1/7〜1/13のサンフレッチェ日記



<01.1.13> 「今さらシリーズ」その2として、天皇杯の決勝を取り上げます。と言ってもまだ前半しか見ていないのですが、特に物議をかもした鹿島の先制点についての私の意見を述べます。問題のシーンは前半41分、ペナルティエリアのやや外、右45度あたりで鹿島がもらったFKのチャンスでした。ポイントに行ってボールをセットする小笠原。清水の選手は4〜5人で壁を作ろうとし、GK真田はゴールポストの右に立って壁の指示を出します。主審はボールの位置を確認すると下がります。そして、その一瞬の隙を突いてボールを蹴ったのが小笠原。ぽっかり空いたゴールの左隅に向けてまるでループパスのようなボールを送るとそのままゴールに吸い込まれました。一瞬あっけにとられる清水の選手、そして観客。鹿島のベンチでさえ何が起きたか分からず、一拍置いての歓喜の爆発でした。
このゴール、いろいろな世間の風評を聞くと「鹿島のこすっからさ」を非難する論調も多いようです。また、あそこで笛を吹いてボールを止めなかった主審に対する批判もあるようです。確かに「フットボールの美学」「美しいサッカー」を求める立場からすれば、21世紀最初のゴールがあれでは残念、と言う気持ちが先に立つのも分かるような気はします。特に鹿島は天皇杯だけでなく、リーグもナビスコも制したチャンピオンです。横綱なら横綱らしい、もっと堂々とした相撲を取るべきだ、と言うのが普通の日本人的な感覚のようにも思います。しかしです。サッカーはインターナショナルなスポーツです。いくら日本国内で勝つ事ができても、国際試合で勝てなければ意味は半減してしまいます。国際試合の場では、見えないところでファウルを繰り返す選手、相手の隙を突いてちょっとでも自分達に有利に進めようとする選手、そしてそれを曖昧な判定基準で見逃す審判ばかり、と言ってもいいでしょう。そう言う中、これまでの日本の選手はどちらかと言うと「バカ正直」なやり方で損をする事が多かった。それが国内のゲームとは言え、日本人選手が相手の隙を突いて得点する、と言う芸当ができるようになった事は、逆に「成長した」と言えないことは無い、と思います。これは鹿島のチーム作りをしたサッカー先進国ブラジルからの「ジーコ先生」を始めとする指導者たちの成果である、と言って良いように思います。
ただ、だからと言ってこの鹿島のような「ブラジルスタイル」が日本のスタイルとして定着し、それが全てになる事を私は肯定はしません。ブラジルのサッカーは、世界のサッカーの流れからすれば「一面の真理」でしかありません。他の一方には、例えばイングランドやスコットランド等のようなフェアプレーを旨とした謹厳実直なサッカーもあるわけです。まだサッカーでは発展途上国である日本にとって、自分達のスタイルを確立するのはまだまだ先だ、と思いますが、サッカーのスタイルは国民性を反映することを考えれば、誰も通らない道でも赤信号を守って停車する国=日本には、「ブラジルスタイル」が最適だとはどうしても思えないのです。
鹿島の1点目は、ルール上は全く問題無いはずです。審判は笛を吹いてFKを指示しただけで、プレーを止めたわけではありませんから鹿島はいつ蹴っても良いはずです。清水は壁をちゃんと作りたかったのなら、誰か1人がボールサイドに寄って行ってすぐに蹴るのを邪魔しておいて、審判に笛を吹かせる必要があったわけで、それをしなかったのがミスだったのです。思うに日本のサッカーは、こう言う清水のようなミスを無くさなければならない、と思います。ゲーム中に常に集中を保つこと。相手がどんなプレーをし、審判がどんな笛を吹こうとも冷静さを失わないこと。そんなサッカーのスタイルが、日本人の国民性にも合っているように思います。そう言う意味では天皇杯の決勝で、清水がすぐに切り替えて前半ロスタイムに追いついたことは、非常に素晴らしいことだったと言えるのではないでしょうか。
