10/6〜10/12のSANFRECCE Diary


<02.10.12> 明日開催の2nd stage第8節の相手は名古屋。1st stageはベルデニック監督の戦術が浸透して良い結果を残しましたが、2nd stageになって歯車が狂い出し、現在勝ち点7の12位に沈んでいます。
H○3-0清水  【名】ヴァスティッチ2、ウェズレイ
A△1-1柏   【名】原、【柏】エジウソン
H○3-1市原  【名】原、ヴァスティッチ2、【市】崔
A●0-2神戸  【神】オゼアス、アリソン
H●0-1G大阪 【G】マグロン
A●2-3東京V 【名】古賀、山口素、【V】小林慶、桜井、エジムンド
A●1-4鹿島  【名】平岡、【鹿】小笠原2、アウグスト、熊谷
 J屈指の強力ツートップであるヴァスティッチとウェズレイ。欧州選手権予選への招集を断ったヴァスティッチは調子を落としているようですが、本来のポテンシャルからするとこの2人だけでゴールをこじ開ける力を持っているだけに侮れません。またパナディッチを中心とする3バックは、マンマークのシステムを採用していてそれなりに安定しています。が、前節鹿島戦では柳沢のワントップに戸惑って失点を重ねたそうで、そのへんに攻略の鍵がありそうです。また両サイドの質も決して高いとは言えず、本来CBの海本を起用したりして試行錯誤中です。優勝の可能性がなくなり降格の危険性もなく、モティベーションも決して高いとは言えないはず。こちらがしっかりと戦えば、十分に勝ち目のある相手だと言えそうです。
 これに対するサンフの方は、今週は3-5-2か3-4-3で練習を繰り返していたそうです。前節軽い肉離れを起こしたトゥーリオが出れるかどうか微妙ですが、紅白戦の雰囲気は良いそうでまずまずの状態で名古屋に乗り込むことが出来そうです。
       下田

