4/15〜4/21のSANFRECCE Diary



<01.4.20> 南米遠征中のU-20日本代表は、18日にU-20アルゼンチン代表、19日にリバープレートU-20と対戦し、いずれも1-3で敗れました。因みにアルゼンチン戦のメンバーは、GK:岩丸、DF:中澤(→今野69分)、羽田、池田(→佐藤寿75分)、MF:青木、森崎和(→森崎浩54分)、石川、駒野、FW:山瀬、大久保(→野沢46分)、前田(→田原54分)。日本が前半31分に先制したものの、後半の森崎浩、田原の投入後に3点を奪われて逆転負けしたようです。なお、今週号のサッカーマガジンに森崎和幸選手のインタビューが掲載されています。そのインタビュー全文を、Webサッカーマガジンで読むことができますのでご覧下さい。
<01.4.19> 昨日、ネット上のあちこちの掲示板をいくつか見たのですが、新潟戦について否定的な意見が多かったのに驚きました。極端なものになると「新潟の方が良いサッカーだった」と言うものまであったのですが、私にはとてもそうは思えません。昨日私も書いたように、確かに後半、特に選手を交代してからはかなりボールを回され、何度も危ないピンチがありました。前半のサッカーを見れば、とても2点だけに終わるような展開ではなかっただけに、何となく不満が残ったままスタジアムを後にした人が多かった、と言うのも分かる気はします。しかしこのゲーム全体の流れと意味を考えると、ああいう形のゲームになったのは当然だし、それは許容範囲であると私は思います。
まず、このゲームの第一の獲得目標は何だったか、と言うとそれは「1回戦勝ち抜き」だったわけです。主力メンバー9人を欠いて、今季初めてベンチ入りした選手が3人。1st legでは2-0で勝っているため有利だったとは言え、早い時間帯に得点を許せば精神的に劣勢になっても不思議ではない、と言う状況でした。とりわけ土曜日の福岡戦ではチームの形が崩れて立て直しが急務となっており、いろいろと心配な点の多いゲームだったわけです。ところが、試合は前半から広島ペース。良い時間帯に先制点、そして追加点をあげて2-0とリードし、5点取られなければ負けない、と言う状況になったわけです。これで気を緩めて良い、と言うわけではもちろんありませんが、そもそもサッカーは90分間全力で走り回ることは不可能なスポーツです。獲得目標である勝ち抜きが見えてきた状態で、ある程度「流す」プレーが出てくるのは仕方のないことだし、むしろ長いシーズンを戦う上では必要なことである、とも言えます。特に後半は新潟も「とにかく1点取ろう」と意思統一して前懸かりになって来ており、これを受けてやや下がり気味となってカウンター中心の攻めになるのもまた当然の流れ。実際、こちらも前半よりも後半の方が決定機は多かったわけですから、そう言う戦術が悪かった、と言うことは決してないと思います。また、選手の「戦う気持ち」も試合終了まで切れてはいなかったようにも見えました。特に森保選手の奮闘ぶりは端から見ていて「そんなに動いて大丈夫?」と心配になるほど。藤本、桑原等も最後まで精力的に動いていましたし、また宮崎のミスを恐れずにどんどんチャレンジする姿も小気味良く感じました。何度かあった決定的なチャンスに決められなかったのは残念でしたが、それもサッカーでは良くあること。そのへんは今後の課題として、修正していけば良いことだと思います。
そんな中、残念だった事があるとすれば、せっかくチャンスをもらいながら生かせなかった交代選手のパフォーマンスでしょう。とりわけ、個人的には松下選手のプレーぶりにはがっかりさせられました。一応、ピッチの中央には居るものの守備も攻撃も中途半端。動きの量も質も悪く、とても桑原、森保らの代役にはなり得ないように思いました。ヴァレリー監督のサッカーは、中盤がいかに効率的に動くかが決定的に重要です。守備者としては、相手のDFラインから自陣の最終ラインの前までをカバーし、中盤のプレスを緩めないこと。攻撃に入ったときにはトップの選手やサイドの選手をフォローして、少ないタッチのパスでリズムを作ること。松下が今後ポジションを取るためには、そのへんの運動量と質を飛躍的に高めなければ、難しいのではないかという気がします。広島フットボールによると、藤本選手も「若いヤツらのプレーがねー、すっごく緩慢なんよ」と不満を述べていたそうですがまさにその通り。今は桑原、森保がいるから良いとしても、いずれは松下らがポジションを引き継が無ければならないのです。この試合で失敗したことはもう済んでしまったことですが、忘れてしまってはいけないことだ、と思います。良く反省して、そして今後の成長につなげて欲しいと思います。
<01.4.19> 主力メンバーの欠場でどんなゲームになるか心配された昨日の新潟戦でしたが、ふたを開けてみれば良い時間帯に得点をあげて2-0での勝利。リーグ戦での鬱憤を晴らす形となりました。
メンバーですが、攻撃的か守備的かというとどちらかと守備重視型。3バックの前にボランチを2人並べ、「トップ下」のない次のような布陣でした。
        下田
      
