6/20〜6/26のサンフレッチェ日記



<99.6.26> 以前書いたように、久保選手のコパ・アメリカに向けての代表辞退は非常に残念だったのですが、いろいろ考えるうちに「やっぱり行かなくていいや」と言う気になってきました。そもそも久保を代表へ、と強く思っていた根拠は、スポンジのように何でも吸収して成長していくこの選手を一段レベルの高いところに置きたい、そうすることによって彼の伸びようという気持ちが更に触発され、その類まれな能力にますます磨きがかかるだろう、と思っていたのです。実際彼は、2度の代表合宿を通して代表の目指しているサッカーに馴染みつつある様子を見せていましたし、緊張で動けなかったエジプト戦も良い経験となっていました。しかしだからと言ってコパ・アメリカで、厳しいアウェイゲームで日本代表自身が自分達のサッカーをさせてもらえない状況の中で久保が自分の持ち味を出すことができるか。とりわけ呂比須や城など経験豊富な選手が代表への生き残りを賭けて厳しい生き残り競争をする中で、久保が「経験を積んで成長する」などと悠長なことを言っていられるかどうか、と言うとなかなか難しいのではないかとも思わざるを得ません。むしろ要らないところでストレスをためたり、またパラグアイの悪いピッチ状態の中で怪我をしたり、と久保自身のためにならないことだって経験するかもしれない。それよりも、今十分に心と体を休めて1st stageでたまった垢を落とし、ハードな練習で更にサンフレッチェの中でやるべきことをやる、と言うことの方が大切かも知れません。昨年まではチームも調子が上がらず、戦術的なレベルもそれほど高いとは言えなかった。しかし今年は違います。時折精神的な面でのもろさは見せるものの、チームとしての完成度はJリーグでの屈指のものとなりました。久保もわざわざ代表までサッカーを教えてもらいに行かなくても、チームでどれだけのことができるのかを突き詰めることによって、今後いくらでも成長できるはずです。そして、サンフレッチェが常にリーグ優勝を争うようになり、久保がそのエースとして誰にも負けない程の活躍を見せれば、誰が代表監督になったって彼を呼ばないわけがありません。むしろ「久保を生かすのが代表が勝つ道」とまで言われるようになったって不思議ではない。そうなったときに初めて代表に行くのだって決して遅くは無いだろうと思います。
久保は内気でインタビューが苦手だということは有名ですが、そういう選手がヨーロッパにもいます。ジネディーヌ・ジダン。言うまでもなくユベントスの司令塔にしてW杯チャンピオンのフランス代表の中心選手。昨年はヨーロッパの最優秀選手賞バロン・ドールも受賞しています。しかしこのジダンも、最初からフランス代表のエースだったわけではないし、また代表の中でチームメイトと争ってポジションを得たわけでも有りません。エメ・ジャッケ元監督が、幾多の批判をはねのけて当時のスーパースターであるカントナ、ジノラらを外して、フランスが勝てるチームになるためにはジダン中心のチームにすべきである、と決断したからなのです。もちろんフランス代表はジダンだけのチームと言うわけではなく、ブラン、デサイー、デシャン、プティなど要所要所に優れた選手を配し、更にこれらの選手が常にコレクティブに動くことができた全体的にレベルの高いチームでしたが、しかしジダンという切り札があったからこそ優勝までたどり着くことができた。そしてこのジダンという「内気な天才」を生かすことができたことが、ジャッケの戦略の一つのカギだったことは間違いないでしょう。久保はジダンになり得る器を持つ選手です。そしてそこまで成長すれば、トルシエが久保を生かすようなチーム作りをしてくる事に躊躇はしないでしょう。次のW杯まであと3年。これまでの久保の成長の軌跡を考えれば、十分間に合うのでは無いでしょうか。

<99.6.25> 昨日の中国新聞夕刊によると、TSS(テレビ新広島)の27日(日)午前9時から9時半の番組「おもしろ学園 ハッピークイズ」にサンフレッチェから前川、森保、古賀、上村の4人が出演するそうです。同番組のメインは広島県山県郡大朝町の小学生14人のチームである大朝少年フットボールクラブ。最近試合に勝てないため、サンフレッチェの選手の指導を受けます。仕上げにはこの4人対大朝クラブ11人の練習試合。その他、地元の鳴滝温泉での裸の交流やイノシシ料理、はやし田植え踊りなど交流のシーンをクイズを交えて紹介するそうです。

