6/9〜6/15のSANFRECCE Diary


<02.6.15> ベルギー戦で初めての勝ち点、ロシア戦で初めての勝利を手にするなど一歩一歩階段を上ってきた日本代表は、昨日のチュニジア戦にも余裕で勝利し、堂々H組1位で初めてグループリーグを突破しました。
 目標達成のためには引き分けで良い日本代表は、前半は慎重な立ち上がり。チュニジアがあまり前から来なかったこともあって、DFラインでボールをまわし、中盤がポジションチェンジを頻繁に行って相手のマークを引きはがして前線で起点を作ろうとします。しかしようやくチームとしての形が出来てきたチュニジアも集中力が高く、前半は日本が押し気味だったもののお互いに様子見、と言う感じで終了しました。
 私は前半を見てこのまま引き分け狙いも悪くないかな、と思っていたのですが、後半開始からトルシエ監督は思い切った采配を見せます。稲本、柳沢に代えて市川、森島の投入。稲本は確かに前2戦よりは目立っていないかな、とは思いましたが、これまでの「ラッキーボーイ」をいきなり代えるとはまたギャンブルをするものだ、と見ていました。が、真の驚きはその5分後でした。右サイドから易々とチュニジアDFを崩すと中央に走り込んだ森島が彼らしいワンタッチシュートでゴールネットを揺らします。思い切った采配を見せた監督も監督なら、その意図をあっさり実現してしまうチームもチーム。落ち着いて相手の様子を窺い、ここぞと言うところでシフトチェンジしてゴールを奪う。その後は相手に攻めさせながらしっかり守り、最後はとどめのゴールで試合を決める。まるで強豪国がレベルが下の相手にするようなゲームを、W杯本大会の大事なところで見せるとは... ここにこの代表チームの成長を見るとともに、まだまだポテンシャルを秘めているような、そんな気さえして、心の底から喜びがわき出してなりませんでした。これでW杯は終わったわけではないし、監督と選手達は既にトルコ戦を見据えているだろうと思います。が、そこで仮にどんな悪い内容と結果になったとしても、ここまでの3試合が色あせることはありません。私としては、ここまで来たことだけでも満足だ、と言っていいでしょう。(まあ、もしトルコ戦が内容が悪くて負けたら、おバカな評論家は何か批判するかも知れませんけど。)次からのトーナメントは、言わばおまけのようなもの。どんな結果になろうとも、ただ楽しみたいと思います。
<02.6.15> 一昨日、大分スタジアムビッグアイにメキシコ対イタリアを見に行ってきました。引き分け以上で2次ラウンド進出が決まるメキシコに対し、勝たなければ自力でのグループリーグ突破がならないイタリア。最後はクロアチアの敗戦が伝わったため結果によらず両チームの次ラウンド行きが決まってしまいましたが、両チームの思いが交錯したなかなか面白いゲームだったと思います。
 試合内容についてはさておき。何と言っても印象的だったのはメキシコのサポーターでした。報道によると今大会日本で最も話題になったサポーターはアイルランドとメキシコだったそうですが、その噂に違わぬ盛り上がりぶり。会場全体としてはイタリアを応援する声が大きかったかも知れませんが、実はイタリア人の姿はほとんど無くその大部分が日本人。それもおそらく多くがトッティやデル・ピエロ等の「いい男軍団」が見たいと言うだけのミーハーファンで、これらの選手が蹴る瞬間のフラッシュの雨には正直言って辟易しました。(誰か、スタジアムでフラッシュを光らせても何の意味もない〜遠すぎて光が届かない〜事を教えてあげてください。)それに対してメキシコのサポーターは、ほとんどがこの道ン十年?と言う強烈なファンばかり。皆がメキシコ代表のレプリカを着、ある人は国旗を身にまとい、ある人はソンブレロをかぶり、くるくる回すとカチカチ音が出る木製の器具(名前は何て言うんでしょう?)で音を出しながら踊り、歌い、コールして応援します。