2/24〜3/2のSANFRECCE Diary


<02.3.2> ワールドカップイヤー2002年のJリーグは今日から開幕。サンフレッチェは明日広島ビッグアーチに、コンサドーレ札幌を迎えます。昨年の札幌との対戦成績は1勝1敗。1st stageの対戦は第3節。鹿島、磐田相手に守備が持ちこたえられずに連敗しましたが、このゲームで初めて3バックを採用して何とか勝利をもぎ取りました。2nd stageは「降格」が現実にありうるものとして意識されてきた第9節。既に冬のような寒さの札幌に乗り込み、怪我人の続出や移動の疲れもあって2-4で惨敗を喫しました。この時苦しめられたのはウィルと播戸。この二人は移籍して今年の札幌にはいませんが、その代わりロシアリーグ得点王のロブソン、元日本代表の小島、小倉を補強して昨年に遜色の無い陣容となっています。「闘将」柱谷哲二監督の戦う心が注入され一つにまとまっていれば、苦しい戦いになるのは間違いないと思われます。
 これに対するサンフは、「左の翼」服部は回復が遅れていて復帰の目標は第4節あたりだとのこと。しかし肩を傷めていた下田は既に練習に出て通常通りのプレーを行っているそうですし、ビロングの登録も間に合いました。「ガジエフ戦術の浸透」という意味ではまだまだ不安があるものの、何とか戦える目処は立ったと言えるのではないでしょうか。予想されるメンバーは次の通り。
      下田

駒野  川島 ビロング 沢田

      森崎和
 梅田       森崎浩
      藤本

    大木  久保

SUB:尾崎、八田、桑原、ミロ、高橋
 これまでの練習の経緯を見る限りでは、先発はこのメンバーでほぼ間違いないでしょう。サブを誰にするかは難しいところで、八田、ミロ、高橋の代わりにトゥーリオや中村、李、茂木らが選ばれる可能性もあると思います。このメンバーは日本代表候補3人の他、元日本代表や元ユース代表、更にはカメルーン代表を各ポジションに揃えて、個人の能力なら相手にひけをとらないはず。監督が替わったばかりなのも一緒ですから、後は「勝ちたい」という気持ちでどれだけ相手を上回ることが出来るかだけでしょう。昨年は自分から崩れて負けてしまったゲームが何試合もありましたが、今年はそう言うことのないよう、そこから少しでも成長しているところを見せて欲しい、と思います。
<02.3.1> 今年のサンフがどうなるか。これまでゲームは全く見ていないので想像するしかないのですが、広島フットボールによるとかなり守備的なのだそうで、どこかの書き込みには「点を取られる気はしないが取る気もしない」というのもありました。昨年の超攻撃的サッカーから一転してどのようなサッカーを指向しているのか、また現在の到達点はどこにあるのか。開幕前にちょっと考えてみました。
 昨年ガジエフ監督は神戸戦を見て「バランスが悪い」と言ったそうですが、確かに昨年のサンフは攻守のバランスの悪いチームで、疲れが溜まると切り替えが遅くなり、前線とDFラインが間延びして中盤を自由に使われていました。それを避けるには、ゾーンを高く設定して中盤のスペースを狭めるのが普通でヴァレリー前監督もそう指示していたようですが、マンオリエンテッドな守備、最終ラインに一人余るシステムだったためどうしても(特に走れなくなると)ズルズルと下がってしまっていました。だからまずこの点を修正すること。ラインコントロールとチーム全体による守備の意識を徹底させることによって、チームのバランスを落ち着かせる事が、ガジエフ監督の最優先の目標だったものと思われます。昨年あれだけ不安定だった守備陣から上村、オレグ(ポパ)と言う大駒が抜け、来たばかりのビロングと川島のDFライン構成を強いられているにも関わらず「点を取られる気がしない」守備ができているのは、チーム全体の守備意識が根づいたことの現われだ、と言えるのではなかと思います。
 では、なぜ攻撃がうまく行かないか。これはひとえに、戦術理解の不足が原因だと思います。評論家の湯浅健二さんが良く書いているように、ダイナミックな攻撃を構築するにはチャンスになったときに長い距離を走ってゴール前に飛び込むような「リスクチャレンジ」が必要です。しかし、その時にはマーク相手を放り出して行く必要があるし、その攻撃が不成功に終わったらまた必死で戻らなければならないわけで、そういつもいつも出来るわけではない。ですからそういう攻撃を成功させるためにはまずは強力なフィジカルが必要ですし、また味方選手がどのような動きをするのか、どこにボールを出そうとしているのか理解し、そして信頼することが必要です。つまり、基本的な技術と戦術理解の高さ。これが11人全員に浸透するまでは、スペクタクルな攻撃は出来ないと考えて間違いないでしょう。広島フットボールによるとこれまで前線に飛び出すようなプレーを見せていたのは沢田や桑原らだけだそうですが、それは偶然ではありません。身体が出来ていて戦術理解力の高いベテラン選手しかできない。それが現在のサンフの状況なのではないでしょうか。
 と言うことで、「現在戦術学習中」のサンフに当面はスペクタクルな攻撃は期待できない、と思います。点が取れるとすれば、カウンターからかセットプレー。明後日の相手は札幌ですが、ここ相手に中盤のキープ力で負けるとは思えないので、実際にはセットプレーぐらいしかチャンスはないかも知れません。お互い新監督になって戦術もメンバーも手探り状態ですから、下手すると非常に退屈なゲームになりかねない、と思います。先に点を取って受けて立つ展開になればしめたものですが、先制されると相当苦しいのではないでしょうか。待ちに待ったシーズン開幕、新監督の元でどんなサッカーをするか非常に楽しみではありますが、しばらくは辛抱強く待つ必要があるのではないかと思います。
<02.2.28> 昨日サンフレッチェはシーズン前最後の練習試合を天津泰達と行い、0-0で引き分けました。広島フットボールによると、代表組や怪我の選手、更には大木(風邪)、トゥーリオ(右足太ももに張り)、茂木、須田、佐田(学校行事)を欠いたためか盛り上がりに欠けるゲームだったそうです。先発メンバーは
      尾崎