  トゥーリオ 奥野  八田

沢田               宮崎
     森保    桑原
  
  藤本           高橋
        久保

SUB:加藤、松下、山形、大木、中山
これで果たして攻撃が組み立てられるのか心配されたのですが、しかし始まってみるとそれは杞憂に終わります。両サイドのFWの藤本と高橋が上下動を繰り返して守備と攻撃の組み立てに貢献し、また森保と桑原も頻繁に前線に顔を出すなどして相手の中盤にスペースを与えません。序盤からボールを完全に支配し、ワンタッチのパスが良くつながり相手をゴール前に押し込みます。特に久保、藤本、高橋の動きは秀逸で、まるで相手からマークを受けていないかのような自在なプレーを見せます。先制点は前半11分。奥野が右サイドに出てきてパスを出すと、沢田はいったんそれを桑原に戻して爆発的なダッシュ。桑原はダイレクトで前のスペースに出し、これを受けた沢田が右サイドの奥深くから鋭いクロスを中央に送ります。そしてここに飛び込んだ高橋が右足のボレーシュートを決めました。2点目は26分。左サイドでボールをキープした高橋が流れて来た藤本へ渡します。その瞬間にDFの裏に向けて動き出す久保。藤本はこれを見て右足で鋭く曲がり落ちるボールをDFラインとGKの間に落とします。これを久保が頭で叩き込んで、2回戦進出を決定付けるゴールを決めました。これ以外にもトゥーリオが、あるいは宮崎が決定的なシュートを放つなど前半は圧倒的な攻勢。ピンチと言えば1度CKからフリーでヘディングを打たれたのと、久保が自陣に向かってドリブルしたあげくに出したパスが下田と合わなかったシーンぐらいのもの。ここまで来れば、後の楽しみは若手がどれだけやるかだろう、と思われるような展開でした。
後半になると新潟はほとんど何もしていなかった黒崎に代えてリンドマールを、また深沢に代えて長谷川を入れて立て直しを図ります。逆に広島はトップとDFラインの間にスペースができる「悪癖」が出てしまい、何度かピンチを迎えます。特に後半12分に沢田、久保に代えて松下、中山を投入してからがだめ。新潟にボールを支配され、何度も崩されてピンチを迎え、決定的シュートを打たれて下田がファインセーブで凌ぐ、と言う展開が続きます。逆にサンフレッチェは藤本の頑張りから何度かチャンスを作りますが、シュートが不正確だったりでなかなか追加点が奪えないままに終わります。因みに後半12分以降の布陣はこんな感じ。
        下田
      
