12/1〜12/7のSANFRECCE Diary


<02.12.7> 今朝の中国新聞の連載「試練のサンフレ J2降格」の最終回に、久保社長のインタビューが載っています。まず最初に社長は今季の成績を「全てが私に責任がある」と言っています。今年はエディオングループの立ち上げなどで東京に居ることが多くチームに関わる時間が取れなかったそうで、「来季はしっかりと取り組んで行くつもりだ」と宣言しています。戦力については試合数が増えることを考えて、選手層を厚くするため34選手を保有する予定だとしています。そして補強は守りを重視して、センターバック(Jリーグ経験の有る選手、新外国人選手の2人?)の獲得を目指して交渉中の模様です。また移籍を希望している4人のうち主力3人については「久保は、移籍の気持ちがあるようだ。どうしてもJ1にこだわるのであれば仕方ないが、1年間過酷なJ2で戦う方が彼の能力を復活させることに繋がると思う。私が話して慰留する」「藤本、下田にもオファーが来ている。3選手とも必要な選手である事は変わりない」と語っています。現在、来季の契約が確定的な30人。ここに久保ら4人が残ると34人になってしまうので補強とどう整合するのか良く分かりませんが、戦力を落とさずに、なおかつ育てながら戦うのが「3年以内に磐田、鹿島の2強に挑めるチームに」(久保社長)なるために必要なことです。久保ら4人が残留するかしないかに関わらず、良いDFを獲得して欲しいものです。
 また久保社長は戦力面以外でもチーム周辺の環境を整えることを考えているそうで、懸案のサッカー専用スタジアムについては3年後の実現を目指して積極的に動いて行くそうです。更に若手の修業やコーチ研修の場としてオランダ1部のPSVアイントホーフェンとの提携も考えていて、来年早々には締結の見通しだとのこと。球団職員も現在の出向から社員への移行を検討し、組織作りをしっかりさせるところから取り組むようです。経営面に関しては、来季に限っては問題はないものの入場者数が心配で、特にJ2になって集客力が落ちる事が将来的な不安に繋がります。来季は小学生から高校生までは一律500円として入りやすくし、また世代別にサポーター組織を作るなど改革を進めるとのこと。J2降格は辛いことではありますが、これで「ウミ」をだしてチームを改革することが出来れば、長い目で見れば良かった、と言える時が来るかも知れません。
<02.12.7> 札幌戦で左眼窩底骨折の重傷を負った下田が昨日、広島市内の病院で再検査を受けました。それによると経過は良好で手術の必要は無く、加療1ヶ月と診断されたそうです。
<02.12.7> 日本サッカー協会は昨日、天皇杯3回戦に鹿島のファビアーノとサンフの西村が出場停止になる、と発表しました。西村の出場停止は、たぶんJFL最終節で退場となった?事によるものだと思われます。
<02.12.6> 昨日サンフレッチェは、ユースのFW木村達朗選手の入団内定を発表しました。木村は広島市安佐南区出身で、175cm、65kg。フィジカルの強さよりも一瞬のキレで勝負するタイプで、シュートの正確性が評価されてのトップ昇格となりました。またユースの主将を務めてきた沖本尚之選手は福岡入りが内定。正確なFKとスルーパスが出せる選手で、元ユース監督で来季福岡のGM就任が予定されている中村監督に評価されての福岡入りだと思われます。私の印象では1年生の時から将来を嘱望されていたのは沖本の方で、実際U-16代表候補にも選出された経験があったはず。しかし運動量が少ない「王様」のようなプレースタイルはサンフレッチェの今のスタイルには合わないため、結局昇格が見送られたものと思われます。逆に木村の方はどちらかと言うと「普通の選手」でしたが、2年生から3年生にかけての1年間で急激に成長。特に今年のW杯中断中の別府キャンプに呼ばれた時にアピールして、トップ昇格を勝ち取りました。木村、沖本ともこれで念願のプロ選手になれるわけですが、ここはゴールではなくあくまでスタートです。ここから更に成長して、そしてそれぞれのチームでレギュラーとして戦えるよう頑張って欲しいものです。
