5/27〜6/2のSANFRECCE Diary


<01.6.2> 日本サッカー協会は昨日、ワールドユースに出場するU-20代表メンバーを発表し、サンフレッチェからは森崎兄弟と駒野が選出されました。選ばれたのは、GK:藤ヶ谷(札幌)、黒河(清水)、岩丸(神戸)、DF:池田(清水)、茂庭(湘南)、那須(駒大)、羽田(鹿島)、中澤(柏)、MF:森崎和、森崎浩、駒野(広島)、石川(横浜FM)、根本、青木(鹿島)、山瀬(札幌)、永井(柏)、FW:平本、飯尾(東京V)、前田(磐田)、佐藤寿(市原)、田原(横浜FM)で、フランス遠征のメンバーから井川(G大阪)と田中(横浜FM)が抜け、怪我が回復した(しつつある?)羽田が戻ってきました。アルゼンチン、フランスと続いた遠征で結局一度も勝てなかったU-20代表ですが、本来の力を発揮すればきっと結果を出せるはず。まずはグループリーグ(オーストラリア、アンゴラ、チェコ)突破を目指して、頑張って欲しいと思います。
<01.6.2> コンフェデレーションズ杯第3日目。フランス代表と対戦したオーストラリア代表は、1-0で勝ってA組の首位に立ちました。2日前に5-0で勝って余裕のフランスは、この日はFIFAランクがA組最低のオーストラリア相手とあって、先発メンバー全員を韓国戦と入れ替える布陣。それに対してオーストラリアはエマートンとムーアを入れて(もちろんコリカとポポヴィッチも入って)現状での最強メンバーで臨みました。しかしゲームは序盤からフランスペース。オーストラリアは疲れのせいもあってか動きが鈍く、フランスにボールを支配されます。しかし、フランスもサブメンバーとなるとやはり力が一枚落ちるようで、守備を崩すことはできてもシュートが不正確で点を奪えません。逆にオーストラリアは時間が経つと共に落ち着いて、徐々にペースをつかんできます。それが実ったのが後半15分。ピッチ中央でボールを持ったコリカが、鋭いドリブルでフランスのディフェンスを切り裂こうとします。思わずファウルで止めるルブフ。ゴール前20m付近からのFK。スココがコースを狙って蹴った(アナウンサーはコリカと言っていましたが、スココの間違い)鋭いボールがフランスゴールを襲い、GKはいったん弾きます。しかしここに詰めていたゼーンが押し込み、オーストラリアは待望の先制点を奪いました。そしてその後はポポヴィッチを中心にした堅い守りで無失点に抑え、グループリーグ突破をほぼ決める2勝目を挙げました。これまでのオーストラリア代表は選手個々の力があってもコンビネーションが悪かったり、あるいは精神的に崩れてしまってここぞと言うところでの弱さを見せていた、と思います。しかし今回の代表は全選手がチームプレーに徹していて、全員の力でW杯へ行くんだ、と言う意気込みを感じます。メキシコに勝利し、フランスにも勝ったのは決して相手のメンバーが「一軍半」だったからだけではない。選手の能力の高さと、そして「寄せ集め」の選手をまとめ上げたファリーナ監督と、アシスタントコーチのアーノルド氏の力ではないか、と思います。今月中旬のW杯オセアニア2次予選、そして11月に予定される南米5位とのプレーオフに向けて、なかなか良い準備ができていると言えるのではないでしょうか。
続く韓国×メキシコのゲームは、終了間際の劇的な1点で韓国が初勝利を挙げました。このゲームの韓国は、フランス戦とは見違えるような動き。絶対に勝たねばならないと言うゲームに、良い準備をして臨むことができたように思います。伝統的な3バックを採用した縦に速いサッカーを貫いたこと、そして黄善洪や金度勲などベテランの力が大きかったことなど目指す「ヒディングサッカー」から後退したような印象があるのは否めない、とは思います。しかしここでもし敗れてしまえばグループリーグ敗退が決定し、最悪の場合監督更迭、と言う可能性もあっただけに、何とか結果を出せて良かった、と言うところなのではないでしょうか。1年後のW杯での勝利を目指す、と言う意味では小さな勝利にすぎませんが、しかし自信を取り戻すと言う意味では大きな勝利だった、と思います。
