9/22〜9/28のSANFRECCE Diary


<02.9.28> Jリーグは残り10試合。年間の予定の2/3を消化して、今節から終盤に入ります。そしてJ1残留を賭けた戦いもいよいよ正念場。ここで頑張り切ることができるかどうかが、チームと選手に問われる事になります。
 明日、サンフレッチェが対戦する相手は京都。J2からの昇格組ながら、1st stage第5節からの7連勝の貯金が効いて年間通算の勝ち点は32。残留の目安とも言える勝ち点30を越えて安全圏に入り、ほっと一息ついているところだと思われます。ただ、それで油断してくれるかと言うとまだそれは無さそう。2nd stageの勝ち点8は首位磐田と4差でまだ優勝の可能性もあるだけに、更に上を目指した戦いを挑んでくることは間違いないものと思われます。2nd stageのここまでの成績は、
A●0-5東京V 【V】平本2、山田、エジムンド、桜井
H○1-0札幌  【京】朴
A○1-0柏   【京】鈴木慎
A●1-2鹿島  【京】朴、【鹿】中田、池内
H□2-1神戸  【京】鈴木慎、黒部、【神】オゼーアス
 これまで京都に負けたのは全てJ2降格争いで下位に沈むチーム。逆に京都に大勝した東京Vは、そのゲームを浮上のきっかけにしています。すなわちこの京都戦が、降格争いから抜け出せるかどうかの重大な岐路になる、と言って良さそうです。
 これに対するサンフですが、アジア大会の代表に入った森崎和と駒野が不在の上にトゥーリオが出場停止。中盤から後ろのレギュラー3人が欠けると言うことで大きな不安が残りますが、しかしその代わりに「頼れる男」上村が戻ってきます。
       下田

