4/28〜5/4のSANFRECCE Diary


<02.5.4> 昨日ビッグアーチで行われたナビスコカップ第3節浦和戦は0-0の引き分け。前節に続いて勝ち点1をゲットし、D組3位をキープしました。
 森崎和、駒野、茂木が年代別代表に招集され、久保(スタンドで観戦していたらしい)に続いて主力が欠けたサンフは、登録上は4-4-2ながら次のような布陣を引いてきました。
       下田

   川島 ビロング トゥーリオ

沢田   桑原  森崎浩  中村
(→八田84分)
       藤本

     大木  高橋(→梅田64分)
     (→中山81分)

SUB:尾崎、松下
 前節名古屋戦ではDFラインが押し上げられず守備も攻撃も形が作れませんでしたが、この日は大違い。ビロングを中心にDFの3人が連動して動き、勇気を持って押し上げてエメルソン、トゥットを封じ込めます。浦和もラインを高めに設定していたため必然的にスペースを与えないコンパクトなサッカーが展開されましたが、そこで主導権を握ったのは「一軍半」のはずのサンフ。ボランチとして君臨する森崎浩とトップ下の藤本、そして「スタミナ配分無し」(中国新聞による)で動いた高橋が起点になってゲームを支配します。立ち上がり早々には藤本と高橋のパス交換から沢田のシュート。10分前後には立て続けに右から、左からクロスが入り、浦和ゴールを脅かします。23分には左サイドからの森崎浩のクロスを大木がスルー、そしてそこに走り込んだ桑原がシュート!と言うまるで昨年を思わせるようなクリエイティブなプレーで得点の予感を漂わせます。ラストパスとシュートの精度に問題があってゴールを割ることこそ出来ませんでしたが、少なくとも前の2試合とは見違えるような好内容のサッカーが展開された前半でした。
 後半になっても前半同様に浦和を押し込むサンフ。後半16分には右サイドの高い位置で沢田がボールを奪うと一気にドリブルでペナルティエリア深くに進入し、鋭いクロスをマイナスに送ります。そしてここに大木が頭で飛び込みますがボールは惜しくもポスト。後半19分に「ガソリン切れ」の高橋に代わって梅田が入ると、今度は彼の正確なポストプレーからチャンスを作って浦和ゴールに攻め込みます。しかしその後は雨足が強くなって「重馬場」となり、連戦の疲れも出て両チームともペースが落ちます。サンフの選手は何度か足が滑って危ういシーンもありましたが、それらは選手全員の気持ちを一つにしてカバーし、事無きを得ます。押しながら点を取れなかったのは残念でしたが、勝ち点1を確保したことを含めて収穫の多いゲームだったと言えるのではないでしょうか。
 広島フットボールによると名古屋戦後の2日間、監督と選手、選手同士はかなり話し合いをしていたそうです。特にビロング、川島、トゥーリオの3人は何度も繰り返し話し合い、「ビロングの動きに合わせて、ラインを統一して押し上げよう」との結論に達したそうです。実際この日のDFラインがエメルソン、トゥットに抜け出されたシーンは試合を通じて2,3回。その局面でも最後には1人か2人が身体を寄せて、自由なプレーを許しませんでした。相手がボールを戻したときにはぐっと押し上げ、相手がボールを蹴ってくる瞬間にビロングともう一人が素早く下がって裏を取らせない。中盤でのプレッシャーを厳しくし、スルーパスを出させないとともに2人に前を向かせない。このラインディフェンスの基本とも言える動きがきっちり出来ていたことが、この日のゲームを安定したものにした原因だったと思います。そしてDFラインをしっかりと押し上げたことで選手同士の距離を近く保つことが出来て、パスも良く回ったのだと思います。
