9/15〜9/21のSANFRECCE Diary


<02.9.21> 明日のDiaryは、都合によりお休みします。
<02.9.21> 今日から明日にかけて行われる2nd stage第5節。サンフレッチェは明日、ホーム広島スタジアムで市原と対戦します。
H● 0-1 FC東京 【F】ケリー
A● 0-1 清水  【清】アレックス
A● 1-3 名古屋 【市】崔、【名】原、ヴァスティッチ2
H○ 3-1 仙台  【市】増田、崔、村井、【仙】マルコス
 相手の市原は1st stageは第9節の広島戦まで勝ち点8と苦しんでいたものの、その後1引き分けを挟んで5連勝。特に第12節から復帰した崔が4試合で6ゴールの大活躍で、チームを波に乗せました。2nd stageは競り合いに勝てずに3連敗での立ち上がりとなりましたが、内容は決して悪くなくチームのまとまりは上々。水曜日にようやく片目が開いて、さあこれから、と気合いを入れているものと思われます。
 対するサンフレッチェですが、ガンバ戦の完敗でチームの雰囲気は一時的にどん底に落ちていたそうです。が、広島フットボールによると小野コーチが「『こういういいプレイがあった』と指摘してくれて、『ちょっとのズレが出ただけ。やっていることは間違っていない』と言ってくれた」(森崎浩)事でかなり精神的に楽になったようで、昨日の練習では明るい雰囲気が戻っていたそうです。若いチームに大事なことは、自信を失わないこと。連勝でせっかく掴みかけていたものをもう一度しっかりと握り直すためにも、この相性のいい市原との対戦は特に重要だと言えるでしょう。
 予想されるメンバーですが、昨日の練習ではAチームの選手を次々と入れ替えていろいろなパターンを試していたそうです。その中で注目点は、久々に練習からAチームに復帰した久保。運動量的な不安はまだあるものの、久保らしいダイナミックなプレーが戻ってきたとのこと。チームが波に乗るためにはエースの爆発が不可欠なだけに、そろそろ先発復帰がありそうです。逆に前節最悪のパフォーマンスだった藤本はBチームでプレーしていたそうで、まだまだ悩みは深そう。練習の内容は悪くなかったそうですが、他の選手の状態次第では先発から外れる可能性もありそうです。
       下田

