6/4〜6/10のサンフレッチェ日記



<00.6.10> 昨日の「広島フットボール」によると、このところのサンフレッチェは人数が少なくて紅白戦もできない状態だとか。久保、森崎兄弟、駒野が代表で不在の上に森保が別メニュー。また伊藤、松下、八田が怪我?で姿を見せず、更に高橋が足に違和感を感じて途中リタイアしたそうです。今週初めの練習再開のレポートでは、全員が久々の練習で張り切って(?)非常に良い雰囲気だった、と言うことでしたが、休み明けということもあってやや負荷がかかりすぎたのかも知れません。長い休みのような気がしていましたが、2nd stageの開幕までは残りわずか2週間。ここで十分な練習ができずにまたもやコンビネーションの熟成不足を露呈する、なんて事にならないと良いのですが。
<00.6.10> これまで、サンフレッチェのメンバー予想はしても代表の予想はやったことがなかったのですが、明日のスロバキア戦は久保の出場が確定的(?)なゲームですし、どういう形で出ることになるか考えてみました。
まずは、もっともありそうなパターン。
        楢崎

   森岡   松田   大岩

伊東    稲本   奥    三浦淳

        中村

     森島    西澤
モロッコで2試合とも先発だった中田英と名波がいない事を考えて、そこからの継続性を重視した布陣です。ヨーロッパのチーム相手ということで、フランス戦で出たメンバー中心。FWは西澤と柳沢、という可能性もありますが、水曜のゲームで森島を休ませたので、彼を先発で使ってくる可能性が高いでしょう。久保が出るとすれば、西澤との交代で後半から。西澤同様に正確なポストプレーがこなせるか、がポイントになります。
次は、「五輪代表のトレーニング」と言っていたトルシエ監督の意図を最大限に取って、U-23の選手をフルに使ったパターン。
        楢崎

   中沢   松田  中田浩

伊東    稲本   奥    中村

        森島

     柳沢    西澤
この場合も、久保の出番は西澤との交代で後半から、という感じですね。柳沢もシュートを打つ積極性に欠ける点で有名なので(^_^;)、久保はどれだけゴールに向かう姿勢を見せることができるか、がポイントとなりそうです。
因みに、個人的に見たい布陣は、次のような感じです。
        楢崎

