12/12〜12/18のサンフレッチェ日記



<99.12.18> 明日の天皇杯4回戦は岐阜県の長良川でのアビスパ福岡との対戦。リーグ戦では終盤7連敗で終了し、得失点差でようやく残留となった流れは3回戦の勝利で一応断ち切ったとは言えますが、しかし「因縁の相手」札幌とのゲーム内容は今一つ。攻めてもなかなかシュートまで行けない、とか、守りでもふっと集中が切れる瞬間があるなど、とても「調子が良い」とは言えない状態のようです。対するサンフですが、本田技研戦でのポポヴィッチの怪我は単なる打撲だったらしく、回復次第では今度こそ先発からの復帰もあるかも。ただ、無理はさせたくないと言う気持ちであれば、もう一度フォックスのリベロに賭けるかも知れません。
       下田
       
   伊藤 フォックス 上村

沢田   森保  桑原   服部

    山口    藤本
     
       森山

SUB:植田、ポポヴィッチ、森崎和、大久保、高橋
森保が復帰できるかどうかも分かりませんが、先週のゲームでも出る気満々だったそうなので今度は大丈夫では無いでしょうか。また森山のワントップ、と言うのは単に私の趣味。長良川はグランパスの準ホームと言うことで森山への応援が多いでしょうし、また本人も相当燃えているはず。広島の選手としてゲームに出るのは天皇杯が最後になるわけですし、もう一度合流した当初のような輝きを見せてほしい、と思います。

<99.12.18> 中国新聞と広島フットボールの報道によると、前橋育英の主将、松下裕樹選手の入団が内定しました。松下は先日のU-18代表の合宿でも主将を務めている選手で、ボランチの位置で読みの鋭さ、視野の広さ、そして展開力に優れているらしい。今季サンフレッチェが獲得する選手はすべてがU-18代表か代表候補で、中山(多々良)、八田(柳川)は自チームの主将も務めているのですが、松下はその中でも特に折り紙つきの好選手、と言えそうです。もともと彼は筑波大への進学を考えていたそうですが、Jリーグのクラブからの誘いに心が揺らぎ一時は名古屋入りに傾いていた、とのこと。しかし広島での練習参加でチームの雰囲気や二葉寮、吉田サッカー公園等の環境に触れ、更に織田強化部次長の熱意に押されて広島入りを決めることになったようです。その技術や能力については首脳陣は既に高く評価しており、意外に早くレギュラー争いに割って入ることになるかも知れません。これで今年の新人補強は終了。ユースの3人を除く4人はいずれも他クラブとの競合に勝っての獲得で、こう言うことはかつて無いことでした。「広島フットボール」の織田強化部次長のインタビュー記事によると、今年からスカウト専任者を置かなくなった関係で全国から広く候補者をリストアップして吟味する、と言うことができなくなり、早い段階で数名に絞り込んで重点的にアタックする、と言う作戦にしたそうです。そして彼ら候補者の出場する試合や練習に足繁く通ってチェックとともに熱意を見せ、そして決め手はやはりチームの雰囲気と施設。最近の高校生がクラブを選ぶ理由は「自分を上手くしてくれるチーム」になっているとの事で、久保や高橋など若手選手を育て上げた指導力、吉田サッカー公園の設備、そして独身寮などの環境の良さが、他チームとの競合に勝つカギとなったようです。昨年までは有望な高校生を獲得に行って練習に参加させてもグラウンドや寮を見せると反応が悪くなり、内定まで行った選手を他のクラブにさらわれたことまであったそうです。それがハード面の充実でもともとしっかりしていたソフト面(今西総監督のチーム作りのポリシーなど)の優位性が際だったのが、今回の「大豊作」のスカウト活動に結実した、と言えるのではないでしょうか。
そして今年は、新卒者の獲得だけではなく契約更改の選手もほとんど「無風」状態。退団を希望した選手は吉田康、森山ぐらいのもので、彼らも形は円満な退団。優勝したエスパルスですら給料が上がらないなど「激震」状態となっている他チームを横目で見ながら、サンフレッチェの主力クラスは続々と納得の契約を完了しています。2年前、「チームのビジョンが見えない」とフロントに迫った森保は、「選手は、クラブが厳しい状況にあることはわかっているんです。でも、チームがしっかりとしたビジョンを示しているかどうか、は疑問。それを示してやれば、選手は納得するんです。ウチのチームは、チームとして何をやっているかがしっかりと見えるし、チーム経営の中でできる限りの評価をしてくれていることが、わかる。だから、納得できるんです。よく「バブルの遺産」だとかいうけど、別に選手が無理矢理、年俸を高くしたわけではない。その時代のツケを選手にばかり押しつけるのは、どうかと思いますよ」と語っているそうです。(広島フットボールによる。)2年前のへこんだ状態から着実に進化し続けるサンフレッチェは、もしかするとこれまでの「ちょっといいチーム」から「ビッグクラブ」への階段を昇りつつあるのかも知れません。

