9/24〜9/30のサンフレッチェ日記



<00.9.30> 昨日、日本サッカー協会はアジアカップに向けての日本代表候補を発表し、サンフレッチェからは下田、久保の2人が選出されました。選ばれたのは次の22人。
【GK】
 高桑大二朗(鹿島)
 川口能活(横浜)
 下田崇(広島)

【DF】
 海本慶治(神戸)
 服部年宏(磐田)
○森岡隆三(清水)
○松田直樹(横浜)
○中澤佑ニ(V川崎)

【MF】
 森島寛晃(C大阪)
 名波浩(磐田)
 望月重良(京都)
○三浦淳宏(横浜)
 奥大介(磐田)
○中田英寿(ローマ)
○明神智和(柏)
○中村俊輔(横浜)
○稲本潤一(G大阪)
 小野伸二(浦和)

【FW】
 西澤明訓(C大阪)
 久保竜彦(広島)
○柳沢敦(鹿島)
○高原直泰(磐田)
ここで、例によって○印はシドニー五輪代表の選手で、重なっているのは10人となりました。逆に、代表候補キャンプに選ばれながらメンバー入りしなかったのは、怪我の楢崎、中田浩の他には上村(広島)、上野(横浜)、山田(V川崎)、伊東(清水)、本山(鹿島)、北島(柏)。シドニー前のトルシエの言葉とは違い、五輪メンバーのうち主要な選手は全て残して、不十分なところをそれ以外の選手で埋めた、と言う感じ。かつてトルシエが絶賛した伊東がメンバー落ちしたのは、五輪代表で活躍した明神に押し出されたと言うことのように思います。この事からも、シドニーで作った流れをフル代表に繋げる、と言うトルシエ監督の意図を感じます。サンフレッチェファンとしては上村の「落選」は非常に残念なのですが、これまでの流れを重視して「勝ちに行く」メンバーを選んだ、と考えれば納得せざるを得ない気もします。広島フットボールにもありましたが、ここで上村が選ばれなかったのは決して「代表選手として劣っている」と言う事ではなく、トルシエの考える戦術や22人の組み合わせに合わなかった、と言うこと。アジアカップの最終登録は10/9ですので、アトランタ五輪と同じ事(一度メンバー落ちしたが、松田の怪我でぎりぎりで追加された)が起きないとも限らない、と思います。
また、久保はすっかり「常連」として代表に定着したように見えますが、しかし合宿では靴擦れができて別メニューだったとのこと。十分にコンビネーションを確立することができたのか、ちょっと不安が残ります。期待されて代表入りして、少しずつ慣れてきた久保ではありますが、しかしそろそろ目に見える結果が欲しい。特にアジアカップは一応「格下」相手が続くだけに、ゴールという結果が欲しいところです。(まあ、サウジ等を格下扱いするのは無茶かも知れませんけど。)久保は「代表候補に選ばれて、光栄です。本大会では自分の持っているものが十分に発揮できるよう、頑張ります。また、この国際試合を通して多くを学んできたいと思います。」とのコメントを発表しています。
最後に下田ですが、正GKの楢崎の怪我のため滑り込んだ、と言う感じ。本番のゲーム以外はどんどんテストしてくるトルシエ監督のことですから、ひょっとするとJOMOカップで高桑と前後半ぐらいで分けて起用されて、出来を見てどちらかを落とす、と言うことになるかも知れません。ポジションが一つしかないGKは、少ないチャンスを確実に生かさないとなかなかレギュラー獲りは難しいのですが、下田には前川からポジションを奪ったような「運」があるように思います。ここで候補に選ばれたのはその第一歩。今後のチャンスを是非生かして欲しいと思います。下田のコメントは、次の通り。「代表候補に選ばれて、光栄です。少しでも多く試合に出場できるようアピールし、本大会で良い結果が出るよう、ベストを尽くしたいと思います。」
<00.9.29> 遅くなりましたが、先週発売の「紫熊倶楽部」Vol.17を紹介します。トップ記事は久保の「8月度AFC最優秀ゴール賞」の受賞について。更に、サンフレッチェが募集している「思い出のゴール」企画に関係して、「サンフレッチェ史上、最高に美しいゴールとは、何だ?」と言う記事でいくつかのゴールを振り返っています。
続いての記事は、森崎兄弟とともにシドニー五輪の南アフリカ戦を見る、と言う企画。広島フットボールで配信されたブラジル戦と同様に、中野編集長が森崎兄弟とともに五輪をテレビ観戦し、感想を語り合うというものです。今後のサンフだけでなく日本代表も担っていく彼らがこれを見て何を感じたのか。少なくともアテネ五輪に向けて思いはますます強くなったようです。これに続くのは「目指せ!アルゼンチンワールドユース」と言う記事で、この森崎兄弟と駒野、松下の4人が選ばれているU-19代表を取り上げています。
早川文司さんの「歴代監督物語」はバクスター編の最終回。沢田選手のコラムは、このところ選手達に流行っているというバーベキューについて。もともとは、レイソル在籍中にカレッカらブラジル人選手達が始めたのに圧倒されたところから始まったそうです。
「SUPPORTER'S AREA」を挟んで、後のカラーページの最初はサテライトのニュース。後半戦に期待される松下、宮崎、山形を取り上げています。更に久保、下田、上村が日本代表候補に選ばれた、と言う記事。これまでのアジアカップを振り返りながら、その位置づけについて語っています。
続くのはユースが天皇杯の県代表になった記事。そして最終ページの「MY SUPPORTER」は下田選手とその祖母であるミツ子さんを紹介しています。

