9/3〜9/9のサンフレッチェ日記



<00.9.9> 昨日、アジアサッカー連盟(AFC)は8月の月刊表彰各賞を発表し、「最優秀ゴール賞」に久保選手が選ばれました。この賞は1996年6月に創設されたもので、Jリーグから選ばれたのは4人目。サンフレッチェとしては初めてのものとなります。久保は「名誉ある賞を頂いて嬉しい。今後もチームを勝利に導き、個人的にも納得できるような得点を数多く取っていきたい」とコメントしていたそうです。
ところで、その受賞対象になった得点はガンバ戦でのゴールだそうです。(と言うか、8月はそれしかゴールが無い。)沢田のクロスを川島が頭で落としたところをボレーで叩き込んだシュートで、確かに美しい技術的にも高いものでした。またゲーム終盤に1点差に追いつく得点で、スタジアムを盛り上げる効果もありました。でも、あれが「最優秀ゴール」と言われると、ちょっと「?」と言う感じ。久保を見慣れているものにとってはあのぐらいのゴールは当たり前のもので、例えば横浜戦のボレーシュートなどいくらでも他に「凄い!」と思わず声が出たゴールがあるわけですから。8月はアジアは全体的に試合が少なくて、他にこれと言って凄いゴールは無かったのかな、と勘ぐりたくなりますが、しかしこれで久保がアジアの中で高く評価されたのは事実。久保にとってもサッカーで表彰されるのはもしかすると初めての事かも知れませんし、ここは素直に喜びたいと思います。
<00.9.8> 昨日のラジオ報道、及び広島フットボールによると、U-19代表の遠征に参加したサンフレッチェの4選手は火曜日に広島に戻ってきたそうです。試合の結果はU-19中国代表戦は2-1で勝ち、U-19韓国代表戦は1-1の引き分けでしたが、いずれも苦しい戦いだった、とのこと。サンフレッチェの選手は森崎浩、駒野の2人は2試合にフル出場、また森崎和は中国戦と韓国戦の後半に出場したそうですが、松下は2試合とも試合終了間際の数分間(中国戦は5分間、韓国戦は3分間とか言っていた)の出場にとどまったようです。中国相手はともかく韓国相手には技術的にも圧倒されるシーンがあったそうで、今後どうなるのか、多少心配な感じはします。ただ、今回はナビスコ杯の関係でレギュラーと目される数人の選手を欠いていた上に、中2日でアウェイの連戦という過酷な条件だったこと、そして選手自身も「環境の悪いところでどれだけできるか、が最大のテーマ」だったと語っている(森崎和)ように、この結果や内容には納得している様子。ここは一つ身体を一度ゆっくり休めて、そして9月下旬に行われる予定のU-19代表の合宿に備えてほしい、と思います。
<00.9.7> 先日話題にした京都とのプレシーズンマッチに関して、一昨日サンフレッチェなどから正式な発表がありました。日時は10/22(日)の13:30より。場所は島根県益田市の島根県立サッカー場で、このサッカー場のリニューアル記念として島根県などの主催で行われます。チケットは益田市、浜田市など周辺市町村のスポーツ店や教育委員会の他、V-POINTにて9/9から販売されます。メインスタンドのS指定は4,000円、SA指定は3,500円、バックスタンド自由席は大人2,000円、高校生1,500円、小中学生700円。10/22はサンフレッチェにとっては中国遠征の直前ですから、このメンバーに入ることができるかどうか、期待の若手選手達が競う場になりそうです。お問い合わせは島根県立サッカー場(0856-23-3644)か、島根県教育庁内に設置された「島根県立サッカー場リニューアル記念事業実行委員会」(0856-22-5424)までどうぞ。
なお、この正式発表前に新聞発表され、チケット販売までされてしまったと言うのは主催者である島根県側の不手際だったらしく、主管のサンフレッチェはサポーターからの連絡があるまで知らなかったそうです。サンフレッチェ側に落ち度は無いとは言え、少々後味の悪さを残したと言う感じがします。その分、当日は良いゲームをして取り返してほしいものです。
<00.9.6> 昨日の五輪代表対モロッコ五輪代表のゲームですが、やはりモロッコはクウェートに比べて一枚上手、と言う感じがしました。色々な場面での判断が速く、1点先制されたときには「やはりアジアの国とはちょっと違う」と思いました。しかし、今の日本の五輪代表チームのメンバーはそんなことでは全然焦らないようです。大声援を背中に受けて「ここでやらなければ」等と肩に変に力を入れることも無く、自分達の力を発揮すれば負けるはずが無い、と確信しているかのような戦いぶり。最終的に3-1になったのは、日本が6人交代できたのに対してモロッコは控えが薄かった事もあるのでそのまま実力差、と言うわけには行かないでしょうが、逆にテストを兼ねて次々と選手とポジションを入れ替えたにも関わらず一貫した戦い方ができた、と言うところに全体的なレベルアップを感じます。