 また攻撃面では、それぞれの選手が自分の特徴を出して役割分担を徹底して動けていました。桑原はボールを奪って近くの味方にすぐに預ける。森崎浩はキープして相手を引きつけ、パスを出して前に走る。高橋は大木の周りを走り回ってサポートする。沢田と中村は前に出て対面の選手を抑え、機を見て攻撃に参加する。システムとチーム戦術に合わせて受動的にプレーするのではなく、組織の中で自分の能力を最大限に発揮してチームに貢献すると言う、ある意味当然の(だがこれまではできなかった)事がこの日は良く出来ていた、と言えるのではないでしょうか。ここまでは選手個々がばらばらに動いて個人能力のみで相手に対峙していたのが、この日は守備も攻撃も「ブロック」で出来ていた。今年のスローガンである"Agressive and Harmony"がようやく出来たことが、この日の好内容に繋がったと言えるでしょう。
 リーグ戦では勝ち星に見放され、ナビスコ杯では結果も内容も無かったサンフですが、ここに来てようやく光が見えてきた、と言う感じです。中2日の強行日程は肉体的にも精神的にも辛いでしょうが、それは他のチームも同じ。むしろキャンプで取り組んだ厳しいフィジカルトレーニングの結果が財産となって、ここで生きてくるはずです。やればできる。この思いはスタンドから見ていた我々以上に、選手達が感じたはずです。前の2試合とリーグ戦の浦和戦を考えればこの日の0-0の引き分けは収穫ですが、しかし本来の力を出しきれば勝ちをもぎ取ることは可能なはず。次のゲームは明後日、「屈辱の駒場」でのリターンマッチが待っています。次は相手はアリソンが復帰するのに対してこちらはトゥーリオが出場停止、とますます苦しくなりますが、そう言うときこそ精神的な力がものを言うはず。自信を持って戦って、そして昨日以上の結果と内容を出して欲しいと思います。
<02.5.4> 昨日欧州遠征に参加する日本代表が発表され、サンフレッチェからは久保が選出されました。今回のメンバーはキリンカップのメンバーに中田英、小野を加えた26人で、まだプレーできる状態になっていない森岡、高原、代表入りかどうか注目されている名波、中山らの追加は無し。トルシエ監督は彼らについては「ナビスコカップでのプレーを見たい」と語っていたそうですが、監督自身は明日から16日まで欧州に行ってしまうわけでこの26人以外の選手のプレーを直接見る機会はありません。W杯の代表の発表は17日に予定されていることを考えると、怪我など余程のことが無い限りこの中から最終メンバー23人が選ばれる、と見て間違いないのではないでしょうか。いよいよ「本番モード」に入った日本代表。久保はその中で他の選手とのコンビネーションを熟成させて、今度こそゴールを見せて欲しいと思います。
<02.5.3> 広島フットボールによると、ガジエフ監督は今日の浦和戦について「100%、ウチの力を出したい。新しい選手を試すことにはなるが、新しいシステムは使わない。今まで使ったシステムでやる」と語っていたそうです。駒野に代わって右サイドに入りそうなのは沢田。また左には中村。ボランチには桑原、森崎浩が入り、大木と高橋のツートップで戦うことになりそうです。また梅田が昨日のサテライトのゲームで45分間プレーしたそうで、メンバー入りの可能性は高そうです。更に松下の今季初のベンチ入りがありそう。両チームの調子とメンバーを見れば勝ち目は薄いゲームになりそうですが、そんな時こそ結果を怖れず思い切ってプレーして欲しいものです。
 なお、今日は先着1000名の小中学生の方にサンフレッチェオリジナルキャップがプレゼントされます。好評の中野和也氏による本日の見どころレクチャーは、今までより30分早まりキックオフ(午後3時ビッグアーチ)の1時間半前の1時半から、ファンクラブサロンで行われます。また選手サイン会はミロと林の両選手の予定です。天気が心配ですが、予報によると崩れるのは夜遅くになったからの模様。浦和の応援に負けないよう、多くのファンの声で選手を後押ししたいものです。