   中西   松田  中田浩

伊東      稲本     三浦淳
            中村
    森島

     久保    西澤
今西さん御推薦の「世界に通用するFW」2人の強烈ツートップに絡む森島、というパターンです。ボランチが1枚になるので守備がやや(かなり?)不安ですが、五輪本戦をにらんで若手を全部外すなど及び腰のスロバキアに対しては、最初から攻撃的に行った方が良いかも知れません。もしこの布陣が機能すれば、日本代表はまた一つ大きな武器を手に入れることになります。
ともあれ、このキリン杯は久保にとっては大きなチャンス。ゴールを決めれるか決めれないかは時の運もありますが、少なくとも「これが久保だ!」と全国のサッカーファンに見せつけるような、そう言うパフォーマンスを見せてほしい、と思います。
<00.6.9> 昨日、キリン杯スロバキア戦に向けての日本代表が次のように発表されました。
【GK】川口能活(横浜)、楢崎正剛(名古屋)
【DF】大岩剛(名古屋)、中西永輔(市原)、森岡隆三(清水)
    松田直樹(横浜)、中沢佑二(V川崎)、中田浩二(鹿島)
【MF】森島寛晃(C大阪)、三浦淳宏(横浜)、伊東輝悦(清水)
    奥大介(磐田)、中村俊輔(横浜)、稲本潤一(G大阪)
【FW】西澤明訓(C大阪)、久保竜彦(広島)、柳沢敦(鹿島)
モロッコ遠征のメンバーからは中田英、名波、城の「欧州三人組」の他、曽ヶ端、海本、上野、明神、三浦知、中山が外れています。スロバキア戦はこの17人のメンバーで戦い、これにU-23代表候補から5人を加えてボリビア戦のメンバーとする、とのことです。U-23代表候補合宿にはサンフレッチェからは藤本選手が呼ばれていますが、スロバキア戦のメンバーの中で本来の攻撃的MFは森島、中村の2人だけなので、藤本にはフル代表入りのチャンスが来るかも知れません。
更にトルシエ監督はこのスロバキア戦のメンバーを「オリンピックを見据えての選考」と語っていたそうです。となると、元々五輪出場の資格がある松田、中沢、中田浩、稲本、中村、柳沢以外の11人から「オーバーエイジ」の選手を選ぶことになりそう。久保選手はモロッコ遠征に続いての代表選出となりましたが、今度こそMFではなくFWでの起用となるでしょうし、そこで結果を出すことができれば、シドニー行きの切符も与えられる事になるかも知れません。今度こそ、ジャマイカ戦のような「引いた」プレーではなく、本来の彼らしいアグレッシブにゴールを狙う姿を見せてほしいものです。
<00.6.8> 昨日早朝に行われたハッサン2世杯のジャマイカ戦は、日本が終始ボールを支配して実力差を見せつけ、4-0での圧勝でした。前半はそれでも相手のカウンターを警戒する余り下がり気味だったようで、ボールを回すことはあってもフィニッシュが遠く、中国戦や韓国戦のような内容。日本代表のサッカーはフランスのような前に出てくる相手に対しては通用しても、守りに入られると辛いのかな、と思わせるような出来でした。しかし、後半から上野、伊東に代えて奥と三浦淳を入れて攻撃的な布陣に変えると雰囲気は一変し、2分の先制点を手始めに次々と点を重ね、また守備も最後まで集中を切らさずに無失点に抑えての完勝でした。このハッサン2世杯前までの日本代表は「決定力不足」が課題であるという言われ方をずっとされてきました。しかし世界最強の守備陣を持つフランス相手に2得点、そしてW杯で敗れたジャマイカ相手に4得点は、点が取れないと言ってもほんのちょっとのことなのだ、と言い続けていたトルシエ監督の主張を裏付けるものだったと言えるのではないでしょうか?