<01.1.12> サンフレッチェは昨日、今季の背番号を次のように発表しました。
新背番号(旧) 選手名(◎は新加入、△は移籍、□は復帰)
  1  GK 下田崇
  2(16)DF 川島眞也
  3  MF 沢田謙太郎
  4  MF 桑原裕義
  5(23)MF 駒野友一
 △6  DF 奥野僚右
  7  MF 森保一
  8(20)MF 森崎和幸
  9(34)MF スティーブ・コリカ
  10  FW 久保竜彦
  11  MF 藤本主税
  12     (未定)
  13(12)GK 加藤竜二
  14  FW 高橋泰
  15(22)MF 森崎浩司
 ◎16  FW 梅田直哉
  17  MF 服部公太
  18  DF トニー・ポポヴィッチ
  19  DF 上村健一
 □20  FW 大木勉
 ◎21  GK 林卓人
 ◎22  DF 河野淳吾
 ◎23  DF トゥーリオ
 ◎24  MF 西嶋弘之
  25  MF 山形恭平
  26  MF 松下裕樹
  27  FW 中山元気
  28  DF 八田康介
  29  FW 吉田幸生
  30  MF 宮崎光平
 ◎31  FW 寺内良太
 ◎32  MF 李漢宰
なお、未定の12番は「広島フットボール」によるとサポーターの番号として空けておく、と言う事だそうですが、確か以前森保選手の7を空けておこうとしたところ「欠番を作るな」と言うJリーグからの指導があって諦めた、と言う経緯があったはずです。単にJリーグの方針が変わっただけかも知れませんが、ひょっとすると移籍で誰か獲得する可能性が残っている、と言うことなのかも知れません。
<01.1.11> 昨日の「日本代表ニュース」に「東京Vが池端の広島復帰を発表」と出ていたのでどう言うことかと思っていたのですが、今朝の中国新聞によると池端は一端サンフレッチェに戻った上で、改めて大分へのレンタルと言うことになったようです。2年連続でわずかの差でJ1昇格を逃した大分は、今季こそはぶっちぎりで昇格をと言うことでかなり気合いを入れているそうです。昨年はレンタルの選手が多く、また途中からの緊急補強も多く戦力が落ち着かない印象がありましたが、今季は前川、山根、金本の他にも和田、吉村らも正式移籍させ、更に「大物外国人」の元ベルギー代表主将スターレンスを獲得するなど意欲的に補強を進めています。池端はこのスターレンスや三木、吉村、若松らとポジションを争うことになりますが、FWやMFに比べると層が薄いのでレギュラー獲得の可能性はある、と思います。サンフレッチェでは出場機会が少なかった山根や金本が大分で大きく伸びたように、池端にも是非チャンスをつかんで成長してほしいと思います。
<01.1.11> 先週末に川越と春野で行われた「地域リーグ決勝大会」に中国地域リーグ代表として出場したSC鳥取は、予選リーグのTDK戦に0-0からのPK戦の末勝ち、また「雪上決戦」となった北海道電力戦を3-1でものにして決勝トーナメント進出を決めました。決勝トーナメントは今週末に行われる予定ですが、SC鳥取の相手はたぶん佐川急便東京。予選リーグでは愛媛FCを5-0、上田ジェンシャンを6-0で下しており、今大会の「本命」の一つです。ここで勝つ事ができれば山陰勢では初となるJFL入りの権利が得られるだけに、何とか頑張ってほしいところです。