 トゥーリオ 上村 ビロング

沢田     桑原     服部

       森崎浩

 藤本          鳴尾
       久保

SUB:尾崎、八田、梅田、高橋、エルツェグ
 広島フットボールによると、久保の調子は完全に戻っていて紅白戦ではスーパープレーを連発していたそうです。また中盤は森崎浩と桑原の組み合わせがベストだったとのこと。そう考えると、中盤から後ろの8人と久保の先発はほぼ間違いないでしょう。問題は攻撃陣の残り2枚をどうするか。可能性としてはエルツェグ、中山、藤本、高橋、梅田、鳴尾の6人から2人ですから、全部で30パターンあります。個人的な能力の高さで選ぶか、周囲とのコンビネーションを優先するか、それとも運動量と守備面での貢献を重視するか。試合途中での交代も含めて、ここに采配のポイントがある、と言っても過言ではないでしょう。とは言え、重要なのは誰が出るにしてもその選手が100%以上頑張ることです。ピッチ上の全員の力を合わせて、今度こそ勝利をもぎ取って欲しいものです。
<02.10.12> 昨日の日刊スポーツなどの報道によると、阪南大のFW松浦宏治選手の入団が内定したそうです。松浦はユニバーシアード代表の選手で、噂によると非常にスピードのある選手だとのこと。私は見たことがないのですが、即戦力と考えて良い選手だそうです。
<02.10.11> アジア大会の準決勝は日本が3-0でタイに勝ち、初の決勝進出を果たしました。この試合、私は前半だけ(それも他のことをしながら)見たのですが、流れとしては中国戦と良く似ていたものだったと思います。日本はあまりパスを繋ぐことが出来ず、ボールを支配していたのはタイ。こちらも中国同様ゴール前でのアイディアが乏しく危ういシーンはほとんどありませんでしたが、日本も攻撃の形が作れず「負ける気はしないが勝てそうでもない」と言う展開でした。先制点はCKからのこぼれ球を上がっていたDF池田が押し込んだもの。ようやくボールを高い位置で保持できるようになった時間帯にワンチャンスを生かしたもので、このチームが最近身につけてきた?「勝負強さ」を発揮した得点でした。後半の展開は分からないのですが、中国戦に引き続いて攻めさせておいて一瞬の隙を突くと言うまるでイタリア代表のような戦い方でした。これが将来に繋がるのかどうかは分かりませんが、少なくともこの山本監督のU-21代表は「勝つためのサッカーをして結果を出した」と言うことだけは間違いなさそうです。
 なお、準決勝のもう一つの試合は延長にもつれ込んで、PK戦の末イランが韓国を下しました。個人的にはU-21代表がフル代表に準ずると言われていた韓国と「テーハミング!」の声の中で戦う、と言う経験が出来ればいいかと思っていましたが、それが出来なくなったのは残念。こうなったらイランも破って、アジアチャンピオンとして帰ってきて欲しいものです。
<02.10.9> 昨日行われたアジア大会の準々決勝中国戦は1-0で勝ち、1970年(釜本らの「メキシコ五輪組」が4位になった)以来32年ぶりのベスト4進出を決めました。
 中2日のU-21日本代表は、怪我の松井、青木の代わりに田中達と阿部が入った以外はこれまでの3試合とほぼ同じメンバー。それに対する中国(こちらもU-21代表)は中4日で、それによるコンディションの違いが如実に出たような展開となりました。日本が自分たちのペースで出来たのは最初の10分ぐらいで、その後中国に走り負ける事が多くなりボールを支配されます。それでも前半はまだ余裕を持って跳ね返す、と言う感じでしたが、後半はバテバテ。パスは繋がらずルーズボールは拾えず、無理にドリブル突破を図っても取られて逆襲を食らう、と言う感じ。中国の攻めのアイディアが乏しく単調だったため見た目ほど危なくはありませんでしたが、それにしても押される時間が長すぎました。予選リーグでは効果があった大久保や田中達のドリブルも通用せず、左サイドの根本、三田のパスは相手へのプレゼントボールばかり。森崎和も余裕を持ってボールをさばく事が難しくなり、マイボールを大事にして相手を走らせる、と言うサッカーが出来なかったのは見ていてストレスがたまりました。山本監督にしてみればチームの立ち上げであることを考慮して「メンバーの固定とコンビネーションの熟成」を優先したのかも知れませんが、それにしてもこれなら出場機会が少なく元気な選手(野沢や駒野など)を使った方が良かったのではないか、またもっと中盤を厚くしてパスを繋ぐサッカーをすべきだったのではないか、と思えて仕方がありません。