<02.5.3> 昨日の日本×ホンジュラス戦の久保は、後半24分からの出場。引いて守るホンジュラスのDFを背負いながら何度もボールに絡み、攻撃のリズムを作りました。特に後半39分のものは決定的で、三都主のクロスをゴール前中央に走り込みながらヘディングシュート。これは残念ながら外してしまいましたが、それ以外にも膠着したムードを変える働きが出来ていた、と思います。以前見られたような「違和感」もなくチームにすんなり入って行けている感じで、ようやく代表としての自分の位置を確立したと言えるのではないでしょうか。ただ、この試合で惜しかったのは「久保らしさ」が少々足りなかったのではないか、と言うこと。交代直後にゴール前のやや遠い位置で前を向いてボールを持ったシーン。あるいは中村のパスを受けて右サイドをドリブルで進んで最後にクロスを上げたシーン。サンフレッチェでの久保なら、ほぼ間違いなくシュートを放っていただろうと思います。トルシエ監督は「久保はこういう使い方で行く」と語っていたそうですが、久保は間違いなく試合終盤でリズムを変える「ジョーカー」としての役割を求められているはず。とすればあそこで強引にゴールを狙うような、そんな"out of standard"(規格外〜トムソン元監督による)なプレーを見せても良かったのではないか、と思います。少しずつではありますが、着実に成長する久保。怪我にだけは気をつけて、そしてW杯本番で爆発して欲しいものです。
<02.5.2> 「哀しみの広島スタジアム」から中2日。立て直しの時間もないままに、ナビスコカップ第3節は明日行われます。今回の対戦相手はD組首位の浦和。リーグ戦は一進一退で来ていましたが、代表招集が無くベストメンバーだと言うこともあってナビスコ杯は良いゲームを続けてきています。
[Jリーグ]
横浜FM○1-0●浦和  【横】ウィル
浦和 ●0-1○FC東京 【F】小林成
清水 ○2-1●浦和  【清】平松、バロン、【浦】エメルソン
G大阪△2-2△浦和  【G】遠藤、吉原、【浦】トゥット、エメルソン
浦和 ○4-1●広島  【浦】エメルソン3、トゥット、【広】久保
仙台 ■1-2□浦和  【仙】マルコス、【浦】エメルソン、福田
浦和 ■1-2□東京V 【浦】エメルソン、【V】エジムンド、永井
[ナビスコ杯]
名古屋●0-2○浦和  【浦】エメルソン、福田
浦和 ○3-2●鹿島  【浦】アリソン、鈴木、井原、【鹿】本田、長谷川
 浦和、と言えば思い出すのは第5節。序盤はゲームを支配したもののエメルソン、トゥット、アリソンのブラジル人トリオにかき回され、1-4と完敗を喫しています。浦和も明日はアリソンが出場停止で鈴木、田中がU-21代表に選出されて不在ですが、エメルソンは前節の「休暇」が終わって出てくるはず。石井、阿部、永井と言った実績がありながらサブに甘んじていた選手も出場機会を狙っているので、戦力的には全く落ちない、と思って間違いないでしょう。
 対するサンフレッチェですが、森崎和、駒野、茂木が代表招集のため出場できません。もちろんミロは出場停止。また、名古屋戦でかかとを痛めて途中退場した沢田も微妙で、虚弱体質の大木も出れない可能性が高そうです。広島フットボールによるとガジエフ監督は「次のメンバーは練習を見て決める」と語っていたそうで、特に方針はない模様。いずれにしろ何人かは、これまで出場機会の無かった選手を使うしかないでしょう。メンバー予想は(監督ですら分からないのに?)非常に難しいのですが、一応可能性のある選手をポジションに並べてみます。
       下田

