8/27〜9/2のサンフレッチェ日記



<00.9.2> 一昨日付けの「広島フットボール」によると、右足首軟骨除去手術のため入院していた森保選手は一昨日退院したとのことで、今後リハビリを進め11月のステージ開幕には間に合いそうな感じである、とのことです。また、トムソン監督の退団決定に伴って進められている新しい監督候補との交渉も着々と進み、近々契約の目処が立ちそうな様子だとのこと。攻撃的な戦術の持ち主である、と言う噂ですが、契約がなったとして今の選手をどのように判断し、どのような戦術を練ってくるのか。選手達にとっても来年に向けての生き残りをかけて、11月こそは必死の姿を見せてほしいものです。
<00.8.31> 明日は出張のため、この「Diary」の更新はできません。(ネタも無いし^_^;)ご了承下さい。
<00.8.31> 今シーズンに入ってから掲示板の書き込みに「サポーターの応援」と言うテーマのものが増えているように思います。これはおそらく、多くの人が広島の現状について「応援が(観客が)盛り上がっていない」と感じ、何とかしたいと考えていることの表れだと思います。これについて、私自身は「こうすべきだ」と言う意見を持っているわけではありませんし、またこの場でそう言うものを表明すべきだとも思いません。が、中断中でネタがないことでもありますし(^_^;)一人の観客として思うことをちょっと書いてみたい、と思います。(因みに、私はホームではバックスタンド中央付近で観戦主体で応援もすると言うスタイルで、アウェイではゴール裏で太鼓の音に合わせて声を出している、と言う立場です。)
世界的に見て、応援にはそれぞれの国ごとのスタイルが表れる、と思います。例えばドイツやイタリアはゴール裏(クルヴァ、とか言うそうです)の立見席にサポーター集団がいて歌を歌ったり発煙筒を焚いたりして熱狂的な応援を繰り返し、メインやバックの客はそれに呼応して声を出す、と言うスタイルです。しかしイギリスでは全席指定のところが多いためかサポーターの集団というのはなく、組織的な応援は無い代わりにいずこからともなく歌が始まり、いつの間にかスタジアム全体が唱和すると言うパターン。中東の国はハンドマイクで叫ぶ声と野太い男の声と言うのが特徴だし、ブラジルではカーニバルのようにサンバを踊っているし、アフリカでは最初からみんな立って見ていてゲームの流れとともに常に何か叫んでいるし、韓国は鐘の音が特徴的です。アメリカではサッカーであろうが他のスポーツであろうが、良いプレーにはみんな立ってスタンディングオベーション。サッカーのスタイルにその国の国民性、文化が表れるように、観客の観戦スタイル、応援スタイルにも文化が反映している、と言って良いように思います。
では、日本の応援文化とはどんなものか。かつて日本のサッカーの応援には「ぷぁー」と言う音のチアホーンが必需品でしたが、Jリーグの開幕とともに一変。特にJリーグ自体がプロ野球とは違うんだ、と言う事を前面に押し出したが故に応援も独自のスタイルを追及したのですが、しかし他の国の応援スタイルを真似るところから始まったと言うのが本当では無かったか、と思います。その結果、どこの国のスタイルを真似るかによって各チームごとの応援の仕方が分化し、例えばV川崎や清水はブラジル流のサンバのリズムを基調にし、鹿島や浦和はドイツやイタリアのようないわゆる「ストロングスタイル」(?)が主流になったと言うように、それぞれ特徴のある応援風景を演出しています。そしてその独自のスタイルも年を追うごとに各クラブごとに変化していって、ついには札幌のようなスタイル(実際に見たことが無いので良く分からないのですが、なかなかユニークで熱狂的らしい)や山形のようなスタイル(これも良く知らないのですが、「念仏」と言われているらしい)のような独自のものを生み出すに至った、と言えると思います。すなわちこのJリーグの8年間は、応援に関しても試行錯誤の期間であって、これが確立したかどうかはそれぞれのサポーターによってデコボコがあったのだ、と言えるように思います。