<99.12.17> 今朝の中国新聞によると、2002年W杯のキャンプ地に立候補している広島市は、ブラジル代表を誘致する方向で動きつつあるとのことです。「注目度の高いブラジル代表のキャンプを通して、世界に平和都市ヒロシマをアピールできる」と言う理由だそうですが、ともかくなんとか2002年のW杯に乗り遅れたくない、と言う色々な方面の思惑が見え隠れするばかりで、どう言う理念、どう言う目的で招致活動をするのか明確でないような気がして、私としてはいささか不満です。もともと広島市は2002年の会場候補地の一つで選定前には有力視されていましたが、行政側が「ビッグアーチに屋根を付けなくても大丈夫だろう」と勝手に解釈して落選したのがケチの付きはじめ。その後何かにつけて「平和都市」を持ち出して「抽選会誘致」等の案(何かフェスティバルをする、と言うのもあったっけ?)が出るものの今のところすべて立ち消えになっています。とすれば、キャンプ地誘致は言わば最後のチャンス。少しでも有名な国に来てもらうことで「経済波及効果」に期待したいという事なのでしょう。しかし、このブラジル誘致に走ることが本当に広島の、そして広島でサッカーに関わる人のためになるのか、そしてそういう事を考えての提案なのかと言う点についてはいささか疑問を感じざるを得ないのです。
私の愛読する「SOCCER CLICK」の大住良之さんの最近のコラムに「2002年は参加する大会にしよう」と言う提案が書かれていますが、これには「なるほど」と思いました。2002年のW杯はめったにない地元開催という事で是非見に行きたい大会ですが、しかしそれ以上に重要なのは「参加する大会」としては非常に限られた機会であり、もしかすると一生に一度の事になるかも知れないと言うことです。「踊らにゃソンソン」の阿波踊りではありませんが、どんなイベントでもお客として参加するよりも作る側で参加する方が楽しいし、また心にも残るもの。イベントとしては世界最大規模のW杯に「サッカー」をキーワードとして世界中から選手、サポーター、報道関係など色々な人達が日本を訪れるわけで、ここに主人公の一人として参加することができれば、それはサッカーファンとしては至上の歓びではないか、と思います。試合会場の無い広島のサッカーファンがどのように参加できるのか。(「広島フットボール」の河野高峰さんのコラムのタイトルのように)「サッカーで幸せに」なるためには、どうすれば良いのか。そのへんを良く考えた上で、最後のチャンスである「キャンプ地の誘致」を考えるべきなのではないか、と思います。有名選手が綺羅星のごとく並ぶブラジル代表が来れば、確かに世間の注目は集めるでしょう。そしてお客も増えるでしょう。しかしそれが広島とどんな関係があるんだ?と問われたときに、「アベランジェ氏が広島に好意的だから」ではいかにも弱い。それよりも、もっと広島と、サンフレッチェと関係付けたW杯とのつきあい方を考えるべきなのではないか、と思うのです。例えば、それがオーストラリア代表だったらどうでしょう。当然メンバーにはポポヴィッチもいるしフォックスもいる。アーノルドやヴィドマーがスタッフとして入っているかもしれない。このチームが広島でキャンプをすれば、当然トムソン率いるサンフレッチェとトレーニングマッチを行うでしょう。代表のスタッフやサポーターのお世話をするのは、もちろんサンフレッチェのファン・サポーターのボランティア。そして試合当日には彼らと一緒に会場まで移動し、一緒になって応援する。そうすることによって、広島のサッカーファンは何倍もW杯を楽しむことができるし、またその後のサンフレッチェの楽しみ方にも繋がるのではないか、と思うのです。繰り返しになりますが、せっかくのW杯のチャンスを、ただのお金儲けや知名度アップなどの目先の理由で考えてほしくない。広島に住む人が幸せになるような、文化的に豊かになれるような機会として考えてほしいと思います。