  トゥーリオ  ビロング
駒野            服部

    森崎和   沢田

       森崎浩

  久保        茂木
      エルツェグ

SUB:尾崎、松下、藤本、高橋、中山
 広島フットボールによると、メンバーは木村監督も「決めていない」とのこと。連勝した時のメンバーとシステムに戻すか、それとも能力の高いエルツェグと久保を中心としたメンバーに組み直すか、判断に迷っているのかも知れません。いずれにしろこのチームの特徴は攻撃。守備の組織をすぐに整備するのは無理(と言うか、これまでも個人能力だけで何とか守れている!)なので、アグレッシブで面白いサッカーを見せて欲しい、と思います。
 明日の開催は広島スタジアムで、キックオフは午後3時半と中途半端な時間になっていますのでお間違えの無いように。連休の中日の開催と言うことで?小中学生は100円で入場できます。また、テレビは久々にNHK-BSで生中継です。スタジアムに行けない方は、テレビの前で応援をお願いします。
<02.9.21> 昨日から始まった高知国体に出場しているサッカー少年男子の広島県選抜は、3-1で奈良県に快勝して2回戦に進出しました。メンバーは、GK:山城、DF:大野(→村崎24分)、吉弘、寄井、中野、MF:沖本、阿部(→向59分)、前田、田坂、FW:木村、馬屋原(→田村67分)で、半分以上がユースのメンバー。先制点は前半3分で、沖本のパスを馬屋原が右足で決めたもの。その後25分にPKを与えて追いつかれたものの、29分には今度は馬屋原のパスから阿部がゲット。更に後半24分に沖本の蹴った直接FKを木村がドリブルで持ち込んで?決めました。2回戦は今日の11時40分からで、熊本を破った群馬との対戦となります。
<02.9.20> 「紫熊倶楽部」の10月号(Vol.56)が出ているのですが、その全部を紹介するヒマが無いのでその「巻頭提言」だけを紹介したいと思います。テーマは「応援歌を歌ってみよう」。広島のサポーター、と言うと比較的おとなしい、と言う印象があります。それは地域の文化的背景や歴史的な事情など、色々な要因があると思いますが、しかし別に応援したくない、声を出さずに黙って観戦したい、と言う人が多いから、というわけでも無いと思います。私自身はホームではバックスタンドに座ることが多く、アウェイではゴール裏にいるのですが、どちらの場合でも感じるのは、これと言った歌が少ないこと。もちろん中心になるサポーターグループはいくつも歌のバリエーションを持っているのですが、やや離れたところに座っている人にとっては「どんな歌詞で何を歌っているのか分からない」から声を出せない、と言う事が多いのではないか、と思います。
 と言うことで、今回の紫熊倶楽部の巻頭提言では、ホームのB6に位置するグループが歌っている「Hiroshima Night」と言う歌を歌ってみてはどうだろう、と提案しています。これは、25年ほど前(^_^;)に流行ったベイ・シティ・ローラーズのヒット曲「Saturday Night」の替え歌。その冒頭部分の数フレーズ(元歌は"Keep'on dancing on the rock'n' roll, Saturday night, Saturday night"と言う感じだったはず)に歌詞をつけたものです。
さあ行こうぜ どこまでも
走り出せ 走り出せ
輝け 俺たちの誇り
ひろしま ひろしま
オオオーオー オーオーオーオー
 やや単調ですが、覚えやすく歌いやすい歌だと思います。イングランドなど欧州のスタジアムに行くと、一番印象深いのはどんな場面でも歌を歌って励ますこと。キックオフの時、攻め込んでいるとき、点を取ったとき、取られたとき、そして試合終了の時。それぞれの場面場面にふさわしい歌があって、それがスタジアムのどこからともなく沸き上がって場内を揺るがす合唱になる。それが心に響く雰囲気を作り、選手を励ますことになります。私自身はこのところ横浜FM戦とFC東京戦に観戦に行きましたが、以前に比べると間違いなく応援のパワーは上がっていると思います。ここで更に一段と応援の声を強めて、選手に力を与えたい。それが、苦境にあるチームを救う唯一我々に出来ることだ、と思います。
<02.9.19> 昨日のガンバ戦は攻められながらも粘り、カウンターから何度かチャンスを作りましたが最後に失点し、残念ながら3連勝はなりませんでした。
 前節Vゴールを決めたエルツェグを初めて先発に起用。一方茂木はやはり疲れがあると言うことで久保とともにベンチスタートで、高橋、藤本を1.5列目に配した「1トップ2シャドウ」と言う形の布陣でした。
       下田

  トゥーリオ  ビロング
駒野            服部

    森崎浩   松下

       森崎和

  高橋(→茂木77分) 藤本(→久保63分)
      エルツェグ(→梅田81分)