    ビロング 上村
沢田            服部

     松下 森崎浩

 梅田          高橋

    久保  エルツェグ

SUB:尾崎、井手口、桑原、藤本、中山
 駒野の代役の右SBは沢田で決まりでしょう。このところボランチで出場することの多かった沢田ですが、本来はサイドバックのスペシャリスト。粘り強い守備と戦術眼はもちろんのこと、ゴールを狙う姿勢は駒野よりも上、と言って良いでしょう。対面の鈴木慎を抑えることができるかどうかも含めて、この沢田の奮闘がポイントの一つになりそうです。また森崎和の代役のボランチですが、一昨日の練習では松下が使われていたそうで彼の先発の可能性が高そうです。ただ、その練習では桑原がボランチに入ることもあったそうで、このベテランの久々の復活がチームを救うことになるかも知れません。
 守備に不安はあるものの、代役のレベルが高いため質が下がるとは言えません。しかし本来のこのチームの特徴は攻撃です。特に市原戦で卓越したキープ力を見せたエルツェグと、ようやく本来の調子を取り戻しつつある久保のツートップの破壊力は、相手チームにとっては大きな脅威となるはずです。1点を取ったら2点、2点目の次には3点目と言うように、最後まで攻撃的な姿勢を崩さずに戦い抜いて欲しいもの。そして遠く鹿児島の地から、歓喜を届けて欲しいものです。
<02.9.28> サンフレッチェは昨日、MF西村英樹選手のSC鳥取へのレンタル移籍を発表しました。期限は来年の1/31までとなっていますが、鳥取のスケジュールが終了し次第チームに戻る予定。JFLに参戦しているSC鳥取は、現在11試合を終えて勝ち点7で18チーム中16位。来年から16チーム構成になるJFLは、今年の17、18位は地域リーグに自動降格となり、15、16位は入れ換え戦に出場します。これまで苦しい戦いを続けている鳥取ですが、特にこれからの6試合の相手の多くが降格争いを続ける相手なので、何とかここでチーム力をアップさせたいところです。ここで西村にオファーがあったのは先日のサテライトとの練習試合でのパフォーマンスを評価してのことだそうで、11試合で11得点と言う得点力不足を補うカンフル剤としたい、と考えている模様です。サンフとしても西村への期待は大きいものの、今はサテライトリーグも終わりトップで試す余裕もありません。従って織田強化部長は「西村は、ウチにとって将来を大きく期待している大切な逸材」としつつも「今回の期限付き移籍は、彼の可能性を大きく伸ばすチャンスと捉え、オファーに応えることとした」(広島フットボールによる)と前向きな意味での今回のレンタルになった、との事です。SC鳥取は山陰ではたった一つの全国リーグ参戦チーム。西村にはこのチームを降格から救うことと、その中で自分自身も大きく成長することを期待したいものです。
<02.9.27> 昨日配信の広島フットボールによると、今節出場停止のトゥーリオに代わって最終ラインを統率するのは上村になりそうです。「全治8ヶ月」と言われた2月の負傷からまだ7ヶ月半。本人はもともと9月末の復帰を目指してリハビリしてきたとのことなので予定通りなのかも知れませんが、それにしても膝は本当に大丈夫なのか、練習とは違う試合のプレッシャーの中で本当に大丈夫なのか大きな不安が残ります。しかし、彼の復帰がチームにとっての大きな朗報であるのも確かで、実際に昨日の練習では的確なコーチングにより周囲を動かし、守備の安定に貢献していたそうです。年間勝ち点を32まで伸ばした京都は今や広島よりも「格上」ですが、攻撃のキーマンの1人である松井がいない上に残留もほぼ確定して、モティベーションも下がっているはず。こちらも森崎和と駒野が不在ですが個々の力の総和では負けてないはずなので、何としてでも勝って早く楽になりたいものです。
<02.9.27> 釜山アジア大会のサッカーは、開会式より2日早く今日から競技が始まります。日本が属するグループDは明日からで、初戦の相手はパレスチナ。イスラエルとの紛争中で練習環境は最悪に近く、選手が集まってのトレーニングは2週間しかできなかったと言う状況からの出場です。従って本来なら勝ち点を計算したい相手ですが、中東のチームらしく1対1やボールコントロールの技術は高いそうで「勝ちたい」と言う気持ちの強さで上回ることができなければ難しいゲームになる可能性はありそうです。いろいろな情報を総合すると駒野のレギュラーは間違いないものの森崎和は先発に入るかどうか微妙な模様。これまでこのチームの中心として活躍してきた彼を(仮に)外したとしてどんなチームを作るのか、山本監督のお手並み拝見、と言う気持ちです。
 また、サンフレッチェ関係では李漢宰選手も北朝鮮代表として参加しています。今年のW杯には予選にも不参加でやや力が落ちていると見られる北朝鮮ですが、本来の力は日韓にも負けないものを持っています。李がその中でどのように起用されるのか、そこで活躍できるのかどうか。テレビ中継は今のところ日本戦と準々決勝以降だけが予定されているようですが、もし放送されれば是非とも注目したいところです。