私はたまたまメキシコ側のゴール裏の席だった事もあって「メヒコ、チャチャチャ」や「メヒコ、メヒコ、ラ、ラ、ラ」等のコールを覚えてしまい、途中から一緒に大騒ぎしてしまいました。ワールドカップは世界一流のプレーが見れる、と言うのは当たり前の事ですが、それ以上に面白いのはいろんな国のサポーターと出会うことができる事。優勝を目指した真剣勝負と言うだけでなく、世界からのサッカーファンが集まる「お祭り」だと言う側面がより強いように思います。自国の代表の勝利に酔うのももちろん大事ですが、それよりもいろいろな国から来た色々な人たちと「サッカー」を共通語としたコミュニケーションを図ること。それがW杯の一番の楽しみ方なのではないか、と言う気がしました。
 また、私は韓国で1回、日本で1回W杯を観戦して「日韓共催」を体験したのですが、それぞれで特徴のある運営を行っていてそれもなかなか興味深いものでした。一昨日の大分会場は「サポーターズエリア」と言う場を設けていろいろなイベントを行っていましたが、これは大正解。ほろ酔い気分のサポーターがあちこちで輪を作り、国を越えて一緒にコールしたりして盛り上がっていました。またシャトルバスを使った輸送体制も完璧で、行くときも帰るときもほとんど待たずに済みました。これは日本と韓国の違い、と言うわけではないかも知れませんが、少なくとも大分の人たちはほぼ完璧な準備が出来ていた、と言えるように思います。一部の会場では警備が厳しすぎて不評だったところもあったようですが、少なくともこのメキシコ対イタリアは良いホスピタリティができていたのではないでしょうか。会場周辺では交通規制などいろいろ不便もあったようですが、大分の人たちにはとりあえずはお疲れさまと、そしてありがとうと言いたいと思います。
<02.6.13> 波乱が続くW杯は、昨日フランスに続いて「西の横綱」アルゼンチンまでも敗退してしまいました。スウェーデン戦は開始早々から「守るスウェーデン」対「攻めるアルゼンチン」と言う展開。ベロンを外してアイマールを中心に据えたアルゼンチンは、このアイマールやオルテガのドリブルから両サイドを崩し、何度もゴールに迫ります。しかしスウェーデンはゴール前に黄色い壁を作ってこの攻撃をストップ。更にGKが何度もファインセーブを見せて立ちはだかります。バティステュータが、クラウディオ・ロペスが、サネッティが、ソリンが。キリ・ゴンザレスが、クレスポが、ベロンが。キラ星のごとく並ぶ世界のスーパースターが卓越した個人技でスウェーデンの守備陣を打ち破ろうとしますが、スウェーデンの守備ブロックはがっちりとゴールをガードします。結局、アルゼンチンが奪った点はオルテガのドリブルを止められて得たPKのこぼれをクレスポが押し込んだものだけ。主審の終了のホイッスルはこの大会からアルゼンチンを葬り去る合図となり、バティステュータが、クレスポが、クラウディオ・ロペスが頭を抱えて涙を流しました。
 このアルゼンチンの1勝1分1敗と言う成績自体は、「死のグループ」F組を戦った事を考えればそれなりの成績だった、と思います。少なくとも勝ち点1しか取れなかったフランスに比べれば、悪くない成績だったと言って良いでしょう。しかし、誤算は攻撃。南米予選で1試合平均2.3点を奪っていたのに、3試合で2点(それもいずれもセットプレーから)しか取れなかったのでは敗退も当然、と言うところかも知れません。これはもちろんベロンの不調と言う要因もあるでしょう。しかしそれ以上に、相手に研究され尽くされていたからだ、と言わざるを得ないと思います。イングランドもスウェーデンも、とにかくスペースを与えないような守備を徹底し、アルゼンチンの選手が技術を発揮する時間的・空間的なスペースを与えませんでした。これに対してアルゼンチンが、相手の守備を打ち破る十分な準備が出来ていたかどうか。結局のところその差が、最終的な勝ち点の差として出てしまったのではないかと思います。単なる選手の力の総和では勝てないサッカーの怖さ、面白さ、特にW杯と言う舞台の難しさを思い知らされるような結果だった、と言えるでしょう。