<99.6.24> 昨日の中国新聞夕刊で、広島県サッカー協会主催の指導者講習会の事が記事になっていました。同講習会は「指導者が幅広い指導法を学び、サッカー界の裾野を拡げ、レベル向上を図ろう」と4年前から始められたらしい。サンフレッチェも全面的に協力しているそうで、(記事にはありませんでしたが)初めは代表スタッフの小野剛氏が関与していたはずです。今年は今月の15日から26日まで4回行われ、参加者は約150人。スタート時の4倍に増えたそうで、メモを取ったりビデオカメラを回したりと一生懸命だったとのこと。17日にはトムソン監督が実技指導。DFラインの位置取りやボールの回し方など、怒鳴ったり褒めたりしながらの熱血指導ぶりを披露したそうです。その他、U-15日本代表の田島幸三氏などを講師に迎えるなど一流の指導者の指導法を学ぶそうで、「今はサッカーを教える側が知識を必要としている。参加者が増えるのは、指導者たちの熱意とパワーの表れだと思う」と県協会の山中義照氏が語っています。広島が「サッカー御三家の一つ」と言われたのも今は昔。高校サッカー等でも全国大会では2回戦止まりが普通で、選手養成の点では静岡県はもちろん、九州や関東等に比べても遅れを取っているのが実情。いくらサンフレッチェがユース・ジュニアユースで強化しても、中国地域で切磋琢磨する相手にも恵まれず、また地元からの継続的な選手供給も無い状況です。この現状を打破するためには、小学校年代から高校までの幅の広い、層の厚い指導が必要だと言えるでしょう。かつてはサッカーの後進国でW杯出場など夢のまた夢だった日本がここまで強くなってきたのは、若年層からの継続的な指導が効果を及ぼしたからです。それと同じ事が、広島県と中国地域でできないはずは有りません。指導者の方々には、第二の木村和司や金田喜稔を育てるよう、頑張ってほしいものです。

<99.6.24> 20日に行われたクラブユース選手権(U-15)中国地域予選では、大河FCが1-0でサンフレッチェ広島に勝ち、優勝しました。この両チームは8月にJヴィレッジで開催される全国大会に出場します。

<99.6.23> 6/20に行われた中国リーグ第7節の結果です。三菱自動車水島が快調に5連勝で、首位のマツダSCを追っています。
広島フジタSC 4|0-0|1 広島教員
(4勝3敗)    |4-1|  (2勝4敗)

三菱自動車水島 2|1-0|0 NKK福山
(5勝  )    |1-0|  (1勝4敗)

ヤマコーFC  2|2-1|1 SC鳥取
(1勝4敗)    |0-0|  (1勝4敗)

【順位表】
順位 チーム      勝点 勝 PK勝 PK負 負 得点 失点 得失点差
-----+-----------------+----+--+----+----+--+----+----+--------
1→ マツダSC     17   5   1    0   0  18    6     +12
2→ 三菱自動車水島   15   5  0    0   0   14    4     +10
3→ 広島フジタSC   13   4  0    1   2  18    5   +12
4→ 広島教員       7   2   0    1   3   13   16      -3
5→ 日石三菱       6   2  0    0   3    8    7      +1
6→ SC鳥取       3   1   0    0   4    4   13      -9
8↑ ヤマコーFC     3   1   0    0   4    5   14     -11
7↓ NKK福山      2   0  1    0   4    2   11     -11
-----+-----------------+----+--+----+----+--+----+----+--------
なお、同じ日に行われたサンフレッチェユースとマツダSCとのトレーニングマッチは、ユースが3-0(前半2-0)で勝ちました。得点者は寺内2、川端でした。

