2001年6月22日(金)


サンフレッチェ広島サポーター通信〜「前半病」を克服せよ

レポート/瀬戸秀紀

 このところのサンフレッチェは、「前半病」と言う不可解な病に取りつかれている。前半は思うようなサッカーができずに押し込まれ、後半になってようやく歯車が噛み合って来る、と言うものだ。

 例えばナビスコカップ2回戦、FC東京戦の1st leg。前半はなかなかパスがつながらず有効な攻撃の組み立てが出来なかった。ところが後半に入ってしばらくは、ある意味、夢のような展開。公式戦初出場の山形を起点に速いパス回しで相手DFを翻弄し、特に久保が2分間で2点を奪った時間帯は圧巻だった。

 続く第11節神戸戦も、前半はボールを完全に支配されてシュートすらほとんど打てなかったが、後半に入ってようやく攻めの糸口を見つけることができていた。前半はダメだったチームが、後半に入ってようやく機能してくるのはなぜか。ヴァレリー監督自身が悩んでいたことは、神戸戦後の次のコメントで良く分かる。

 「前半と後半では違うチームだった。どうしてそうなるのか、いろいろ考えてみたが、よくわからない。」(メールマガジン・広島フットボールによる。)

 そして今週のナビスコカップ2回戦2nd legでは、「ここ2試合、前半が非常に悪い。そのため、先発の入れ替えを考えている」との監督の言葉通り、先発メンバーに手を入れた。藤本を控えに回してルーキー・梅田を先発させてきたのである。しかしこれがうまく行ったか、と言うとさにあらず。このゲームもやはり前半は機能せず、後半から登場した藤本の大活躍によって同点、更にVゴールへとつなげることができたのだ。(だそうだ。私はこのゲームは見ていないので・・・)

 中断前、実はサンフレッチェはむしろ前半に強いチームだった。4連勝中は常に先に点を取り、追いつかれても突き放して勝利を収めてきた。そしてむしろ後半に疲れが出て足が止まり、相手の攻めを必死で凌ぐ、と言う展開が多かったのである。

 ではどうしてこうなってしまったのか。私は、これはやはり「気持ちの問題」ではないかと思うのだ。主力選手がいない中で、自分がやってやろう、何とか勝ちに結びつけようと言う必死の思いをゲームの最初から発揮できないところに問題があるのではないか、と思うのだ。これは、今週のゲームで後半から登場し、先発を外れた鬱憤を晴らすように活躍した藤本を見れば分かるのではないだろうか。

 次のガンバ戦も、やはりコリカ、ポポヴィッチ、森崎兄弟、駒野の5人が不在だ。今いるメンバーで、誰の助けも借りずに戦わなければならない。先週も書いたようにこの状況はチームにとってはピンチだが、出場機会に恵まれない選手にとってはチャンスなのである。このチャンスを生かしてやろう、と言う気力に溢れたプレーを最初から見せることが、勝利への鍵なのではないだろうか。

 先発だが、ナビスコ杯でレッドカードをもらった梅田が出場停止。また森保、トゥーリオも怪我の具合によっては欠場となる可能性が高い。そう考えると、次のようなメンバー構成が予想される。

  GK:下田

  DF:川島、上村、奥野、服部

  MF:沢田、桑原、藤本

  FW:大木、久保、高橋

 この中では特に、初めて日本代表に選出された藤本の頑張りに期待したい。水曜日に見せたという活躍を、ホームのサポーターにも見せてほしいものだ。