サンフレッチェの場合、応援に関してこれまでどういう歴史があったのか、は良く知りません。少なくとも、現在ゴール裏とB6ゲートの上に分かれて(実際にはもっと細かく分かれているようですが)それぞれに応援していて、クラブが統一を要請したりしても結局はスタイルが違いすぎて合流できない、と言う実態があるようです。今年になって「ファンキー・ジャム・キッズ」がこの中間に位置して間を取り持っている(?)事もあってずいぶん雰囲気が変わってきたみたいで、ゲームの局面によってはバックスタンドまで一体になって応援する、と言うシーンも増えているように思います。しかしこれが定着するかどうか、はまだ分かりません。かつてこれらのグループが一緒に応援すると決めた(らしい)のにまた分かれてしまったように、いずれまたバラバラになってしまうかもしれません。ビッグアーチ自体が悪いんでサッカー専用スタジアムが無いと無理だ、と言う意見まであって(それはそれで正しいと思いますが)解決策が簡単に出るものではないとは思うのですが、私は「独自のスタイル」がキーではないか、と言う気がします。今の定番のコール「さ〜んふれっちぇ、ちゃちゃっちゃちゃっちゃ」や、かちかちシャモジを越えた何か新しいスタイルが出て定着するとか、何らかのブレークスルーが必要なのかも知れません。
日本のプロスポーツの先輩であるプロ野球は、トランペットに合わせて選手ごとに違う歌を歌って「かっと〜ばせ〜」とコールするのが定番ですが、聞くところによるとトランペットを最初に応援に導入したのはカープだとか。(もし間違っていたら教えて下さい。)つまり広島には、新しい応援文化を創造し、定着させたという経験があるわけです。だから「独自のスタイル」だって作れないことないと思います。サンフレッチェのファンが、他のファンに比べて冷めている、と言う事はないでしょう。どんなにしょぼいゲームでも、少なくとも数千人がスタジアムに行って一喜一憂していますし、ビスマルクに対してはスタンドが一体になってブーイングしているのです。広島だけでなく中国地方の各地から集まったファンは、ただの一過性のファンではなくサンフレッチェを我が事のように思っている人ばかり、では無いでしょうか。ネット上の書き込みを見ると、今年、特に負けゲームのときには厳しい意見が書き込まれることが多いように思いますが、これは決してネガティブなものではない、と信じたい。きっかけさえあれば、きっとどこにも負けないような素晴らしい雰囲気をスタジアムに作れるのではないでしょうか。
<00.8.30> シドニー五輪が近づいて世間では関連記事が増えていますが、8/25付けの中国新聞の「ウエルカム・シドニー」と言う記事に元サンフレッチェのアーノルド氏が出ていました。サンフレッチェを退団後オーストラリアに帰国した彼は、プロサッカークラブの「ノーザン・スピリッツ」の監督。就任初年度の昨シーズンは16チーム中2位と健闘したものの、今季は13位に低迷しているそうでチーム強化に懸命なのだそうです。本拠地がシドニー中心部から電車で10分ほどのノースシドニー・オーバル(マラソンのスタート地点に近いらしい)にあると言うこともあってか「五輪直前に日本代表との練習試合を組みたい。この街には日本人も多いし、ぜひ実現したい」と希望を持っているそうです。広島については「いい街だった。サンフレッチェも可能性を持った若手がいた。久保は代表入りしたようだけど、五輪メンバーには入れそうかい?」ともの静かな口調で語っていたとのこと。シドニー五輪の期間中はサンフレッチェの練習も休みなので、トムソン監督やコリカ、ポポヴィッチは帰国するのだろうと思います。日本代表や豪州代表(フォックスもメンバー入りしています)のゲームには彼らやアーノルド、ヴィドマー、クルークら広島関係者が勢ぞろい、と言うことになるかも知れません。
<00.8.29> 日本で発行されている英字新聞「The Japan Times」の木曜版(たぶん8/24日号)にトムソン監督のインタビューが掲載されていたそうですが、この和訳が「Web版サポティスタ」に期間限定で掲載されました。母国語で話しているからか、あるいは日本語に訳されることを前提としていないからか知りませんが、広島系マスコミ(中国新聞とか広島フットボールとか)のインタビューよりもぐっと本音を語っている、と言う印象を受けます。例えば就任1年目の主力放出劇に関しては「選手たちに問題があった...厄介払いをしなくてはならなかった」また現在のチームと選手に関しては「もう彼らには伸びしろはなさそうだ。若い連中は伸びると思うよ。でも他の選手はね。私には無理だよ」と率直に語っています。しかしその一方でクラブとの関係については「私自身はクラブを愛しているし、この土地も愛している。クラブはとてもいいし、今西ゼネラルマネージャーとの関係も本当にうまくいっている。トレーニング設備も何もかもが素晴らしい」と絶賛。「でも広島にはただただ、選手を替えるお金がないんだよ。」