6/16〜6/22のSANFRECCE Diary


<02.6.22> 昨日サンフレッチェはアビスパと練習試合を行い、0-0で引き分けに終わりました。オフィシャルホームページによると、前半のメンバーはGK:林、DF:河野(→大木19分)、川島、トゥーリオ、沢田、MF:森崎和、松下(→ミロ23分)、梅田、中村、FW:久保、高橋。後半は、GK:尾崎、DF:西嶋、八田、河野(→ビロング62分)、佐田、MF:松下(→須田62分)、山形、ミロ(→李62分)、藤本、FW:茂木、中山。(ビロングは戻ってきているのでしょうか?)序盤は森崎和と松下がドイスボランチに入る4-4-2の布陣でしたが、右SBの河野の出来が悪かったため大木を投入して攻撃的な布陣を試したそうです。しかし監督と選手との意図に食い違いがあったようで、前半終了間際に何度か好機を作った(中国新聞)もののゴールが決まらず、課題を残したゲームだった模様です。ただ、課題だった守備の安定はまずまずだったとのこと。沢田も「まあ、最初としてはいいんじゃないかな。DFラインもコンパクトにしようとしていたし」と語っていたそうですので、この日明らかになった問題点をこれからのキャンプで修正して行けば良い、と言うことだと思われます。
<02.6.22> 2日休んだW杯は、昨日準々決勝の2試合が行われました。静岡で行われたブラジル対イングランドは、事実上の決勝戦と呼ばれた対戦で、本当の決勝のように?お互い慎重な戦いに終始しました。特に抜群の攻撃力を持つブラジルが、ロナウジーニョの退場もあって後半ずっと守り重視の戦いを貫き、カウンターを得意とするイングランドが攻めあぐむ、と言う展開。結局そのブラジルの戦略が成功して、2-1で逃げ切りました。このゲームは期待の割には盛り上がりに欠けるものでしたが、こう言う試合をきっちりとものにするブラジルの強さは、本物だと言えるでしょう。
 続くドイツ対アメリカは、同じようなタイプの両チームが持ち味を出してなかなかスリリングなゲームでした。特に中3日と体力的に苦しいはずのアメリカは、前半から積極的に前に出て何度も良い形を作ります。個人個人の技術がしっかりしており1人が動けば必ず複数の選手が連動して動くので、なかなか小気味の良いサッカーでした。カーンのナイスセーブ連発が無ければアメリカが勝ったかも知れない、と思わせる内容で、ここまで勝ち上がったのは決してフロックではない事を示しました。逆にドイツですが、前のゲームに続いてクローゼとノイビルのツートップを選択。決勝点こそバラックの高さを生かしたヘッドでしたが、スピードのあるツートップを生かすため低く鋭いパスを繋ぐ攻撃が中心で「やはりドイツは変わりつつある」と言う印象を受けました。W杯予選で苦しんだドイツでしたが、本大会に入って若手を積極的に起用してベテランとの融合できっちりしたチームを仕上げてきています。さすがサッカー大国のやることはそつが無い、と言うところでしょうか。このまま行けば、史上初のW杯でのドイツ、ブラジル対決が横浜で見れるかも知れません。
<02.6.21> 広島フットボールによると、昨日キャンプのため別府入りしたサンフレッチェの選手は、カメルーンに帰国中のビロングを除く全選手とユースの沖本、木村。トップとそれ以外の選手を分け、チーム戦術の徹底を図ることになります。昨日は桑原、下田、森崎浩、上村、駒野、服部が別メニュー。ただし服部は足の状態が悪いからではなく、ボールが目の近くに当たるアクシデントがあったため大事を取ってのものだったそうです。昨日の実戦形式の練習は、GK:尾崎、DF:沢田、川島、トゥーリオ、中村、MF:森崎和、ミロ、梅田、高橋、FW:久保、大木、と言うメンバーで、藤本が抜けることを想定して高橋がトップ下でプレーしていたそうです。中断までの7試合で、戦術的な熟成不足を露呈したガジエフ・サンフレッチェにとってはこれが最後のチャンス。十分にコミュニケーションを図って、怪我の無いように頑張って欲しいものです。