  トゥーリオ 奥野  八田

森保               宮崎
     松下    桑原
  
  藤本           高橋(→大木66分)
        中山
松下は中盤の真ん中にいるもののほとんどボールに絡むことなく、パスを受けても繋ぎばかりでいないも同然でした。中山は競り合えず、キープできずで、藤本がロングドリブルで突っかけて作った決定的チャンスもヘナヘナシュートでふいにし、また森保のクロスにもわずかに合わせられないなどほとんど役に立ちませんでした。その点では大木も同様で、結果的には途中の選手交代は「誰が使えないか」を試すためのテストになったと言う感じ。若手選手はミスばかりが目立ち、むしろ頑張りが目立ったのは森保、桑原、奥野、藤本らのベテラン選手の方でした。特に森保は攻撃時にはスペースでフリーになってボールを呼び、相手ボールになるといち早く危険を察知してゴール前でクリアするなど獅子奮迅の活躍で、まだまだ若手選手とは差がある、と言うことを見せつけるようなプレーぶりでした。このところチーム状態が悪いためファン・サポーターからは「若手待望論」も出ていましたが、練習ではともかく試合で出せる力にはまだまだ差がある、と言うことを感じざるを得ませんでした。
と言うことで、後半の出来にはやや不満も残りましたが、しかしゲーム前にはかなり心配していた事を考えれば上出来の部類、と言えるのではないでしょうか。今年に入ってこれまでのリーグ戦・カップ戦の7試合で22人が起用され、梅田、トゥーリオ、八田、宮崎、中山がデビューを果たすなど新戦力の洗い出しもだいたい済んだように思います。この日も採用した3-4-3は相変わらず45分程度しか保たない等課題も見え隠れしていますが、しかし選手をある程度固定して熟成すれば何とかなるのではないか、と言う希望も見えたように思います。この勝利を糧として、今度はリーグ戦で結果を出してほしい、と思います。
<01.4.18> 昨夜配信の広島フットボール、及び今朝の中国新聞によるとやはり服部は無理。左サイドのポジションには宮崎が入ることになります。今日出場できない選手を数えると、ポポヴィッチ、コリカ、森崎和、森崎浩、駒野、服部、梅田、川島、上村と何と9人にも上り、普通ならもうチームにならないところ。ヴァレリー監督も頭を痛めている様子で、3バックで行くか4バックにするか、攻撃的に行くのか守りを固めてカウンターを狙うのか決めかねているようです。1点差なら負けてもよい、ということで普通なら守りを固める戦術を選びそうですが、しかし実際に90分間守りきるには精神的な成熟度が必要とされるもの。経験の少ない若手を起用するなら、むしろ積極策を取ったほうがやりやすいかもしれません。広島フットボールによるとベンチ入りが期待される中山や山形も燃えているそうですし、そのような若い力を有効に使って欲しい、と思います。今日のキックオフは7時に広島スタジアム。天気予報は曇り所により一時雨となっていますので、雨具のご用意も忘れずに。
<01.4.17> 明日はナビスコ杯1回戦の2nd legが広島スタジアムで行われます。1st legでは新潟の出足の鋭さに戸惑いながらも実力差を見せて2-0での勝利。明日は敗れても1点差以内ならOK、と言う比較的楽な状況ではありますが、しかしだからと言って気を抜いて戦えばだめだ、と言うのは昨年の山形戦で既に味わった通り。むしろ14位に転落してしまったチームの立て直しのための第一歩として、戦う姿勢を見せて欲しいと思います。
メンバーですが、上村が出場停止、U-20代表組は遠征で不在でおそらく豪州代表組も無理。そう考えると出れる選手自体限られるので、いる選手でやりくりするしかなさそうです。むしろ焦点は3バックか4バックかと言うことですが、3バックはその弱点があらわになって来ているだけに、そろそろ本来のシステムに戻して欲しい、と思います。
       下田