 B組の最終戦は、南アフリカ対スペイン、スロベニア対パラグアイのどちらも激しい点の取り合いで非常にエキサイティングなゲームでした。勝ち抜きが決まりメンバーの半分を入れ替えてきたスペインと、引き分けでもOKの南アフリカは、まったりした展開になるかと思えばさにあらず。開始4分にラウルのゴールで試合が動くと、それから両チームとも激しく動いて点の取り合いになりました。私がこちらを見たのは前半だけなのですが、どちらのチームも伸び伸びと戦っていると言う感じでサッカーの楽しさが堪能できる内容だったと思います。しかしW杯の厳しさと面白さと言う意味では、スロベニア対パラグアイの方がたぶん上。勝ち点で南アフリカよりも3つ少なく得失点差でも不利なパラグアイは、スペインの勝利を祈りつつ大差で勝たなければならない、と言う苦しい状況でした。そして相手のスロベニアは、グループリーグ敗退が決まっていたとは言えこの大会に何らかの足跡を残したいと言うモティベーションを高く保って戦います。必死で攻めるパラグアイでしたが、前半に1人退場になり、更にロスタイムに1点リードされて絶望的な状況になりました。しかし、この南米の小国の意地の見せ所はここからでした。後半途中から投入されたクエバスのシュート!同じく途中から出たカンポスのシュート!「決して諦めない」と言葉にするのは簡単ですが、パラグアイの選手全員からはこのオーラが立ち上っていました。チラベルの惜しいFK。サンタクルスが、アルセが、アクーニャが、何度も激しく上下動を繰り返して勝ち抜きに向けての執念を見せます。そしてついに後半39分。クエバスのミドルシュートがバーに当たり、パラグアイの選手全員の思いが乗り移ったようにゴールの内側に跳ねます。待望の3点目を得て、後はしっかり守ってタイムアップ。その時点ではまだもう一つのゲームは終わっていませんでしたが、抱きあって喜びを爆発させるパラグアイの選手の表情には、やるべきことをやったと言う満足感が満ちあふれていました。今大会のフランス、アルゼンチンの敗退は衝撃的でしたが、やはり敗退するチームには敗退する理由がある。フランス代表とアルゼンチン代表の選手には、このパラグアイの戦いを見て自分たちに足りなかったものは何なのかを、良く反省して欲しいような気さえしました。
 昨日の結果で、2次ラウンドのうち4試合の組み合わせが決まりました。日本ではデンマーク対イングランドとスウェーデン対セネガル。韓国ではドイツ対パラグアイとスペイン対アイルランド。確かにスーパースターの華麗なテクニックを持ち味とする国は少なくなりましたが、それらのチームを団結力と勝ちたいと言う意志の力で打ち破ってきた代表ばかりとなりました。これらの対戦は、きっと目の離せない激しいゲームになる。そんな予感が漂います。
<02.6.12> 5/30のDiaryに書いたように、私はフランスのグループリーグ敗退もありうると言う予感はありました。が、それでも実力的にはグループで一番上だし最終的には勝ち抜くだろう、と思っていました。ところが終わってみれば、勝つどころか1点も取れずにグループ最下位。混戦が続く今回のW杯にあってその象徴とも言うべき出来事が、この前回大会優勝国の敗退でした。原因はいろいろあるでしょう。ジダンやピレス等主力選手の負傷。決定的なシュートがことごとくバーやスーパーセーブに止められた不運。W杯予選が無かったこと。しかしこれらはどこの国にでもありうること(予選が無いことは日本と韓国だって同じ)で、優勝を狙う国としては言いわけにもならないことです。やはりどんな事態になっても克服できるような、チームとしての「深み」を作れなかった事が、最大の原因だったように思います。セネガル戦以降チーム内がバラバラになっていた(らしい)事も含め、ルメール監督のチーム作りの失敗があったとしか言えないのではないでしょうか?