<02.6.21> 懸案となっている広島のサッカー専用競技場問題は、一時出ていた広域公園第一球技場の改修の案も進展せず棚上げ状態となっていますが、最近、広島スタジアムをサッカー専用に改修しよう、と言う案が浮上しているようです。提案しているのは広島市議会議長の平野博昭氏。彼のホームページの『サッカー王国広島の復活について』と言う文章の中で「私が提案したいのは、広島スタジアムをサッカー専用スタジアムにし、サンフレッチェの後援会をはじめ市民といっしょに盛り上げられないものか、ということです」と語っています。「これまで市民・県民のスポーツ祭典のメッカとして親しまれてきた」広島スタジアムですが、しかしビッグアーチと言うもう一つの陸上競技場がある現状で「公認陸上競技場が1市に2つ必要でしょうか」と疑問を投げ掛けています。そして「この際、思いきって両競技場の役割分担を明確にし、それぞれに特化した形で共存共栄できる道を探り、サッカー人口の増加、そして市民スポーツの底辺を拡大することが先決だ」と提案。「もともとサッカー熱が高い広島に、プロ球団を中心とした地域に根ざしたシステムづくり」をしよう、と呼びかけています。更に「県がサッカー専用スタジアムに改修するのであれば」スタジアム南側の市有地を「整備して駐車場にすることも考えられる」とも述べています。スタジアムの改修のためには行政が動かなければならないのはもちろんですが、そのためには市民、県民からの大きな盛り上がりが必要です。我々ファン・サポーターとしてもサッカー専用競技場は悲願。この実現のために、何とか協力したいものです。
<02.6.20> 広島フットボールと中国新聞によると、昨日オランダ1部リーグNACブレダのGMと代理人が今西総監督、織田強化部長と会談し、藤本選手の獲得を正式に申し入れたそうです。サンフレッチェ側は藤本を必要な戦力としながらも「海外移籍は藤本選手の夢であり、条件が合えば移籍を前向きに考える」としており、彼の移籍問題は一歩前進したことになります。なお、条件提示はまだだったと言うことで正式決定まではもう少し時間がかかる模様。藤本選手は広島の一員として今日からの別府キャンプに参加する予定で、キャンプ中に予定される大分、福岡との練習試合が彼の最後の広島でのプレーになるかも知れません。
<02.6.20> 先週末に出た紫熊倶楽部Vol.53はワールドカップ特集。表紙にアイルランド戦でゴールを決めた直後(たぶん)の久保選手を持ってきて、サンフレッチェに関わる人がそれぞれの立場からワールドカップをどう見たか、多面的に取り上げています。その最初は「森崎兄弟が見た、決戦・日本-ベルギー」で、森崎兄弟が日本対ベルギーのゲームをどういう会話をしながら見ていたかレポートしています。現役の選手、それもアテネ五輪を目指すチームの主力として期待される2人がどういう見方をしていたのか。なかなか興味深い記事だと言えるでしょう。次の記事は、中国新聞のサンフレッチェ担当記者の小西晶氏が、記者として見た日本対ベルギーとアルゼンチン対イングランドをレポート。またジャーナリストの早川文司氏が札幌ドーム開幕戦の様子を寄稿しています。更に「サンフレッチェサポーター、ワールドカップを歩く」と題して、長尾和成さんがイングランド対アルゼンチンとアイルランド対ドイツを、私がデンマーク対ウルグアイを見た印象をレポートしています。
 編集長のコラムは、「検証・推理 久保竜彦はどうして日本代表に選ばれなかったのか。」一時は代表選出確定的だと見られていた久保が、どうして直前に落とされたのかを色々な情報を元に推理しています。そしてその結論として「久保が間に合った、と思ったのは幻想だった。久保が本来の力を代表で発揮するのがもう少し早ければ...久保を入れただろう」としています。今回目標としていたグループリーグ突破には、確かに久保の力は不要だったかも知れません。しかし先制され守りを固められたトルコ戦で、「ああ、ここに久保がいれば」と思った人は決して少なくなかったはず。4年後には久保が代表の絶対的なエースとして君臨し、その力で今度こそベスト8以上に進出して欲しいものです。