   トゥーリオ 奥野
沢田            服部
    森保    桑原

       山形

  藤本   久保   高橋

SUB:加藤、八田、宮崎、松下、大木
ここで問題なのは、前節かかとを痛めて途中交代した服部が出れるかどうかと、トップ下を誰にするか。服部が出れない場合は宮崎をサイドで使うと言う手が考えられます。トップ下は山形の調子次第。もしトップチームで使うレベルに無い、と言うようであれば、藤本を下げるかあるいは松下を使う可能性もありそうです。繰り返しになりますが、ここで出る選手、チャンスを与えられる選手には全力のプレーを見せて欲しい。観客は少ないかも知れませんが、そこに来るほどのコアなファンが満足できるような、熱いゲームを見せて欲しい。それが、今のサンフレッチェの危機を救う唯一の道だと思います。
<01.4.17> 昨日日本サッカー協会はスペイン遠征に参加する日本代表22人を発表し、広島からは久保、上村の二人が選ばれました。前回のフランス遠征の大敗を受け、対人守備に強い選手を招集。また、Jリーグでの調子の良し悪しを選出の基準としていた模様で中村、城、小野らが外れ藤田、奥、中山などが選ばれています。
【GK】楢崎(名古屋)、川口(横浜M)
【DF】服部(磐田)、上村(広島)、森岡(清水)、波戸、松田(横浜M)、中澤(東京V)、中田浩(鹿島)
【MF】藤田、名波、奥(磐田)、伊東、戸田(清水)、中田英(ローマ)、明神(柏)、稲本(G大阪)
【FW】中山、高原(磐田)、鈴木(鹿島)、西沢(エスパニョール)、久保(広島)
ここで初のA代表選出となった上村は、「最後まで残ったのは初めてだけにうれしい」と素直に喜び、「まずは試合に出て、何を感じて帰るかが重要。...代表から帰ったら違うと言ってもらえるようになりたい」と語っていたそうです。これまで何度か代表候補に選ばれながら最終的に落ちていた事からすれば、一歩前進。リーグでは出場停止の連発でチームに今一つ貢献できていない感じですし、その分を取り返すような活躍を見せて欲しいものです。また、久保はアジア杯以来半年ぶりの選出。今回のFW陣を見るととりあえずは高原、西沢のツートップが有力ではないかと見られますが、西沢は全くゲームに出ておらず勘が戻っていない可能性もあるので早めの出番があるかも。福岡戦でPKを蹴るなどこのところ出てきた積極性を見せれば、「代表初ゴール」も見れるかも知れません。ただ、個人的には久保は今回は選ばれなくても良かったのに、と言う気持ちもあります。チームは結果が出せずに苦しんでいるところで、スペイン戦の4日後には「裏天王山」とも言うべき横浜M戦があります。これにむけての練習をエース不在で行わなければならない、と言うのが問題の一つ。更に久保自身も柏戦で腰を抑えながら途中交代した事でも分かるように、決して万全の体調ではありません。代表のユニフォームを着るからには誇りをもって戦ってきて欲しい、と言うのは当然ですが、しかし決して無理をしないよう、気をつけて遠征してきて欲しいと思います。
<01.4.17> 今朝の中国新聞によると、9日から練習に参加していたデリバシッチは獲得しないことに決定した、とのことです。紅白戦で得点をあげたものの、チームの求めるレベルには達していない、と判断されたそうです。