<01.1.10> 一昨日行われた高校選手権の決勝は、テレビで国見の2点目の前ぐらいから見ました。国見のボールホルダーに対する集散の速さ、両サイドのスピードを生かした攻撃、大久保のキープ力とシュート力など全ての点で草津東を上回り、3-0と言う点差通りの圧勝でした。特に国見の松橋のスピードと、トップスピードでボールを進めながら周りを見る余裕、更に正確にクロスを入れる技術の高さには感心しました。ただそのチームとしてのサッカーの質の点から言うとどうでしょう?とにかく試合全体を通して前へ、前へ進むだけのサッカーで、その落ち着きの無さは例えば一昔前の日韓戦を見るかのよう。国見は点差を考えてもう少し落ち着いてボールを回す時間帯があってもいいのに、と思ってしまいました。また草津東はとにかくゴール前へ、そしてシュートをと言う意識が強すぎた感じで、ボールの動くスピードに技術が付いて行けずにミスを繰り返していました。どちらも「勝ちたい」と言う気持ちが強いのは分からないのでも無いのですが、前後半80分、それも連戦の疲れが溜まっている状態で、あのようなサッカーをするような育て方をして、将来につながるのかどうか。国見の小嶺総監督は「自分のサッカーは古い」と自覚しつつも「個人の能力を最大限に生かすサッカー」を、と言うことであのようなスタイルを作ったそうですが、確かに昨年の決勝、特に市立船橋のサッカーの美しさと比較すると異質な感じを受けました。今回の大会で得点王となった大久保はC大阪入りが決まり将来が嘱望され、また進路未定だった松橋も各チームからラブコールを受けているそうですが、チームの「王様」だった大久保や「サイドアタッカー」としてのスペシャリストだった松橋がプロ入りして、現代サッカーで不可欠な多様性(複数のポジションをこなせる、他のポジションの動きを理解できる能力)を発揮する事ができるかどうか。そこが、今回の国見のサッカーの是非を問う上でのポイントになりそうな気がします。
<01.1.9> 今朝の中国新聞によると、ヴァレリー監督を支えるコーチ陣が昨日までに決まり、ヘッドコーチにユース監督の木村孝洋氏、またGKコーチには日本代表のコーチを務めていた望月一頼氏が就任することになりました。また、フランスW杯における日本代表の対戦国スカウティング担当だった影山雅永氏の招聘も決まった、とのことです。
<01.1.9> 昨日の日刊スポーツによると、1/29から高知でキャンプを行うヴィッセル神戸は2/17のプレシーズンマッチでサンフレッチェと対戦する可能性があるそうです。まだ正式発表ではなく高知県サッカー協会の先走り?のようですが、神戸入りした「カズ効果」への期待につい口が滑ったのかも知れません。昨年のサンフは2/23のヴェルディとの練習試合が初の実戦でしたが、調整の遅れが目立ち開幕ダッシュに失敗した原因ともなっていました。(因みに一昨年は2/18が初戦。)従って、1/15のキャンプインから1ヶ月後のこの時期の実戦は時期的にはちょうど良いようにも思います。また、大学生にとってはちょうど春休みが始まる頃でもありますし、高知への小旅行に手ごろかも知れません。
<01.1.8> 先日紹介した中国新聞の特集記事「地域、元気に」の今朝の記事に、カープ、サンフレッチェ、広響の「3つのプロ集団」に関連する内容が出ています。ここに注目するのは電通西日本広島支社の白石支社長。「『三プロ』こそ広島都市圏の元気のもとになる。公共資源だととらえ、思い切った公的な財政支援を行えばよい。市民も支援基金を積み立てるなどして支えられないか。プロの存在は地元への経済効果が大きいのに、それを引き出していない」と語ります。
これに関連して3面には「サンフレ・カープ・広響 欠かせぬ公的支援」と言う記事がジュビロ戦の風景の写真(「久々に入場者が2万人を超えたJリーグのサンフレ-ジュビロ戦」と言うキャプション入り)と共に出ています。ここではジュビロ戦では5年ぶりに2万人以上の動員をしたが1試合平均入場者数が9,309人にとどまった事を最初に取り上げています。(記事では「前季を2千人余り下回った」とありますが、これは「2百人近く」の誤りでは?)ここで指摘するのはビッグアーチの使用料の高さ。1試合平均3百万円近い料金の減免を、クラブは再三にわたり広島市に要請してきたそうです。しかし市の態度は冷たいもので、「サンフレも一民間会社。有料興行なので、特別に料金を下げるのは難しい」と言って受け付けておらず、クラブとしては広島スタジアムでの開催を増やす方針だ、とのことです。