と、補強が思うに任せなかった中で最善を尽くしたのが今の結果であることを窺わせます。ただその一方で日本人選手のメンタリティに関してイライラすることも多かったようで、特に「攻撃でも守備でもコミュニケーションが欠けてるよ。日本人にとってコミュニケーションというのは、コントロールするにも組織化するにも大きな問題だね」「ここ日本では彼らは恩師や誰かに頼っているんだな。もし日本人に何か質問したとしたら、彼は質問に答える前にまず誰かに聞きにいくんだ。」と、コミュニケーションの少なさ、自立性の無さを一番の問題点として感じているようです。そしてその欠点は日本人監督やコーチも同様。「他の日本人コーチ達は私のすること全てに対して同意するんだよ」「サイドライン際にいるときに彼ら(日本人監督)の方をときどきはみるんだが、彼らのほとんどがベンチに座っているだけだ」と問題点を指摘しています。
とは言え、全体としてトムソン監督は日本のサッカーに対して明るい将来像を描いている様子で、もっとお金のあるクラブ、あるいは日本代表などで才能のある選手に対して指導したい、と言う意思を持っているように読み取れます。同じインタビュアーによる別の記事(トムソン退任を伝えるThe Japan Timesの記事)によると「シーズン終了までにもっと大きなクラブが彼のドアをノックする(訪ねて来る、の意)に違いない」と書かれており、自分がこれまでして来たことに対する大きな自信を感じます。この時期に監督の退任を発表する事になったのは、ひょっとするとトムソン監督自身が次のオファーを受け入れるために敢えてオープンにした、と言う事なのかも知れません。
さて、これから後は私自身の個人的な見解なのですが、トムソン監督のやり方はサンフレッチェにとって大きな効果はあったものの、それが薄れてきてしまった、と言うのが今度の退団の原因ではないかと思います。この「The Japan Times」の文章でも分かるように(と言うかトムソン自身を見ていれば分かりますが)彼は非常な熱血漢です。怒り、大声を張り上げ、叱咤激励することで選手をモティベートするタイプの監督で、もの静かな理論派だったヤンセン元監督とは対極にある人物だった、と言えると思います。この監督のやり方は、確かにヤンセン時代にバラバラになってしまったチームをまとめ上げ、戦える集団を作るのには効果があったと思います。しかし、そう言うタイプの指導法は言わば劇薬。何度も使っているうちにだんだん効果が薄れてきてしまうのは仕方がないところだと思います。最初は監督の激しさに圧倒され、身が引き締まるように感じた選手達も、だんだん慣れてしまって「また何か言っているぞ」ぐらいになってしまったのかも知れません。監督、と言うか指導者、教育者はそう言う雰囲気を感じたら別の方法でモティベートしたり、あるいは逆に突き放してみたりといろいろとやってみるものですが、トムソン監督の場合ついにその方法が尽きてしまった、と言う事なのではないかと思います。トムソンがもっと若ければ、色々とほかの手を考えたかもしれない。また日本人なら、もっと心の機微に踏み込めたかも知れません。しかし、そのどちらでもなかったとなると、ここで「新しい風」を入れてチームの雰囲気を変える事は必要な事だったし、当然の決断だったと思います。そしてこれは決して今年のチームの成績が悪かった事や、采配に疑問があった事が原因ではない、と思います。
それでは次の監督はどう言う人になるのか。Jリーグでは有数のゼネラルマネージャーである今西総監督(大住良之さんはサッカーマガジンで「他クラブを見渡すと、今西氏ほどの権限を任され、実績を上げているゼネラルマネージャーは見あたらないのが現状」と述べています)はその人脈を生かしてどんな事態にでも(例えばトムソン解任、と言う事態でさえ)対応できるような準備をしているだろうと思いますし、きっと既に打診もしているのだろうと思います。ですから我々部外者がとやかく言うことは無いのですが、理想としては戦術的に高い目標を設定し、チーム内の競争を煽ってモティベーションを維持し続けることのできる監督にしてほしい、と思います。時には激しく選手を叱責し、時には全く別のアプローチから選手の心を成長させることができること。安定した戦いを求められるクラブの監督なので、びっくりするような策略を連発してくれる必要はありませんが、それでもせめて毎試合、先発予想を楽しめるような監督がいいですね。そうして試合ごとにいろいろと選手を使っていくうちに、「スーパーセブン」ら若手選手を一人前に、更には超一流レベルまで育てて欲しい。