更にトルシエ代表の素晴らしい点は、メンバーが固定していないことです。この日はフランス戦の布陣(GK:楢崎、DF:松田、森岡、大岩、MF:中田英、名波、伊東、稲本、中村、FW:森島、西澤)から4人を入れ替えて(楢崎→川口、大岩→中田浩、稲本→上野、森島→城)臨みましたが、その後次々と選手を交代させても全く力が落ちないどころか、どんどん元気になっていったのは以前の日本代表を考えれば全く驚くべきことです。この2試合にフル出場した松田、森岡、中田英にしても、不可欠の選手かと言えばそうでもない。この週末から始まるキリン杯には中田英、城、名波が出ないらしく、トルシエは「五輪代表クラスを起用する」と言っていたそうですが、ここで大幅にメンバーを入れ替えてもきっと同じような質の高い代表の姿を見せてくれるのではないか、と期待できます。ここまでの1年半のトルシエの成果を見ると、ここからの2年間でどれだけ力をアップしていけるのか、本当に楽しみで仕方ありません。
W杯でシードされる日本のグループには、欧州から1〜2カ国、南米かアフリカから1〜2という組み合わせになるはずです。だからこのハッサン2世杯の4カ国の組み合わせは、言わばW杯の1次リーグのシュミレーションのようなもの。日本の最終成績は3位でしたが、しかし1勝1分の戦績は1位のフランスと同じで得失点差も同じ。得点の差でわずかに2位になったと言うところで、これがW杯なら余裕でトーナメント進出を決めた事になります。これ以降、2002年までトルシエ監督で行くならば更にレベルアップするでしょうし、となると2年後には上位進出も期待できる、と言うことになるのではないでしょうか?
ところで期待の久保ですが、ジャマイカ戦では後半25分ごろからの出場でした。フランス戦での西澤に続いてアピールして欲しかったのですが、しかしその直後に三浦知が入ったこともあってなぜか中盤に下がってしまい、見せ場はほとんどなし。ゴールに向かう強烈なプレーを見せてくれるだろうと思っていただけに、全くの期待外れに終わってしまいました。なぜ中盤に下がったのか、いろいろと考えてみたのですが、たぶん次のような可能性のうちのどれかだと思います。
(1) トルシエの指示
 トルシエサッカーは「一人二つ以上のポジション」が基本方針ですから、これまでも本来のポジション以外での起用からスタートした選手は結構たくさんいました。ですからトルシエは「久保にはMFをこなす能力がある」と判断して、2列目でのプレーを指示した、という説です。これは結構ありそうな気がするのですが、しかしマスコミ報道を見ると「スリートップもテストした」とのこと。もし久保に2列目を指示したのなら「スリートップ」だとはとても言えないので、そのへんどうも解せません。だいたい今回は合同で練習したのは3日間ぐらいで、それもアフリカに慣れるのが先で戦術練習を十分にやった、とは思えないので、今回久しぶりに合流した久保にいきなりMFをやれ、なんて指示するでしょうか。だいたいそれなら「まず城に代えて久保を投入し、次いで名波と三浦カズを交代させる」と言うような回りくどい采配をするだろうか、と言うのも疑問です。
(2) カズの命令
 トルシエとしては久保をトップに置いて柳沢、三浦知を両サイドに張らせるような形をやりたかったのに、三浦知が勘違いして久保を下がらせた、という説。三浦知が交代で入ったときに、なにやら久保の肩を叩いて話していた記憶があるのですが、これはきっと「俺が前に出るからお前は下がってプレーしろ」と言ったのではないでしょうか。監督はたいてい交代選手を投入前にどういう形にするかちゃんと意図を話すものですが、ピッチサイドで通訳の言葉で言われてどれだけ通じるか。これをカズが勘違いして(あるいは敢えて曲解して)自分が前に出るから久保は下がれ、と言ったのでは無いでしょうか。久保はこの遠征中に三浦知といろいろと話をしていたそうですから、「カズさんが言うなら」と言うことで素直に従ったのではないでしょうか。これが一番ありそうな、でも最も無さそうでもある説です。
(3) 自分の判断
