2001年8月10日(金)


サンフレッチェ広島サポーター通信〜3つの改善点

レポート/瀬戸秀紀

 ヴァレリー監督を迎えて攻撃的サッカーへのモデルチェンジを目指したサンフレッチェだったが、ファーストステージ終盤に5連敗。最下位までの勝ち点差はわずかに3と、J2降格を心配しなければならなくなってきた。その要因は、何と言っても守備の崩壊。この5試合の1試合平均失点は3.0とあっては、いくら「攻撃的」に行ってもザルで水をすくうようなもの。退団したポポヴィッチ、怪我の上村の怪我があったとはいえあまりにも酷い数字だったと言えるだろう。

 この惨状に、ヴァレリー監督は3つの手を打ってきた。その1つ目はウズベキスタン代表のオレグの獲得。2つ目は3トップから2トップへの変更。そして3つ目は沢田のボランチでの起用だ。オレグは合流して1ヶ月が経つこともあって、周りとのコンビネーションもまずまず。まだポポヴィッチの穴を埋めた、とは言いきれないが、1対1の強さなど安心して見ていられる選手ではある。また2トップにしたことにより中盤の人数が増え、ボールの支配率も高まった。そしてキャプテンマークを巻いた沢田は中盤の指揮官としてだけでなく最終ラインまで下がって動き回り、守備の要となっている。

 この布陣で初めてJ1相手に戦ったのは、8/2の福岡との練習試合だった。このゲームでレギュラー組が出たのは前半だけだったが、その45分間を完全に支配。奪った点こそ2点だけだったものの相手にほとんど攻めの糸口を与えなかった。しかし今週のナビスコ杯名古屋戦では、内容は悪くなかったもののつまらないミスから逆転負け。まだまだ新戦術の完成は遠いことを露呈した。この間のチーム改造がセカンドステージ開幕に間に合うかどうか。上村の完全復帰の時期とともに、広島の今後を占う重要なカギだと言えるだろう。

 明日のステージ開幕戦の相手は、14位のセレッソ。「降格争い」を考える上では、絶対に負けたくない相手だ。またリーグ戦ではもう3ヶ月近くも勝ちから見放されていることを考えれば、なんとか「勝ち」が欲しいところでもある。こうなったら内容よりも結果。選手達は「絶対に負けない」と言う気力を見せて、そして勝利をもぎ取って欲しいものだ。メンバーについては、名古屋戦で試運転を済ませた上村を先発起用すると見て次のように予想する。

 GK:下田
 DF:駒野、上村、オレグ、服部
 MF:沢田、森崎和、コリカ、藤本
 FW:久保、大木

 注目の選手は大木。大分へのレンタルからの復帰後、半年だけだった契約の延長をラストチャンスで勝ち取った。その後も名古屋戦でも2点を決めるなど絶好調を維持しているだけに、久々の「勝利へのゴール」を見せて欲しいものだ。