「トムソンが育成したから今度は勝てる監督」ではなくて、「トムソンが蒔いて芽吹いた種を、更に育てて花を咲かせてくれる監督」にしてほしい、と思います。そしてその一方で、そろそろ後任を日本人監督が務められるようにコーチの育成もして欲しい、とも思います。その候補者は今の広島のコーチでも、あるいは他の誰でも良いのですが、例えば広島出身にして山形、大分で実績を残した石崎監督。何かのインタビューで、次はJ1の監督と言う気持ちはあるかという問いに「その前に誰か外国人監督の下について勉強したい」と語っていた記憶がありますから、そう言う人と「二人三脚」で指導して、その流れが後につながるような形を作ってほしい、と思います。
サンフレッチェは広島という地方都市にあって経済基盤が弱く、人気もあまり高くなくて金がない、と強くなる条件には恵まれていないクラブです。しかし、例えば鹿島や磐田は地方の小都市のクラブであるにも関わらず強さを維持していること、広島並の規模の地方都市にある札幌や仙台が熱狂的なファンに支えられていること、更には広島と同様にプロ野球のフランチャイズでもある地方都市の福岡で急激に観客数が伸びていること等を考えると、サンフレッチェの人気や戦力が上がらないはずがない、とも思います。今西総監督等のスタッフや選手、そして経営陣にとっては今は苦しい時期だろうとは思いますが、地道な活動が実を結ばないはずはない、と信じて頑張ってほしいと思います。
<00.8.28> 土曜日に行われたオールスターは、5-2でサンフレッチェの属する「J-WEST」が勝ちました。テレビ観戦でしたので簡単な印象ですが、中盤のプレッシャーが緩く自由にプレーできた分、ますますストイコビッチの技術の高さが目に付いた、と言う感じでした。アシストの場面、そしてFKを直接入れた場面は本当にピンポイントでボールを送ったもの。ピクシーがボールを持ったら必ずいいクロスが来る、と信じて前に走り込めるので、非常にダイナミックな攻撃の繰り返しができていました。逆にJ-EASTもそれなりに形は作れるもののフィニッシュの部分でのミスが目立ち、また「10番」中村俊輔の出来も今一つで敗れた格好。五輪代表が合宿直後だったということでコンディションが悪かった、と言うこともあるかも知れませんが、それに参加して別メニューだった楢崎が活躍していたことを考えると、あまり言い訳にはならないように思います。これから1ヶ月、五輪に向けてまたまた若手選手がクローズアップされる事が多いだろうと思いますが、Jリーグを支えているのはピクシーのような質の高い外国人選手であり、また森島のようなベテランに分類される選手だという事を忘れてはいけない、と思います。
ところでサンフレッチェから唯一オールスターに出場した上村ですが、後半から左WBとして出場していました。前半、J-WESTの左サイドが破られる事が多かったのでそこのてこ入れという意味だったのだろうと思いますが、後半はその相手の市川が左に移ってしまったので持ち味のハードタックルを見せるチャンスはありませんでした。しかしその分自由に楽しく参加していた、と言えるかも。一度など右サイドをやぶったピクシーからボールに飛び込んで惜しいヘディングシュートを放つなど、伸び伸びとプレーしていたように思います。
<00.8.28> 「高円宮杯」全日本ユース(U-18)選手権は土曜日から各地で行われ、サンフレッチェユースは1-2(前半1-1)で富山第一高校に敗れました。また、中国地域代表の多々良高校(山口)はヴェルディユースに0-3(前半0-1)で敗れました。一昨年まではユースよりも高校チームの方がどちらかと言うと優勢で優勝は高校が飾ってきましたが、昨年初めてヴィッセルのユースが優勝し、Jリーグユースのレベルアップが目に見える形になって来ていました。今年も1回戦のJユース対高校の対戦はJユースが5勝1敗で敗れたのはサンフレッチェユースだけ。そのサンフレッチェも、「広島フットボール」の掲示板の書き込みによるとほとんどの時間帯でボールを支配して優勢にゲームを進めていたそうで、今年はJユース上位が決定的になった大会、と言うことになるかも知れません。
なお、サンフレッチェユースの高校年代相手の夏の戦いはこれで終了し、9/9からの天皇杯広島県予選、そして11/5からのJユースカップが次のターゲットになります。
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