逆に敗れたメキシコは、いったんは同点に追いつく意地を見せたものの粘りきれず敗戦。主力選手を欠くとは言え、寂しい結果に終わりました。カンポス、エルナンデス、ブランコ、スアレスなど長年メキシコ代表を引っ張ってきた人材が高齢化し、世代交代を進めつつあるメキシコですが、今一つうまく行っていないのはW杯予選の苦戦を見ても分かるとおり。この大会は、その下の世代、これからメキシコを引っ張っていかなければならない選手達が経験を積む場として臨んだわけですが、世代交代の遅れは結構深刻な事態なのではないか、と思わせました。メキシコの第3戦の相手は、グループリーグ勝ち抜きのために勝利が欲しいフランス。非常に厳しい立場に追い込まれた、と言えるでしょう。
<01.6.1> 日本代表はコンフェ杯の初戦となるカナダ戦に3-0で完勝し、幸先の良いスタートを切ることができました。日本代表の先発は、GK:川口、DF:中田浩、森岡、上村、MF:小野、稲本、戸田、伊東、中田英、森島、FW:西澤。守備の堅いカナダに対して中盤でボールを回して崩そう、と言う意図だったと思われます。しかし、前半は上手く守られ苦心惨憺。中盤にスペースを与えられず、サイドから崩すことも叶わずなかなかゴール前にボールを運ぶこともできず。逆にパスミスを奪われて逆襲を食らって何度か危ういシーンを招きます。特に右サイドにできたスペースをブレナンに使われて、ゴール前への侵入を許します。カナダのシュートミスにも助けられて失点こそしなかったものの、いつ点を取られても不思議ではない、と言う感じでした。そこでトルシエ監督の打ってきた手は中山の投入。ブレナンを1対1で止められなかった上村は前半30分ぐらいでお役御免となり、ボランチに入っていた戸田が下がります。これで持ち直したか、と言うと実はそうでもなく、前半はその後も何度もブレナンにきわどいクロスを入れられ決定的なピンチが続出。何とか耐えて無失点に抑えた、と言う前半でした。
このままずるずると行くか、と心配しながらの後半突入でしたが、しかし日本代表の動きが格段に良くなります。後半12分にはワンタッチパスをつないでゴール前にボールを運ぶと、中山が粘っていい位置でのFKを取ります。ここで積極的にポイントに行ったのが小野。(なんでもジャンケンで中田英に勝ったとか?)右足で鋭くカーブをかけたボールは背の高いカナダ選手の壁を越えてゴールネットに突き刺さり、待望の先制点を挙げました。
これで俄然動きが良くなり、パスが良くつながるようになった日本代表。それに対してカナダは前懸かりになって攻めてきますが、しかしかえってバランスを崩して日本が自在にボールを動かします。3分後の2点目も起点は中山で、左サイドで粘ってボールをつなぐと右サイドに展開。ここに走り込んだ森島が折り返し、西澤がダイナミックなヘディングでゴールを決めました。更に3点目は小野の絶妙なスルーパスを森島が決めるという美しいパターン。最後は中田英を休ませる余裕を見せ、カナダを余裕で突き放しました。
全体の流れを見ると、決して理想通りとは言えないゲームでした。しかし今年に入ってフランス戦で完敗し、スペイン戦で守備に徹して逃げきれなかった日本代表にとってはまずまずの結果だった、と言えるのではないでしょうか。前半はコンビネーションが悪く出るタイミング、引くタイミングの見極めも悪くカナダのゲームプラン通りの展開になってしまいましたが、ゲームが進むにつれて自分達のサッカーを思い出したと言うことは、日本代表の精神的な成熟を表している、と言えるのではないでしょうか。グループリーグでのこれからの対戦相手は、カメルーンとブラジル。この両者のゲームを見る限り、どちらも非常に手強い相手だと言うことは(やはり)間違いないようです。特に先週末に東京Vに苦戦したブラジルが、非常にソリッドな守備を見せてカメルーンに得点を許さなかったことは、この国の代表の奥深さを思い知らされたように思います。このコンフェ杯は1年後のW杯のリハーサルに過ぎませんが、しかし日本代表にとっては貴重な真剣勝負の機会です。明日、そして月曜日の2試合に、まずは期待したいと思います。