<02.9.26> NHK-BSでは今年、Jリーグ中継のハーフタイムに「BSサポサポ」(サポーターをサポートする、と言う意味らしい)と言うコーナーを作っていますが、先日の広島対市原でようやく広島編が放送されました。そこで最初に登場したのは、「紫熊倶楽部」「広島フットボール」編集長の中野和也さん。まずカメラはテーブルの上の紫熊倶楽部最新号からパソコンでタイピングしている中野さんを映し、彼がオフィスから出撃する画面にオーバーラップして「この男」「雑誌編集」「中野和也は」の文字。続いてあるイベントで選手(トゥーリオ?)が話しているそばで取材中の画面が出て、「サンフレッチェの優勝記事を書く」「絶対」の文字が重なります。そして画面に合わせて中野さん本人が「サポーターの人たちが何を知りたがっているのかを考えますね」「雑誌編集の仕事を通してサポーターとチームの架け橋になれればと考えています」「サンフレッチェの優勝記事を書く。それが私の夢です」と語っています。そして取材中の中野さんが「中筋さんはどうしてボランティアを?」と質問しているシーンで次の登場人物に繋がっています。
 二人目のサポーターは、会場のボランティアをされている中筋匠さん。「単に声援を送るだけのサポーターとしてではなくて、具体的な行動を通してチームに役立ちたいと思ったからです」「そして僕は、サンフレッチェにのめり込んでしまった」と語っています。そして最後のシーンは川岸に佇む中筋さんに「中筋さーん、深みにはまって危ないよ」の声。このコーナーはおそらくNHKの地方局の制作だと思いますが、他チームのものと比較してもなかなか良い出来なのではないか、と思います。BSでのサンフレッチェの中継は10/5の仙台戦、10/13の名古屋戦が予定されていますので、たぶんその時も放送されるはず。NHK-BSではハーフタイムにもご注目を。
<02.9.25> 先週中途半端に紹介した紫熊倶楽部10月号(Vol.56)を、改めて紹介します。「巻頭提言」に続くトップ記事は「復活」がテーマ。ここで最初に取り上げられているのは上村選手です。96年10月に左膝前十字靭帯を断裂したのが最初の大怪我でしたが、そこから復活した直後に再び左膝靭帯を断裂。ここからよりパワーアップして復活し、日本代表にも選ばれました。しかし昨年6月のガンバ戦で、今度は右膝の靭帯を損傷。が、ここから6週間で復帰すると危機にあったチームを立て直し、久々のステージ3位の立役者となりました。そして今年こそ優勝を、そしてW杯出場をと絶好調で臨んだ2002年シーズン。しかしキャンプ中の2月8日に、またもや右膝前十字靭帯を断裂してしまいます。繰り返された怪我でもう身体の中には代わりになる靭帯が無くなってしまった彼は、一時は引退までも考えていたそうです。しかし「愛する人たちのために」身体と心を立て直し、もう一度サッカーに戻ることを決断。チームを押し切って独自にリハビリのためのトレーナーと契約し、必死の努力で「奇跡の復活」(上村選手にとっては使い古された言葉ですが、今回こそ「奇跡」の言葉にふさわしい!)を遂げつつあります。この記事は、全てのサンフレッチェファンにとって必見だ、と思います。
 続く「復活のストーリー」は、昨年両足骨折の痛みに耐えながら自身最高の結果を残した服部選手。そして「チームの復活」をテーマに、新しくヘッドコーチに就任した小野剛氏を取り上げています。コラム「スタジアム向上委員会」は、パルコの近くのMITOYA sportと、そこのオリジナル商品である"We need studium"と言うメッセージ入りTシャツを紹介しています。日刊スポーツの中上記者によるコラム「愛すべき紫熊野郎たち」は、横浜相手に勝って連敗を脱出したのを記念して「緊急原稿・いけるぞ、サンフレッチェ」。新連載のコラム「ガンバレ、サポーター!」では、介護士の坂本和広さんが登場しています。国際主審の山西博文氏のコラム「審判のつぶやき」では、審判の評価システムについて紹介。後半のカラーページでは横浜戦、磐田戦、東京V戦、神戸戦、浦和戦をレポートしています。そして最終ページの新連載コラムはTSSのアナウンサー石井百恵さんによる「大好き!サンフレッチェ」。担当する番組で初めてインタビューした梅田選手との出会いを綴っています。
 「紫熊倶楽部」は定価350円。書店などで手に入りにくい方は、ぜひ定期購読を。
<02.9.24> 日曜日に行われた高知国体のサッカー少年男子2回戦で、広島県選抜は群馬県選抜に1-2で敗れました。メンバーは、GK:山城、DF:大野、吉弘、中野、寄井、MF:沖本、阿部(→向55分)、前田(→田村59分)、田坂、FW:木村、馬屋原、SUB:松岡、村崎、田中。前半は時折木村、田坂らがドリブル突破を試みるなどで打開を図りますが有効な攻撃の形を作れず、双方守備重視の戦いでスコアレスに終りました。後半は広島のパスが良く通って主導権を握りましたが、しかし2度の決定的チャンスを逃したとのこと。そして逆に後半16分にCKから失点し、終了間際に木村が決めて追いついたもののその直後にこぼれ球を押し込まれて敗れました。後半、群馬に退場者が出て数的有利になったのを生かせなかったそうで、勝てるゲームを失ったと言う感じの残念な結果だったとのことです。
<02.9.23> 昨日広島スタジアムに10,276人(キックオフ50分前に行ったら「地の果て駐車場」にすら停めれなかった!)を集めて行われた市原戦は、久保のゴールを守りきって1-0で勝ちました。
 広島フットボール等の事前情報どおり、2nd stageに入って初めて久保を先発に起用。逆に茂木は怪我でも疲労でも無く「今は他の選手たちの方が状態は上」と言う判断でベンチからも外れ、次のようなメンバーでスタートしました。
       下田