 ただ、だからと言ってこのゲームが評価できないか、と言うとそんなことはありません。むしろこのような厳しいコンディション、厳しい状況を良く跳ね返して勝利した、と言えると思います。この世代の代表は、「逆境に弱い」と言うのが弱点でした。例えばワールドユースのオーストラリア戦やアンゴラ戦では勝てないことの無いゲームを落とし、トゥーロンのドイツ戦ではせっかく良いサッカーで2点リードしながら結局3-3で引き分けています。これまではペースを失った時に流れを取り戻せないことが多く、精神面の弱さから実力を発揮できないことが多かったように思います。そう言う意味ではこの中国戦は典型的な苦しい展開のゲームで、どこかで集中を切らせて負けてしまっても不思議の無いものでした。しかし選手たちはキャプテンマークを巻いた森崎和を中心に良く我慢し、少ないチャンスを生かして点を取りました。得点シーンは右サイドでの根本の粘りが起点でしたが、彼が戻したボールを森崎和がワンタッチで逆サイドに上がっていた三田に出し、このクロスに中山が飛び込んで決めたと言うもの。森崎和の戦術眼の高さとこれを信じて走った選手の思いきりが結果を出したと言えるでしょう。次の相手はタイ、そして勝てば決勝が、負ければ3位決定戦が待っています。これにより次節のJリーグに森崎和と駒野が戻って来ないことが確定したのは残念ですが、せっかく出ているのですから是非最高の結果を残して帰ってきて欲しい、と思います。
<02.10.8> 昨日日本サッカー協会は、アジアユース選手権に出場するU-19日本代表を発表しました。選出されたのは次の21人。
【GK】川島永嗣(大宮)、岡本昌弘(市原)、徳重健太(浦和)
【DF】永田充(柏)、坪内秀介(神戸)、角田誠(京都)、尾亦弘友希(FC東京)
    大久保裕樹(市船橋高)、大井健太郎(藤枝東高)
【MF】今野泰幸(札幌)、小林大悟(東京V)、徳永悠平(早大)、馬場憂太(FC東京)
    成岡翔(藤枝東高)、工藤浩平(市原ユース)、菊地直哉(清水商高)、高木和正(香川西高)
【FW】坂田大輔(横浜FM)、茂木弘人(広島)、矢野貴章(浜名高)、阿部祐大朗(桐蔭学園高)
 ずっとこの年代のエースストライカーだった茂木は当然の選出。またサンフレッチェの強化指定選手である香川西高の高木も選ばれています。その他にも来季の広島入りが有力視される選手がいるそうですので、どのようなプレーを見せるのか注目したいと思います。日本は1次リーグはB組で、16日にサウジアラビア、19日にインド、22日にはバングラデシュと対戦。まずはこのリーグを勝ち上がって、ベスト4入りすれば世界ユースへの出場権を獲得します。
 なお、昨日は16日のジャマイカ戦に臨む日本代表も発表されていますが、こちらは広島関係の選手の選出は無し。少々残念ではありますが、チーム事情を考えれば致し方ないところで、むしろ「選ばれなくて助かった」と言えるでしょう。こちらはまずはジーコ監督のお手並み拝見、と言う感じで気楽に見れそうです。
<02.10.7> 昨日福岡で行われたJユースカップ第2節は、サンフレッチェユースが2-0でアビスパ福岡U-18を下しました。広島のメンバーは、GK:松岡、DF:大野、中野、寄井、高柳、MF:前田和、西山(→前田俊69分)、沖本、田坂(→高萩85分)、FW:木村、馬屋原(→田村74分)、SUB:佐藤、三浦、森脇、藤井、吉村。得点はいずれも後半で、6分と38分に木村(来季のトップ昇格が内定しているらしい)が決めました。
<02.10.6> 広島の放ったシュートは22本。何とか勝利をとJ1残留に向けて117分間頑張ったサンフレッチェでしたが、その間に相手ゴールネットを揺らしたのは1回にとどまり、逆に2点を奪われ勝ち点を積み上げることは出来ませんでした。
 前節京都相手に組織の未成熟を見せつけられたサンフは、どうしても押し上げることの出来ない4バックに見切りをつけて3バックを採用して次のような布陣を敷きました。
       下田