<02.12.5> 中国新聞によると昨日、小野ヘッドコーチの監督就任が正式に決まりました。契約期間は2年2ヶ月で、昇格とその後のJ1での戦いを見越した契約となります。これまで監督が替わるたびに戦術が変わり、それがJ2降格の遠因ともなっていたサンフレッチェですが、これまでチームを指導していた(最後の6〜7試合は実質的には監督のような立場だったらしい)小野監督に長期政権を約束したと言うことで、選手にとっても落ち着いてサッカーに専念できる環境が出来た、と言えるのではないでしょうか。昨日、4日ぶりに集まった選手を前に小野監督は「天皇杯では、とにかく優勝を目指そう」と檄を飛ばし、就任初日から緊張感のある練習を行ったとのこと。天皇杯の初戦はおそらく新潟、そして4回戦以降はJ1のクラブとの戦いとなりますが、ここでサンフレッチェの高いポテンシャルを示すことが出来れば、来季に向けてのチーム作りに確固とした指針を持つことができるでしょう。シーズンが終ったばかりで世間的には「おまけ」の色彩の強い天皇杯ですが、来季絶対に昇格を勝ち取らなければならないサンフにとっては大事なスタートライン。降格の痛みは早く忘れて、チーム一丸となって戦って欲しいものです。
<02.12.5> 一昨日に続いて昨日も契約更改交渉が行われ、沢田、松下、尾崎、大木が残留の意志を示しました。一方、注目の久保には4チームからオファーがあったそうで、「それを聞いてみてから考えたい」と慎重な姿勢を示したとのことです。今季は7ゴールしか挙げられずエースとしての働きと言う意味では不満の残るシーズンでしたが、そのポテンシャルを考えればもっとやれる、と考える人は多いはず。久保自身には広島を出る気が無くても、善意から(久保の成長を願う立場から)移籍を勧める声が多いのかも知れません。
 ところでこれまで契約交渉を一通り行ってきて、移籍の可能性をほのめかしているのは久保、藤本、下田、トゥーリオの4名。チームの力にならなかったレンタル組の井手口、鳴尾、中村は元のチームに返す(と言っても、井手口、中村は元チームからも解雇されるようですが)方針で、ビロングとも契約を更新しない可能性が高そうです。また福岡にレンタルしている川島は完全移籍となります。今季は若手で解雇される選手は無いため、現状で来季内定している選手は次のようになります。
【GK】林、尾崎
【DF】上村、八田、河野、大久保
【守備的MF】森崎和、桑原、松下、李
【サイド】駒野、沢田、服部、西嶋、佐田、高木
【攻撃的MF】森崎浩、山形、須田、西村
【FW】大木、エルツェグ、高橋、茂木、梅田、中山、松浦、田中
 この他、GKで1人、FWで1人(たぶんユースの木村)新人を補強の予定だとのことです。こうして見るとMFより前は現状でもそれなりに人材が揃っていますが、DFの層が薄いのは明らか。久保、藤本が移籍してもしなくても、良いDFを獲得するのは至上命題だと言えます。またもし下田が出ることになれば、GKをもう1人補強する必要も出てきます。逆に久保、藤本が残った場合は、攻撃的な選手をレンタルで出す、と言う事もありうるかも知れません。そう考えると、移籍の可能性のある4人を何が何でもキープするのが得策だとは限らず、移籍金をしっかり取ってそれを元手に良い選手を取る、と言う考え方も成り立ちます。今季の低迷の原因の一つに選手補強の失敗があったのは明らかですから、来季に向けては選手補強の失敗は許されない。小野監督を中心にしっかりとした考え方の元で、チーム作りを進めて欲しいものです。
<02.12.4> 広島フットボールと中国新聞によると、昨日主力クラス12人に対する来季に向けての契約交渉が行われました。この中で現状維持の提示を受けた上村は「来季も広島でプレーするつもりだ」と明言。駒野、森崎和、森崎浩、服部、高橋、桑原、山形、八田も残留することになりました。一方、浦和、仙台などからオファーが来ていると言う噂の藤本は「試合に出たいと言う気持ちが強い。残りたいが今は白紙」「正直良く分からない」と移籍の含みを残しています。また下田も「移籍したいとも思わないし、かと言って来年J2でやるんだ、と言う気持ちも湧いてこない」と話していたそうです。更にトゥーリオも出場機会が減ったことに対する不満があるようで、「契約する前に新しい監督と話がしたい」と語っているとのことです。その他久保、大木、沢田については今日の交渉。松下や梅田など遠征不参加組は先週条件を提示しているそうですが、ゼロ提示(解雇のこと)は無いそうです。ただ、中村、鳴尾、井手口のレンタル組は放出の方針で、ビロングとは今日話をするそうです。(エルツェグは夏までの契約。)
 更に監督ですが、木村監督が降格の責任を取って辞任。後任は小野ヘッドコーチの方向で今後話し合いがなされる模様です。
<02.12.3> 日本サッカー協会は昨日、12/9〜11に行われるトレーニングキャンプに参加するU-21日本代表候補を発表し、サンフレッチェからは森崎和と駒野が選ばれました。今回選出されたのは次の24人。
【GK】曽ケ端(鹿島:OA)、黒河(清水)、川島(大宮:U-19)
【DF】池田(清水)、三田(新潟)、茂庭(FC東京)、青木(鹿島)、角田(京都:U-19)