 FWが3人になって前線が混んできたので、久保が自分の判断で下がった、という説です。これは一見、可能性が薄そうですが、でも久保のサッカーブレインは見た目以上に高い能力を持ってます。代表の練習でサンフでは見られないような「華麗な中盤」を見て刺激を受けて、「ここはバランスを取るためにこう言うポジショニングをすべきだ」と久保自身が判断した、と考えても不思議ではありません。これは一見「ハズレ」の判断に見えますけど、でも久保ってこれまでにも成長のプロセスの中でそう言う「一見回り道」のような軌跡を描いてきた事があります。ここは久保にしか分からない理由で、実は彼の成長のプロセスの中で正しい道を歩んでいる、と言うことかも知れません。
(4) 単にびびっていた
 初めてのアフリカ、初めての代表の遠征で、精神的に参っていて自分の力を前面に出せなかった、という説です。「広島フットボール」の昨日の記事は多分この説に立っているのだと思うのですが、僕は違う、と思います。(というか、「思いたい」が正確かも知れません。)久保も経験が少ない、とは言え代表としては3回目の出場です。最初のエジプト戦は確かに足が地に着かない感じでしたが、次のイラン戦はかなり思い切ったプレーが出てました。ジャマイカ戦の久保が出た場面は、既にゲームの流れが決まっていてジャマイカはほとんどサンドバッグ状態。日本代表の選手はみんな伸び伸びプレーしていましたから、そこで久保一人が緊張してしまう、と言うことがあるでしょうか。そうだとすれば確かに「こりゃもうだめだ」と判断されても仕方がないのですが、でも久保はMFに下がってのプレーはそれなりにやっていたように思います。上手下手は別として、なんか自分がこれまで身近で見て来た山口とか森保とかあるいは他の代表選手のプレーを思い出しながら、一生懸命やっていたような印象を受けました。だから、これはこれまでの久保を考えるとありそうな気はするが、でも良く考えると「それはないんじゃないかなぁ」という説です。
これらの説のうち、どれが正解か、は今日のキリン杯に向けての代表の発表である程度分かるかも知れません。もしここで久保が外されれば、明らかに(4)だと言うことになります。でもそれ以外の理由だったら、ここで外す事は有り得ない。むしろキリン杯の2試合こそ、久保にとっては本当に「テスト」される場になるのではないでしょうか。久保が初めての代表の遠征で成長したのかしなかったのか。私はぜひ前者であってほしい、と思います。
<00.6.7> 昨日日本サッカー協会から発表されたアジアユース(U-19)選手権予選に向けての日本代表メンバーに、サンフレッチェからは森崎兄弟と駒野の3選手が選出されましたが、八田は残念ながら落選となりました。U-19代表候補はヨーロッパ遠征中、U-19ドイツ代表に1-2、アヤックスユースに1-3、インテルユースに0-1、クルゼイロユースに0-1と敗れ、アンデルレヒトに3-0で勝ったものの7位決定戦でバルセロナユースと0-0で引き分ける(PK戦は5-4で勝ち)など得点力の不足が目立つ感じなので、中盤の構成力のアップという意味で森崎浩が選ばれたのではないか、と思われます。アジアユース予選は6/16にベトナム、6/18にブルネイ、6/20にグアムとの対戦で、いわゆる「格下」相手が続きます。ここでユース時代から磨いた森崎兄弟と駒野のコンビネーションを発揮して、3人揃ってレギュラー獲得、と行って欲しいところです。
ところでヨーロッパ遠征に行った22人のうち、外れたのはDFの藤田泰成(名古屋)と八田、それにFWの町田忠道(柏)。新たに選出されたのは森崎浩が一人だけで、彼に対する期待の大きさが見て取れるのではないでしょうか?
【GK】藤ヶ谷陽介(札幌)、岩丸史也(神戸)
【DF】池田昇平(清水)、根本裕一、羽田憲司(鹿島)、茂庭照幸(湘南)、那須大亮(駒大)
【MF】森崎和幸、森崎浩司、駒野友一(広島)、阿部勇樹(市原)、石川直宏(横浜)
    山瀬功治(札幌)、前田遼一(磐田)、永井俊太(市船橋)、青木剛(前橋育英)
【FW】中山悟志(G大阪)、飯尾一慶(V川崎)、佐藤寿人(市原)、田原豊(鹿児島実)

