋あたりが誘ってくれれば心も動くのでは?」なんて思っていたのですが、そんなことは私ごときが心配することも無かったようで。逆に言えば、山形は高橋がそれほどまでに期待する人材、と言う事でしょう。来年以降、そのプレーを見ることができるのが本当に楽しみです。

<99.12.1> 昨日は年に一度の「お祭り」(日本人にとって、ですが)のトヨタカップ。今年は「世界一の人気チーム」マンチェスター・ユナイテッドとジーニョ、セザール・サンパイオなど元Jリーガーがたくさん在籍するパルメイラスとの対戦とあってチケット争奪戦もヒートアップし、金券ショップでは2万円の席に18万円の値段が付いていた、と言う話を目にする程でした。そしてゲーム内容は、と言うと全体としてはパルメイラスのゲーム。キープ力、パスの精度など一枚上手で、ちょっとの運があれば大勝していても不思議ではなかった、と思います。マンチェスター・ユナイテッドは今季の過密日程の影響かプレミアリーグ、チャンピオンズリーグで苦戦している流れのままで、全体的に身体が重いんじゃないか、と言うように見えました。(もちろん、二日前に来日したことによる時差の影響もあるでしょう。)しかし、それでもここぞ、と言うところでの集中力は凄い。決定的チャンスはユナイテッドには数えるほどしか無かったように思いますが、その数少ないチャンス、ギッグスが左サイドを「高速ドリブル」で突破したときにゴール前に詰めていたのは中盤の守りの要のキーン。ギッグスのクロスがスピードと言い高さと言いコースと言い完璧だったのと同様に、キーンの読みとゴール前に入り込むタイミングは完璧でした。そして守りに入ったときの粘り強さ。パルメイラスのドリブルや速いパス回しに一見翻弄されているように見えても、最後まで集中を切らさず守ったからこそ、運も味方した、と言う事なのでしょう。ユナイテッドが不調だったのは確かだと思うのですが、そういう時こそ、そのベースにある「イングランドスタイル」で対抗し、そして勝ってしまうところに底力を感じます。このユナイテッドのサッカーは、もしかするとサンフレッチェにとっても良い「お手本」になったかも?

<99.11.30> 昨日の日刊スポーツに、前川選手が大分に移籍する、と言う話が大分サイドから出たとの記事が載っていました。かつては日本代表GKとして、また「生きている壁」(バクスター元監督)としてゴール前に立ちはだかった前川も、手術をきっかけに下田にポジションを奪われ今やすっかりサブの人。今季もナビスコ杯などでは出場がありましたが、久々の出場にゲーム勘が戻らなかったり、でトムソン監督の信頼を取り戻すには至っていませんでした。今回の大分への移籍の話も前川自身が出場機会を求めてのことで、J1昇格のために力を貸したい、と言う思いもあるようです。ただ、広島フットボールによるとチーム同士の話し合いはまだこれから。サンフレッチェとしてはチームリーダーの一人として今後も期待していたでしょうし、また正GKの後にほとんど力の変わらないサブが控えているということは重要ですから、そう簡単に放出、と言う訳には行かないのでしょう。こう言う話は明らかになったことでつぶれてしまう、と言う事もありますし、今後の展開に注目したいと思います。

<99.11.29> プレスリリースによると、今日から来季のシーズンシートが発売されます。対象となるのはリーグ戦のホームゲーム15試合とカップ戦の全ホームゲーム。会場は今季同様にビッグアーチとスタジアムの併用となります。販売するタイプは一口20万円で年間席と共通自由席などのセットで販売する「シーズンパッケージ」と、席種ごとに2席ずつ販売する「シーズンシート」の2種類。「パッケージ」の方は団体向けという感じなので「シート」の方だけご紹介しますと、
ロイヤルシート  :ビッグアーチSS席、スタジアムSS席×2 160,000円(販売数200口)
ドリームシート  :ビッグアーチSS席、スタジアムSA席×2 150,000円(販売数600口)
ダイナミックシート:ビッグアーチSC席、スタジアムSB席×2  80,000円(販売数600口)
いずれのシートにもサンフレッチェ情報誌(たぶん「紫熊倶楽部」の増刊3冊でしょう)、選手名鑑、カレンダーが進呈されます。お問い合わせは「(株)サンフレッチェ広島 事業部 広島市西区観音新町4丁目10−2 広島西飛行場ターミナルビル1F tel.082-233-3233, fax.082-233-3251」までどうぞ。
この他、自由席に年間を通して入ることができる「年間パス」も販売されています。料金は大人13,000円、小中学生2,000円で、ファンクラブの会員は2000年に限って10,000円で購入できます。「5万人の会」が5,000円で4回入場できたはずですから、年間12試合以上(ファンクラブ会員は11試合以上)観戦する人ならこちらの方がお得、と言うことになります。年間パスの販売に関してはいつから、かは分からないのですが、席数に限りがあるわけではないので(もちろん、数万席も売れれば別ですが^_^;)既に販売されているのではないでしょうか?