<00.9.28> 昨日発売のサッカーマガジンは、シドニー五輪の「トルシエ・ジャパン」がメイン記事。主にアメリカ戦を検証し、トルシエの采配の是非について考えています。
あのアメリカ戦で交代枠2を残したトルシエに対し、マスコミ、あるいはネット上の書き込みでは批判の言葉が目に付きます。しかし私はそれに対しては反対で、例えば「なぜ本山を投入しなかったのか」(TVの解説の影響でしょうか、そのような意見が目立ちます)に関しては代えるべき選手がいなかったこと、あの時はむしろ酒井を含めた守備的なMFを交代させるべきだったが駒がなかった、と言う事で、トルシエを肯定する意見を持っていました。
しかし今回のサッカーマガジンの記事は、この点についてもう少し深く考えさせてくれたような気がしました。その具体的な内容については、読んで頂くのが一番いいと思いますのでここで詳しくは述べませんが、私が最も印象に残ったのは伊東編集長の巻頭言「BEFORE THE WHISTLE」です。ここで彼はトルシエを、ゲーム前に全ての準備を済ませておいてゲーム中は動かない監督である、としています。そして「トルシエとともに2002年を迎えることは、この日に感じたようなイライラを飼い馴らすことでもある」と語っています。つまり、トルシエはゲームの局面をがらっと変えるようなクリティカルな選手交代を「できない」のではなく「やらない」哲学の監督なのだ、と言うことです。
良く言われるように、監督には(表面的には)2タイプ有ります。試合に臨むまでにすべての準備を済ませ、試合では動かない監督と、ゲーム中の指示や選手交代でどんどん動かすタイプの監督です。一見、後者の方が監督として優秀な感じもしますが、しかしゲーム中に動くことはある意味ギャンブルです。今年トムソン監督が何度か川島をFWとして投入しましたが、それがうまく行くこともあれば行かないこともあったのは我々が目にしてきたとおり。逆に自分のした準備とそれを実行する選手を信じて動かずに戦う、と言うのもまた、監督としては胆力がいることだと思います。そう言う意味で、トルシエ監督がアメリカ戦で動かなかった事でその能力を云々するべき問題ではなく、我々が慣れるかどうか、と言う問題のように思います。