まだ大会も始まっていない上にホームでの壮行試合(それも相手は二流〜一流半クラス)で勝ったからと言って何かを成し遂げたわけでもなんでもなく、ここで大喜びする必要は全く無いのですが、しかし日本五輪代表がいい雰囲気のチームを作り、いい流れのままで本大会に臨むことができる、と言うのは間違いないところ。おそらく本番ではこの2試合の前半のように、攻めてもなかなか点を取れない、そして一瞬の隙を突かれて失点する、と言うパターンで90分を通しての厳しい戦いになることは間違いないでしょう。しかし大切なのは、そうなったときに如何に落ち着いていることができるか、精神的なコントロールを失わずにいれるか、だろうと思います。勝敗には時の運もあって実力的に上位のチームが勝つとは限らないのですが、しかしこれならきっと何かをやってくれるのではないか、と思わせるようなチームができあがって来ているように思います。
思い返してみれば4年前のアトランタ五輪は、やっとのことで予選を突破し、オーバーエイジを加える余裕も無いチーム作りでまずは参加することに意義がある、と言うスタンスで臨みました。(と、言っていいと思います。)結果的にブラジルを破るなどグループリーグで2勝することはできましたが、戦いぶりは腰の引けたものでしたし、またそうせざるを得ない現実があった、と思います。そう言う状況は2年前のフランスW杯も同じ。初出場国らしい初々しさを見せて「善戦」するのが精一杯。W杯の常連国との間に立ちはだかる壁の厚さを感じたものです。しかしそれから2年。ワールドユースの準優勝を経て、既に今の五輪代表選手の中には相手がどう、とか言う気持ちは無いはずです。ブラジルであろうがフランス(シドニーには出ませんが)であろうが、どことだって対等に戦える、と思っているのではないでしょうか。おそらく彼らは、グループリーグを突破できたからと言って、あるいはブラジルに勝ったからと言ってそれだけで満足することは絶対にないでしょう。それどころかメダルを取っても、それが金色で無い限り「負けて悔しい」と言って帰ってくるのではないでしょうか。五輪はW杯では無いわけで、国によってはそれほど重視していないという現実は確かにあるでしょうが、しかし若い世代が伸びつつある日本にとって、2002年に向けての重要な一里塚に成ることは間違いない、と思います。
ところで、最近マスコミに良く登場する(^_^;)トムソン監督が、昨日のハーフタイムにBSの中継のゲストとして登場していました。インタビューでは昨日紹介した「日本代表SPIRITS」の記事と同様に、日本の五輪での高い可能性を語っていました。しかし、その中で特に印象的だったのはオーバーエイジの使い方に異論を唱えていたところ。「GKとDFと、守備の強化に枠を2人も割く必要は無い」と言って、森島を選ぶべきだったと強調していました。先日の「紫熊倶楽部」によると、97年末に主力を放出した際、トムソン監督は「森島が欲しい、と思いました。彼は地元であり、強いハートを持ち、そして技術もあるし、いいストライカーでもある。彼のような選手がほしかった」と希望していたそうです。昨日の発言は、今でも彼を欲しいと思っているのかも、と思わせるようなものでした。来週、トムソン監督はオーストラリアに帰るのだろうと思いますが、ひょっとすると再び昨日のようにゲストとして、あるいは解説者としてテレビに登場するかも知れません。(ついでですが、トムソン監督の通訳として登場したのは上野コーチでしたが、これが、本職顔負けの同時通訳ぶり。トムソン監督の話が長くなっても、その内容を要領良くまとめていて感心しました。以前、通訳を兼ねていた望月コーチがいなくなって大丈夫なんだろうかと思ったこともありましたが、全然問題なかったわけですね。)
<00.9.5> 広島フットボールホームページの掲示板の書き込みによると、10/22に益田市でサンフレッチェと京都がプレシーズンマッチを行うことが決まっていて、チケットも売り出されている、と読売新聞の地域欄に書いてあったそうです。(私自身ではウラは取っていません。)しかし、メジャーなマスコミでの報道は今のところ無く、両チームのオフィシャルホームページにも何も書いていません。普通、有料でのプレシーズンマッチ(PSM)はJリーグの管轄になってそちらから正式に発表があるはず。先週のサッカーマガジンによると、10月のPSMは川崎F×FC東京の1試合のみが発表されただけとなっていますので、もしかすると読売新聞か益田市の協会あたりがフライングしたのかも知れません。たぶん、明日あたり正式発表があるのではないかと思いますが...