 トゥーリオ 上村 ビロング
 (→井手口89分)
沢田     桑原     服部
       (→梅田92分)
       森崎浩

 中山(→藤本102分)  鳴尾(→エルツェグ60分)
       久保

SUB:尾崎
 どうしても勝ちたいサンフは、序盤から攻勢に出ます。マルコスにはビロング、山下にはトゥーリオが付き、シルビーニョは桑原がケアしてボールを触らせず、マークがずれた場合は上村や沢田がカバーに走ると言う感じで守備が良く機能。ラインもズルズルと引くことなく冷静に対処します。そしてボールを奪うと森崎浩を起点にシンプルに3トップに当て、あるいは主に左サイドに展開してチャンスを作ります。3分にはトゥーリオ、4分には久保が相手ゴールに迫り、18分には久保がセンターサークル付近から強烈なロングシュートを放って小針を慌てさせます。28分には左サイドに流れた中山のクロスを久保が頭で合わせてこれは惜しくもクロスバー。この日の久保は夏ごろの淡泊さが影を潜めて本来の姿を取り戻し、ポストプレーやサイドチェンジで攻撃の起点となり、また積極的にゴールを狙ってシュートを放ちます。しかし前半は引き気味の布陣を取る仙台に対して決定的に崩すシーンは少なく、優勢を保ったままでハーフタイムを迎えました。
 後半に入っても中盤を支配して攻めるサンフ。後半4分には中山が左サイドからペナルティエリアに侵入しようとしますがシュートを選択せずにチャンスを失い、後半14分にはゴール前に上がったロビングボールを鳴尾が頭で合わせますが、しかしなぜかゴールではなく後ろに戻すような当て方をしてゴールに結びつきません。仙台は森保を中心に必死で防戦。カウンターとセットプレーから勝機を見つけようとしますが、岩本を欠くセットプレーに怖さは無くよもや失点はするまいと思いながら見ていました。しかし後半17分、そのセットプレーからのワンチャンスを決められてしまいます。右サイドペナルティエリアのやや外で与えたフリーキック。シルビーニョの蹴ったボールは「ここしかない」と言うマルコスの頭へ。速いボールをわずかに軌道を変えるように合わせたシュートには、さすがの下田も反応することが出来ませんでした。
 しかし、この日のサンフはこれで下を向くような事はありませんでした。28分には右からの森崎浩のCKをトゥーリオがファーサイドで合わせて1年半ぶりのゴール。その後もエルツェグがドリブルで突き進んでペナルティエリア内で2度、3度と切り返して相手を翻弄してシュートしたり、沢田がポストに当たることも怖れずにゴール前に飛び込み、上村が、服部が、そして久保が次々と相手ゴールを襲います。後半の終盤はさすがに疲れが出て3トップは下がることが出来なくなり、中盤にスペースがぽっかり空いて波状攻撃が出来なくなります。しかし足が止まったのは仙台も同様。後半終了間際の山下の危ういシュートはあったもののほとんど攻撃の形を作らせず、押し気味のまま90分を終了しました。
 延長突入前、身体を休める選手の横でダッシュを繰り返してアピールする梅田と藤本。スペースが出来た時こそこの男の出番、とゴール裏からは藤本コールが飛びます。しかし、延長のキックオフ時には後半終了時の11人が並びます。このままで大丈夫か、と心配すれば案の定で、空いた中盤を使われて早々にピンチを迎えます。慌てて交代の準備をする梅田。桑原が下がって沢田がボランチに入り、梅田は右サイドからチャンスを作ります。両チームとも中盤を省略してボールを放り込み、DFラインとGKが必死で跳ね返すと言う乱戦状態となります。ベンチにただ1人残った藤本は、首脳陣に何か言って(たぶん、出場を直訴していたのでしょう)退けられます。が、不思議なことにとぼとぼと戻って行った後に呼ばれて、これも慌てて出場準備。藤本はこのある意味非情な仕打ちにもめげずにピッチに飛び出し、縦横に走り回ってチャンスに絡みます。もう足が動かなくなった久保と森崎浩、相変わらずコンビが合わないエルツェグ、そして疲れも見せずに上下動を繰り返す服部とともに相手ゴールを脅かしますが、シュートはことごとく当たり損なったりGKの正面だったりしてどうしてもゴールを割ることが出来ません。時間は刻々と過ぎ、勝ち点1でも仕方がないかと思いかけてきた延長後半12分、信じられない光景を目にすることになります。自陣右でスローインのボールを受けた井手口が、なんと目の前の山田にボールを渡してしまいます。呆然と立ち尽くす井手口。上村が戻ってディフェンスしようとしますが間に合わず、山田のボールはフリーで待っていた藤吉の頭へ。さすがの下田もこれには追いつけず、サンフの選手はピッチ上に崩れ落ちました。
 このゲーム、選手たちは限界まで良く頑張っていたと思います。特に久保は攻撃の中心としてチーム最多の7本のシュートを放ち、沢田は自陣のゴール前から相手ゴール前までどこにでも顔を出し、森崎浩と桑原は人数の足りない中盤を走り回ってボールを拾い、上村、ビロング、トゥーリオはマルコスと山下にほとんど仕事をさせませんでした。初めて採用した3-4-3もまずまず機能して、ゲームの流れとしては完全にサンフのものでした。しかし、それでも勝てなかったのはなぜか。それは単に運が悪かったと済まされることではない、と思います。適材適所、臨機応変の起用が出来ず、流れを掴むことが出来なかったベンチワークに問題があるのではないか、と言わざるを得ないように思います。上には「3-4-3がまずます機能した」と書きましたが、しかし本来の3トップらしい攻撃が出来たかと言うとそれは違うでしょう。3人のFWのうち久保のシュートが7本だったのに対して中山、鳴尾が0だったことからも分かるように、ゴール前に飛び込んでゴールを狙うのは久保だけ。中山と鳴尾はチャンスがあってもシュートの意識が低く、相手に脅威を与えることは出来ませんでした。また上にも書きましたが、交代選手の選びかたとタイミングにも問題があるように思えてなりません。延長も含めて4つの交代枠を持ちながら、早めに動いたのは鳴尾をエルツェグに代えたものだけ。井手口を入れたのはトゥーリオが軽い肉離れを起こしたからで、勝ち点3を取るために積極的に手を打った、とはとても言えない采配でした。また延長に入ってからの交代も、どうも一つ一つが遅すぎたと言う思いを払拭できません。(これは結果論ではなく、試合中から思っていた。)更に直接の敗因となった井手口のミスですが、彼はこれまでも何度も酷いミスを繰り返しています。にも関わらず起用してまたもや致命的なミスを犯したわけで、これはミスした本人よりも使った方が悪い、と言わざるを得ないのではないでしょうか。試合終了後、選手たちはピッチから更に外のトラック部分まで来て「負けて済みません」と言うように深々と頭を下げていましたが、少なくともこのゲームに関しては頭を下げるべきなのは選手ではない、とさえ思います。選手の頑張りを結果に結びつけさせることの出来なかった指導陣にこそ、責任を感じてもらわなければ困ると思います。
 昨日は東京V、柏が勝って、降格争いから一歩抜け出した形となりました。取り残されたのは昨日敗れた広島と神戸。まだ先はありますが、残留の残り一つの席を争うのはほぼこの2チームに絞られた、と言って良いでしょう。神戸が逃げなかったのだけは助かりましたが、しかしこちらが勝たなければ道が開けません。サンフにとって、立て直しのチャンスはもうわずかです。このダメージの大きな敗戦からどうやって立ち直るか。選手がチームとチームメイトを信じてもう一度立ち上がることが出来るのか。そのために打てる手は全て打ち尽くしたと言えるのか。残留できるかどうかは、その1点にかかっている、と言えるでしょう。
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