   川島 ビロング トゥーリオ

沢田   桑原  松下   中村

    藤本    森崎浩

       高橋

SUB:尾崎、八田、李、山形、大木
 本当にこれで浦和の攻撃を抑えられるのか、点が取れるのかと言うととても楽観視は出来ないのですが、逆に変なプレッシャーを感じずに気楽に戦えばひょっとして良い結果が出せるかも。特に普段出場機会の無かった選手は、思い切って持ち味を出しきって欲しい、と思います。
<02.5.1> 昨日広島スタジアムで行われたナビスコカップ第2節名古屋グランパス戦は、終了間際に追いつかれて1-1の引き分けでした。
 前日練習でガジエフは4バック+ツートップで練習していたそうで、登録メンバーも4-4-2でしたが並んでみれば次のような感じでした。
       下田

   川島 ビロング トゥーリオ

駒野  森崎和  森崎浩  沢田(→中村60分)
         (→桑原45分)
    ミロ    藤本
    (退場74分)
       大木

SUB:尾崎、茂木、高橋
 対するグランパスは外国人3人がお休みで、純国産の「一軍半」とも言うべきメンバー。サンフレッチェは久保、梅田、服部、上村が不在ですが、練習も繰り返し行っているはずの現状のベストメンバーでしたので、内容的に圧倒して当然だと思われました。ところがフタを開けてみれば、選手個々がばらばらでとても「チーム」とは呼べない状態。サイドは高く張ることが多かったのですがボールを動かしてマークを外そうと言う意図が見えず、逆サイドが空いていてもサイドチェンジはほとんどなし。DFラインがボールを持ってもパスの出しどころが無く、仕方なく前線に蹴り出すしかありません。中盤の選手が下がってボールを受けて捌こうとしますが、ボールホルダーの判断が遅くなかなかボールが出ない上に周りが連動して動いていないので結局戻しておしまい。森崎和が最終ラインまで下がってゲームメークしようとしたりもしましたが、これも機能せず。藤本やミロまでが戻ってパスを受けようとしますがなかなか攻めが構築できません。それでも何度かは駒野が突破してクロスを入れますが、精度が悪かったりゴール前でつながらなかったりシュートが悪かったり。ほとんどの選手がボールが来てから慌てて動き出すと言う感じのコンビネーションは無いに等しい状態で、鹿島戦よりはゴール前のシーンが増えたものの、とても点が取れる予感のしない前半でした。
 逆に守備ですが、こちらもお寒い限り。ビロングは相変わらず軽いプレーに終始してミスを連発。何度もカバーに走らされたトゥーリオは、ボールを奪うまでは良くても精度の無いパスを蹴り出して相手にボールをプレゼントします。沢田とのコンビネーションも最悪で2度、3度とお見合いをして相手にチャンスを与えます。名古屋の攻撃陣の出来が悪かったため点は取られなかったものの、ウェズレイがいたら確実に何点か失っていた、と言う前半の出来でした。
 後半に入り中盤を漂うだけだった森崎浩を下げて桑原を投入。森崎和がややポジションを上げてようやくリズムが出ます。前半には全く見られなかったクサビのパスやワンタッチパスが繋がるようになり、相手ゴール前のシーンが増えて行きます。しかし前線で効果的に動けるのは藤本だけで、そこを抑えられると手詰まり状態。これはこのまま0-0のままで終りか、と諦めムードも漂った後半24分、この日最初の「アクシデント」が起きます。ボールを持ったミロがいつも通りにボールを放さずペナルティエリアをしつこくドリブルで進みます。ここにカバーに入ったDF2人が、挟み込むようにしてボールを奪います。倒れるミロ。何でもないシーンのように見えましたが、しかし辺見主審はPKを与えます。一気に盛り上がるスタジアム。緊張した表情の藤本は、まるで慈しむようにボールをセットして慎重に蹴ります。これがGKの逆を突いて、ホームでは1ヶ月ぶりのゴールのコールを聞くことが出来ました。
 これでやっと精神的な重荷がとれたサンフは、その後も落ち着いてゲームをコントロールします。ガジエフも今こそ経験を積ませるときが来たと思ったか、茂木を送り出そうと準備します。更に期待が膨らむスタンド。第4の審判は32番のボードを用意し、茂木はピッチサイドではやる気持ちを抑えるように小刻みにジャンプを繰り返します。しかしその時、信じられないような第二の「アクシデント」が起きます。中盤でボールを持った相手選手に、ミロが後ろから強烈なタックルを仕掛けます。この場違いなプレーに、主審は当然イエローカード。ミロはその直前にくだらないプレー(ヘッドの競り合いをする前に相手選手に背中からぶつかる、というもの)でもう一枚イエローを貰っていたため、これで退場。そして茂木の投入も無し。獲得時には「コリカ以上」と言う触れ込みだったこのブルガリア人の信じがたいプレーで、チームの雰囲気は一気に悪くなってしまいました。