<99.12.16> 今年のチャンピオンシップは2戦とも延長Vゴールでホームチームが勝ち、PK戦の末に優勝が決まるというある意味もっともJリーグらしい決着の仕方となりました。私は都合で2試合目は見れなかったのですが、いずれのゲームも両チームが全力を出し切った好ゲームだったようで、年間チャンピオンを決めるにふさわしいものだったと言えそうです。ただその一方で、年間通算勝ち点が6番目の磐田がチャンピオン、と言う結果に釈然としないものが残ったことも事実。優勝が年間を通しての勝ち点で争うものではない、と言うルールは既に決まっていたことで、磐田はそのルールを最大限に生かした訳ですから彼らの優勝にケチを付けるわけではありませんが、しかし今回たまたまこう言う結果になった(むしろこれまでのチャンピオンシップは「たまたま年間1位と2位の対戦になっていた」と言うべきかも知れませんが)事で、現在のJリーグの優勝を争うシステムの不合理さ、分かりにくさがより鮮明になったように思います。現行の制度はスポンサーの関係で2001年までは続けないといけないらしく、我々は後2年はこのやり方につき合わないといけないようですが、その後どうするかについてはJリーグも良く議論して、みんなが納得できる方法にしてほしいと思います。
ところで、そもそも「リーグ戦」「カップ戦」とはどういうものなのか。サッカーの大会は大きくこの2種類に分類されますが、もともとこの2つの概念が対立するものではないことにまず注意する必要があると思います。「リーグ」は「トーナメント」の対義語で、原則として全チームが総当たりで対戦するもの。通常全戦を通しての勝利数や勝ち点、勝率などで順位を決めることになります。サッカーの場合、最も一般的なリーグ戦の方法はホーム&アウェイの2回戦総当たりで、ここで最も多くの勝ち点をあげたチームが優勝の印として「スクデット」(イタリアの場合。ユニフォームに付けるエンブレムの意味)や「マイスターシャーレ」(これはドイツ。銀色の大きなお皿のこと)を受け取ることになります。しかし実際にはやり方は国ごとにバリエーションがあって、例えばスイスやクロアチアのリーグでは「予選リーグ+決勝リーグ」の形式を用いていますし、韓国のKリーグはリーグ戦1位〜4位のチームがトーナメントを行う方式です。一方「カップ戦」とは、優勝の印となる「杯」の争奪戦。やり方はこちらも千差万別ではありますが、最も多いのは1戦限り、あるいはホーム&アウェイのトーナメントで、決勝戦で勝ったチームに優勝杯が与えられるという方式です。例えばサッカー界最大のカップ戦であるワールドカップは、歴史的に完全なトーナメントだったり、あるいは1次リーグ、2次リーグの組み合わせで優勝を争ったりと変遷した結果、現在はリーグ戦+決勝トーナメントで優勝が決まるようになっています。現在ヨーロッパのチャンピオンズ「リーグ」がこれとほとんど同じ方式なので、「リーグ」と「カップ」を分けることはそもそも不可能なのですが、私の感覚的には「決勝戦があるのがカップ戦」「決勝戦が無いのがリーグ戦」と言う分類がしっくり来ます。
そう考えると、現在のJリーグの方式はむしろカップ戦に近いと言えるのではないでしょうか。(Kリーグも同様。)「チャンピオンシップ」と言う名称の決勝戦に勝ったチームが「Jリーグ杯」(因みにナビスコ杯の正式名称が「Jリーグ杯」なのでややこしいことですが)と「サントリー杯」を受け取る事になっていて、1st stage、2nd stageと言う名前のリーグ戦はこの決勝戦のための予選リーグ、と言う位置づけになってしまいます。(因みに先日清水がステージ1位になったときに掲げたプレートには、「優勝」ではなく「チャンピオンシップ出場権」と書いてあります。)それゆえ「2nd stage優勝」で「年間勝ち点1位」の清水エスパルスは単に予選リーグで一番の成績をあげたと言うだけ。肝心の決勝戦に負けたのだから、チャンピオンではないわけです。これが、そもそもの「リーグ戦」の定義、あるべき姿と矛盾しているように思えるからこそ、多くの人が疑問の言葉を口にするのだろうと思います。
以上を考えると、私としてはあくまで「Jリーグ」と言う名前のリーグ戦のチャンピオンはそれぞれ磐田と清水である、と考えるべきだと思います。良くプロ野球で「日本シリーズで負けたからと言って、年間を通したリーグ優勝の価値が減じるわけではない」と言いますが、それと同じように、磐田も清水も同等にチャンピオンとして賞賛されるべきでしょう。その上で、チャンピオン同士で争うカップ戦(スポンサーの名前を取って「サントリーカップ」とでも呼べばいい)の勝者がジュビロ磐田である、と言えばいいのではないでしょうか。それならば今年の磐田のように、通算成績が悪くても「チャンピオン」と呼ぶことに抵抗はありません。そしてついでですから、J2落ちも年間通算成績で決めるのではなく両ステージごとの下位2チームずつで決定戦を行う方が、論理的に一貫しているのではないでしょうか?