<99.6.22> 日曜日に吉田町で行われたサテライトリーグのガンバ大阪とのゲームは、吉田幸の「プロ初ゴール」があったものの1-3で敗れました。サンフレッチェのメンバーは、GK:佐藤、DF:池端、行友、山下、MF:駒野、森崎和、宮崎、菊地(→森崎浩70分)、吉田幸、FW:秋元、松永(→池田70分)。得点経過はまず前半30分、ガンバのCKからドロブニャクがヘディングを合わせて先制され、更に後半14分、ガンバの大黒将に右足で蹴り込まれます。広島は後半、ガンバの3本に対して8本のシュートを放つなど優勢にゲームを進めたようですがなかなかゴールを割れません。ようやく1点返したのは終了間際の後半44分。中央を突破した吉田幸がシュート、これをGKがいったんは弾いたのですが、これに詰めて左足で押し込みました。しかしその後ロスタイムにセットプレーから3点目を失いました。
これで広島サテライトは1試合を残して7勝2敗。京都と同勝ち点でトップを争っています。

<99.6.22> 昨日は久保の代表辞退も「怪我が原因なら仕方がないか」と思っていたのですが、彼自身ひざの痛みをずっと抱えていた上に足首のねんざもあったこと、そして丸亀のピッチが硬くそれがひざに負担をかけたこと等を聞くと、これは避けることができた事態だったのではないかと思えて残念で仕方がありません。久保にとって、ナビスコ杯で勝つことと南米に遠征するのとどちらが大事だったか、今西総監督がきっちりと判断して敢えて休ませる、と言う判断が有って良かったのではないか、と思うのです。もちろんこれでチャンスが潰えたわけではなく、これから先Jリーグで活躍すれば、再び選ばれるチャンスは出てくるでしょう。呂比須なんて初めて代表でプレーしたのは28歳ですから、それに比べれば23歳の久保にはまだ先が有ります。でもトルシエ監督は、着実に下から積み上げる形でチームを作って来ています。ユースで活躍した選手はU-22代表に引き上げ、U-22で活躍すればまず間違いなくフル代表に入れてくる。初めは「Jでの実績の少ない若い選手が、いくら下のカテゴリーで活躍したって上で活躍できるとは限らない」と思っていても、もともと潜在能力が高いこと、そしてトルシエの戦術を良く知っていることは強みです。実際、小野や本山や中田や酒井はU-22でもそれなりに機能していますから、五輪が終われば、いや終わらなくても当然のようにU-22からフル代表に入れてくるでしょう。となると、現在のフル代表の選手ですら半分ぐらいは居なくなる、と言う可能性だって有ります。久保はチームに馴染むのに時間がかかるタイプです。吉原のように、抜擢されてすぐに活躍する、と言う望みは薄いと思います。となると、U-22代表抜きで南米で合宿と真剣勝負が体験できるこの遠征は、久保がチームに馴染んで力を発揮するには最後のチャンスだったのかも知れない、と思うのです。それを、たかがナビスコ杯(これは別に、世間並みにこのカップ戦の価値を低く見ている、と言う訳ではありません。念のため。)の為に失ったのだ、と思うと残念で仕方がありません。(まあ、負けただけに余計にそう思うのかも知れませんが。)1歳上の城はW杯予選も本戦も経験し、1歳下の柳沢はユースを経験し、そして五輪を目指しています。更に下の年齢からは、平瀬や吉原や山下や高原等が伸びて来ていて、更にこれから国際経験を積み、そして代表チームの中でトルシエの戦術に習熟していく。そういう中にこれから久保が入っていくチャンスがあるのかどうかと言うと、これは非常に難しいかもしれないなぁ、と悲観的になってしまいます。
まあしかし、こんな事を考えても死んだ子の歳を数えるようなもの。かくなる上は久保にはサンフレッチェでもっともっとレベルアップしてもらって、全国民から「代表の決定力不足を補うためには久保を選べ」と言う大合唱が起こり、監督は久保を呼んで彼中心のチーム作りをせざるを得ない、と言うほどの選手になってもらいましょう!

<99.6.21> 今朝の中国新聞によると、久保選手は一昨日のゲームで右ひざの痛みが悪化したため、コパ・アメリカへの代表を辞退したそうです。一昨日はいつも通りのプレーを見せていたので、南米は大丈夫だろうと思っていたのですが、もしかするとねんざした足首を庇ってひざに負担が掛かったのかも。彼自身のため貴重な国際経験が積めないのは残念ですが、しかしサッカー選手にとってひざ、と言うのは職業病みたいなもの。サンフでも、上村、大久保、宮澤と立て続けに手術をすることになってしまっています。それも直ればいいのですが、最悪の場合はサッカー選手としての選手生命にも関わるだけに、今回の「辞退」はそれを考慮してのものでしょう。練習を休むことが決してマイナスなだけでなく、やりようによっては怪我の前までよりもレベルアップできた上村選手のような例もあるわけですし、ここはじっくりと自分の身体と向き合って欲しい、と思います。

