2001年4月20日(金) 

サンフレッチェ広島 サポーター通信 〜苦しいときに、一番大事なこと

レポート/瀬戸秀紀

 これまで5試合を終えて、広島の勝ち点はわずかに3で現在14位。下にいるのは本来は力のあるセレッソとF・マリノスだけだと言うことで、サポーターの中には「実質的には最下位」「降格の可能性もある」と心配する声も出ている。確かにシーズン前の練習試合で連勝していた頃の勢いは既に無く、監督も試合ごとにメンバーやシステムを変更するなど試行錯誤を繰り返している。ゲーム内容も良かったり悪かったりで、監督の進退を問う声こそ無いものの、これで大丈夫なのか、と不安は高まるばかりだ。

 しかし、敢えて私はここで声を大にして「まだ大丈夫だ」と言いたいのである。監督が代わり、システムが変われば戦術の浸透には時間がかかるもの。特に広島は登録選手の半分以上が20歳前後の若い選手で占められており、与えられた戦術を咀嚼するだけの経験も少ない。更にこれまで当たった相手は、磐田、札幌、柏など上位に並んでいるチームが多く、仕方がなかった、と言う側面もある。

 そして今季の大きな特徴は、それらの20歳前後の若手選手が次々とデビューしていることだ。開幕戦で途中出場して以来フル出場を続けるトゥーリオとU-20代表の駒野は既にA契約に移行し、梅田、八田、宮崎らプロとして初出場を果たした選手達はそれぞれ持ち味を発揮している。先週、若手メンバーがベテラン揃いの福岡に押し切られたようにまだまだ未熟さを露呈する事は多いが、今後何かをやってくれそうな、そんな胎動を感じるのだ。

 また主力クラスも、下田がフランス戦で代表に入ったのに続いてスペイン戦では久保が半年ぶりに代表復帰。上村も初めて代表に選出された。その上ポポヴィッチ、コリカは豪州代表のW杯1次予選突破に貢献するなどそれぞれに充実の度を深めている。ここ数試合は選手が揃わず苦しい戦いを強いられたが、メンバーさえ揃えばきっとやってくれるのではないだろうか。

 負けが続いて苦しいのは、サポーターだけではない。選手や監督は、それ以上に苦しいはずだ。そこで一番怖いのは、お互いの信頼関係を失うこと。サポーターが選手を疑い、選手が監督の指揮に不満を持ち、監督がチームとサポーターを信頼できなくなってバラバラになってしまうことだ。苦しいときに一番大事なこと。それはいたずらに嘆いたり、批判したりすることではない。今一度足元を見つめ直し、お互いを信じることではないだろうか。