<99.12.15> 森山の退団、大木のレンタル移籍でFW登録の選手が久保、吉田幸、高橋の3人(+中山)しか居なくなるサンフレッチェ。少ないだけでなく一番年上が24歳の久保で、年齢的にも非常にバランスの悪い構成となって、一体どうするんだろうと心配になりますが、昨日の広島フットボールによると先日福岡からの退団が決まった上野優作選手がテストを兼ねて練習参加しているとのことです。上野は1973年生まれの26歳。筑波大在学中にはユニバーシアード代表のエースストライカーとして優勝に貢献し、96年に福岡入りしてすぐにレギュラーを獲得、長身を生かしたポストプレー等に持ち味を発揮してきました。しかし昨年あたりから出場機会が減少し、今年はほとんどがサブとしての出場。福岡には同タイプの松永の入団が内定したこともあって、戦力外となっていた模様です。今年のサンフは久保以外のFWに高さが無く「パワープレー」のオプションが無かったので、そのへんを補う意図もあっての今回のテストであろうと思われます。この他、まだ噂の段階ですがヴェルディの栗原の獲得に動いているとの情報もあり、新外国人の補強と合わせて今後の動きが注目されます。更に前川の移籍で手薄になるGKについても、練習参加している加藤竜二選手の獲得が濃厚になってきた、とのことです。