 日刊スポーツの中上記者による「愛すべき紫熊野郎たち」はトゥーリオ。Match Reportはナビスコ杯の名古屋戦と鹿島戦とアイルランドとの親善試合。これに今西総監督による前半戦の総括と紫熊短信が続きます。そして最終ページに、5/21限りで退団した加藤選手を取り上げています。紫熊倶楽部は広島県内の大きな書店かV-POINT、新宿の「ひろしまゆめてらす」で購入できます。
<02.6.19> 攻めながら、ボールを支配しながら敗れたトルコ戦。ゲームが終わった後は「これもサッカー。仕方がない」と言う思いが強かったのですが、韓国の逆転勝利を見て改めて悔しさが込み上げてきた、昨日のW杯でした。
 日本対トルコと韓国対イタリアを比べることに意味は無いのですが、それを承知の上で比較するとゲームの内容的には日本の方が良かったかも知れません。トルコはブラジル戦等で見せていた速く強い攻撃をほとんど見せることが無く、引いて守ってカウンターと言う戦術。7人の選手がゴール前に壁を作り、攻撃はハカン・シュキル、ハサン・シャシュ、バシュトゥルクに任せます。そしてこの3人の攻撃もそれほど鋭さは無く、日本のゴールを脅かされたと言う感じはありませんでした。しかし逆に言えば、これはおそらく日本を「強敵」と認識した上で取った戦術。(そこに油断は無かった!)強い中盤と力強さに欠けるFWと言う日本の特徴を良く研究した結果、選んだ戦い方だったのかも知れません。日本は「攻めている」というよりはむしろ「攻めさせられている」と言う感じで、ボール支配率の割には決定的チャンスは少なく、弱いシュートがGKの正面を突くか、あるいはゴールマウスを遥かに越えて行くばかり。こういうときこそ必要な「ちょっとした運」も日本に微笑むことは無く、最後までゴールを割ることが出来ませんでした。逆に失点シーンは1つのミスから。中田浩のバックパスが流れてCKを取られ、動揺からかマークを確認できないままに蹴られてフリーでのヘディングを許したものでした。2回目出場のW杯、これまでの日本代表は期待以上の戦いを進め、初めての勝ち点、初めての勝利、初めてのグループリーグ突破と壁を一つ一つ破ってきました。が、ここに来て更に上に行くだけの力は無かった。ミスを失点に結びつけられたこと、攻めながら得点できなかったことなど全てがフットボールの現実であり、唯一残った結果です。そして大事なのは、この結果から何を学ぶのかと言うこと。そして次にどうやって繋げて行くかと言うことです。2002年のW杯はまだ続いていますが、2006年に向けての日本サッカーの戦いはここから始まる、と言って良いのではないでしょうか。
 それに対して韓国の方ですが、苦しい戦いを土壇場でひっくり返した戦いについてはただ称賛する事がふさわしいでしょう。このゲームはほとんどの時間帯はイタリアの思い通りの展開でした。イタリアもまた(トルコと同様に)引いて守ってカウンターと言う伝統の戦い方を選択し、それは九分通り成功していました。とりわけ前半の韓国はほとんど攻め手を見出せず、闇雲に放り込んでは跳ね返されるばかり。逆にイタリアの攻撃にも鋭さが無く、ボールの動きが遅く1対1で突破しようとするだけ。早くも後半15分にデルピエロを下げて守り固めに入ったときは、ゲームは退屈な展開のままで終わってしまうのか、と思いました。しかしヒディング韓国の本領発揮はそこからでした。黄善洪、李東国、車ドゥリと攻撃的な選手を次々と投入し、力任せに攻めに攻めます。同点ゴールは決して美しい形ではありませんでしたが、大波のように押し寄せる韓国のプレッシャーにさすがのカテナチオも耐えきれず、わずかのミスが命取りとなりました。その後はどちらにも決定的なチャンスが何度かありましたが、球際の強さとちょっとの運が韓国に味方した、と言う感じ。サッカーの神は最終的に気力充実の韓国を選んだ、と言うことだと思います。今回のイタリア代表は「優勝を狙う」と言っていた割にはチームとしての完成度が低いと思って見ていましたが、自らの有利な形に持ち込みながら最後まで耐えきれず、また勝つチャンスもあったのにものに出来なかったと言う点で負けるべくして負けた、と言って良いでしょう。