  トゥーリオ  ビロング
駒野            服部

    森崎和  森崎浩

 梅田          高橋
 (→松下63分)     (→藤本76分)
    久保  エルツェグ

SUB:尾崎、沢田、中山
 前節の完敗の悪いイメージが残っているのではないかと思われましたが、その心配はご無用、とばかりに序盤から積極的に攻めたのはサンフでした。1分には早々に服部が左サイドをドリブルで駈け上がると鋭いクロス。このクリアボールを拾った高橋がファーサイドに上げたボールを梅田が頭に当ててオープニングシュート。その後もビロングの長距離ドリブル等で相手コートに攻め込みます。13分には久保のスルーを高橋が受けて浮き球のパス。これをエルツェグがGKと競り合ってこぼれたボールをゴールに流し込みましたが、ハンドの反則を取られてしまいます。更にその直後にも久保が執拗に追って得たボールを回してチャンスを作ります。前節まではトップ下に広大なスペースが出来てそこを使われて苦しみましたが、この試合は梅田、高橋が豊富な運動量でここを埋め、時折下がってくる久保、エルツェグや森崎兄弟と両サイドがフォローして良いバランスを保って戦います。前半29分にも久保を中心に粘り強く攻め込んで服部がクロス。これを梅田が合わせてループ気味のシュートを放ちましたが惜しくもGKにクリアされます。
 ややミスが目立つもののようやくチーム全体のやりたいことが共通理解になってきた、と言う感じでいずれは点も取れるだろうと思って見ていた32分、突然の逆襲を受けます。中盤でドリブルを始めた増田にプレスをかけようとした瞬間にスルーパスを通されて、崔にフリーで抜け出されます。飛び出した下田もかわしてフリーで打たれてしまいましたが、幸いシュートは枠を外れて事無きを得ます。更にその2分後には、ペナルティエリアでトゥーリオが崔の足を払ってしまってPKを与えてしまいます。しかしその崔が蹴ったボールはバーを叩き、何とか失点を逃れました。
 「ピンチの後にチャンスあり」は野球の格言ですが、ゲームが動き出すと両方にチャンスが訪れるのはサッカーでも良くあること。この日は崔のPK失敗の4分後にサンフにチャンスが来ました。左サイドからのパスを高橋、梅田と繋いで、ゴール前でエルツェグがキープします。ここで久保が右のスペースに走り込むと、市原のDF陣が引きつけられます。そこでエルツェグは反転して逆サイドに流れるプレーを選択。これで混乱した市原のDF(ミリノビッチ?)は思わず足を引っかけてしまいます。このこぼれ球を坂本がクリアミスして自陣に蹴り込みましたが、それはファウルの笛の後と言うことでノーゴール。ここで与えられたPKに対して、なんと久保が自らボールをつかんでセットします。エースとしての責任を果たそうと久保が思いきり振り抜いた左足から放たれたボールはゴールネットに突き刺さり、1st stageの市原戦以来2ヶ月ぶりのゴールとなりました。
 サンフの先制でいよいよゲームが動き出し、両チームとも激しく前に出て得点を狙いに行きます。39分には増田のシュートを下田がスーパーセーブ。逆に40分には服部のクロスに久保が合わせ、更にその3分後には高橋がシュートを放ちます。左サイドの村井の突破は駒野が冷静に対処して抑え込み、FK、CKはDF陣が身体を張ってクリア。市原の出来の悪さはあったものの全体としてはサンフのゲームプラン通りで、良い流れを保ったままで前半を終了しました。
 後半の立ち上がりは、前半の流れのままでゲームに入ります。前半はボールを失うことが多かったエルツェグが、高いキープ力を発揮して前線の起点になります。しかし序盤から何度も全力疾走を繰り返していた梅田、高橋の運動量が落ちて、徐々に市原にボールを支配されるようになり、後半15分には崔に決定的なシュートを打たれます。このボールは下田が手に当てたもののバーに当たって下に跳ね返ります。これを詰めていた佐藤が押し込もうとしますが、すぐに反応した下田が後ろ向きで何とかボールを抑えます。更に20分には林がペナルティエリアでバイシクルシュートを放ちますが、これも下田が正面でキャッチします。後半の後半は中盤から後ろの足が動かず、市原に自在にパスを回されてまるでサンドバッグ状態。何度もDFラインを破られて決定的なピンチを招きますが、シュートミスと下田のセーブに助けられて凌ぎます。サンフは久保が、エルツェグが、そして途中から入った藤本が何とか前線でキープし、前で勝負しようと試みます。終盤に入ると攻め疲れからか単調な攻めになっていった市原に対し、サンフは鋭いカウンターで対抗。後半36分には久保が決定的なシュートを放ち、40分には服部が左サイドを突破してチャンスを作ったものの久保が潰されノーファウル。ロスタイムには藤本が切り込んでシュートを打ちますが相手GKのファインセーブで得点できません。しかし最後はエルツェグ、藤本が高い位置でボールをキープして時間を稼ぎ、ようやくリードを保ったままでタイムアップの笛を聞く事が出来ました。
 このゲーム、後半途中まではまずまずだったものの途中からは完全に市原のペースで、チーム全体の出来としてはそれほど良いものではなかったと思います。特に中盤の守備が崩れ出してから流れを押し戻すことがなかなか出来なかったことは、今後の課題として残りました。しかし、それでも勝利を得たこと、特にチームを引っ張るべき立場である下田、久保の活躍で勝利を手にしたことは、若手中心で勝った横浜戦、東京戦以上に価値のあることだ、と言えるのではないでしょうか。また、後半途中まで見せた「2トップ2シャドウ」(?)による変幻自在の攻撃に、わずかに未来の光が見えたようにも思います。次節から数試合、森崎和と駒野がアジア大会のため出場できず、またこの日イエローカードを受けたトゥーリオも累積で次節は出場停止です。しかし彼ら若い力が抜けても、ちゃんと後を埋める人材はいるはず。この日の勝利は多分に幸運に恵まれたもの(と言うか、「相性」に助けられたものと言って良いかも)でしたが、次は実力で、良いサッカーで勝利を手繰り寄せて欲しいものです。
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