 その後は同点を狙ってかさにかかって攻める名古屋。守ろうとしてズルズル下がるばかりの広島。両サイドだけでなく桑原も最終ラインに吸収され、6バックとも言える状態になってしまいます。名古屋はDFの選手までがどんどん前線に上がってきて、最後にはGKがセンターサークルにまで上がってきます。ボールを奪って蹴り出せばがら空きのゴールに放り込めるのに、それすら出来ない状態で攻められ続けます。それでも名古屋の攻撃の質の低さに助けられて何とかロスタイムまで耐えますが、しかしそこでついに第三のアクシデントが襲います。名古屋左サイドからのFK。まだ距離があったにも関わらず、広島の選手は下がってゴール前に固まります。これではGKの飛び出すスペースも無い、と「上がれ!上がれ!」と必死になって声を張り上げる下田。しかし頭がパニックになっている選手達は、誰も聞こうとしません。(バックスタンドでも聞こえたのに。)案の定、この密集の中に蹴り込まれたボールは混戦になって、最後は初出場のルーキー片桐がゴール。悲劇、と言うよりもむしろ喜劇のような失点で、久々の勝利を目前で逃してしまいました。
 試合後、足取り重くバックスタンドへ、そしてゴール裏へ行って頭を下げる選手達。この日集まった2940人の観客は、ほとんどが(久保がいなくてもナビスコ杯でも小雨が降る天気でも、そして仕事を放ってでも足を運んだ!)コアなファンだと思われますが、あまりの無内容さにブーイングする気力も失せてただただ呆然とするばかり。藤本がただ一人、ピッチに向かっていつまでも頭を下げていたのだけが印象的でした。
 中国新聞によるとガジエフは試合後「『何を話せばいいのか』...とあきれた表情だった」のだそうです。そして「プレーにスピードがなく、ミスも多かった」と嘆いていたそうです。確かに前半は全く動きが無くミスばかりで攻撃の形が作れず、終了間際は精神的に勝手に崩れて勝利を逃してしまっています。鹿島戦から中2日で疲れもあったでしょうが、それにしてもプロとは言えないようなお粗末な内容で選手には猛省を求めたいと思います。しかし、それでも前半、うまく行かない攻撃を何とかしようと工夫していたのは選手達でした。中盤でパスが繋がらないと見て森崎和がDFラインまで下がったり、あるいは森崎浩、藤本、ミロが下がったりして、何とか状況を打開しようとしている意図は見えました。後半の一時期はリズムも良く、得点の予感は少ないもののようやくやりたいことが見えつつある、と言う感じでした。主審がPKを与えてくれたのは、そういつもいつも悪いことばかりではないよ、と言うサッカーの神様のプレゼントのようにも見えました。しかし、それをぶち壊したのは頭の悪いプレーで退場になったミロと、彼を引っ張って交代のタイミングを逃したガジエフでした。とりわけ、ガジエフの采配には疑問以上のものがあります。広島フットボールによると前日には4-4-2で練習していて、沢田はボランチに入っていたそうです。ところが試合では3-6-1。経験豊富な選手ばかりならともかく、若い広島の選手達に練習していない布陣でやれ、と言われても戸惑うのは当たり前でしょう。また押されまくっていた終盤に、交代の枠を一つ余らせて何も手を打たなかったのも理解不能です。例えばベンチにいた高橋に「下がりすぎている。クワにもっと前でボールを追うように、カズに前でキープするように伝えろ。おまえは前線でとにかく走り回れ」と指示して大木と交代させるだけでも、あの「悲喜劇」は回避できたのではないでしょうか。ガジエフがチームを率いて4ヶ月。確かにフィジカルは強くなり1対1にも負けなくなりました。が、ヴァレリーが構築した攻撃の組織は見る影も無くなり、いくら練習してもラインディフェンスはできないまま。上村、服部の負傷があったとは言え、これではあまりにも寂しい状態だと言わざるを得ません。今西総監督の持論は、「チームがピンチになったときに立て直せるのは外国人監督。日本人にはできない」だったと思いますが、それが本当なのかどうか。今季最大の危機をガジエフが乗り切れるのが乗り切れないのか。チームとしての最終判断をする時が迫っているように思えてなりません。