 この韓国のベスト8進出は、アジアの事を考えれば非常に良いことだ、と思います。アメリカ、セネガルと言う「第3勢力」が初めてベスト8に勝ち残った中で、大会を主催した大陸が一つでも残ったことは今後を考えれば重要です。韓国には更に一つでも上に行って、アジアの力を世界に見せつけて欲しいと思います。たぶん韓国は、それによって大きな自信をつけて、今後日本の前に立ちはだかって来るでしょう。日本にとってはライバルが強くなってW杯予選が難しくなることは必定ですが、しかしそれも良いだろうと私は思います。かつて日本にとって韓国は高くて強い壁でした。しかし日本がレベルアップし、アジアでトップクラスになるに従ってその姿はやや小さくなった感がありました。特にシドニー五輪やアジアカップで日本の成績が韓国を上回り、何となく「韓国怖れるに足らず」と言う雰囲気があったと思います。が、それももう終り。このW杯後には一変し、再び韓国は隣の強国として立ち上がります。しかしそれは日本にとっても望むところ。目標はあくまで世界なわけで、そのためには地域内で切磋琢磨しあうことが絶対に必要です。カメルーンが先鞭を付けナイジェリアやセネガル等が世界レベルに達したアフリカのように、メキシコとアメリカのライバル関係が地域全体を押し上げた北中米カリブ海のように、日本も再び韓国を目標とし、そして共に世界に挑戦する必要があるのだ、と思います。
<02.6.18> シーズン再開に向けて先週から練習を再開したサンフレッチェは、今週から別府市でキャンプを行います。日程は6/20(木)から6/29(土)で、場所は別府市営実相寺サッカー場と野口原陸上競技場。地元の人によると、W杯出場チームがキャンプを行えるようにグラウンド整備を行っていたそうです。(別府に宿泊したイタリア代表が使ってくれることを期待していたそうですが、結局ホテルから全く外に出なかった、と残念そうに語っていました。)素晴らしいピッチと練習後の温泉で、良いチーム作りと身体作りができるのではないでしょうか。また6/21(金)の15時からはアビスパ福岡と、6/29(土)の11時からは大分トリニータとの練習試合も予定されているとのこと。ここでしっかりとチーム戦術を徹底して、リーグ再開後には期待を裏切らないような戦いを見せて欲しいものです。
<02.6.18> 先週土曜日に行われたサンフレッチェとSC鳥取との練習試合は、2-0でサンフレッチェが勝ちました。前半のメンバーは、GK:尾崎、DF:駒野、川島、トゥーリオ、服部、MF:沢田(→山形13分)、森崎和、中村、藤本、FW:久保、大木(→高橋31分)。後半はGK:林、DF:佐田、西嶋、河野、李、MF:山形(→須田67分)、松下、西村、ミロ、FW:高橋(→中山67分)、茂木。得点は36分にオウンゴール、また85分にミロが決めています。
<02.6.18> 広島県サッカー協会が主催したパブリックビューイングは、グラウンドに飛び下りたり花火を上げたりとトラブル続出だったためチュニジア戦では中止されてしまいましたが、ラジオ報道によると「復活して欲しい」と言う多くの要望に応えて今日のトルコ戦でも行うことになったそうです。ただ、警備体制の強化が必要だと言うことで「協力金」として500円を集めることになったとのこと。日本代表の初めての2次ラウンドの戦いを大勢で見たい方は、500円玉を握って(^_^;)ビッグアーチへどうぞ。