<99.6.21> 昨日も書いたように私は元々審判の判定を敗因にするのは好きではないし、誤審も含めたものがサッカーだ、と思っています。特に「4級審判員」になったばかりの私にとって、この日のレフリーの柿花氏ははっきり言って雲の上の存在。従って私ごときがとやかく言えるものではないのですが、しかしそれにしても一昨日はゲームをきちんとコントロールできていたとは言い難かったのでもう少し書きます。多かったのは、ファウルくさいプレーを流しておきながらその次のプレーで止めるというもの。それも、先にファウルされた方と逆のチームのボールになるのですから、選手がいらいらを増幅させるのもむべなるかな、と思います。点を失ったのもこのパターンで、左サイドで競り合っていた久保が後から引っ張られてボールを奪われたのを流され、ファウルをアピールして一瞬足が止まったところを、横浜の選手が右サイドを突破しようとしました。これに単独で猛然と斜め後からタックルした上村の足は確実にボールに行っていましたが、しかしファウルを取られ、更にイエローカードまでもらってしまいました。サンフの選手が動揺を隠せない状態から蹴られたFKのボールは小村、上野とつながって、ここしか無い、と言うコースをたどっての失点。あそこで審判の判定に泣かされたのも不運なら、あれしか無いコースにシュートが飛んだのも不運。逆に広島の前半の得点機、右からペナルティエリアに侵入した高橋に、やはり斜め後からタックルする井原、と言うシーンも疑惑の判定でした。足がボールに行ったのかどうかは知りませんが、しかし両足を払われた形の高橋はもんどりうって倒れます。ピーッとかん高い笛が鳴りましたが、しかし判定は高橋のファウルで横浜のFKでした。この場面、形的には上村がイエローをもらったものと良く似ていたのでそれで井原がファウルでないと言うのも納得できないのですが、逆に高橋のダイビングと取ったのなら高橋にイエローが出るはず。なのにそれも無かったのはどう考えても変だと思うのですが。逆に、サンフゴール前でのサンフの選手のハンドの見逃しもありましたので、別に横浜贔屓の笛だった、とは言いませんけど、しかしこれら数々の疑問の判定で選手達の精神状態も、サンフの攻撃のリズムも崩れてしまったのは確かだと思います。
このところ、サンフが良いゲームをして勝った時の審判は京都戦がモットラム氏、柏戦がベルコーラ氏、清水戦がアンプラサート氏といずれも国際主審。逆に横浜戦は、横浜国際は国際副審の長田氏、ビッグアーチでは国際副審の原田氏、そして丸亀はJ1主審の柿花氏。(ついでに、ヴェルディ戦も長田氏が主審。)審判との「相性」なのかどうか知りませんが、若い選手達は不安定なジャッジに切れやすい、と言う傾向は有りそう。少なくとも一昨日は、上村選手は遠目にも苛ついていましたから。ジャッジの運・不運は必ず付いて回るわけですし、それに左右されないような精神力、もチームの力として必要だと思います。(もっとも、指導すべきトムソン監督が選手以上に切れやすい(^_^;)ので、どうしようも無いかも?)

<99.6.20> 昨日、香川県の丸亀競技場で行われたナビスコカップ2回戦の横浜Fマリノスとの第2戦は0-1で敗れました。サンフのメンバーは、前節欠場した下田が復帰し、また怪我が心配された久保も戻ってきて次のような布陣。
        下田

    川島  桑原  上村

沢田      森保      古賀

    吉田康    藤本(→菊地77分)

      久保  高橋(→大木73分)