<00.6.6> これまで何度かこのホームページで書いていたように、トルシエ監督はいずれA代表でも結果を出すだろう、とは思っていました。しかしそれはあくまで将来の事で、このハッサン2世杯で見るべき成果を出せるとは、全く思ってもいませんでした。特に初戦の相手のフランスは、強烈な守備力を持つ2年前の世界チャンピオンです。その後監督は交代したものの主力メンバーは全盛期の力を保ち、課題だったストライカーにもアネルカやアンリなど若手が育って来ています。欧州選手権の開幕を1週間後に控え、準備は万端。W杯では苦戦したクロアチアをも2-0で破り、順調な仕上がり具合をチェックするための場として、この日本戦に臨んだはずです。
それに対して日本代表は、Jリーグが終了してわずか1週間。その間に一度国内で集合し、ヨーロッパ経由でモロッコまでの大遠征。ほとんどの選手にとっては初めて訪れるアフリカの地で、まずは環境に慣れること、そしてトルシエ監督が言うように「チームになること」が最優先で、戦術的な練習や特別なフランス対策はほとんど無しにゲームに臨んだのではないでしょうか。4月末から5月にかけての「トルシエ解任騒動」でそれでなくてもチームが動揺しても不思議でない状況で、ほとんどアウェイと言っていいようなフランスの海を隔てた隣国でのゲームとあれば、これで善戦できる、ましてや勝てるかも知れないだなんて、どんなに楽観的な人でも思っていなかったはずです。最悪の場合は守りに入って守り切れずに大量失点し、得点も奪えず惨敗、というパターンだってあり得るだろうとまで思っていたものです。
ところが、ゲームが始まって驚きました。選手は皆落ち着いていて、しっかりとボールを繋いでフランスに対等な立場で対応します。フランスは得意の速攻ができず、最終ラインでただただボールを回すだけ。ジダンを中心とした素早いパス交換で日本代表を走り回らせてDFラインに穴を開けようとしますが、しかし日本代表の選手達はしっかりと集中力を保ち、一人が振り切られても二人、三人と粘り強く対応してゴールを割らせません。それでも序盤は攻め込まれるシーンが多かったのですが、しかしこの状況を打開したのが森島でした。稲本の正確なパスを素晴らしい身体の動きで受けてフリーになるとすかさずシュート!バルテズが弾いたもののこれを頭で押し込み、待望の先制点を奪いました。
こうなった時、えてして「格下」チームは1点を守ろうと引き気味になってしまうもの。同点、逆転を狙って攻め込む「格上」に対して受け身になってしまいがちです。しかし、この日の日本代表は違いました。フランス代表が後半に入ってメンバーを大幅に入れ替えて攻め込んできたにも関わらずしっかりと自分達のサッカーを貫き、ジダンの個人技で同点に追いつかれても慌てませんでした。そして三浦淳から西澤へのクロスとスーパーボレーによる勝ち越し弾(まるで、横浜戦での藤本→久保のゴールとそっくりのパターン!)で2点目をゲット。その後同点に追いつかれてPK戦で敗れたものの、日本代表が十分「世界チャンピオン」と対等に戦えることを証明したゲームであった、と言えるでしょう。新しいメンバーとして先発した西澤、森島が活躍した、とは言え他の選手はこれまで通り、戦術も又これまで通りで得たこの結果は、紛れも無くトルシエ監督の手柄です。今後この代表がシドニー五輪、アジア杯、そして2002年W杯に向けてどのように成長していくのか、本当に楽しみになったと言えるでしょう。
こうなると注目は今後監督問題がどうなるか、でしょう。「反トルシエ」の急先鋒らしい(?)強化推進本部長の釜本氏はあいにくモロッコに向かう途中だったとのことで、このゲームは見ていないらしいのば残念なのですが、しかしこの監督を解任してこのチームを解体することができる論理が存在するとは思えません。少なくともオプション契約通りシドニー五輪終了後までは指揮を取らせるべきだし、継続性を考えればその直後のアジア杯まで見てもらう、と言うのがスジでしょう。更に私はもう一歩踏み込んで、6月末の時点で2002年までの契約を結ぶべきだと思います。少なくともシドニー五輪とアジア杯についてどこまでを到達点とするのかを良く話し合って、その成績次第で優先的に契約できるようにしておくべきです。このフランスとの引き分けは、日本協会やマスコミに対するアピールになっただけでなく、トルシエ監督にとっては世界の「監督市場」での大きなアピールになったはずです。これまで「アフリカでしか通用しない」等と言われてきましたが、しかしワールドユースの準優勝やこのフランスとの戦いで、アジアの地でも「発展途上国」を引き上げることができる指導力を示しました。このような力は、日本のような「W杯に出れるか出れないか」という程度の実力の国にとっては垂涎の的です。またW杯の常連と言われる国にとっても、次のW杯が日本と韓国で行われることも考えると彼の力がほしい、と考える可能性は十分あるでしょう。となると、例えば秋のシリーズで日本代表が目覚ましい成績を残したとすれば、今度は代表監督をやるか、やらないかの選択権はトルシエ側に移ってしまう可能性もあるだろうと思います。日本サッカー協会はあてにしていたベンゲルに拒否され、トルシエを解任したいが後任がいないという状況を世間にさらして失笑を買いました。しかし逆にそのおかげでトルシエ監督を失わずに済んだわけですから、今度はこれをチャンスとして生かすべきです。少なくとも今度は、トルシエと再契約したいが逃げられてしまった、と言うような大失態だけは犯さないでほしい、と思います。
さて、次のゲームはモロッコに0-1で敗れたジャマイカが相手となります。W杯では日本に勝ったジャマイカですが、当時のシモンエス監督が退任した関係もあって戦力はかなり落ちてきているとの事です。あの時の雪辱を果たすチャンス、と言えばそうなのですが、しかしここで勝ったからと言ってW杯での負けがチャラになるわけでもありません。むしろ、貴重なアウェイでの真剣勝負の機会で、フランス戦に出なかったメンバーに経験を積ませるチャンス、とも言えます。特に「6月は秋に向けての準備」と言っていたトルシエ監督のこと、皆をあっと言わせるようなメンバー(例えば、久保が先発とか...)を組んでくる可能性は大いにあるように思います。日本代表にとって、本番はあくまで2002年です。そこまでのゲームは、言わばすべてが強化試合のようなもの。全部負けたとしても、代表が強くなりさえすればよいのです。フランス戦で西澤、森島のツートップでほとんどの時間を戦ったことは、彼らの「良いイメージ」を大切にしたという意味でもトルシエ監督を評価します。しかし、次の試合。ここでこそ、西澤に勝るとも劣らない能力を持つ久保を起用して、その才能を開花させて欲しい、とも思います。
<00.6.5> 昨日行われた大学サッカーの総理大臣杯中国地区予選の決勝は福山大が吉備国際大を破り、7/2から長居球技場などで行われる全国大会への出場権を獲得しました。準決勝、決勝の結果は次の通り。
【準決勝】
吉備国際大 2|1-0|0 広経大
       |1-0|