<02.6.18> 昨日の2試合のうち、見れたのはブラジル対ベルギーのゲーム。日本と引き分けたベルギーがブラジル相手にどれほどの戦いができるのか注目して見ていました。結果的には2-0でブラジルが勝ったのですが、内容的にはむしろベルギー。パスの正確性、集散の速さ、球際の強さでブラジルを上回り、勝つチャンスは十分にあったと思います。前半35分に反則(何の反則だったのかさっぱり分からなかった)のため取り消されたヴィルモッツの「幻のゴール」が認められていれば、あるいは何度もあった決定的チャンスを一つでもものにしていれば、最後に笑っていたのはワセイジュ監督の方だったかも知れません。正面からぶつかって散ったグッドルーザー、ベルギー代表。このチームと堂々と渡り合って引き分けに持ち込んだ日本代表は、やはり力がついているのだな、と改めて感じました。今日の相手のトルコはブラジルをもう少しのところまで追い込みながら敗れたチームです。力はベルギーと同等かそれ以上だと考えて間違いないでしょう。日本代表の選手が目標を達成して「燃え尽き」ているのではないか、主審がイタリア人でこちらに不利なのではないか等いくつか不安材料もありますが、そこは宮城スタジアムを埋める満員のサポーターの力で打ち破って、そして再び勝利の歓喜を味わわせて欲しいものです。
<02.6.17> 昨日行われた2試合はいずれも延長に突入する熱戦。両チームの負けられない、負けたくないと言う思いが交錯した最高のゲームでした。
 大分で行われたセネガル対スウェーデンは、「死のグループ」を組織力で勝ち抜いたスウェーデンにセネガルが高い身体能力で対抗する、と言う構図。立ち上がりはスウェーデンがボールを良く動かして圧倒し、前半11分にセットプレーからラーションがヘッドで決めて先制しました。が、その後セネガルは高い集中力を見せてスウェーデンの攻勢を凌ぎ、暑さのため足が止まって来るとディオフやアンリ・カマラらの高い個人技で押し返します。そして前半37分、スウェーデン守備陣の一瞬の隙を突いての同点弾。その後は両チームともお互いの特徴を良く生かしたサッカーを展開し、サッカーの神の気まぐれでどちらに転んでもおかしくないゲームでした。延長に入ってからはどちらかと言うとスウェーデンのペース。特に延長前半4分のアンデルス・スベンソンのシュート(ゴール前でボールを受け、冷静に相手をかわし、鋭く反転して右足を振り抜いたというもの)は決定的で、セネガルのGKシルバはただ見送るしかありませんでした。が、このボールはポストを激しく叩くと外に弾んでしまいます。逆に延長前半14分、足を痛めた?チャウが必死でキープしたボールを受けたアンリ・カマラが放ったシュートは、やはりポストを叩いたもののこちらは内側に跳ねてゴール。ちょっとした神の気まぐれが、この息苦しくも楽しい死闘に決着を付けました。これでセネガルは、初出場ながら堂々のベスト8入り。フランス戦での勝利が決してフロックではないことを自ら証明しました。特に昨日は主力のファティガ、ディアオを出場停止で欠いていたにも関わらず、攻撃的な気持ちを失わずに正面からぶつかって勝ったことはこのチームのポテンシャルの高さを示すもの。日本がトルコ戦に勝てばこのセネガルと対戦することになりますが、打ち破るのは非常に困難な相手だ、と言えるのではないでしょうか。
 続いて韓国・水原で行われたスペイン対アイルランドもまた、「死闘」と呼んでいいゲームでした。両チームとも開始早々から積極的な戦いを選択し、少ないタッチでボールを繋いで前へ前へと進む攻撃と速い攻守の切り替えで目の離せない展開。しかし序盤はどちらかと言うとスペインが内容的に上で、前半8分にモリエンテスがゴールを決めて主導権を握ったか、に見えました。しかしこれまでのゲーム同様、アイルランドはリードされてから本領を発揮します。スペインの攻撃をオフサイドの網にかけてストップすると、正確にパスを繋いで徐々にスペインの守備陣を押し込みます。ダフの突破。クィンのヘディング。ロビー・キーンの裏を狙う動き。アイルランドは引き気味で守るスペイン守備陣、特に大当たりのGKカシージャスに何度はね返されても、PKのチャンスを外しても決して諦めずに、実直な攻めを繰り返します。そしてついにそれが結実したのが後半44分の事でした。2度目に得たPKはロビー・キーンがきっちり決めて、ついに土壇場で同点に追いつきました。しかしその後の延長では両チームとも足が止まり(特にスペインはアクシデントで1人少ない状態)、気持ちは前に行くものの足がついてこないと言う感じで、今大会初のPK戦となります。疲れが両チームの選手の足の力を奪ったのか10人中5人が失敗すると言う大変なPK戦となりましたが、ここではサッカーの神は、最後までチームとしての団結力を失わなかったスペインに微笑みました。