駒野  川島 ビロング 八田(→中村25分)

      森崎和
 桑原        沢田
      森崎浩

    梅田  中山
 前半は引いて守る相手を崩す動きが少なく、ミドルレンジからのシュートもほとんど無く見せ場がないままで「退屈な45分は本当に長く感じた」そうです。後半になると森崎和、中村を残して全員を入れ替えて次のようになりました。
      加藤(→林75分)

西嶋  八田  河野  中村

      森崎和(→松下63分)

  山形       李
   ミロ    西村

      高橋
 後半はディフェンスラインが経験不足を露呈し、安易なパス回しやミスなどで何度もピンチを招いていたそうです。ただ、その中で久々にチャンスを得た高橋が光るプレーを見せていたとのこと。ボールをしっかりとキープして起点になり、クロスに飛び込んで3本のシュートを放つなどこれまで干されていた鬱憤を晴らすような動きを見せていたそうです。大分キャンプ以降サテライトに落ちっぱなしでかなり精神的にきつい状況だったようですが、しかしそれでも腐ることなく練習に打ち込んできた成果がようやく出てきたのでは無いでしょうか。ガジエフ監督もこの日の高橋を「良かった」と評価していたそうですが、ただ「彼はレベルの高いプレイも見せるが、そうでない時殿落差が大きい。いつも同じレベルでやってほしい」と課題も指摘していたそうです。今はレギュラーの座から遠く離れ、中山、梅田、更には茂木にすら先を越されている状況ですが、しかし彼の実績と力が必要とされる時は必ず来るはずです。チームにはもっと苦しい立場から這い上がってきた大木の例もあるわけですし、自分を信じてチャンスを待って欲しいと思います。
<02.2.28> 昨日、新しく入団した新外国人の2人の記者会見が行われました。広島フットボールによると、ビロングはまず冒頭で「サンフレッチェと契約できてハッピーだ。このチームは、若くていい選手が多く、楽しみ。チームメイトも私を好意的な迎えてくれた。とにかくサンフレッチェで全力を尽くしたい」と決意を語りました。そして得意なプレーは、との質問に対しては「スタジアムで直接見て評価してくれ」と自信のほどを示しました。また代表でのプレーでは、フランスW杯のチリ戦でサモラノを抑えたことが自信になった事を挙げましたが、それ以外には特になし。全体的にチームにいかに貢献するか、いかにチームを強くするかのコメントに終始し、「今後も発展する」であろうJリーグでサンフレッチェを良くしていきたい、と言う気持ちがあふれていたように思います。
 またミロもまずは「広島と契約できてハッピーだ」と語り、「急速に伸びている」Jリーグで「優勝を狙っていきたい。自分が頑張ることで、チームを成功させたい」と決意を述べました。前のゲームで背中を蹴られてコンディションが悪いようですが、「とにかく負けるのが嫌いだ」と言う強い気持ちを持っている選手の様子。何とか開幕までにコンディションを整えて、チームに貢献して欲しいものです。
<02.2.27> 契約は済んだもののビザや移籍証明などの問題で登録が間に合わないのではないか、と心配されていたビロングですが、昨日の広島フットボールによると昨夜すべての手続きが整い、開幕戦の出場登録に間に合う見込みとなったそうです。昨年の序盤戦は、ポポヴィッチの怪我と代表招集が守備の崩壊を招き、自信を失い立て直しに苦労しました。今年も上村、服部の離脱で守りが大丈夫なのか非常に心配されましたが、このビロングの契約と登録完了は非常に心強いニュースだと言えるでしょう。札幌戦では早速その背番号31の勇姿が見れそうです。