SUB:尾崎、沢田
 森崎和をトップ下に入れた布陣は、言わば「2001年ワールドユース型」。トゥーロン国際までU-21代表を率いていた小野コーチ発案?のシステムで、その時同様にボールを支配して攻撃的に行く、と言う戦術かと思われました。しかし、実際には「相手の守備陣形と選手の個性などを考えた結果」(木村監督談・広島フットボールによる)で、どちらかと言うと前線からの守備を考えた上でのメンバーだったとのことです。しかし結論から言えばそれは機能しなかったようで、前半から中盤を支配されて一方的に攻められます。特に藤本、高橋は下がりすぎていてエルツェグに絡むことが出来ず、また守りでも有効な動きが出来ずガンバの両サイドに攻められます。これによりボランチ2人が両サイドに釣り出され、スペースを与えてしまっていたそうです。チャンスと言えば14分にエルツェグが抜け出してGKと1対1になったものだけで、それ以外はほぼ一方的に攻められて前半を終了しました。
 後半、森崎兄弟のポジションをチェンジしてやや持ち直しましたが、しかし高橋、藤本の動きが悪くチャンスにならず。後半18分、ようやく久保を投入して流れを変えようとしたものの、逆にその前に入ったマルセリーニョ・カリオカにいいようにやられて度々ピンチを招きます。マグロンのシュートは下田が何とか右手に当て、新井場のミドルシュートもバーが弾いてくれるなど運も味方して何とか踏みとどまって逆襲のチャンスを待ちます。そして後半42分にこの日最大の?チャンスが訪れます。カウンターから久保がドリブルで持ち込み、森崎浩にパス。戻ってきたボールを久保が折り返すとフリーで受けた茂木がシュート!しかしこれは大きく枠を外してチャンスが潰えます。そしてその直後に新井場のクロスを松波に頭で押し込まれ、とうとう失点してそのまま押し切られました。
 昨日は年間順位が一つ下だった神戸が勝ったため、降格圏内ぎりぎりの14位に落ちました。また15位の柏も勝てないながらもまた一つ勝ち点を積み上げ、広島との差は1になってしまいました。せっかく抜け出しかけたのにまたもや危険地帯に戻ってしまったわけですが、しかしこれで力を落とすのはまだ早い。この失敗を糧にして、一歩ずつでも前進することです。次は再びホームに戻っての市原戦。中3日しか無く苦しいところですが、何とか立て直して欲しいものです。
<02.9.18> 広島フットボールと中国新聞によると、昨日はエルツェグ、久保、茂木の3トップで練習をしていたとのこと。この中で特にエルツェグは状態が上がってきており、練習では元クロアチア代表らしい技術の高さを随所に見せているそうです。(かつてレオナルドがやったようなリフティングからのゴールまで見せていたらしい。)今西総監督も「巧いね。昔は背が高い選手は柔らかな技術を持っていなかったものだが」と高く評価。更に森崎浩らチームメイトも一様に高い評価を口にしているそうで、周囲の信頼感が高まっているのは間違いなさそうです。また久保もこれに刺激されたのかかなり調子を上げてきているとのこと。「感覚は問題ない。あとは運動量だけ」と言葉は少ないながらも動き回る決意を示している様子です。そして前節、プロ入り初ゴールを決めた茂木。これで完全に自信を付けたようで、土曜日に101分間プレーした事による疲れも見せずに「『安定感が一番ある』とスタッフに言わしめた確実性の高いプレーと運動量」(広島フットボール)を披露していたそうです。情報によると今日はこの3トップの下に藤本が入り、中盤の底には森崎兄弟が控えると言う布陣になりそう。1点取られたら2点、2点取られたら3点を取ると言うような、激しい攻撃的なサッカーを見せてくれそうです。
 今日の会場は万博記念競技場で、午後7時キックオフ。テレビは9/21(金曜日深夜)24時からJSkySports(スカパーch306)の録画中継までありません。大阪に行けない人は、ネットの速報か途中経過で気をもむしか無さそうです。
<02.9.17> 忙しい2nd stageのJリーグは、明日第4節が行われます。サンフレッチェの相手は、1st stageで主審の判定に泣かされて敗れたガンバ。1st stageで優勝争いに顔を出しながらも息切れしたガンバは、2nd stageこそはと気合いを入れて戦ってきています。
H○4-1横浜FM 【G】宮本、マグロン2、吉原、【横】ウィル
A●0-1FC東京 【F】アマラオ
H□2-1清水  【G】二川、マグロン、【清】三都主
 横浜戦では圧勝したもののFC東京に敗れ、「絶対に落とせない」と延長まで粘った前節はマグロンのヘッドで勝ち点2を確保しました。2nd stageの勝ち点は広島と同じで8位のガンバにとって、次節もまた絶対に落とせないゲーム、と思ってくることは間違いないでしょう。
 それに対するサンフですが、今季初の連勝で「降格争い」からは抜け出しつつあります。が、勝ち点15は安全圏からはまだまだ遠く、今は一つでも多くの勝ち点が欲しいところです。攻撃力のあるガンバ相手のアウェイゲームと言うことで守備的に行く可能性が無い事もないのですが、木村監督のコンセプトからすれば前節同様前線を厚くした布陣を敷いてくるのは間違いない、と思います。先発予想は今節も難しいのですが、これも個人的な希望を込めて書きます。
       下田