 この日の勝者はセネガルとスペイン。敗者はスウェーデンとアイルランド。どちらが準々決勝に進出するかを決めなければならないため道は2つに分かれましたが、いずれもサッカーの世界一を決める大会にふさわしい、素晴らしいチームでした。特にスウェーデンとアイルランドと言う好チームが2つも去ってしまうのは本当に残念ですが、しかしこれもワールドカップ。残った両チームにはぜひ次も良いゲームを見せて欲しいと思います。
<02.6.16> 「優勝候補」が次々と敗退して波乱が続出した今回のW杯も、昨日からノックアウト方式の2次ラウンドに入りました。まずはドイツ対パラグアイ。カメルーン戦の「乱戦」のためDFのラメロー、MFのハマン、ツィーゲを出場停止で欠いて苦しいはずのドイツでしたが、それを逆手に取って?新しいメンバー、新しい布陣で臨みました。そして結果的にはこれが正解。ヤンカーめがけた放り込みができなくなった分、低く鋭いパスでサイドからだけでなく中央からも攻めます。得点は今大会初出場のノイビルの速さと得点感覚が生きたシーンで、シュナイダーの右からの鋭いクロスをワンバウンドで合わせたもの。ヘディングに強いクローゼとこのノイビルのコンビは、ドイツに「新しい強さ」を付け加えることになるような気がします。またドイツは全ての選手の守備の意識が高く、パラグアイがカウンターを仕掛けても必ず複数の選手が戻ってきっちりと守っていたのも目立ちました。パラグアイは南米のチームらしい細かいテクニックとスピードに優れたものがあり、中距離から放つシュートは強烈でなかなかの好チームでしたが、しかし内容的にはドイツのロジカルな戦い方の方が一枚も二枚も上。終盤には早々に「延長狙い」とも思えるような戦い方になってしまったのは、ピッチ上の選手と監督が外から見ている観客以上にドイツとの力の差を感じてしまったから、ではないかと思いました。欧州選手権からW杯予選にかけて、本来の強さを失っていたドイツ。ベテラン頼りで若手が育たず、根本的な改革を行わなければ復活は難しいのではないかと見ていたのですが、彼らの力は私の素人目を完全に上回っていたようです。ドイツは伝統的な「逆境に向かったときの強さ」を発揮して、1試合戦うごとに強くなってきている、と言う印象。組み合わせを見る限りでは、案外このまま決勝まで進んでしまうかも知れない、と言う気がします。
 続くデンマーク対イングランドですが、デンマークが開始早々にミスを重ねて失点してしまったのが重くのしかかりました。ファーディナンドのシュートを弾いたのがGKのミスなら、そのきっかけとなったCKを与えたのもバックパスのミス。これで「しっかり守って素早く攻める」と言うデンマークのゲームプランが根底から崩れ、積極的に攻めざるを得なくなってしまいました。また攻撃の要MFトフティングとFWトマソンが怪我の影響で本来の切れが無く、更に前半早々にヘルベグが怪我で退いてしまったのも不運でした。正確なパスと組織的な動きでボールを大きく動かし、相手の守備に隙を作って攻めるデンマークは真面目で良いサッカーを展開していたと思いますが、同型のイングランドにリードを奪われ、余裕を持って対応されると苦しいところ。ゲーム自体はまるでプレミアリーグを見るような楽しさがありましたが、早い段階に大差が付いてしまったのは残念でした。逆にイングランドにしてみれば、苦しかったF組を突破した次のゲームで思い通りのゲームができて弾みがついた、と言うところではないでしょうか。次の相手はブラジルとベルギーの勝者になりますが、激しい面白い試合が期待できそうです。
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