【MF】森崎和(広島)、松井(京都)、石川(FC東京)、鈴木(浦和)、根本(C大阪)
    駒野(広島)、阿部(市原)、田中隼(東京V)、今野(札幌:U-19)、成岡(藤枝東高:U-19)
    菊池(清水商高:U-19)
【FW】高原(磐田:OA)、中山(G大阪)、大久保(C大阪)、田中達(浦和)、坂田(横浜FM:U-19)
 ここでOAとしたのは22歳以上のオーバーエージの選手。またU-19代表からも6人が選ばれています。そしてその影響で純粋なU-21代表は16人だけ。全員がアジア大会に出場したメンバーで、かなり実験的な色彩の強い選出となっています。曽ケ端、高原はU-21世代への刺激として、またU-19世代はここに入った場合にどのように機能するかを確認するのが主な目的なのではないでしょうか。キャンプ最終日の11日には、横浜FMとの練習試合が予定されているとのことです。
<02.12.2> 昨日の天皇杯1回戦に広島県代表として出場したサンフレッチェユースは、大分県代表の大分トリニータU-18にPK戦の末敗れ、1回戦突破はなりませんでした。ユースのメンバーは、次のような感じだったそうです。
      松岡

高柳  寄井  中野  李原(→大野51分)
        (→高萩85分)
      前田和
 西山        田坂(→前田俊61分)
      沖本
   木村    馬屋原
 先制点は大分。前半5分に一瞬の隙を突かれて中央を突破され、GKとの1対1から決められました。その後前半は同点を狙ってサンフが猛攻を仕掛けますが、大分の堅い守りと効果的なカウンターに苦しめられ前半は0-1のまま折り返しました。
 後半になると先にペースを掴んだのは大分。広島は中央からの強引な攻めを繰り返すだけでなかなか点が取れませんでしたが、後半19分にようやくエース木村が右サイドからドリブルで切れ込んでファーサイドに叩き込みます。そしてその後も続けて攻め込みますが、バリエーションの少ない攻撃でなかなか攻め切れず。交代のカードを使い切った後に1人の選手が怪我でピッチ外に出ていた時間帯が長かった、と言う不運もあって、延長になっても決着がつかずPK戦となりました。そして5人とも決めた大分に対し広島は4人目がGKに止められ、無念の敗退となりました。
<02.12.1> J1残留のわずかな望みを残して今季最終戦に臨んだサンフレッチェでしたが、最下位札幌相手に失意のVゴール負け。また柏、神戸も勝って、「奇跡」はなりませんでした。
 前節累積警告で出場停止だった服部が戻り、サンフのメンバーは次のような感じでした。
      下田(→林76分)

   八田 上村 駒野

沢田  森崎和 桑原  服部
(→藤本45分)
  森崎浩     茂木(→高橋75分)
      久保(→山形90分)

SUB:李
 事前の予想通り、先発の布陣は3-4-3で森崎浩をFWの一角に据えた形。これまで2試合で勝ってきた形をなるべく崩さず、点を取って勝つ事を強く意識した戦い方でした。立ち上がりから積極的に前に出たサンフは、開始早々に上村がペナルティエリアまで持ち上がってラストパスを出し、これを茂木が合わせましたがGKに弾かれます。更にその後も鋭い出足でボールを奪い、前への圧力を強めて攻めに出ます。が、先制点は札幌。前半8分、ラインの裏を狙ったロングパスを繋がれてゴール前で折り返され、飛び込んできた小倉に押し込まれてしまいました。マークの受け渡しもラインコントロールもうまく行かないままにあっさりと守備を崩されての失点で、チーム全体が前掛かりになった時の脆さを予感させるものでした。
 先制して気持ちが落ち着き、しっかりと守ってロングボール攻撃を徹底する札幌。逆に広島は気持ちばかりがはやり、身体が動かずなかなかうまく攻撃の形が出来ません。両サイドのスペースを消されて沢田、服部はほとんど上がることが出来ず、速いパス交換からの中央突破を意図するもののパスミスが多く相手の堅い守備を崩せません。久保のシュートや茂木のシュートなど決定的な形は作ったものの単発的で、焦りばかりが増幅します。42分にようやく久保のワンタッチパスでDFラインの裏を取り、森崎浩が冷静に決めて同点に追いつきましたが、重苦しい雰囲気のままで45分を折り返すことになりました。