<99.12.14> 今朝の中国新聞に、前川選手の大分へのレンタル移籍が決まった、との記事が掲載されました。前川は昨日の練習後「(12日に)大分側と交渉し、1年間のレンタルで金銭面などの詳細も話し合って合意した」と語り、またレンタルになることについては「14年間も広島に在籍して、自分がここまで伸びたのもサポーターや球団のおかげ。将来的には広島に戻ってきたいから」なのだそうです。これは逆に言うと別に1年で戻る、と言うつもりではなくて「大分で選手生活を終える」と言う決意の表現なのかも知れません。前川はサンフレッチェの前身のマツダの時代からずっと在籍する唯一の選手(森保は一年京都にいましたから)で、日本代表も経験した広島の顔の一人。今西総監督によると「主力が抜けた昨年のシーズンは、前川が本当にチームをまとめてくれた」のだそうで、ゲームに出ても出なくても、その存在感で若手ばかりになったチームを支えてきました。クラブとしてはどんな形ででも広島に残ってほしい、と言う所だったのではないかと思いますが、しかし別にまだ衰えたわけでもない前川本人にとって、今年のようなサブとしての選手生活は耐え難いところも合ったものと思われます。大分は「プロ」とは言え練習場が芝でなかったりGKコーチもいないなど、広島に比べれば恵まれない環境。その上来季は2001年の大分スタジアム開場に向けて是非ともJ1昇格を勝ち取りたい厳しい戦いとなります。そういう中に敢えて身を投じる、と言う事は、大分から望まれての事とは言え前川本人にとっては重大な決断だったに違いありません。ファンとしては非常に残念なことで、寂しさ、哀しさがつのってしまいますが、しかし前川の将来の為に、敢えて笑って送り出してあげたい、と思います。
ところで、レンタル期間の終了に伴い残留か移籍かが注目されていた森山選手は、昨日退団を表明したそうです。中国新聞によると「広島はコンセプトもあっていいチームだけど、自分はもっと厳しい環境でやった方がいいと思う」と語り、川崎フロンターレへの完全移籍が有望視されています。森山は今夏、手続上のトラブルでブラジルでの契約がならずに帰国し、ストライカーを求めていた広島に移籍。初めて出場した平塚戦ではVゴールを決めるなどその本領を発揮し、常に全力でボールを追うアグレッシブな姿勢、そしてプロとして自分を追い求める姿勢など強いインパクトを与える選手でした。しかし怪我などもあって出場した11試合の通算の出場時間は695分(1試合平均63分)。ゴールも3ゴールにとどまり、特に久保の怪我の後はこれと言って目立った活躍ができなかったのが残念でした。クラブとしても森山自身が望めば契約するつもりだったようですが、しかし怪我が多くシーズンを通して、また90分を通してのプレーができないことには首脳陣の側にも不満があった、と漏れ聞きます。実際、中国新聞などでも報道されるように外国人ストライカーの獲得の目途は既に立っているようですし、来季は久保、高橋を含めたポジション争いが更に厳しくなるだろう事を考えると、森山選手自身が残るよりは移籍することがベターである、と考えても当然だろうと思います。

<99.12.13> 昨日の天皇杯3回戦、本田技研との対戦は苦しみながらも3-2で逆転勝ち。フォックスはハットトリックを決める一方で2失点にも絡み、良いにしろ悪いにしろ「フォックスの独り舞台」と言ったゲームでした。
サンフのメンバーは次のような感じ。
       下田
       