<01.4.17> 日曜日に行われたサテライトの福岡戦は、ゲーム終了直前に決勝点を奪われ3-4(前半2-3)で敗れました。サンフレッチェのメンバーは、GK:林、DF:八田、西嶋、宮崎(→宮本45分)、李、MF:松下、山形、大木、FW:吉田、藤本(→川端45分)、中山、SUB:古川、沖本。代表選出などでメンバーが足りないためかなり苦しいメンバー構成を強いられた模様。福岡がどんなメンバーだったか、試合内容がどうだったか良く分からないのですが、シュート数などを見てもほぼ対等だったようです。なお、ゴールをあげたのは中山(19分)、OG(44分)、山形(80分)でした。
<01.4.16> 先週発売の「紫熊倶楽部」Vol.31は、まずは札幌戦、新潟戦、柏戦のレポート。久保のビューティフルなゴールで今季初勝利を収めた札幌戦、服部が輝いた新潟戦、そして敗れはしたものの「誇りに思った」と言う柏戦を振り返っています。そして福岡戦と今週水曜日のナビスコ杯1回戦2nd legの展望記事が続きます。特集は「広島を変えろ!ティーンエイジ・フットボーラー。」と題して、今年から存在感を増してきている若手選手の代表として駒野、森崎兄弟、そしてトゥーリオと八田を取り上げています。コラムは「サポーターから」と「バックルームから愛を込めて。」の2本。「紫熊短信」と「SUPPORTER'S AREA」が最後を締めています。
ところで、ボリュームアップして本誌価格が280円から350円になった紫熊倶楽部ですが、年間講読料は8750円になりました。改定前と同様に、1冊分お得になっています。もちろん、ファンクラブ会員の割引きや広島フットボールとのセット割引きもあります。「紫熊倶楽部」と「広島フットボール」は全国で唯一のサンフレッチェ専門メディア。こんな事を書くのは失礼かも知れませんが、大きな企業のバックアップがあるわけでは無いので我々ファン、サポーターが支えなければ潰れてしまうかも知れません。他のメディアでは絶対に得られないレアな情報を継続的に読みたい方は、ぜひとも定期購読を。お申し込みは紫熊倶楽部・広島フットボールホームページからどうぞ。
<01.4.16> W杯オセアニア地区1次予選1組3日目、この組最大のライバルであるフィジーと対戦した豪州代表は、2-0で勝って勝ち抜きをほぼ決めました。ポポヴィッチ、コリカに加えてフォックスも先発。序盤から全体として豪州のペースだったようで、先制点は前半23分。左サイドからのクロスにコリカが合わせ、GKが弾いたボールを再び押し込んだものだそうです。追加点は後半35分。ショートコーナーからコリカがクロスを入れ、こぼれ球をフォックスが押し込みました。豪州代表の最終戦は明日。サモアとの対戦となります。
<01.4.15> 前節感動的な戦いを繰り広げたサンフレッチェはどこに行ってしまったのか。昨日の広島スタジアムでの福岡戦は、悔しさと虚しさの残る2-3の敗戦となりました。
藤本の出場停止と梅田の怪我でFWのメンバーが足りなかったため、今季初めて2トップとして次のような布陣でのスタートでした。
         下田