福山大   0|0-0|0 広島大
       |0-0|
      PK|4-3|

【決勝】
福山大   2|1-0|0 吉備国際大
       |0-0|

<00.6.5> 県高校総体の1、2回戦が週末に行われ、皆実などが3回戦に進出しました。
【1回戦】
皆実7-0瀬戸田、府中3-0国泰寺、海田2-0盈進、神辺旭3-0高陽、工大高2-1日彰館、葦陽2-1井口、広島朝鮮5-0広、広島工2-2如水館(PK3-2)、安芸南1-0松永、庄原格致2-2廿日市西(PK4-3)、山陽2-0宮原、美鈴が丘1-0尾道北、三原東3-0新庄、観音4-1呉工、五日市2-0福山、沼田7-0三次青陵

【2回戦】
皆実3-0府中、神辺旭2-1海田、葦陽3-1工大高、広島工3-0広島朝鮮、安芸南3-1庄原格致、山陽2-0美鈴が丘、観音1-0三原東、沼田6-0五日市
なお、女子は山陽女と皆実が決勝に進出しました。
<00.6.5> 昨日行われた中国地域リーグ第4節の結果です。
広島フジタSC 2|1-0|2 広島教員
(4勝  )    |1-2|  (1勝3敗)
        PK|5-4|

マツダSC   4|1-0|2 日新製鋼呉
(2勝2敗)    |3-2|  (  4敗)

SC鳥取    1|0-0|0 山口教員
(3勝1敗)    |1-0|  (2勝2敗)

三菱自動車水島 6|2-0|1 日石三菱
(3勝1敗)    |4-1|  (1勝3敗)


【順位表】
順位 チーム      勝点 勝 PK勝 PK負 負 得点 失点 得失点差
-----+-----------------+----+--+----+----+--+----+----+--------
1→ 広島フジタSC   11   3  1    0   0  13    6   +7
2→ SC鳥取       9   3   0    0   1    6    2      +4
3↑ 三菱自動車水島   7   1  2    0   1   11    7      +4
4↓ 山口教員       6   2   0    0   2    5    7      -2
5↑ 広島教員       5   1   0    2   1    6    7      -1
5↑ マツダSC      5   1   1    0   2   6    7      -1
7↓ 日石三菱       4   1  0    1   2    5   10      -5
8→ 日新製鋼呉      1   0  0    1   3    7   13      -6
-----+-----------------+----+--+----+----+--+----+----+--------