  トゥーリオ  ビロング
駒野            服部

    森崎和   松下

 森崎浩         藤本

     久保 エルツェグ

SUB:尾崎、井手口、沢田、茂木、中山
 前節プロ入り初ゴールを挙げてポテンシャルの高さを見せた茂木ですが、やはり1年目の選手に多くを求めるのは酷と言うもの。FC東京戦でも終盤に体力が落ちて、競り合いで踏ん張れないシーンが目に付きました。茂木がサンフの宝と言うだけでなく日本の宝であることも考えると、ここは無理をさせずに温存してもいいのではないか、と思います。そしてそれ以上に期待できるのが久保、エルツェグのツートップ。FC東京戦ではコンビネーションの悪さが目に付き、また状態もトップフォームとは言えない感じの2人でしたが、どちらも昇り調子であることは間違いないところ。体調が戻りさえすれば若いFWよりもレベルが高いことは確実ですので、ここは彼らに託すのも良いのではないか、と思います。
 また中盤ですが、前節は高橋を右サイドに入れてみたもののあまり機能したとは言えませんでした。3トップとなった後半も、中盤のスペースが空いてこぼれ球を拾えず波状攻撃を受けました。更に森崎浩をトップ下に入れた時間帯には、何度もそこからチャンスを作ることが出来ていました。そのへんを考えると、最初から森崎浩を2列目で使って攻撃の指揮と前線からの守備を任せるのが良いのではないか、と思います。
 ともあれ、誰が出てもどういうシステムでも、大事なのは出ている選手が全力を尽くすことです。お互いにミスをカバーしあって、最後まで戦い抜くことです。それさえ出来れば、自ずと結果は付いてくるのではないでしょうか。
<02.9.17> 昨日吉田サッカー公園でSC鳥取との練習試合が行われ、サンフレッチェが3-0で勝ちました。広島フットボールによると、前半のメンバーはGK:林、DF:西嶋、河野、八田、佐田、MF:桑原、須田、山形、西村、FW:鳴尾、田村(ユース)。サテライトとは言えプロ対アマチュアと言うことでサンフのペースかと言うとそうでも無かったそうで、中盤でのボールの預けどころが無くまたDFラインの連携も悪く、少なくとも3度決定的なシュートを打たれるなど防戦一方だったそうです。
 しかし後半、メンバーを入れ替えたサンフは見事に蘇生しました。(メンバーは、GK:林、DF:佐田、河野、上村、中村、MF:西嶋、梅田、山形(→牛見(ユース)60分)、須田、FW:西村、田村(ユース))そのキープレーヤーとなったのは上村。2/6の大宮との練習試合で靭帯を損傷して以来7ヶ月ぶりの実戦は、極力接触プレーを無くして全力疾走も控えると言う調整本位のものでしたが、しかし彼の存在によってチームはがらりと変わったそうです。支配されていたゲームの流れを引き戻してチーム全体が活発に動き出し、6分には早速梅田のパスから山形がループシュートをゴールに沈めます。続いて12分には西村が梅田のスルーパスから、更にその2分後には再び西村が山形のスルーパスからゴールをゲット。わずか8分間で3点を奪い、その後も相手の反撃を余裕で抑えてそのまま逃げ切りました。
 この上村について木村監督は「順調に回復している」と評価しながらも「接触プレーについては、まだ何とも言えない。水曜日にドクターのテストを受け、その結果がよければ紅白戦などで90分間やらせてみたい」と慎重な姿勢を示していたそうです。また今西総監督も「見ている方が怖い。まだまだ厳しいね。もうちょっと、時間をかけた方がいい」と言っていたそうで、完全復活まではもう少しかかりそうな感じです。しかし、それでもこの男がピッチに戻ってきた事によりチームに与える影響が計り知れないものがあることはこの日のゲームを見れば分かるでしょう。今は若手の力で勝ちを拾っているサンフレッチェですが、近い将来必ず上村の力が必要とされる時が来る。それまでに焦らず、無理せず完全な身体を作って欲しいと思います。
<02.9.16> 昨日吉田サッカー公園で行われたJユースカップ予選リーグ第1戦は、大分トリニータに1-0で勝ちました。メンバーはGK:松岡、DF:大野、中野、寄井、三浦、MF:前田和、沖本、田坂、西山(→吉村85分)、FW:馬屋原(→田村45分)、木村、SUB:栗崎、森脇、藤井、李原、牛見で、ゴールは後半22分に木村が決めました。大分トリニータと言うと、天皇杯1回戦の相手。これをホームで圧倒できなかったのは残念ですが、U-16代表に4人抜かれていたことを考えればまずまず、と言うところかも。Jユースカップの第2戦は10/6で、雁ノ巣球技場でアビスパ福岡と対戦します。
<02.9.15> 数々のチャンスとピンチ。終始歓声と悲鳴が交錯したビッグアーチでしたが、最後はこの日一番の歓声がこだまし、今年始めての延長戦での勝利、そして半年ぶり(木村監督になって初めて)のホームでの勝利を祝いました。
 事前の情報の通りFW5人を登録メンバーに入れた木村監督は、その中の若手3人を先発に使ってきて次のような布陣でした。
       下田