<02.2.26> サンフレッチェは昨日、練習に参加していたカメルーン代表DFミシェル・パンセ・ビロング選手の獲得を発表しました。アンジ・マハチカラからのレンタルで、契約は2/23から来年の1/1までとなっています。ビロングはカメルーン代表のストッパーとしてAマッチ36試合に出場経験があり、フランスW杯でも3試合に出場(と新聞には書いてあるが、私の資料では1試合だったはず)。昨年のコンフェデレーションズ杯では所属クラブとのトラブルのため代表落ちしましたが、今年のW杯では再び選出される可能性もあるそうです。192cm/90kmの巨漢ながらあの岡野と競り合っても負けないスピードを見せていたそうで、アフリカ人らしく高い身体能力とラインコントロールを巧みにこなす優秀な頭脳を持つ久々の「ワールドクラス」を獲得できた、と言えるでしょう。ただ、すぐにリーグ戦に出場できるかどうかは微妙で(先日書いた「登録の問題」は無いようですが)、就労ビザの関係で開幕戦には間に合わない可能性があるとのこと。それが大丈夫だったとしても怪我や代表選出、出場停止で出れない事もあるわけですから、川島、トゥーリオ、八田は常に出場できるようしっかりと準備をしておいて欲しいものです。
<02.2.26> 日本代表候補の静岡合宿が昨日から始まっていますが、左肩を負傷している下田は辞退し、治療に専念することになりました。逆に藤本選手が遠藤選手とともに追加招集されています。今回の代表合宿では下田だけでなく伊東、山下、明神、阿部などが次々と故障で別メニュー。これにより、予定していた紅白戦のメンバーにも困る状態になってしまったのかも知れません。藤本選手にとっては突然与えられたチャンスで「ここでアピールするぞ」と気合い十分で行った様子です(彼のホームページによる)が、彼の課題は代表そのものよりも、チームに戻ってきたあと。これまでも代表から帰るとガクっとパフォーマンスが落ちるということを繰り返してきて、結局彼自身の評価を下げてしまっています。短い合宿期間で頑張るのも大事ですが、それよりも大切なのはチームです。代表で頑張ってくるのは当然ですが、それによってシーズン当初のインタビューで語っていたことを忘れてしまわないか、ちょっと心配です。
<02.2.25> 今年のサテライトリーグはサンフレッチェはC組で、セレッソ、神戸、福岡、ガンバ、京都と同じ組となります。サンフレッチェの日程は次の通り。
03/10 (日)14:00 C大阪 vs 広島  舞洲
03/17 (日)14:00 広島 vs C大阪  吉田サッカー公園
03/24 (日)14:00 広島 vs G大阪  吉田サッカー公園
04/14 (日)15:00 広島 vs 福岡   吉田サッカー公園
07/21 (日)16:00 京都 vs 広島   東城陽グラウンド
08/11 (日)16:00 福岡 vs 広島
08/18 (日)16:00 神戸 vs 広島   いぶきの森
08/25 (日)15:00 G大阪 vs 広島  ガンバグラウンド
09/01 (日)15:00 広島 vs 京都   吉田サッカー公園
09/11 (水)15:00 広島 vs 神戸   吉田サッカー公園

