2001年4月6日(金) 

サンフレッチェ広島 サポーター通信 〜理想と現実の狭間で

レポート/瀬戸 秀紀

 開幕2連敗。特に磐田にはディフェンスラインをズタズタにされて自信喪失気味のサンフレッチェだったが、前節の札幌戦では4−3−3を捨てて3−4−3の布陣を採用。後半攻め込まれて危ない場面も多かったが、なんとか最小得点で逃げ切って今季初勝利を収めることができた。続くナビスコカップの新潟戦でも同じ布陣で戦い、こちらも無得点に抑えての勝利。広島の代名詞とも言える堅守が復活して、「ヴァレリー丸」は一見順調に進み出したかに見える。しかしその一方で、すぐそこには落とし穴が大きく口を開けて待ちかまえているようにも思えるのだ。

 一つはその3−4−3のシステムにある。これはオランダタイプの「超攻撃的布陣」ではなく、昨年までの2ストッパー+スイーパーのクラシックな3バックに3トップを接ぎ木した、言わば「ハイブリッド型」とも言うべきもの。従って4−3−3に比べディフェンスラインの人数が増えた分、中盤が薄くなってしまうのは避けられない。事実、札幌戦でも運動量が落ちた後半は中盤がスカスカになってしまい、セカンドボールを全く拾えず波状攻撃を受ける原因となった。

 もう一つは、DFの人材の問題だ。札幌戦ではポポヴィッチ、上村、トゥーリオの組み合わせだったが、この柏戦は上村が累積警告で出場停止の上にポポヴィッチがW杯予選のため不在。控えの選手も川島が怪我でリタイア中で新人・河野は高校選抜の遠征、と言うことで、本職のDFは奥野と八田しかいない状態となっている。ベテラン奥野はともかく、2年目の八田はこれまでベンチ入りすらなかった選手。新潟戦では後半から出場して試運転は済んでいるものの、黄善洪、北島などの経験豊富なFW相手にどれだけやれるかは未知数だ。

 「超攻撃的サッカー」と言う高い理想を掲げて船出したヴァレリー広島だが、3試合でわずか3得点。いきなり厳しい現実を突きつけられ、出口を探してもがいている状態だ、と言える。だが「家貧しくして孝子出ず」と言う諺もあるように、苦しい時こそ大きく成長する選手も出るものだ。ここでチャンスを与えられるであろう八田、そして札幌戦でリーグ戦デビューを果たした駒野に、特に注目したい。

 なお、柏戦のメンバー予想は次の通り。

  GK:下田
  DF:トゥーリオ、奥野、八田
  MF:駒野、桑原、服部、森崎和
  FW:藤本、久保、高橋