  トゥーリオ  ビロング
駒野            服部

    森崎和  森崎浩

 高橋          藤本(→松下77分)
 (→久保81分)
     中山  茂木(→沢田101分)
     (→エルツェグ67分)

SUB:尾崎
 立ち上がりから激しいプレッシャーをかけてくるFC東京に対して、やや押され気味のサンフはボールが落ち着きません。速いパス交換からの攻撃を意図してサイドから攻めようとするものの、精度が今一つ。森崎兄弟がボールを持てず、ツートップにボールが繋がらずでなかなかチャンスを作れません。逆に初めて右MFに入った高橋の後ろを狙われ、何度かピンチを招きます。開始早々に戸田に抜け出されてピンチになったのを初め、19分にはアマラオに決定的なヘッドを打たれますが、バーの跳ね返りをトゥーリオがクリアして何とか失点を逃れます。前半の前半はなかなか形が作れなかったサンフですが、24分、それまで何度かチャレンジして相手を怖れさせていた茂木が1人で状況を打開します。藤本がDFラインの裏に出したボールを受けると、素晴らしい飛び出しと鋭い切り返しで茂庭、ジャーンを置き去りにします。そして右足を素早く振り抜いて放たれたシュートはGKとポストとの狭い空間を切り裂き、ゴールネットに突き刺さりました。「大器」と言われ着々と実績を積み重ねてきた茂木。試合を重ねるごとにステップアップし、成長してきた茂木が、ついにJリーグのレベルに達したことを示すプロ入り初ゴールは、平均年齢22.36歳の若い力を解放させる狼煙となりました。
 そしてサンフはその2分後に茂木がジャンピングボレーシュート。更にその直後に茂木のクロスなど、藤本のドリブル、中山のポストプレーを起点に何度かチャンスを作ります。逆に東京は何度か右サイドの石川が突破しようとするものの、この日は完全にDFラインに入って守る服部とビロングが協力して守って決定的なピンチになるのを防ぎます。前半は一進一退の展開ながら、そのままやや広島ペースのままで終了しました。
 後半、流れを重視してメンバーチェンジ無しで臨んだ両チーム。しかし最初にビッグチャンスをつかんだのは東京でした。後半7分、加地から石川に渡ったクロスがアマラオに渡ります。アマラオはペナルティエリア内から浮き球でシュート。これを最後まで倒れず我慢した下田が、1mほど手前で反応して弾き出します。その後もロングパスとサイドアタックから攻め立てる東京。広島はビロングが、トゥーリオが身体を投げ出し、更に茂木までが戻ってディフェンスして凌ぎます。しかし後半22分、ついに同点を許してしまいました。東京のロングボールを、戸田と交代で入ったばかりの福田が落とします。これを宮沢がフリーになっていた石川へパス。石川は直線的にドリブルでペナルティエリアに侵入して、下田の伸ばした足の下を抜いてゴールを決めました。
 この後は両チームとも気力の戦い。サンフは22分に中山に代えてエルツェグを投入し、更に32分に藤本を松下に、36分には高橋を久保に代えて総攻撃に出ます。東京も足が攣って動けなくなった伊藤を藤山に交代させ、粘り強い守備を続けます。サンフは後半23分に高橋、44分に森崎浩、ロスタイムにはエルツェグが決定的なシュートを放ちますが全て枠の外。逆に東京も何度かシュートを放ちますが、枠の外だったり下田の正面だったりして得点になりません。両チームの力の限りを尽くした攻防は90分では決着がつかず、そのまま延長突入となりました。