    上村   奥野 トゥーリオ

駒野     沢田  桑原     服部(→宮崎30分)

         森崎和(→森保68分)

      久保    高橋

SUB:加藤、森崎浩、大木
これまで2試合と同様にツートップにマーカーを付けてリベロの奥野を余らせ、その前にダブルボランチの壁を築いた守備的な布陣は、序盤からあまり機能しません。両サイドを中払とビスコンティに使われ、バデアと山下、服部のポジションチェンジにも対応できず福岡にボールを支配されます。逆に攻撃は単発的。駒野のセットプレー、あるいは突破からのボールで何度かチャンスはあったもののパスをつなぐ事ができず、DFラインから蹴り出してはね返される、と言うパターンが続きます。30分には服部が右かかとを痛めて下がり、代わって入った宮崎をFWに入れてやり慣れた3トップに戻しますが、機能していない中盤を更に薄くしてどうするの?と言う感じ。36分にはペナルティエリア内に6人もいながら山下のヘディングとビスコンティのシュートを止めることができず、あっさりと失点。気持ちもなにも感じられず、手がかりもつかめないような前半でした。
しかし、「下がりすぎるな」とカツを入れられた後半はややましになります。まず3分には左サイドに回っていた駒野のDFの裏へのパスに宮崎が反応します。これに小島光顕が体当たりをかまして倒すと、モットラムさんはPKの判定を与えます。ペナルティスポットに行ったのは、ゲーム中のPKは初めての久保。久保は左足の強烈なキックで反応したGKの下を抜き、同点に追いつきました。
これでやや持ち直したかに見えたサンフでしたが、しかしボールを支配するのは相変わらず福岡。サンフは、ショートパスの繋ぎと宮崎のドリブルで何とかリズムを作ろうとします。しかしフィジカルの弱さか、あるいは間合いがつかめなかったのか宮崎のドリブルは網を張った福岡の守備陣に絡め取られます。それが直接の失点につながったのが後半21分でした。三浦泰年に奪われたボールがカウンターにつなげられ、戻った選手が横一線になってしまって空いたところに山下が飛び込んで強烈なシュート。更に後半30分には、セットプレーで上がったところからカウンターを食らいます。山下のシュートは下田がいったんは弾きますが、これをもう一度押し込まれてしまいました。その直後に、2点のリードで安心した?福岡の隙を高橋が突いて左サイドを突破。このクロスを久保が決めて1点差としましたが反撃はそこまで。最後に上村が不用意なファウルで退場となり、消化不良のゲームに自ら決着を付けた格好となりました。
この試合、いろいろな面で福岡にやられっぱなしだった前半に比べて、後半はややましだったかも知れません。引いて守る福岡を何とか崩そうと試み、2点を奪ったのは確かですし、カウンター狙いにはまって失点してしまったのも、ある程度は仕方がないかも知れません。この後半のように点を取ったり取られたり、と言う出入りの激しいサッカーがヴァレリーのサッカーなのかも知れません。しかし結局は個人の力に頼るしか無いような、行き当たりばったりの攻撃がヴァレリー監督の目指しているサッカーなのでしょうか。キャンプで練習していたという速いパス交換と大きなサイドチェンジで相手を崩すというサッカーは、いったいいつ見せてくれるのでしょうか。
昨年までの「守備的で面白くない」と言う定評を覆すために招聘したヴァレリー監督は、4-3-3のシステムを導入して練習試合に好成績を収めてシーズンに臨みました。しかし鹿島、磐田に連敗すると方針を変更。相手のツートップにマンマークを付けてリベロを余らせる古典的なスリーバックを採用し、中盤が空いたと見るやボランチを2枚並べるなどどんどん守備的に陥ってしまっています。この福岡戦も、ボールを持てば何かをしてくれそうな雰囲気だった森崎和を途中で森保に代えると言う不可解な采配。「中盤が機能していなかったから。サイドの選手の攻撃力を活かしたかった」(広島フットボールによる)と言う意図は分からないでもないのですが、それにしても「さあ反撃」と言う時にこのような采配をして本当に攻撃的な意識が選手に伝わったのでしょうか。下がりすぎているから「上がれ」と指示する。ロングボールばかり蹴らずにパスをつなげ、と叫ぶ。そして戦う気持ちを見せないから「頑張れ」と怒鳴る。そんな事なら、観客席の我々にだってできます。監督には監督にしかできない事があるわけですから、その力を最大限に使って選手と観客の心を動かしてほしい、と思うのですが。
この敗戦で、順位は大きく下がって14位となってしまいました。私としては、今年の前半は当然こう言う事はあるだろうとは思っていました。後半、あるいは来年以降の収穫のために、今は我慢しなければならない時期だと思っていました。しかし、それも将来につながる気配が見えればこそ我慢できる、と言うもの。何人かの若手選手の活躍、と言う収穫はあったものの、戦術的に前進どころか後退しているように見える中で、何を拠り所として我々は我慢すべきなのでしょうか。次のゲームは1週間空いて最下位の横浜です。これまで1つも勝てない等状態は最悪ですが、しかし選手個々の力はあるチーム。今の広島にとって楽な相手では決してない、と思います。ここに向けてどのように準備をするのか。ヴァレリー広島にとっては、早くも正念場が来てしまった、と言う気がします。
 SANFRECCE Diaryトップページに戻る