 ハーフタイムを迎えてこちらは1-1の同点だったのに対し、神戸は2-0で、柏は1-0でのリード。早めに点を取ってプレッシャーをかけたいサンフは、後半の頭から賭けに出ます。前節の殊勲者沢田を下げて藤本を入れ、駒野を右サイドに回して4-3-3(と言うより2-5-3と言う感じ?)の超攻撃的布陣を敷きます。これが早速結果を出したのは、後半のキックオフからわずか2分後のことでした。低い位置からのFKのボールを受けた藤本が細かいステップのドリブルで進み、こぼれたボールを拾った森崎浩が更にドリブルで進んでペナルティエリアに侵入します。そして潰れた後のボールを拾った茂木にビジュが思わず足を掛けてしまい、判定は当然PK。慎重にボールをセットした久保が強烈なキックで豪快に蹴り込み、サンフはここでようやくリードを奪うことが出来ました。その後も点を取ろうとどん欲に前に出るサンフ。速い出足から前へ、前へと圧力を強めます。後半8分には藤本のバックパスを受けた森崎和がDFラインの裏にループパスを出し、これを受けて抜け出した茂木がGKの前でシュートを放ちます。GKの手に当たって勢いの弱まったボールはループ気味にゴールに向かい、これを今野が寸前にクリアしたようにも見えましたが、しかしこれはラインの中だったと言うことでゴールが認められ、待望の2点目のリードとなりました。
 その後もかさにかかって攻めに出ようとするサンフ。しかし逆にこれが落ち着きの無さとなって、ゲーム展開は粗っぽいものとなってしまいます。後半10分には札幌のロングパスに対応に行った上村が滑って転んでしまい、折り返した相川のパスを曽田が押し込んで1点差。更に29分にはまたも上村がロングパスの処理を誤り、相川に押し込まれて同点。この時に相川と激突した下田がプレー続行不能となり、Jリーグ初登場の林がピッチに立たざるを得なくなります。42分にはその林のロングフィードを受けた久保が倒されて得たFKを、駒野が直接蹴り込んで(記録上は髪の毛でシュートした?上村のゴール)意地を見せますが、その直後に今度はパス交換から中央を破られて失点。その直前に2点目を奪った柏、3点目を取った神戸が一直線に残留に向けて走っていたのとは対照的に、ミスから次々と失点を繰り返したサンフは2点差を付けるどころか90分で勝ち切ることもできず、その時点でJ2降格が決定してしまいました。
 延長に入り、わき腹を抑えて痛いような表情を見せる久保に代わって今季初めてベンチ入りしが山形を投入。この山形が2本のシュートを放つなど何度か良い形で札幌ゴール前に迫りましたが、決め切れず。逆に延長前半9分、右サイドからのスローインのボールを簡単にゴール前に上げさせてしまいます。これを曽田にあっさりと頭で合わされての痛恨のVゴール負けに、ほとんどの選手ががっくりと膝を付き、ピッチ上に座り込んでしまいました。
 今シーズン、ここまで4点以上を奪ったのは開幕戦以来で、また5失点もしたのは初めてのこと。何としてでも勝ちを奪いたいサンフはスペシャルな戦い方を選択して、そしてそれが実らずに敗れてしまいました。最後まで諦めずに戦い、1点目を取れば2点目を取りに行き、最後まで足を止めずに戦う気持ちを見せたことは、札幌まで応援に行った多くのサポーターばかりでなく、広島や全国から応援していた沢山のファンに「広島の魂」を見せてくれたと思います。この日の特別な戦いは無駄ではなかったと思いたいし、何かを残したと思いたいところです。しかし、そうは言ってもこのゲームに勝って勝ち点3を取れなかったのは事実だし、J2降格と言う結果となってしまったのも事実です。大事なところで点を取れずに、取ってもすぐにミスから失点する。今季何度も繰り返されたサンフの姿が、やはりここにもあったと言わざるを得ません。「降格」と言う現実は誰のせいでもない、自分たちがやってきたことの結果であり、この札幌戦にもそれが端的な形で出てしまった、と言わざるを得ない、と思います。J開幕2年目にして優勝したチームが、その後8年目にして2部に降格してしまったと言う現実。これはどのような言い訳もきかない、重い現実です。直接的には昨年以来の指導体制構築の失敗と補強の失敗が原因ですが、長い目で見るとチーム強化の失敗やぬるま湯体質の一掃が出来なかったことなど、様々な要因がこの結果を招いたのだと思います。もしここでチーム関係者が「簡単にJ1に復帰できる」と思っていたとしたら、同じ轍を踏むのは間違いないでしょう。ここで大改革の大鉈を振るわなければ、「名門復活」はあり得ないと思います。新聞報道によると今後は今西総監督と木村監督の退任が濃厚で、小野コーチの監督就任の可能性が高いとのこと。また久保や藤本等には移籍のオファーが来ているそうです。「降格」と言う大激震でチームは変わらざるを得ませんが、そこで良いチームに生まれ変わるか、それともこのまま壊れてしまうのか。残留争い以上の正念場が、これからやってくると言えそうです。
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