 延長の立ち上がり、サンフは森崎浩を起点にして何度かチャンスを作ります。が、徐々に押し返されると延長前半の後半は完全に東京ペース。広島の選手はボールを奪おうと必死で身体を寄せるものの重い身体は言うことを聞かず、パスを繋がれて何度も決定的なピンチを招きます。しかし、東京のシュートは下田がことごとくセーブ。まるで神が宿ったかのような動きで守り抜きます。そしてついにその頑張りが報われたのは延長後半2分のことでした。駒野のパスを中央で受けた森崎浩が、ピンポイントのパスを右サイドに開いた久保に通します。それまでどうも思いきりの欠けたプレーが目立った久保は、しかしここで一気に勝負に出ます。ペナルティエリア内で相手DF(たぶん藤山)を抜き去ると、丁寧にグラウンダーのクロスを送ります。ここに走り込んだのがエルツェグ。それまでどうも動きが悪く本来の出来からは程遠いのでは、と思われた彼は、ここ一番での勝負強さを見せて走ってきた勢いをそのままボールに叩きつけました。来日して7日目のこの外国人FWは、グッドマン、スカチェンコ以来クラブ3人目の「初出場初ゴール」を決めて、スタジアムを歓喜の渦に巻き込みました。
 この試合、流れとしてはFC東京のものだと言わざるを得ないでしょう。ボールを良くキープして流れるようにパスを繋いだのは東京で、サンフは思っていたことの半分も出来なかった、と言って良かったように思います。特にエルツェグの身体の重さとコンビネーションの悪さは思った以上に悪く、木村監督にとっても大きな誤算だったのではないでしょうか。これまで良い流れのゲームを競り合いで落とし、最初から悪い流れだったゲームはそのままあっさりと手放していたチームにとって、最もまずい展開だったと思って間違いなかった、と思います。しかし、それを何とか凌ぎきって勝利をもぎ取ることが出来たのは、選手全員の労を惜しまない頑張りだったと思います。特に守備はラインもマークも混乱して相手を捕まえられない中でも、ビロングが、トゥーリオが、そしてその他の選手全員が最後まで集中を切らさずにプレッシャーをかけて必死で守りました。特に下田のファインセーブの数々は、このところ元気がないように見えた守護神がようやく復活してきたような、そんな働きぶりでした。そして最後に勝負を決めた久保とエルツェグ。若い3人に先発を奪われ、後半途中までベンチから戦況を見つめるしかなかった2人の点取り屋が、途中までは思うような働きが出来なかった実績ある2人が、ようやく最後にゲームを決めることが出来たことはチームにとって非常に大きな事だと言えるのではないでしょうか。この日ゴールを決めた茂木。良い働きを見せて何度もチャンスに絡んだ中山と高橋。試合を決めた久保とエルツェグ。そして怪我でお休み中の大木。彼らが高いレベルで競い合うことによってこそ、木村監督が目指す攻撃サッカーが実現する事でしょう。そしてそれが実現する事によって初めて、J2降格の恐怖から抜け出し優勝争いに絡んで行くことが出来るのではないでしょうか。
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