ところで先発しながらも前半途中で交代させられ、悪い流れの責任を取らされた形の上村ですが、確かに彼の特徴である1対1の強さを見せることができず交代も仕方がなかったかな、と言う気はします。ただ、ブレナンに対して1対1の対応を強いられたと言うのは必ずしも上村だけの責任だとは言えませんし、また戸田がDFラインに下がった後も前半終了までは何度も危険なシーンがありました。「流れ」を考えると少なくとも次のゲームでの上村の先発は無いかも知れません。しかし、チャンスは必ずもう一度は与えられるはず。そこで、今度こそ彼の能力の高さを90分にわたって見せてほしい、と思います。
<01.5.31> 昨日開幕したコンフェデレーションズカップは、開幕戦がフランス5-0韓国、第2試合がオーストラリア2-0メキシコという結果でした。
まずはフランス×韓国ですが、「飛車角落ち」のはずのフランスの強さばかりが目立ちました。ヒディング体制の韓国は、非常にまともなサッカー、と言うか意図の分かる選手起用と采配でフランスに挑みましたが、結果的には力負け。微妙な判断の遅れや技術の不正確さなど、基本技術の面での弱さがもろに出たゲームだった、と言えるのではないでしょうか。歩んでいる道に間違いはないと思いますが、しかしその道は遥かに遠いと言う感じ。スコアこそ先日の日本代表と同じでしたが、突きつけられた課題には質の違いがあるように思えてなりませんでした。
続くオーストラリアとメキシコ。私は当然、オーストラリア寄りで見ていたのですが、非常に良いゲームだったと言えるのでしょう。メンバーはどちらも主力が何人か抜けて「一軍半」的でしたが、足元の小技とショートパスで崩そうとするメキシコに対して、ダイナミックな展開でゴールを狙うオーストラリアという、お互いの特徴が良く出ていて楽しいゲームでした。特にオーストラリアは、序盤こそコンビネーションが合わずに力任せが目立ちましたが、点を取って余裕が出ると流れるようなパス回しでメキシコを翻弄。本来のフィジカルの強さと相まって、非常に質の高いサッカーを見せてくれました。サンフレッチェ関係では、ポポヴィッチは4バックのセントラルDFとして、コリカはトップ下やや右側のMFとしてフル出場。ポポヴィッチは何度も危ない場面で身体を入れて防ぐ活躍を見せました。またコリカは自由自在のポジションチェンジと正確な技術で攻めのリズムを作り、右サイドからのクロスで1点目の、ゴール前で粘ってボールを流して2点目のアシストをしました。更にフォックスは終盤からの投入でボランチに入り、逃げ切りに貢献しました。オーストラリアの次の相手はフランス。テレビでは「守りを固めて引き分け狙いか」と言っていましたが、この日のメンバーに加えてエマートン(フェイエノールト)やムーア(レンジャース)も出れるであろう事を考えると、正面からぶつかっても結構やるのではないでしょうか。ぜひグループリーグを勝ち抜いて、そして日本に来てゲームをして欲しいと思いました。
<01.5.31> フランス遠征中のU-20日本代表は昨日ポルトガルと対戦し、1-4で敗れました。このゲームの先発は、GK:藤ヶ谷、DF:池田、那須(→森崎和29分)、井川、MF:根本、永井、田中(→石川48分)、森崎浩、FW:佐藤寿、飯尾、前田(→青木48分)。フランス戦がレギュラー組だとすれば、控え組とも言えるメンバーでした。ゲームは開始わずか1分にややアンラッキーなシュートを決められて先制されます。しかしそのすぐ後に、森崎浩がセンターライン付近から見事なドリブル突破。そしてペナルティエリア内で倒されて得たPKを、飯尾が決めて同点に追いつきました。しかしその後ポルトガルに着々と加点され、途中からの森崎和や青木などの投入も実らず完敗を喫しました。私は大雑把にしか見ていないのですが、守備陣の不安定さは相変わらず。またこの試合は中盤の構成力もイマイチで、ボールを奪っても前方に蹴り出すシーンが多かったように思います。ワールドユース直前にして、不安ばかりが募る出来だったと言えるのではないでしょうか。代表メンバーは今日帰国の予定です。