<02.4.30> 広島フットボールによるとガジエフ監督は今日のメンバーについて「迷っている」と答えたそうですが、昨日は茂木、大木のツートップで練習していたそうですので、茂木の先発の可能性もありそうです。またDFの構成についても3バックか4バックで行くか決めていないとのこと。左サイドに川島を入れるか、あるいは中村を入れるのか。彼らがどのようなプレーを見せるのかがポイントとなりそうです。今日の会場は広島スタジアムで、キックオフは午後7時。ファンクラブ会員、5万人の会会員は来場ポイントが通常の2倍(200円相当)付きます。今日の広島地方の天気予報は曇り後雨となっていますので、観戦の方は雨具の用意を忘れずにお越しください。
<02.4.30> 「あ〜!惜しい!!」と叫んだ人は多かったのではないでしょうか。昨日のキリンカップの初戦、スロバキア戦に後半22分から登場した久保は、29分に絶妙なループシュートを放ちましたが惜しくもバーに嫌われ、代表初得点はなりませんでした。この試合の久保はこれまでにも増して積極的な姿勢を見せ、長身のDFに競り勝ってロビングボールを頭で流したり、あるいはクサビのパスをワンタッチで横に流してチャンスを広げるなどチームの一員として機能していました。そしてこの日最大の見せ場だったのがこの29分。小笠原がボールを持ってルックアップした瞬間に動き出し、柔らかいボールを左足の太ももでトラップすると、GKの接近を感じて2m5cmの頭の上にループシュート。動き出しの早さ、トラップの技術、シュートのアイディアとそこまでは完ぺきでしたが、そのボールがわずかに高かったのだけが残念でした。この他にも小笠原のパスなどで抜け出すシーンが多く、「トルシエ監督も『ああいう形でゴールにトライできるのは、選手が彼を信頼していることの表れ。これで彼はスピードをさらに生かせる』と絶賛した」(中国新聞から)のだそうです。試合後に久保は松田から話しかけられて笑顔で答える(「良くやったなー、おまえ」とでも言われているようでした)などチームメイトからも認められて来ている様子。W杯のメンバー入りはほぼ確定、と言って良いような印象を受けました。5/2のキリンカップ第2戦、あるいは欧州遠征でさらにチームにフィットすれば、初ゴールどころか一気に先発の座を確保する、と言う可能性もあるかも知れません。
<02.4.29> 過密日程のナビスコカップは早くも明日、第2節が行われます。サンフレッチェの相手は名古屋。市原から奪った?ベルデニック監督は一からチーム作りを進めていますが、リーグ戦はここまで3勝4敗の7位。またナビスコ杯の第1節もエメルソン退場後の浦和に1点を追加されるなどでいいところなく敗れています。徐々にチームがかみ合って結果が出つつあるものの、まだ完成度はあまり高くない、と言うところではないでしょうか。
磐田  ○2-0● 名古屋 【磐】ジヴコビッチ、川口
名古屋 ●0-1○ 横浜FM 【横】中村
名古屋 ○1-0● 東京V 【名】ウェズレイ
名古屋 ●0-3○ 札幌  【札】OG、山瀬、森下
清水  ●0-4○ 名古屋 【名】ウェズレイ、マルセロ3
名古屋 ○2-0● 柏   【名】ウリダ、中村
名古屋 ●0-1○ 京都  【京】黒部
名古屋 ●0-2○ 浦和  【浦】エメルソン、福田
 名古屋のメンバーですが楢崎が代表に呼ばれていて不在。またマルセロはなぜか浦和戦では出ていなかったものの、怪我ではないようですので明日は出てくるでしょう。と言うことで、GK:本田、DF:平岡、古賀、大森、MF:岡山、酒井、ウリダ、中谷、中村、FW:マルセロ、ウェズレイ、と言うメンバーが予想されます。中谷、岡山が務める両サイドが弱点だと言われていますので、ここをどのように突けるかがポイントになるものと思われます。
 これに対するサンフレッチェのメンバーですが、心配なのは遥かひたちなかまで行って中二日、と言う強行日程がどう出るか。できれば中心選手の数人は休ませたいところでしょうが、森崎和、駒野が出場できる最後にゲームになる可能性もあるので、ベストメンバーでどれだけのことができるか確認したい、と言うところでしょう。と言うことで、私の予想は次の通り。
       下田