<00.9.28> 明日中東遠征に出発するU-19日本代表に、松下選手が追加されました。これは茂庭(湘南)が負傷のため遠征を辞退したことによるもの。DFの選手のバックアップということで松下としてはやや不本意かも知れませんが、しかしチャンスは案外こう言うところに転がっているもの。鹿島ではボランチの中田浩が、ユースでDFとして起用されて活躍し、その後フル代表にまで登り詰めた例も有るわけですし、これに倣って精一杯頑張ってほしいと思います。
<00.9.27> 昨日の報道によると、五輪から帰国後の記者会見でトルシエ監督は「五輪代表から日本代表へは7〜10人が入ることになる」と語ったそうです。五輪前には「1人か2人」と語っていたことから考えるとかなりの方向転換ですが、自身で明言していた「五輪ではメダルを取る」と言う目標が実現できなかったこと、協会の大仁技術委員長が「もっと上に行けた」と満足していないと言うコメントを残したこと等から、アジアカップを「勝ちに行く大会」として位置づけ直したのではないかと思われます。この五輪はアフリカ、欧州、南米、北中米のそれぞれの代表と対戦して2勝1分1敗の成績が残ったわけで、選手個々の力もチームとしての力も決して世界レベルから劣っていないことを示すことができたと思います。しかし逆に、圧倒する力を持っているわけでもなかったのも確か。この五輪がU-23が中心の大会で各国五輪代表の後には更に強い代表が控えていることを考えると、2002年に向けて更なるレベルアップが必要であることもまた明らかになったと思います。これまでは五輪代表の注目度が高かったわけですが、それもこれでおしまい。今後はその力をベースに世界のレベルに少しでも近づいていかなければならないわけで、そう言う意味では数少ない真剣勝負の場であるアジアカップに全力で臨み、そして少なくともアジア各国に負けない力を見せつけないとシドニーの結果が後につながらないようにも思います。そう言う意味で、ここでシドニー組も含めた代表を構成する、と言うのは正しい考え方だと思います。
さて、そうなると誰がメンバーに残るのか、そしてサンフレッチェの三人組はどうなるのかが気になるところ。この合宿からどのようなメンバーが選ばれるのか、私なりにメンバーを考えてみます。
        川口
       (下田)
    中澤  森岡  服部
   (海本)(松田)(上村)
      稲本  名波
 望月  (伊東)(上野)   三浦
(山田)           (中村)
        森島
        (奥)
         久保     西澤
       (柳沢)   (高原)
まずGKですが、楢崎は骨折で無理なので川口が第1候補。控えGKの座を下田と高桑で争うことになるでしょう。セントラルDFはシドニー組しかいないので、森岡と松田は確定的。左DFも服部は動かないところで、中田浩の怪我の状態が悪ければ上村もかなり有力だと思います。
中盤は中田英も召集の可能性があるようですが、セリエAが開幕することを考えると無理はできないと思います。また小野は怪我からの回復と調子がどれだけ上がるか、で決まるでしょう。望月、稲本、名波、それに森島と奥もこれまでの実績を考えると動かせないところ。山田が入るかどうかは彼自身が合宿でどれだけのパフォーマンスを見せるか、にかかってくると思います。左サイドは中村を休ませて本山を選ぶ、と言うパターンもありそうです。
FWは、久保と西澤は選ばれるでしょうし、またぜひ選んで欲しいと思います。シドニーでは高原が持ち味を発揮しましたが、柳沢と平瀬が世界レベルのDFを突破してゴールするだけのものを見せられなかっただけに、久保と西澤の成長に賭けたいと思います。特に久保は、そろそろ90分通して使ってみてほしいところ。これまでは徐々に出場時間が長くなって馴染んできた様子が見られるだけに、次こそフルに出場して、そしてゴールという結果を出してほしいと思います。
このアジアカップへのメンバーは、合宿終了翌日の29日に発表の予定です。
<00.9.26> 日本サッカー協会は昨日JOMOカップに出場する外国籍選手を発表し、サンフレッチェからはポポヴィッチが選出されました。
<00.9.26> 一昨日行われたJユースカップの予選リーグ第2戦、京都サンガユースとの対戦は、1-1の引き分けでした。広島ユースのメンバーは、GK:渕上、DF:宮本、流田、川端、MF:清水、古岡(→本田66分)、沖本(→秦78分)、板垣、対馬(→72分??)、FW:寺内、三山。広島の得点は寺内。見に行った人によりますと、後半ロスタイムまでは1-0でリードしていたにも関わらず気の抜けたプレーで同点にされてしまったそうです。    
<00.9.25> 広島市内に籍を置く「MUNE広島フットボールクラブ」は、ユースチームのメンバーを募集しているそうです。対象は中3から高3までの20人(応募者多数の場合はセレクション有り)。広島FCはマツダSCの監督だった宗政潤一郎氏が設立したクラブ(天皇杯予選に出場している「広島FC」と同じものかどうかは未確認)で、「多くの子供たちにサッカーをする環境を与えたい」と今年から発足。4月からジュニアユースが活動を始め、この10月からユースが新たにスタートするそうです。これまで中国地方のユース年代のクラブチームはサンフレッチェの他には廿日市FCと徳山ユースしか無かったので、この年代の底上げのためにはぜひ成功して欲しいところです。練習は府中町の青少年文化センターグラウンドなどで水金土日の週4日2時間を予定しているそうです。お問い合わせはMUNE広島FC事務局(082-281-6337)までどうぞ。
<00.9.24> メキシコ五輪以来32年ぶりに「決勝トーナメント」に進んだ日本五輪代表でしたが、アメリカのフィジカルの強さと粘りに屈し悔しいPK戦での敗退となりました。
サンフレッチェが春のキャンプを行うアデレードのハインドマーシュスタジアムに移動した日本は、前のゲームで怪我をした中田浩に代わって松田をストッパーに起用して次のような布陣だったと思います。
        楢崎