<01.5.31> 先週発売の「紫熊倶楽部」Vol.34の特集は「パープルイレブン、世界へ!」と言うタイトルで、代表で世界と戦う選手達が取り上げられています。その中で特に注目は、日本代表に選ばれ今日の先発も有力視されている上村選手。五輪代表から一度は落選しながら土壇場で復帰し、「マイアミの奇跡」も体験しながら膝じん帯の断裂と言う重傷を負った1996年。8ヶ月のリハビリを経て復帰しながら、再びメスを入れることになった1997年。サッカー界がW杯予選で揺れる中、不安、焦りを押し殺して再度のリハビリに務めた上村は、更にグレードアップして戻ってきます。フィジカルコンタクトに負けない身体を作っていただけでなく、フィードの正確さや判断の速さも身につけたスーパーなDFとなっていました。当然、日本代表へという声も大きくなりましたが、しかしトルシエは合宿に呼ぶことはあってもいつも候補止まりの日々が続きます。そしてついに「代表」として迎えたスペイン戦。彼は自ら「ラストチャンス」と位置づけたこのゲームで、やれた、と言う手応えとあと一歩、と言う悔しさを体験したそうです。「エリート」揃いの代表の中で、何度も何度も挫折を繰り返しながらようやく代表のポジションが見えてきた上村。「人生に無駄な時間など無い」と言って、リハビリの2年間をむしろポジティブに捉える上村。このコンフェデレーションズ杯でも、必ずや活躍してくれるだろう、と思います。
これに続くのは、代表に選ばれなかった(先週の時点で、の話ですが)久保と下田の記事。更にU-20代表の3人の話が続きます。コラムは日刊スポーツの中上記者と、サンフレッチェの用具係を務める佐々木温氏の「バックルームから愛を込めて。」(前から思っていたのですが、このタイトルは山下久美子の「バスルーム...」のパクリでしょうね?)紫熊倶楽部のお申し込みは、広島フットボールホームページからどうぞ。
<01.5.30> コンフェデレーションズ杯の日本代表から、高原に加えて中澤も外れる事が決まって久保と鈴木が招集されました。久保はキャンプ中の「サンワの森」で連絡を受けて、「代表には上村さんがいるので心強い。いつでも試合に出場できるよう調整しているので、戸惑いは無い。参加するからには試合に出場できるよう頑張りたい」と話して、昨日直接新潟入りしたそうです。今回の代表は、FWが中山、西澤に加えて山下、久保、鈴木。ベテラン中山はともかく、今年まだノーゴールの西澤、初代表の山下、数分間の出場のみの鈴木と、実績と調子の両面が揃った選手がいない布陣となります。久保はコンビネーションを合わせる時間も無く先発出場は難しいかも知れません。しかし、これまでの出場時間では5人の中では3番目なのに加えて今の調子は最高、とも言えるもの。自信を持ってプレーすればきっと何かを残せるはずです。トルシエ監督には是非起用して欲しいし、そして久保には是非チャンスを生かしてほしいと思います。
<01.5.29> 磐田所属の3選手(奥、高原、服部)の怪我、体調不良などで揺れている日本代表ですが、昨日の段階のニュースによると服部は出場可能なものの奥、高原は難しいとのこと。奥の代役として藤田の招集が決定し、また高原に代わって久保が選ばれる事が濃厚になった、とのことです。