 逆にデンマークですが、ここは本当に良いチームだと思います。得点王も狙える勢いのトマソンなど良い選手がいるのは確かですが、それとてジダンやアンリ、トレセゲなどの「スーパースタークラス」に比べれば小粒な選手ばかりです。にも関わらずこのゲームはしっかり守ってワンチャンスに賭けると言うミッションを全員が遂行し、ゲームプラン通りに勝利を勝ち取りました。オルセン監督は「これでキャンプ地の和歌山に戻ることができる」と喜んでいたそうですが、彼らの素晴らしいサッカーを今度は新潟で(相手はF組2位)見ることができるわけです。
 A組のもう1試合、セネガルとウルグアイの対戦は後半になって盛り上がりました。私はデンマークが2点目を取った時点でチャンネルを切り替えてこちらを見ていたのですが、ウルグアイの猛攻に次ぐ猛攻は本当に見ごたえがありました。前半は良いサッカーをしていたセネガルが、3点リードで気が緩んだか一方的に押し込まれた事。勝たなければ次はないウルグアイが、吹っ切れたように攻めに攻めたこと。サッカーの怖さ、面白さを堪能できた数十分間でした。セネガルのトーナメント初戦の会場は大分。相手は「死のF組」を1位で突破してくる国です。こちらもまた、面白いゲームになることは必定でしょう。
 ドイツ対カメルーンは、両チーム合わせて16枚のイエローカードが飛び交う乱戦となりました。イエローカードの内容一つ一つを見ると確かにカードがでてもおかしくないプレーばかりだったとは思いますが、それにしても主審がゲームをコントロールできていなかったのは確かでしょう。私が思うに、これは序盤でカメルーンの悪質なファウルを見逃したのが原因だったのでは無いでしょうか。特にウォメが倒れ際にクローゼの顔を踏みつけたシーンは、スローで見る限り一発レッドの上に数試合出場停止になっても不思議では程のもの。これらのファウル見逃しがドイツの激しいタックルを招き、カメルーンも対抗してエスカレートして行ったと言うことだったと思います。両チームとも勝たなければならないゲームだったのは確かですが、それにしてもこういう形でファイトする姿は見たくなかった、と言うのが正直なところです。そんな中、1人少なくなってもほぼ完全にゲームをコントロールし、自分たちの形に持ち込んで勝ったと言うのはさすが伝統国ドイツ、と言うべきか。私は開幕前の予想で「これで上位進出できたら奇跡...カメルーンとともに、アイルランドが勝ち抜く可能性が高そう」と書きましたが、こちらは大外れとなりました。(^_^;) やはり初戦でサウジがドイツに勢いを付けてしまったことと、カメルーンの準備不足が響いた、と言うことでしょうか。因みに私の贔屓チームの一つアイルランドは、サウジを余裕で破ってグループリーグ突破を決めました。ロイ・キーンの穴が心配されたアイルランドですが、試合を重ねるごとにチーム全員の団結で戦うと言う雰囲気が出てきたような感じ。トーナメント初戦は韓国に渡ってB組1位との対戦ですが、きっとそこでも粘り強く戦う姿を見せてくれるだろう、と思います。
<02.6.11> 日本と2次ラウンド進出を賭けて争うH組の残りのゲーム、ベルギー対チュニジアは、ヴィルモッツのゴールでベルギーが先制したもののチュニジアが追いつき、1-1のドローに終わりました。ボールキープ力とスピードに優れるチュニジアと当たりの強さと組織力で戦うベルギーは、両者とも何度も良い形を作って決定機を作りましたが、フィニッシュの精度が悪く相手を突き放すことが出来ませんでした。大会前はチーム作りが全く出来ていないと言う噂だったチュニジアですが、ここにきてようやくまとまりが出てきたと言う印象。日本が勝つ可能性は高いとは思いますが、ちょっとしたアンラッキーや一瞬の集中の切れに付け込まれないよう注意したいところです。これでH組は日本が勝ち点4(得失点差+1)で首位に立ち、ロシアが3(+1)、ベルギーが2(+-0)、チュニジア(-2)が1となりました。最終戦で戦うロシアとベルギーが同時に勝ち点4以上になることは無くなったので、日本はチュニジアよりも上にいる限り2次ラウンド進出が決まります。その条件は勝ちか引き分け、あるいは負けても1点差に抑えること。16強戦の相手を考えると1位抜けしたいところではありますが、それよりもまずは「1次ラウンド突破」と言う目標の達成に集中して欲しいものです。