   中澤   森岡   松田

酒井    明神  稲本    中村

       中田英

    高原      柳沢
ゲームは序盤から激しくボールを追うアメリカに対して、日本がボールを回してチャンスをうかがう、と言う展開。中盤から前線の選手の速いパス回しからゴールを狙いますが、シュートが不正確で枠を捉えることができません。逆にアメリカはロングボールからサイドを突き、クロスを上げるというシンプルな攻撃を徹底します。日本は最初こそ良く走って攻撃を組み立てますが、アメリカに走らされる事で体力を消耗して徐々にペースを握られる時間が長くなっていきます。しかし、その流れを変えたのが前半28分。ペナルティエリアのすぐそばで酒井が倒されて得たFKを中村が蹴り、これがいったんは弾かれますがこの跳ね返りを再びファーサイドへクロス。これが柳沢にドンピシャで合い、そして柳沢は教科書通りに地面に叩きつけて貴重な先制点を奪いました。
後半、期待の若手ドノバンを入れて攻勢に来るアメリカ。しかし日本は速いパス回しで相手を翻弄し、相手を押し込みます。しかし、ゴール前に入り込んでもシュートを打たず、打っても枠を捉えないと言う日本らしい悪癖?が出て追加点を奪えません。ここで65分、トルシエ監督は交代カードを切ります。柳沢を下げてワントップにし、左サイドに三浦を入れると言う得意のパターンでしたが、しかしこれで守備のコンビネーションが悪くなったのかその後左サイドから攻め込まれます。そして67分、セットプレーからのこぼれをミドルレンジから蹴り込まれて同点。ここまで予選リーグで粘り強さを見せてきたアメリカが、最初にその牙をむいたシーンでした。
しかし、日本もこれで引き下がるわけには行きません。同点にされた4分後、勝ち越しゴールを奪います。三浦を起点に酒井、中村と繋いでGKの前に絶妙のクロス。これを高原がヘッドで合わせたシュートは弾かれますが、しかしこのこぼれを高原が今度は豪快に蹴り込みました。これで余裕の逃げ切りを図りたい日本でしたが、しかしアメリカは尽きないファイトを見せます。疲れのために足が止まって来た日本に対してワンタッチのパスで繋いで中盤を支配。空いたサイドを突破してクロス、あるいはDFラインの裏を狙ってロングボールという攻撃を徹底します。日本は攻撃に入ってもフィジカルで負けてボールをキープできず、やみくもに?DFラインから前に向けてボールを蹴り出すだけ。何度か訪れたピンチは楢崎が血だらけになりながらセーブし、何とか逃げきれるかと思ったロスタイム突入直前でした。ペナルティエリアに入り込んだウォルフに振り切られそうになった酒井が、後から手を出して押し倒すような形になってしまいます。日本にとっては痛恨のPKは、尽きそうになった体力を最後まで絞り出して戦っていた日本の選手にとって非常に酷なものとなってしまいました。
延長に入ると、両チームとも体力の限界に近づいてノーガードの打ち合いの様相。お互いに惜しいシュートのシーンが続きますが、足元のおぼつかない状態でのシュートは力なく、あるいは枠を外れて飛んで行きます。お互いに倒れそうになるまで120分戦い、結局PK戦での決着となりました。そしてそのPK戦は、中田英がポストに当てて外してジ・エンド。苦しい戦いを制して飛び回って喜ぶアメリカの選手の姿を、苦い思いで見守るしかありませんでした。
さて敗因についてですが、私は体力、走力や当たりの強さも含めたフィジカルの差が出たのではないか、と見ます。全体的に(特に後半以降)、アメリカにパスを回されてボールを取れない場面が多く、逆に日本のパスが弱くてカットされるシーンが目立ったのですが、これは疲れて足が止まりボールに対する一歩目の反応が遅れていた証拠でしょう。特に中盤のダイナモとしてフル出場してきた稲本、明神、あるいは酒井などの体力が尽きてしまったのが大きかったと思います。また、同様に後半以降日本選手が倒されてもホイッスルが吹かれず、アメリカの選手が倒れるとファールを取られるシーンが目に付いたのですが、これは審判の判断の基準があいまいだった訳ではなく日本選手の球際での踏ん張りが利かなくなったからだ、と思います。もともとアメリカの選手と日本選手との間にフィジカルの差があった上に、こちらは中2日で相手は中3日。実力的にアメリカが上だったとは思えませんが、しかし疲れの面や控えの選手等も含めた総合的なチームの力として、日本よりもアメリカがわずかに上回っていた、と言うように思えます。他の準々決勝の結果を見ても、ブラジル、イタリア、ナイジェリアと「優勝候補」が軒並み敗退。こう言う短い間隔で厳しいゲームが続くオリンピックで勝ち抜くためには、サッカーの技術や戦術などを越えたものが無いといけないのではないか、と思いました。
さて、これでU-23年代を中心とした代表強化のサイクルは完全に終了し、2年後のW杯に向けて再スタートとなります。この五輪では、日本のサッカーの質が決して他国に劣っていないことは分かりましたが、しかし圧倒するほど高いものでもないことも分かりました。ここを出発点としてあと2年でどこまで仕上げていくことができるか。日本サッカーのチャレンジは続くのです。
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