<00.9.5> 「日本代表SPIRITS」と言うムックが出ていますが、現在発売中のシドニー五輪の特集号にトムソン監督のインタビューが掲載されています。バルセロナ五輪に豪州代表を率いて4位になったトムソン監督ですが、この時はほとんどがセミプロの選手達で、予算も無くてシドニーでの合宿のときは監督やコーチの自宅に選手を宿泊させて行ったそうです。そう言う状況でもベスト4入りした事、そしてその後活躍した選手たちが次々と欧州のクラブに移籍できたことに関してはかなりプライドを持っている様子。今の日本選手の質を考えると、シドニーでのベスト4は十分可能であると言っています。このように内容は日本五輪代表や日本サッカーの将来についての話が中心ですが、サンフレッチェの事などにも触れています。従ってこのインタビューは、サンフレッチェのファンにとっても興味深いものではないでしょうか。
<00.9.4> サンフレッチェとバレーボールのJT、ハンドボールの湧永製薬とイズミ、バスケットボールの広島銀行が連携する組織「広島トップスポーツクラブネットワーク(トップス広島)」の記事が、9月1日付の中国新聞のコラム「アマスポーツNOW」に出ています。この「トップス広島」は地域とともに発展する、と言うJリーグの「百年構想」を共通理念として、各スポーツ組織が情報交換や観客動員などで相互協力するというもので、今年4月に全国で初めて発足しました。これまでスポーツフェスタなど色々なイベントに選手が出演したり、またサンフレッチェのゲームに他種目の選手が応援に来たりといくつか目に見える活動はありましたが、しかし「活動資金がなく、できることも限られる」(広銀の白石部長)「どんな形で地域の人にアピールするのか、具体策がない」(県ハンドボール協会の山下会長)と言う実情。全国初の試みでモデルとするものがないためか、何を目標に何をして行くのかがあいまいで進む方向に迷っている、と言う印象を受けます。サンフレッチェの久保社長は「事務局を置き、組織的に動かないと続かない。行動指針もしっかり練り直す必要がある」と語り、久保社長が理事長の久保スポーツ財団からの助成やJリーグからのお金(事務局経費程度の金は出してもいいと言っているらしい)を元に、行動の再構築を図るそうです。JOCの市原理事(湧永製薬)らは全国に同様の組織を作る構想を持っているそうで、次は名古屋を考えて動き出しているとのこと。広島が成功しないと困るとの事で、サンフレッチェがどれだけリーダーシップを取れるかが問われているようです。
企業の広告塔、として活動を支えられてきた日本のアマチュアスポーツは、不況の長期化とリストラの進行による企業のスポーツからの撤退で危機に瀕していると言っても過言ではない状態。オリンピックの金メダリストでさえ職がなくて困るという状態になっています。これに伴ってトップスポーツの競技力も明らかに低下しており、シドニー五輪の予選でもバレーボールなど出場権を獲得できない事態が続出し、シドニーの日本選手団の数はアトランタよりもかなり少なくなっているそうです。この「トップス広島」はいろいろな競技のチームが連携する事によって、企業が休・廃部をしにくい環境作りを狙うという事ですが、企業の収益アップのためには社員をクビにするのも善であると言う「リストラの思想」が蔓延している日本社会の現状がある限り、この組織が企業スポーツの縮退の歯止めにはなり得ないように感じます。企業にも地域社会や顧客に対する社会的責任があり、また社員の士気向上や福利厚生のために運動部を所有して宣伝媒体としての責任も担う、と言うのがこれまでの企業スポーツの思想でしたが、これが成り立つのは業績に余裕があるときだけでしょう。私企業の本分が利益追及にあり、それに反することを続ければ株主代表訴訟の標的にも成り得るわけですから、企業に依存するスポーツには本来的な不安定性があると言って間違いないと思います。こう言う状況から脱却するには、クラブ組織を企業から独立させること、すなわちJリーグがこれまでやって来たやり方を他のスポーツにも広げるしか無いのでは無いでしょうか。そしてこれを支える企業には側面からのサポートに徹してもらうこと。これによって、全面的にサポートするには負担が大きいと感じるような会社でも手を出しやすいような環境が作れて、そして多少の景気変動には左右されないようになり得るのではないかと思います。そしてその中でサンフレッチェのすべきことは、まずは自らの経営をしっかりしたものとして確立し、他の競技の「お手本」となることではないか、と思います。