 ポルトガル対ポーランドは、ポルトガルが4-0で勝って2次ラウンドへの望みをつなぎました。このゲーム、終わってみればポルトガルの圧勝でしたが内容的には競った好ゲームだったと思います。韓国戦では「これが本当に欧州を突破したチーム?」と疑問に思うほど出来の悪かったポーランドですが、この日は出足やキープ力、パスの精度、そしてゴールに向かうスピードなど色々な面で質の高さを見せてくれました。特に後半の前半は何度もポルトガルのゴールに迫るなど内容的には圧倒していた、と言って良いほど。雨に濡れたピッチで思うようにパスサッカーを展開できないポルトガルをかなりのところまで追いつめました。が、そこで雰囲気が変わったのはルイ・コスタが入ってからのこと。この選手は一見一生懸命やっているようには見えないのですが(^_^;)、ポジションの取り方、パスを受けるときの身体の向き、視野の広さ、そしていざと言うときの走り込み等、プレーの一つ一つのレベルが違います。そしてここぞ、と言うところで繰り出すパスはとてもおしゃれで、両チームの肉弾戦になりかかっていたゲームをいっぺんにファンタジーあふれるものに変えてしまいました。ポルトガルが2次ラウンドに進出できるかどうかは韓国戦の結果次第となりましたが、ここで敗退してしまうのは惜しいチームであるには違いありません。逆にポーランドはこれで敗退が決定してしまいましたが、ああいう真面目なサッカーが何も成果を残さずに大会を去るのも残念です。最後のアメリカ戦もまた厳しい戦いとなるでしょうが、きっとこれがポーランドのサッカーだと言うものを見せてくれるだろう、と思います。
 最後に韓国とアメリカの試合は、韓国が終始ペースを握って戦いを進めたもののPK失敗もあって1-1の引き分けに終わりました。2試合を終えての勝ち点4は日本と同じ条件で、アジアの代表としてはまずまずの出来だとは思います。しかし最終戦の相手が調子の上がってきたポルトガル、というのが何とも苦しいところ。2次ラウンドへの進出の可能性は、60%程度にまで落ちたと言って良いように思います。報道によると、このゲームは韓国の国民にとっては特別な意味を持つもの。ソルトレーク五輪のショートトラックで金メダルを「奪われた」ことに対する意趣返し、と言うもので、アン・ジョンファンの同点ゴール後にショートトラック競技のまねをするパフォーマンスを見せました。それも全員でスケーティングのポーズを取っただけでなく、1人はアントン・オーノが進路妨害をアピールしたシーンの真似をすると言う念の入れよう。練習をしたか、最低でも事前に打ち合わせをしていた事は明らかなパフォーマンスでした。これに関して試合に注目していた国民はほとんどが大喝采を送ったようで、代表選手の1人(誰だっけ?)もこれで溜飲を下げることが出来ただろう、と肯定的に語っていたそうです。しかし、私は敢えてこれに関しては愚かな行為だった、と言いたい。サッカーは多くの国民が注目する競技で特にW杯はオリンピックに並ぶ(いや、それ以上の)大会ですが、しかし別に国威発揚の場でも何でもなくタダの一つのスポーツです。ここに政治や宗教や他のスポーツを絡ませてもロクなことにはならないことは、歴史が証明しています。少なくともあのパフォーマンスには、対戦相手の選手に対するレスペクトが全く感じられません。五輪など自国が優勝できる大会には熱狂するのにサッカーにはほとんど関心を示さない国の代表。本国ではNBAファイナルの方が盛り上がっているにも関わらず、自分たちには全く関係ない事情で満場からのブーイングを受ける選手達。そのアメリカ代表とピッチ上で相対した韓国代表の選手に、まず第一にサッカーをプレーする仲間として尊重する姿を見せて欲しかった、と私は思います。アメリカ代表は残り1試合を韓国で戦い、2次ラウンドに進出したとしても決勝まで韓国で戦うことになりますが、ぜひとも韓国の方々にはこれでソルトレークの恨み(?)を忘れて、今度は彼らのサッカーを応援して欲しいものです。
<02.6.10> 私がサッカーに興味を持って見るようになったのは、確か85年か86年ぐらいからだったと思います。私は生まれてから20数年間、プロ野球ファンとして過ごしてきたのに、日本のサッカーなんてマイナースポーツの一つでしか無かったのに、何故か(理由は今でも良く分からない)サッカーに目覚めたのでした。そして初めて、世界のサッカーに接したのが86年のメキシコワールドカップ。「神の手ゴール」のマラドーナの大会を、毎朝早起きして見て感動していた記憶があります。が、この頃の日本のサッカーは本当に世界から遠いところにいました。日本代表の国際ゲームの相手と言うと、アジアの国か欧州や南米のクラブチームばかり。それも勝てるのは弱いところだけで、イランやクウェート等の中東のチームにも全然勝てる気がしませんでした。87年に行われたソウル五輪のアジア予選は国立で中国に0-2で完敗して出場権を逃し、次のイタリアW杯は北朝鮮に敗れ、香港に勝てずに一次予選で敗退。日本代表は単に弱いだけでなく戦術的にも未熟で(ひたすら守ってロングボールを原(現FC東京監督)の頭へ!と言う戦術だった)、正直言って日本がW杯に出るなどとは想像もできない時代でした。