<99.11.28> 「サポーター」がここまでたくさん集まるスタジアムは日本では駒場だけではないでしょうか。ゴール裏からバックスタンド全体に広がったレッズの応援団、メインスタンドのファン、そしてアウェイゴール裏のサンフレッチェファンが見つめる中で浦和、広島両チームの選手は死力を尽くしてぶつかり合い、3チームが凌ぎを削った残留争いにピリオドが打たれました。
サンフレッチェは再びフォックスをリベロに起用し、また古賀を先発に使って次のような布陣。
        下田

    伊藤 フォックス 上村

沢田    森保  桑原    古賀

        山口(→大久保93分)

      高橋  森山(→森崎和95分)

 SUB:植田、川島、服部
序盤はどうしても勝ち点3がほしいレッズの攻勢に、サンフは受け身の立ち上がり。11分にはロングパスを小野がヘッドで落としたところにベギリスタインが走り込んでフリーでシュート。これは危うく左サイドネット外側に当たる肝を冷やすものでしたが、この後徐々にイーブンペースになっていきます。フォックスは相変わらず最終ラインでボールをキープし、またフィードが相手選手に直接渡ってピンチを招いたりしましたが、しかしラインコントロールは安定。上村、伊藤も落ち着いて相手の攻撃を抑えます。攻撃面は、久々に先発の山口が最初はゲーム勘が戻っていなかったのかややミスが多かった感じでしたが、こちらも徐々に馴染むと中盤の潰し、繋ぎに奮闘してリズムを作ります。広島のフォックスの鋭いFKが、伊藤のヘッドが浦和ゴールを襲うと田北がこれをいずれも片手で弾き、逆に小野のヘッドは下田がセーブ。しかし全体としては両チームともボールが落ち着かず、どちらにも得点の予感が漂わないまま前半を終了します。
ハーフタイムには、「横浜1-0福岡」「G大阪0-0市原」と表示され、スタジアムを埋めた2万人から何とも複雑なため息が漏れます。この様子が選手にも伝わったのか。どうしても勝ち点3がほしい、と言う気持ちにはやる浦和は、後半はゴール前へと急ぐプレーが目立つようになります。後半9分にベギリスタインを大柴に代えてDFラインの裏を突く狙いで攻撃を組み立てる浦和。更にその後中村を盛田に代えてスリートップとして、ロングボールのターゲットとします。しかしこれで薄くなった浦和の守りを、広島が突きます。カウンターで抜け出した山口が右サイドに振ると、そこに走り込んだ沢田がフリーで抜け出してシュート!更にDFラインの裏側のスペースに出たロビングのボールに、森山が思い切って足を伸ばして当てるとボールはそのままGKの頭を越えてゴールへ!しかしこれはポストに当たってなかなかゴールが割れません。その後もカウンターから何度かゴール前に迫りますが、しかしシュートのタイミングが遅かったりトラップが流れてDFに詰められたり、となかなかシュートにも至りません。とりわけ浦和はセンターバックに入った路木が、ディフェンスリーダーとして立ちはだかります。逆に浦和も、大柴のクロスに合わせた盛田のヘッドは枠を捉えず、また盛田が落としたボールを大柴が狙いますがこれを下田が好セーブ。緊張感あふれるゲームに両チームともフェアな戦い、そして集中を切らさない戦いを展開し、この大一番にふさわしい素晴らしいゲームとなりました。どうしてもゴールのほしい浦和は後半36分、「ゲットゴール」福田を投入して「4トップ」として最後の攻撃に賭けます。しかしさすがに前線に4人もFWがいると言わば「ラッシュアワー」状態。広島が中盤でボールキープする時間が長くなり、浦和は焦るばかりの時間帯となります。ほとんど選手が倒れることのなかったフェアな45分間を象徴するように、後半のロスタイムはわずかに1分。市原がリードしていることがどこからともなく伝わって、スタンドが、そしてピッチ上が焦燥に包まれます。しかし両チームが死力を尽くした90分間についにボールがゴールネットを揺らすことはなく、無情なタイムアップの笛が響きました。