   川島 ビロング トゥーリオ

駒野     森崎和     中村

    ミロ    藤本

     大木  茂木

SUB:尾崎、八田、桑原、森崎浩、高橋
 鹿島戦は守備重視の布陣で有効な攻撃の形が構築できませんでしたが、それは両サイドが引きすぎたのとトップにFWがいなくてクロスを上げる目標が無かったからでしょう。3バックでDFラインを安定させると言うのはある程度は成功したわけですから、今度は鹿島戦の後半のように、2トップにして攻めの意図を明確にして戦って欲しい、と思います。守備重視でここまでチーム作りを進めてきたガジエフ監督ですが、浦和戦を除けば平均失点は1.14とまずまずの結果を残しています。従って課題は明らかに得点力不足。特にホームで300分間得点できていない現状をどのように改善してくるか、に注目したいと思います。
<02.4.29> 一昨日から昨日にかけてU-18中国リーグの第2節が行われ、サンフレッチェユースは米子西に快勝し、得失点差でB組トップに立ちました。
【A組】
境(3)   3-0 山口鴻城(0)
多々良(6) 4-1 玉野光南(0)
皆実(6)  2-1 大社(0)

【B組】
広島Y(6) 4-0 米子西(0)
沼田(6)  1-0 立正大湘南(3)
水島工(3) 1-0 西京(0)

<02.4.28> 昨日ひたちなかで行われたナビスコカップ第1節鹿島アントラーズ戦は、シュート6本と「拙攻」に終始して0-1で敗れました。
 梅田が怪我のため遠征には参加せず、また大木も風邪で体調不良。残る2人のFWは今季ほとんど出場していないと言うことで、ミロ、藤本をFW登録で先発させました。またDFも登録上は4人でしたが、実質的には3バックで次のような布陣でした。
       下田

   川島 ビロング トゥーリオ

駒野   森崎和 桑原   中村
         (→高橋73分)
    森崎浩   藤本

       ミロ(→茂木45分)

