2001年5月18日(金)


サンフレッチェ広島サポーター通信〜「勢い」を持続できるかどうか。それが問題

レポート/瀬戸秀紀

 4月は全敗。第6節終了時には最下位だったサンフレッチェだったが、5月は3試合とも勝って9位にまで浮上してきた。逆に次節の相手東京ヴェルディ1969は、ゴールデンウィーク以降勝ち星がなく最下位に低迷。従って次節のサンフレッチェ対ヴェルディのゲームは、サンフレッチェの有利が予想されているらしい。メンバーを見てもこちらは精神的支柱である森保一が戻ってくるのに対して、東京Vは三浦淳宏が出場停止。どう見てもホーム・広島の方が有利な気がするが、しかしここに気になるデータがある。

 第5節の福岡戦。そして第6節の横浜FM戦。福岡は3連敗中、横浜FMは勝ち星無しの1分4敗だったが、しかしいずれもサンフレッチェは敗れている。逆に第3節では札幌戦にJ1復帰後初の黒星を付け、第8節には市原のクラブ創設以来初の5連勝を阻止している。すなわち相手が不調の場合には敗れ、好調の場合には勝つと言う、「勢い」とは逆の目が出ることが多いのだ。

 これは、単なる偶然かもしれない。だが昨年までもサンフレッチェは、有利と思われるゲームを落として勢いに乗れない、と言うことを何度も繰り返して来たのである。例えば4連勝で迎えた99年1st stage第8節。それまで勝ち点3の15位と不調に喘いでいたヴィッセルになんと2−5で完敗している。また同じ99年の2nd stageも、一時は4位まで上がって優勝争いに絡むかと思われて迎えた第10節。ホームでセレッソに1−4の敗戦を喫し、その後は糸の切れた凧のように集中を切らせて最終的には8位に終わっているのである。

 初めてステージ優勝を果たした94年以降、一度も優勝どころか上位に入ることもなく、さりとて降格の危険も少なかったこのクラブは、「典型的な中位チーム」と言うレッテルを貼られてしまっている。これまで優勝争い、あるいは降格争いで神経をすり減らす必要が無かったのは、ある意味有り難いことだったのかもしれない。だが、人は逆境にあってこそ成長するものだ。そう言うぎりぎりの緊張感に身を置くことで、チームも成長すればサポーターも成長する。それが無かったサンフレッチェには、ここぞと言うところで勢いに乗れないチーム体質、そして盛り上がりに欠けるスタンド風景が残ってしまった、と言えるのではないだろうか。

 新監督の1年目でチームの組織作りに時間を取られ、序盤は苦しんだものの最近やっと形ができてきたサンフレッチェ。ここでようやく出てきた勢いをものにできるかどうか。将来への明るい可能性を残して中断を迎えることができるかどうか。それが、「万年中位」から強豪チームへ脱皮するためのカギなのだ。