<01.5.29> トゥーロン国際トーナメントの第2戦、フランスとの対戦は、1-1の引き分けに終わりました。この日のU-20日本代表の先発は、GK:藤ヶ谷、DF:池田、中澤、茂庭、MF:石川、森崎和、青木、駒野、山瀬、前田、FW:田原。試合はほとんど全体を通じてフランスのペース。日本のパスがつながって良いリズムで戦えたのは後半最初の15分ぐらいで、後はほぼ一方的に支配された、と言う感じでした。結果的には3試合目に望みをつなぐ勝ち点1を得たわけですが、それはひとえにフランスのシュートが不正確だったからで、内容的にはポーランド戦の方が余程ましだった、と思います。
この原因はいくつかあるだろうとは思いますが、特に大きかったのは森崎和の不調?だったのではないでしょうか。ポーランド戦での森崎和はあらゆる局面に顔を出し、中盤でのボールの落ち着き場として機能していました。が、このフランス戦ではほとんど存在感無し。全体を通じてボールタッチが少なく、たまに画面で大写しになる時はフランスの選手の攻撃を止められなかった時ぐらい?でした。(クリアミスで危うくオウンゴール、と言うシーンもあった。)ただ逆にこの森崎和の不調がチーム全体の不調に直接結びつく、と言うのは、逆に彼の中心選手としての存在感の故なのかも知れません。上に書いたように後半の初めの方は日本がリズムをつかんでいたのですが、この時は森崎和が良く動いて積極的にボールに絡み、前線に飛び出して駒野の惜しいロングシュートを導いたりしていました。サンフレッチェでもそうなのですが、森崎和のキープ力と視野の広さ、パスの能力は、どこに行っても中心選手として頼りになるものです。しかし、残念なのはそのパフォーマンスに大きな揺らぎがあること。試合ごとの良し悪しだけでなく、1試合の中でもがらっと変わったりします。これはもちろん、体力的な面もあるでしょう。海外に遠征して時差ぼけが取れるか取れないかのうちに1日おきのゲームは、身体的には相当きついことは間違いないとは思います。しかし、彼の場合はもっと精神的なものが大きいのではないか、と言う気がします。やはり、無駄と思われるような動きをもっとどんどんすること。マイボールになったらパスコースに顔を出し、パスを出したら次のスペースに向かって走り、相手ボールになったら即座に守備に切り替える。そう言うメリハリのある動きを続けること。そしてそれを続けるんだ、と言う強い気持ちを持ち続けること。その姿をチームメイトに見せ続けること。それが、彼のような立場、中心になるべき選手としての責務なのではないでしょうか。少なくとも、本当に体力が無くなる前に精神的な力を切らせてしまうような、そんな選手にだけはなってほしくない。キャプテンを失って苦しいU-20代表にあって森崎和も苦しい思いをしているかも知れません。しかし、それは逆に今がそのための成長の大きなチャンスでもあるのです。
<01.5.28> 一昨日からフランスで始まったU-21年代の国際大会「トゥーロン国際トーナメント」に出場しているU-20日本代表ですが、初戦のポーランド戦に1-3で敗れました。この試合の先発はGK:黒河、DF:茂庭、那須、池田、MF:森崎和、青木、山瀬、駒野、森崎浩、飯尾、FW:前田。これまで守備はGK:藤ヶ谷、DF:中澤、羽田、池田と言うメンバーが「レギュラー」でしたからかなりテスト的な色彩の濃い布陣だった、と思います。また普段左サイドを担当する駒野が右のWBで、山瀬が左サイドに入っていたのも新しいパターン。もともとDFラインの弱さが指摘されていたのに加えて羽田が離脱して、本大会直前に新しいパターンを試行しなければならない、と言うこと自体苦しいところですが、その弱点がもろに出たゲームだった、と言えるでしょう。失点のうち2つは、いずれもサイドからの速いクロスを直接叩き込まれたもの。簡単に中にクロスを入れさせたのも問題ですが、それよりも中央に張っている選手へのプレッシャーの甘さが祟った、と言う感じでした。それ以外にもDFラインとGKのコミュニケーション不足と思われるシーンも目立ちました。おそらくこの後のフランス戦、ポルトガル戦では違うパターンを試すのだろうと思いますが、前途多難を思わせる出来でした。