 SUB:前川、伊藤、菊地、吉田幸、大木
前半は先週同様、サンフレッチェのペース。ダイレクトパスが面白いように通り、何度も横浜ゴールに迫ります。特に、「ご当地」の藤本が気合い十分で、山口のいない中盤を走り回って攻撃のリズムを作ります。足首やひざに不安のある久保も、横浜戦では2試合連続ゴール中の高橋も井原を中心とする横浜守備陣に果敢にチャレンジします。しかし巧妙に身体を入れ、審判に見えないところで身体をつかみ、自分がファールしながら先に倒れる老獪なディフェンスにやられて何度もあった決定的なチャンスを生かすことができません。一方守備陣も、中盤のゾーンに網を掛けてそこから先には侵入させない鉄壁と言っていいディフェンス。例によって攻めの遅い横浜は、中盤より後でボールを回すのみ。動き出しが遅いためパスコースが無く、なかなかサンフのゴール前に入り込むことができません。前半はサンフの決定的チャンスが3回ぐらい、PKをもらっても不思議じゃない場面が2回はあったのに対して、横浜はシュートらしいシュートも無し。点こそ入らなかったものの、まるで先週のリプレーを見ているような展開でした。
そして、後半になると横浜がペースアップする、と言う点でも先週同様。個人技に勝る点を生かして中盤でボールキープをして徐々にラインを上げ、左サイドの突破などからサンフのゴールに迫るようになって来ます。これに対してサンフも初めの頃は前半同様のサッカーで対抗し、藤本の惜しいFKや、藤本のスルーパスで抜け出した高橋が一対一からシュート!等チャンスを作ります。しかし時計が進むにつれて運動量が落ち、中盤を支配されます。しかし、先週自信を付けた川島が城に自由に仕事をさせず、更に相変わらず運動量が多く切れ味の鋭い桑原が、また上村が水際で横浜の攻撃を凌ぎます。引き分けでも勝利をつかむことができる横浜。それに対してどうしても点が欲しい広島。膠着した状態が、一つのきっかけで破れたのは後半27分でした。左サイドでボールを競り合った久保が後から引っ張られてボールを奪われます。当然ファール、と誰もが思いましたがノーホイッスル。あっ、と思った時にDFの裏に抜け出ようとした相手選手(吉田孝行?)に上村が猛然とチャージをかけます。完全にボールに行っていたのに、しかしそれに対してはファールの笛。この日の審判の笛にはこう言う様に一方のファールを見逃して他方のファールで笛を吹く、と言う揺らぎが非常に多く、これもその一つでした。これに抗議する上村をはじめとする多くの選手。しかし、当然判定が覆るはずもなく、心の揺らぎを残したままでの左45度の危険な角度からのFKとなりました。ファーに流れたボールは小村へ、そして折り返されたボールは上野の足もとへ。低い弾道のボールはDFの間を縫うようにしてゴールへ、そしてDFがブラインドになった下田も反応しきれず、ついにゴールマウスを破られてしまいました。まさに、判定の運・不運、ボールの行方の運・不運が決め手になった、横浜の一点でした。
その後サンフは運動量の落ちた高橋に代えて大木、更に藤本に代えて今季初出場の菊地を入れて反撃を試みます。が、前半とはうってかわってパスがつながらず、なかなか攻撃のリズムが作れません。それでも何度かカウンターから久保や大木がペナルティエリアに侵入しますが、なぜか二人とも積極的にシュートに行かず、中央に折り返そうとしてカットされシュートまでも行けません。結局そのままタイムアップ。点こそ1点しか入りませんでしたが、まるで先週と同じような展開で敗れてしまいました。
試合を終わっての感想ですが、全体としては「このメンバーで、日本人選手だけで良くやった」と言って良い内容だったと思います。個々の局面では横浜の選手には敵わなくても集団の力で対抗する。その組織力、そして選手一人ひとりの頑張りは感動的ですらあり、トムソン監督を初めとするコーチ陣が良い仕事をしていることは間違いありません。チームとしての質、サッカーの質では間違いなく広島の方が上でした。私自身は敗戦を審判のせいにするのは嫌いなのですが、しかしその審判の判断のちょっとの揺らぎ、両チームにとっての運・不運がゲームの勝敗を決めた、としか考えられない敗戦だったように思います。更に言えば、山口がいれば後半の苦しい時間帯でももっと中盤を構成して戦うことができただろうし、またポポヴィッチとフォックスがいれば後を気にせず攻めることができたし、時折この二人が攻め上がることで相手に恐怖を与えることもできたでしょう。サンフレッチェのやろうとしていること、やっていることには間違いはない。「天敵横浜」とは言え、次にやればきっと勝つことができる。これから約1ヶ月半のオフになりますが、その間に今度は多少の運不運には左右されないような、そう言うチームができ上がってくるだろうと信じます。

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