<00.9.3> 昨日の日本五輪代表とクウェート五輪代表のゲームは前半は0-0だったものの後半に攻撃力が爆発し、特に最後の15分は集中の切れたクウェートに対して次々と得点を重ね、結局6-0で勝ちました。
前半のいわゆる「決定力不足」、あるいは2度ほど最終ラインのパスミスから決定的なピンチを迎えたことなど多少はどうかと思うところもあったものの、全体的には「よくぞここまで強くなった」と言う感慨を強く感じました。例えば4年前、アトランタ五輪の予選は本大会の3ヶ月前にあったわけですが、当時中東で(ある意味アジアで)最強だったサウジアラビアに全力を上げて戦って、やっとのことで勝って出場権を得ました。また、同じく4年前のアジア大会ではシリアに終盤の高木のゴールで勝つのが精一杯で、トーナメントの1回戦ではクウェートのカウンター攻撃にやられて0-2で敗れています。更にフランスW杯の予選では同じ組だったUAEに一度も勝てず、3位決定戦でイランに延長の末ようやく勝つなど、日本にとって中東勢は世界に出て行く前の壁とも言えるものでした。総体的に中東勢は足技に優れている上に守備が堅くてカウンターが鋭く、日本はボールを持っても「攻めさせられる」と言う状態が多いものでした。なかなか相手守備を破れないままに時間が推移し、ちょっとの隙を突かれて失点してしまう、と言うパターンばかりだったように思います。ところが昨日の日本は個人的な技術でもチームの戦術でもクウェートを圧倒。ボールを完全に支配して自由自在の攻めを展開し、クウェートは全く手も足も出ない状態でした。かつてこう言う時に感じていた「いずれやられるかもしれない」と言う雰囲気も全く無く、むしろなかなか点が取れなくても「いずれ取れるだろう」と安心して見ていることができました。ここまで素質のある選手を発掘し育ててきた若年層のカテゴリーの指導者たち、レベルの高いリーグ戦を展開して選手を一人前にしたJリーグ、そしてこれらの選手達をまとめて一つのチームに仕上げたトルシエ監督のそれぞれの功績すべてが結実してこの代表チームができた、と言えるだろうと思います。まだ本大会で結果を残す前にこんなに喜んでも仕方がないのですが、それにしてもこれだけ楽しい、見ていて面白いゲームをしてくれる(五輪)代表を持つことができる我々は、本当に幸せだと言えるのではないでしょうか。シドニーで結果が残せるかどうか、それには時の運もあってなんとも言えないと思いますが、少なくとも日本のサッカーは正しい道を歩んでいて、そして一歩一歩前進していることは間違いないと言えるのではないかと思いました。
この、五輪代表チームのサッカーを見ていて特に強く感じたのは、すべての選手が高いレベルで色々なポジションをこなせること、トルシエ監督のいう「ポリバレント」な選手が揃っていることが如何に重要か、と言う事です。先発はツートップの下に中田英、左に中村と言う布陣として点が取れないと見るや、中田英をトップ、中村をトップ下に上げたとたんに先制点。更にその後も「テスト」を兼ねてか次々と選手を入れ替えながら色々なパターンの攻めを見せてくれました。その上、西や中村、本山らの両サイドが中に絞ったり、あるいは稲本や明神だけでなく最終ラインの選手までがどんどん前線に飛び出してくるなど多様なポジションチェンジがあれだけ頻繁にできるというのは、すべての選手が有機的に動くことができ、動いたところのポジションの役割、空いたスペースを埋めた時に成すべきことがしっかりと理解されているからこそ。これこそが、選手のポリバレント性を重視するトルシエ戦術の本当の意味なのではないか、と言う気がします。
このシドニー五輪のメンバーに、サンフレッチェからは残念ながら一人も選ばれることはありませんでしたが、これはチームの調子の問題、候補選手の調子の悪さだけでなく、選手一人一人が特定のポジションだけでなくいろいろなところで水準以上の働きができるところを見せていない、と言うところに問題があるような気がします。サンフレッチェが「強豪クラブ」を目指すためには、日本サッカーの「象徴」である代表のサッカーを体現できるチームに、今後脱皮していく必要があるのかも知れません。幸い、サンフレッチェには次代の代表を担うであろう有望な若手選手が沢山います。彼らが今後もっと上のカテゴリーの代表に主力として定着していくためには、サンフレッチェのサッカーもそう言う風に変わっていく必要があるのかも。残念ながらトムソン監督にはその仕事はできませんでしたが、次の監督にはぜひ、昨日の五輪代表のような見ていて面白いサッカーを実現できるチームを作ってほしい、と思います。
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