<00.6.4> 昨日シドニーで行われた抽選会で、オリンピックでの五輪代表の対戦相手が決まりました。初戦は開会式前日の9/14、キャンベラで南アフリカと対戦します。次いで9/17には同じくキャンベラでスロバキアと、そして20日にはブリスベーンで「アトランタの奇跡」の相手ブラジルとの対戦となります。組み合わせを見ると、日本は最高の相手に恵まれた、という感じがします。初戦の南アフリカはアフリカ予選4位で、オセアニア1位のニュージーランドとのプレーオフに1-0、1-0で連勝して出場権を獲得しています。日本がニュージーランドを実力で圧倒したことを考えると、勝ちを計算できるしまた勝たなければならない相手と言えそう。次の対戦相手のスロバキアは、欧州予選(Uー21選手権)の決勝ラウンドでトルコを2-1、イングランドを2-0で下し、イタリアとは1-1の引き分けに持ち込んでB組2位となり、出場権を獲得しています。決して侮れる相手ではありませんが、しかしこの予選をホームで戦う有利さがあったことや、基本的にU-21代表として参加するであろうことを考えると、十分勝ち目のある相手だと思われます。できればこの2試合で2勝、最低でも1勝1分の成績でブラジル戦を迎えたいところです。この組み合わせはスペイン、チリ、モロッコが相手となる韓国やイタリア、ナイジェリア、ホンジュラスと同組のオーストラリアよりは有利であるように見えますし、少なくともアトランタ五輪よりは相手に恵まれた感があります。トルシエ監督は「これでメダルが見えた」と言っていたそうですが、確かに今のU-23代表の力を十分発揮すればグループリーグ突破の可能性は高い、と言えそうです。
ただ、不安材料があるとすれば協会が監督問題を先送りしていることです。南アフリカと言えば、トルシエ監督が代表を率いてW杯を戦った国です。大事な初戦、まだお互いの力関係がはっきりしない段階での戦いはスカウティングの差が勝敗に大きく影響を与えるものですが、そこで南アフリカのサッカーを良く知っているトルシエが指揮するかどうか、は非常に大きな意味を持ちます。ですからもし6月末の段階でトルシエを切って監督を代えたとすれば、その影響は単にチーム作りが遅れるかどうか以上のものとなることは間違いありません。ここまでトルシエ監督を批判する声の中には「対戦相手に対応したスカウティング、戦術の変更が柔軟にできない」と言うものがありましたが、しかしこれまでA代表とU-22代表はその必要がなかったとも言えるわけで、必要な場面で必要な措置が取れるのか、そしてその対応が的確なのかを見るにはこの初戦が最適な場のように思います。逆に他の監督に交代した場合、その新監督にとっての初めてのゲーム(まあ、練習試合はいくつかこなしているかも知れませんが)がその大事な南アフリカ戦になってしまう上に、今度はそのトルシエが敵に回る(少なくとも情報提供を求められる)可能性だってあるわけです。従ってその場合、最も大事な「勝ち抜き」という目標達成が困難になってしまうだけでなく、それによってその新監督に「傷が付く」かも知れません。トルシエをそのままシドニーまで引っ張った場合のメリットとデメリットを比較すると、6月末の監督交代にはあまり積極的な意味は無いだろう、と思います。
最後は「五輪」の話ではなくトルシエの話になってしまいましたが、今フル代表はモロッコの地で着々と「チーム」を作っています。今日のフランス戦、どういう結果になるかは分からないし、勝つ可能性よりも負ける可能性の方が遥かに高いと思いますが、トルシエがどのようなチーム作りをしてくるのか、これまでの代表に何か付け加えたところを見せてくれるのか、そして久保をどう使ってくれるのかなど、非常に楽しみです。広島では深夜2時からTSSでの放送ですので、私自身はビデオに撮って明日見ることになるかも。感想については、明後日書く予定です。
 SANFRECCE Diaryトップページに戻る