これに比べて福岡市の態度は対照的。ホームスタジアムの博多の森球技場の使用料を、一昨年から特別に一試合約190万円に値下げ。その上、市の各局が年間7千万円の広告を出して財政支援をしているそうです。「行政の支援は手厚い。それができるのも、球団を静岡県藤枝市から誘致した市民の間に、何とか独り立ちをと言う盛り上がりがあるから」とアビスパの運営会社の総務部長は語っていますが、しかし「市民の盛り上がりでクラブを作った」と言う意味ではサンフレッチェも同じ。Jリーグ立ち上げ時に参入の意志がなかったマツダを動かしたのは、「広島にもプロサッカークラブを」と動いた市民の力でした。「西鉄ライオンズを失った苦い経験」を生かしている福岡市と、「カープを救った苦しい経験」を生かしているとは思えない広島市。広響に関しても、広島県と広島市が支出している助成金2億4千万円は九州交響楽団への福岡県、福岡市、北九州市の助成に比べ3分の2ほどであるにも関わらず「特定団体への支援はどうか」と疑問視する声があるそうです。
かつて「軍都」として栄え、その後「マツダの城下町」として発展した広島市は、このところのマツダのリストラで街の活力を失ってきています。しかし、それは逆に言えばこれまでの「街のイメージ」を変えるチャンスだとも言えるでしょう。過去から現在にわたって一流スポーツ選手や有名タレント・文化人などを多数輩出し続けている「文化都市・広島」にとって、これら3つのプロ集団は「象徴」としての役割を果たすことができるはず。そのためには、サンフレッチェを「一民間会社」と言う市の考え方自体を変えてもらわないといけない、と思います。
<01.1.7> お正月休みの間は事情でサッカーはほとんど見れなかったので、広島に戻ってきてからビデオを見ています。と言うことで、いまさら、と言う感じではありますが新年になってからのサッカーの感想を書きます。
まずは「日韓選抜×世界選抜」。欧米などで世界選抜が関係するゲームを行う時には、何か名目が付くのが普通ですが、このゲームは冠に「アクセンチュア」と企業名(って、結局これは何の会社だったんだろう?)が付いている事からも分かるように、チャリティでも何でもないただの宣伝用のゲーム。一応、2002年の日韓共催W杯に向けて初めて日本の選手と韓国の選手がチームを組む、と言う名目はありましたが、現実にはJリーグの多くのチームに韓国代表選手が在籍して日常的にプレーしているわけで、特に目新しさは感じられませんでした。
また、内容的にも今一つでした。この手のゲームは「お祭り」ですから、お互いに守備をあまり厳しくしないのが普通。実際に両監督とも3-4-3の攻撃的な陣形を採用し、スリリングなゴール前のシーンの連続を期待して選手を送り出したのだろう、と思います。しかし、終わってみれば1-1と何の変哲も無い結果で、ゴールはいずれもMFからでした。これは、度々決定的なシーンを外した日韓選抜側のFW(特に崔龍洙!)の下手さと世界選抜側のFWのレベルの低さを表していたように思います。世界選抜は、いろいろと話題になったように元々招待していた選手から次々と断られ、バックアップ級の選手ばかり。一人一人の選手のレベルが低い、と言う訳では無くそれなりに良いプレーは見せていましたが、やはりゴール前で輝く選手がいなかった事が致命的でした。あのメンバーなら、ストイコビッチなどJリーグ在籍の選手を入れた方が良かったかも知れません。
と言うことで、せっかくのお正月の大イベントは期待外れに終わったと言う感が強いのですが、しかしこう言う「世界選抜戦」が日本で初めて開かれてそれなりに人を集めた、と言う事は意味はあるでしょう。何と言っても、日本は世界ではまだまだサッカー後進国で、サッカーで人を集めれるようになったのはごく最近の事なのですから。
 SANFRECCE Diaryトップページに戻る