それに対して久々に(もしかして初めて?)3人が揃って先発した広島トリオですが、それぞれ持ち味を十分に発揮できた、と言えるのではないでしょうか。日本の唯一の得点はこの3人のコンビネーションから。前半終了間際に、中央でボールを持った森崎和が右サイドに大きくボールを出します。ここでオフサイドトラップを破って抜けたのが駒野。敵陣深くまでボールを持込み、GKを上手いボールコントロールでかわすと鋭いグラウンダーのクロスを入れます。中央に走り込んだ飯尾はDFと共に潰れますが(まあ、シュートミスだったのかも)、その先に走り込んでいた森崎浩がボールをゴールネット上方に蹴り込みました。これ以外のシーンでも3人は大活躍。森崎和はピッチの中央でまさに「司令塔」と言う雰囲気を醸し出し、森崎浩は鋭い飛び出しでチャンスメイク。駒野も前半こそ消えていましたが左サイドに回った後半は何度も良いクロスを上げていました。彼らの成長と好調はU-20代表にとっては生命線とも言える状況となってきましたし、今後も3人でチームを引っ張ってほしい、と思います。
<01.5.27> 昨日、松本で行われたプレシーズンマッチのアビスパ福岡とのゲームは、高橋、山形のゴールで2-1で勝ちました。広島フットボールによると、サンフレッチェのメンバーは次のようなものだったようです。
       下田

   トゥーリオ  奥野(→八田45分)
川島            服部

    森保    桑原
    (→松下45分)
       山形

 藤本          高橋(→宮崎60分)
       久保(→梅田45分)

対する福岡は、GK:尾崎(→塚本45分)、DF:藤崎、河口、小島、宮本(→三好45分)、MF:篠田、米田(→山田72分)、小森田(→牛鼻45分)、久永、中払、FW:江口(→服部56分)で、先週の第10節の先発から前田、三浦、野田、バデア、山下、松原の6人が外れた「一軍半」のメンバーでした。前半は経験に勝る広島のペースだったそうで、先制点は前半15分。森保から右サイドに出たボールを川島が藤本に繋ぎます。藤本の鋭いクロスをファーサイドで高橋がダイビングヘッドで決めました。ただ、ペースをつかめたのは藤本、高橋が下がり気味で中盤を埋めたからで、期待の山形は「前3枚と僕の4人の関係がつかめなかった」と言うことでほとんど消えていたようです。後半になるとこの山形は動きが良くなりましたが、しかし逆にDFラインが不安定になってミスを連発。後半14分には高橋の横パスをカットされ、中払のドリブル突破から服部に押し込まれて同点に追いつかれてしまいました。その後も福岡の攻勢の時間帯が続きますが、しかし後半30分に山形が決めます。松下からのサイドチェンジを受けた川島が宮崎へ。宮崎のスルーパスで抜け出した山形がGKとの1対1を冷静に決めて勝ち越しました。この1点で余裕が出たのか、この後は山形、宮崎の動きはかなり良くなったそうですが、しかし試合後には「点を取っても満足できない。まだステップを踏み出しただけ。カズやビンビのように集中を続けないと」(山形)「ナビスコの時よりはましだったし、サイドチェンジも意識して出せたけど、まだボールに関わる機会が少ない」(松下。いずれも広島フットボールによる)と、反省の言葉を口にしていたそうです。とにかく、若手選手に必要なのは経験です。レギュラー選手と一緒にプレーする経験、トップ選手に相対する経験。そのなかで成功と失敗を繰り返すことによって、成長していくものでしょう。次のナビスコ杯のFC東京戦、リーグ再開後の神戸戦、G大阪戦。ここで与えられるであろうチャンスを、ぜひものにしてほしいと思います。
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