 その後、オフト監督が就任してようやくアジアと対等に戦えるようになり、Jリーグが始まってサッカーがプロスポーツとして認知されるようになり、ジーコ、リネカーやリトバルスキー等W杯に出たことのある選手(^_^;)が日本で見れるようになり、アトランタ五輪への出場権を勝ち取り、フランスW杯にも出場し... それ以降の日本サッカーの歩みは、一歩一歩階段を上るように、ゆっくりした歩みながら着実に世界に近づいていきました。しかし、階段を一歩上るたびに立ちふさがる世界の壁。「ドーハの悲劇」で、フランスでの3連敗で打ちのめされながら、それでも一つ一つこの壁を乗り越えてきました。昨日の勝利はピッチ上にいた11人+3人全員が団結して得た勝利ですが、それだけではありません。トルシエ監督を始めとする日本代表を支えるスタッフ。日本のサッカー界の全ての選手達。スタンドやパブリックビューイングや家庭のテレビの前から声援を送ったサポーター。これまで日本のサッカーに関わってきた全ての人の力で勝ち取った勝利だ、と私は思います。今はこの勝利を喜びたい。この嬉しさに浸りたい。ただそれだけです。
<02.6.9> 昨日行われた3試合のうち、ベストマッチは文句なくイタリア対クロアチアでしょう。初戦で完勝して優勝候補の力を見せつけたイタリアと、4年前からの力の低下を見せてしまったクロアチア、と言うことで、イタリアの勝利を予想する声の多いゲームでしたが、しかしサッカーはやってみないと分からないもの。スーケル、プロシネツキを外すと言う荒療治でチーム改造に乗り出したクロアチアが前半からペースをつかみ、先制した堅守イタリアを逆転すると言うスリリングな展開となりました。イタリアは後半2回にわたってゴールを取り消されたりトッティの強烈なFKがポストを叩くなど、運に恵まれなかったと言う感はありますが、敗因はそこにあるのではないでしょう。問題はクロアチアの吹っ切れたような全力の戦い方をしっかり受け止めることが出来ず、リードを守りきれなかったところ。ひょっとすると少々の「気の緩み」もあったのかも知れません。これでG組も一気に混戦となってしまいますが、このままイタリアが死んでしまうこともないでしょう。次のメキシコ戦(私が「サポーター枠」でチケットが取れたゲーム!)は、激しい戦いになることは間違いない、と思われます。
 ブラジル対中国は、立ち上がりから中国が積極的に攻めて面白い展開になる、と思われましたが、それも最初の15分だけ。ロベルト・カルロスの強烈なFKが決まると後はブラジルに余裕を持ったプレーを許し、終わってみれば4-0で、アジア代表の力不足を示すことになってしまい残念でした。中国は大事なところでのパスやシュートの精度の低さを露呈し、「世界レベル」からまだ距離があるように見えました。が、やっているサッカー、やろうとしているサッカーはなかなか質の高いもので、今後経験を積んで行けば間違いなく強くなれると思います。そう言う意味では、いつまでたってもスタイルの変わらないサウジアラビアよりも将来性は高い、と言えるかも。この敗戦で力を落とすのではなく、日本、韓国とともに東アジア全体のレベルを上げて行って欲しいと思います。
 最後に南アフリカとスロベニアのゲームですが、これは1-0と言う点差以上の南アフリカの完勝でした。ザホビッチが監督との対立でチームを追放された上に、その監督も退席処分となったスロベニアはチームがバラバラ。欧州選手権や欧州予選で見せたひたむきさも感じられず、普通以下のチームに成り下がっていたのが残念でした。逆に南アフリカは、ノムベテやフォーチュンなどシドニー五輪で日本が苦められた選手が主力として着実に成長してきています。今大会で自信を付けて、今後アフリカの強豪として地位を確立してくるかも知れません。
<02.6.9> NHK広島放送局が今週、サンフレッチェの「10年の軌跡展」を行っています。1992年4月の創立発表記念記者会見のパネルから始まって、94年のステージ優勝の写真や過去10回のリーグ開幕戦の先発メンバーの写真など49枚を展示。歴代のユニフォームや上村選手がアトランタ五輪で着用したユニフォームも展示してあるそうです。今日は最終日で、「ファン感謝デー」の一環として藤本選手のトークショーや久保選手など14人のサイン会が行われるとのこと。会場は中区のNHK広島放送センタービルとなっています。
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