<02.2.24> 昨日福岡で行われたアビスパとの練習試合は、梅田のゴールを守りきって1-0で勝ちました。広島フットボールによると、前半のサンフレッチェのメンバーは次のような感じ。
      尾崎

駒野  川島 ビロング 沢田

      森崎和
 梅田       森崎浩
      藤本

    大木  久保
 対する福岡は、GK:大神、DF:内藤、飯嶋、蔵田、藤崎、MF:野田、原田、ビスコンティ、牛鼻、FW:盧、福嶋。序盤は天津戦で肩を怪我していた下田の代役として先発の尾崎が頑張って福岡の攻勢を凌ぐと、その後はダイレクトパスを回して中盤を完全に支配したそうです。先制点は前半20分で、駒野のスローインを受けた久保が落としたボールを受けた梅田が振り返りざまに叩き込みました。この日の梅田は攻撃時には高い位置に上がってポストプレーをこなし、時には最終ラインに入って守備をするなど存在感を示したとのこと。練習試合とは言えトップチーム相手のゴールは久しぶりなだけに、開幕に向けてのアピールとなったのではないでしょうか。その他の選手では森崎和がさすがのキープ力を見せて中盤の「王様」として君臨し、沢田がタイミングのよい攻め上がりと守備の安定に貢献したそうですが、それ以外は全体的にミスが目立った収穫の少ないものだったようです。特にツートップの出来が悪くサイド攻撃も不発で、ボールの支配がシュートに結びつかなかったそうです。中国新聞によるとこれは「疲れがたまっているため」だと言うことですが、果たしてそれだけなのか。あと1週間の調整で、何とかトップコンディションに持っていって欲しいものですが...
 後半になると、いつものように控えメンバーが出てきて次のような布陣となります
      加藤

河野 八田 トゥーリオ 中村

      桑原
  李       ミロ
      山形

    中山  茂木
 広島フットボールによると最終ラインがミスを繰り返し、相手にチャンスをプレゼントするなど低調な内容に終始。福岡のミスも多く「超凡戦」となったとのことです。この中では桑原、茂木が目立っていたそうですが、開幕戦には不在のビロング(契約できたとしても登録が間に合わない)の代役として期待されるトゥーリオが冷静さを失うことが多く、大きな不安を残すこととなりました。個人のレベルアップを図り、バランスの良いサッカーを目指すガジエフ・サンフレッチェですが、完成まではまだまだ遠い道のりだと言えそうです。
 なお、同日行われた鳥栖との練習試合は0-4で敗れたとのこと。メンバーはサテライトのメンバーに木村、沖本、寄井らのユース組、香川西の高木が加わったものだったそうで、おそらく林、佐田、須田、西村、西嶋、松下、高橋もこちらに出場したものと思われます。新人組はともかくとして松下、高橋にはもっとトップチームに近いところで頑張って欲しいところなのですが、こちらも苦しい試練が続きそうです。
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