これですっかり意気消沈の浦和の選手は、延長に入ってがっくりと運動量が落ちます。これに対して広島は山口、森山に代えて大久保、森崎和の二人を投入。この二人はトップ下で類まれなキープ力、突破力を発揮して、まるで棒立ちになってしまったレッズの選手達をかわしてゴールに迫ります。しかし、惜しかったのはまだコンビネーションが確立していなかったのか、何度もオフサイドに引っかかってチャンスを潰したこと。高橋、沢田がフリーで放ったシュートもゴールまで至らず、なかなか浦和に止めを刺せません。逆に延長後半1分、CKからペトロビッチが入れたクロスに福田が反応してVゴール。しかし、これで涙に暮れる福田、これに抱きつくものの歓びが爆発しない浦和の選手達に、スタンドもゴールが決まったのかどうかも分からない状態。福田がゴールを決めました、とのスタンドのアナウンスでようやく歓声が沸きますが、しかしそれはとても「歓喜」からは程遠いものでした。力尽きて倒れ込み、涙を流す浦和の選手達。森保は慰めるように福田の肩を抱きます。そして素晴らしかったのは、何と言っても浦和のサポーターでした。これで降格が決まったのに選手を責めるような声は一切なく、ずーっと「We are REDS!」のコールを繰り返します。レッズの選手達がここまでぎりぎりの緊張感の中で何試合かのゲームを続けてきたこと、このゲームに全力を挙げたこと、そして対するサンフレッチェの選手も全力を挙げて戦ったことを皆が知っていて、そしてそれを賛える声だったのだろうと思います。それに対して残念だったのはむしろサンフレッチェファンの方。ほんの一部ではありますが、浦和を貶めるような声やサンフの選手へのブーイングがあったのにはちょっとがっかりさせられました。
ともあれ、これで浦和は来季J2で戦うことになり、広島は2nd stageも通年でも8位に沈みました。1st stageが6位、そして2nd stageも一時は優勝を狙えるポジションにいただけに、最後に連敗街道に陥ってしまったのは全く残念なことでした。しかしその一方でこの数試合は、天皇杯に向けて、そして来季に向けての収穫の多いゲームだったと言えるのではないでしょうか。その一つはもちろん大久保、森崎和と言う二人のテクニシャンが戦力として計算できるようになった、と言う事ですが、もう一つはポポヴィッチ、久保を欠いてもなんとかチームとしての形になってきた、と言う事です。この日はリベロにフォックス、左サイドに古賀を入れ、最初は観客の間からもトムソン監督の采配に疑問の声が上がりました。しかし二人ともこの大一番に落ち着いてプレーし、古賀は何度も対面の山田の裏を突き、フォックスは最後の砦としてレッズ攻撃陣の前に立ちはだかりました。攻撃面では山口、森山、高橋という今季初の組み合わせが(とりわけ後半)機能し、沢田のサイド攻撃と合わせてレッズの心胆を寒からしめました。結局1点も取れなかったこと、そしてVゴール負けをしたことは残念ではありましたし、そのへんにまたもや久保の不在を感じることもありましたが、しかしサンフのサッカーは攻めも組織、守りも組織。レギュラーが欠けても代わった選手が完全に穴を埋めると言う「基本事項」をもう一度確認できた、大事な4試合だったと言えるのではないでしょうか。幸い天皇杯は比較的組み合わせに恵まれ、順当に行けば初戦の3回戦はJFLの本田技研、4回戦は福岡か札幌との対戦となります。この2試合で更に今のチームを熟成させれば、準々決勝で当たるであろう清水にも勝つことができるでしょう。そしてその勢いで、上村が夢、と語る「2000年元旦のピッチ」に立つことは可能でしょう。来週は水曜日まで身体を休ませ木曜日からの練習となりますが、そこでこれまでの緊張を切らさず、今年残された最後のタイトルに向けて再出発してほしいと思います。

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