   伊藤 フォックス 上村

沢田     桑原     服部

         大久保
     藤本
     
    高橋     森山

SUB:植田、川島、ポポヴィッチ、山口、大木、森崎和
サブのメンバーが一人多いのですが、メンバー発表のアナウンスが無かったので誰が本当にサブとして入っていたのか良く分かりません。少なくともこの6人が「控え」としての練習をしていたのは間違いないのですが...
序盤は割合ゆったりとした立ち上がりながらボールの支配率はサンフが上。先制点も割合あっさりしたもので、前半13分、右サイドからのFKのボールを上村がヘッドで繋ぎ、フォックスが頭で合わせて決めました。これでペースをつかむサンフレッチェ、と行きたいところでしたが、しかし早々の得点で安心したのかなかなか攻撃の形が作れません。本田のチェックが速いこともあってシュートまでも行けず、リードしているとは言え膠着した展開となります。これが破られたのは前半29分、フォックスのミスからでした。アウェイの悪夢の横浜戦と同様に、右サイドのゴールラインに流れようとするボールをフォックスと本田の選手が追います。フォックスの緩慢なプレーであわや、と言うところでボールを蹴り出しますが、これが短く相手選手に渡ってしまいます。このボールを本田のエースマルクスに繋がれ、ペナルティエリアで決定的な場面に。これと絡んだ下田がマルクスを倒してしまい、PKを与えるとともにイエローカードまでもらってしまいました。このPKは井幡が決めて同点に追いつかれると、今シーズン何度も見られたようなあたふたした展開となってしまいます。最後方から前方に蹴り出すようなロングボールが多くなり、またDFラインもばらばら。これはいつ逆転されても不思議ではない、と思っていたら案の定。わずか3分後にロングスローのボールがラインの裏に出ていた選手に渡り、パスを受けたマルクスが個人技でDFをかわしてあっさりゴールを決められてしまいました。
ハーフタイム、選手達は相当トムソン監督に叱られたのではないでしょうか?伊藤を下げて予定よりかなり早めにポポヴィッチを入れ、気合いを入れ直したサンフは後半は怒涛の攻めを展開します。森山に代えて森崎和を投入し、更に山口を入れての総攻撃を準備していたその時、この日最大の誤算が起きます。左サイドのカバーリングに走ったポポヴィッチがいったんクリアしますが、その後、足を引きずるようにしてかなり痛そうな雰囲気。足がつったのか、とも思いましたけど、しかし結局はそのまま退場。急遽川島が入って再びフォックスがリベロに入りました。前半の内容を見た限りではポポヴィッチを入れるならフォックスを下げるのだろうと思っていたのですが、残しておいて良かった、と胸をなで下ろす展開。そして更にフォックスは攻撃でも見せてくれます。ようやく同点にしたのは後半23分。右サイドからの服部のCKのボールが上村へ、そして混戦になります。これを最後に蹴り込んだのがフォックス。そして更にフォックスの独り舞台は続きます。後半ロスタイム、ペナルティエリアのすぐ外で高橋が倒されて直接FKを得ます。ボールのところにはフォックスと藤本が立ってしばらくにらみ合い(^_^;) どちらも蹴りたい気持ち満々で、ついにベンチの指示を仰ぐことになります。結局フォックスが蹴ったボールは、鋭い軌跡を描いてファーサイドのネットへ。1点目がフォックスならば、ではありますが、サンフとしては96年9月21日の市原戦の高木以来のハットトリック達成でした。
と言うことで、サンフは危ういゲームをようやくものにして天皇杯の第一関門を突破することができました。相手の本田技研が素晴らしいスピリットで素晴らしいプレーを展開した、と言うは当然賛えられるべきですが、しかしそれにしても普通に戦えばこんなに苦労しなくても良かったのに、と思います。フォックスがハットトリックしたのも素直に喜べない感じ。なぜなら守備の要のリベロとしては良い出来だったとはとても言えませんし、そのせいでポポヴィッチに無理をさせ、また痛めてしまうことになったわけですから。

<99.12.13> 今朝の日刊スポーツ、及び昨日配信の広島フットボールによると、池端選手のヴェルディへの、大木選手のトリニータへのレンタル移籍が決まりました。池端は昨年ユース代表候補の実績を引っ提げて清水商から入団し、その高い身体能力で一時はレギュラーを取る勢いでしたが、その後怪我もあって先輩の川島に置き去りにされ、伸び悩みが目だっていました。今回の移籍はその池端の能力を高く評価するヴェルディの意思と外で成長してほしいという広島の思いが一致してのものだそうです。また大木もかつてワールドユースでの活躍から何度もレギュラー取りが期待されていましたが、こちらも大事なところになると怪我をする不運が祟って伸び悩んでいました。大分とすれば来季は是非ともJ1に昇格してスタジアムの完成を祝いたい上に、今年エースとして活躍した神野の移籍が取りざたされる中でなんとか戦力になるFWが欲しい、と言う気持ちがあるためのオファーだったものと思われます。更に以前から噂される前川選手の大分移籍もかなり進行している模様です。

<99.12.12> 今朝の中国新聞によりますと、今日の天皇杯に臨むサンフレッチェは藤本とポポヴィッチが復帰するとのこと。ただし「広島フットボール」によるとポポヴィッチはまだ本調子ではないようで、トムソン監督は「使っても試合の途中から、短い時間」と語っていたそうです。また森保はリーグ戦終了後ほとんどボールを蹴っていない状態で、古賀、森山、吉田康も出場が難しいようです。更に沢田も足を痛めているとのことで、フルメンバーで行く、とは言っても若手も使わざるを得ない状況と言えそうです。今日は13時キックオフですが、10時半から山陽高校とユースとの練習試合が組まれています。高校生年代の「広島一」を決める戦いとして、こちらの方も注目です。

<99.12.12> 昨日行われた全日本ジュニアユース選手権の1回戦で、サンフレッチェのジュニアユースは北信越代表のFC松本ヴェガに0-1で敗れました。

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