SUB:尾崎、八田、大木
 この日のひたちなかは冷たい北寄りの風が強く吹き、風上のGKは相手ゴールまで届いてしまう一方で風下からはハーフラインにも届かない状態。従っておそらくガジエフ監督の意図としては、ロビングは捨てて低いパスとドリブルで攻撃を構築しよう、と言うことだったものと思われます。前半、トスに勝って風上を選択したサンフは、立ち上がりはその風を利用して攻め込みます。鹿島は主力5人を欠いて慣れない布陣だと言うこともあり、そのパスミスをカットして両サイドからDFラインの裏を狙います。しかし鹿島が風下の戦い方に慣れ、中盤でボールを回し始めるとペースは鹿島へ。サンフの両サイドは押し込まれて5バック状態になり、高い位置からのプレスがかからなくなってしまいます。前半28分には川島が低い位置で平瀬にボールを奪われ、フリーでシュートを打たれますがこれは幸いバーの上。また31分には名良橋が抑えの利いたミドルシュートを放ちますが、これはビロングがクリアします。攻められながらも何とか我慢し続ける前半でしたが、しかし43分ついに失点を喫します。アウグストのクロスがファーサイドに流れ、これをトゥーリオが後ろ向きにクリアしようとします。が、これがミス。遠くに飛ばずにこぼれたボールに走り込んできた野沢が「待ってました」とばかりに右足を振り抜き、強烈なシュートがゴールネットに突き刺さりました。逆にサンフは前半、ミロが2度ほどシュートを放ちましたが、いずれも枠を捉えることが出来ません。特に28分のものは決定的で、藤本のパスから一瞬の動きでDFをかわしてGKと1対1になりましたが、敢えて狭いニアサイドを狙ったボールはサイドネットへ。外したミロは頭を抱え、目の前で見ていたサポーターは何が起きたか分からず呆然、と言うシーンでした。
 FWを置かない「0トップ」はさすがに機能しないと見たか、後半になってガジエフは茂木を投入します。ようやく長いプレー時間を与えられた若武者は、屈強な秋田、ファビアーノを相手に奮闘します。結果的には潰されることが多かったものの、DFを背負ってボールを受けるプレーやクロスへの飛び込みなど、いかにもFWらしい動きで起点を作ります。茂木と言うターゲットが出来て、両サイドからクロスと言う形が明確になって駒野、中村も相手の両サイドを押し込むシーンが増えて行きます。前半10分には駒野のクロスに飛び込もうとした藤本が、秋田に倒され絶好の位置でのFKのチャンス。ファーを狙った藤本のボールはGKの逆を突きましたが、弾んだボールは残念ながら枠を外れます。更に後半28分に高橋が投入されて2トップになると、中村がドリブルで突っかけ相手を引き寄せ、サイドチェンジして駒野が突破、と言う形で何度かチャンスを作ります。しかし鹿島の強力なDFは若いツートップにスペースを与えず、なかなかシュートまで持ち込めません。終了間際の5分間は猛攻をしかけ、セカンドボールをことごとく拾って右から、左から何度もクロスを入れます。が、結局崩しきることが出来ずにタイムアップ。東京から2時間以上もかかる地まで来たファンは一度も盛り上がることもなく、帰途に着く羽目になりました。
 広島フットボールによるとこの試合後ガジエフ監督は「決して守備的ではなかった」と語っていたそうですが、監督がどう思っていようがピッチ上で表現されたのはどう考えても「引き分け狙い」としか思えない内容。守りは堅かったものの、明確な攻めの形がほとんど見えないままの90分だった、と言わざるをえません。背が高くスピードもある3バックは確かに安定していましたが、ボールを取っても素早く切り替えるわけでもなく、縦のポジションチェンジも少なくアイディアの乏しい攻めに終始しては、相手の経験豊富なDFラインが慌てるはずもありません。後半はまだ両サイドから攻めると言う意図は見えましたが、それも単調な放り込みだけでは崩せるわけもなし。更に数少ない決定的なチャンスとも言えたゴール前のFKも、枠内にも行かない得点の予感のしないものばかり。一度ぐらい、味方の頭に合わせるとか横に流して走り込むとか、工夫をしてみれば良いのにと思えてなりませんでした。このナビスコ杯のテーマはいくつかあると思いますが、その一つであるところの「久保抜きでどうやって点を取るか」と言う課題の解答は全く見えないままに終わったゲームだった、と言って良いのではないでしょうか。ここで2日置いて火曜日には、早くも次のゲームが待っています。森崎和、駒野がいる最後のゲームで何らかの形を見せないと、そのままズルズルと6試合を終えてしまうのではないか。そんな危機感を感じるゲームでした。
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