2001年8月17日(金)


サンフレッチェ広島サポーター通信〜大事な一勝。だが・・・

レポート/瀬戸秀紀

「J1残留」を賭けた勝負の第一ラウンド、セレッソ大阪との対戦は6−2と望外の大差で勝つことができた。二度リードを追いつかれたがその都度突き放し、最後は4点差を付けて勝ったことは今後の残留争いにもきっと効いてくるだろう。これは監督や選手だけでなく、夏休みを利用して大阪まで駆けつけたサポーターも含めて「どうしても勝ちたい」と言う気持ちが結実した結果。チームごとのレベル差の小さいJリーグではこの「気持ち」の要素が意外に大きいことを考えると、勝とうと思って勝てた、と言うこの事実は勝ち点3と言う数字以上に貴重なものだった、と言えるだろう。

 また内容的にも、セカンドステージからの新戦力であるオレグ、スカチェンコがそれぞれ結果を出したことは重要だ。オレグは1対1の強さとディフェンスリーダーとしての可能性を示し、またスカチェンコは途中出場からいきなりゴールを決めて能力の一端を見せた。とりわけスカチェンコが、トゥーリオが出れなくなるリスクを冒すだけの価値がある選手であることを見せた意味は大きい。エース久保、絶好調の大木にコリカと藤本。これにスカチェンコを加えた布陣は、「攻撃サッカー」を標榜するヴァレリーサッカーにとっての強力な武器となるに違いない。

 しかし、この一勝で浮かれていてはいけないのも事実だ。ファーストステージの第8節から続いている連続失点はこの試合も継続し、ナビスコ杯も含めれば12試合連続。セレッソ戦はここ5試合3点以上失っていたのに対して2失点に抑えたわけだが、それは多分に相手の不出来に助けられた側面が大きい。従ってこれまでの守備の問題点はまだ解決されたとは言えない、と思って間違いないだろう。これをどう整備して行くかが、今後安定した戦いを続けていけるかの鍵なのだ。

 また、選手達の精神面に対する不安も残る。先発メンバーの平均年齢は20歳代前半で、うまく行っていないときの精神的な脆さは以前からの課題だった。代表メンバーを多く揃えながらこれまで下位に低迷して来たのは、戦術の不徹底以前に気持ちの面での未熟さを露呈していたからだ、と言って間違いないだろう。このセレッソ戦こそ気持ちを一つにして戦うことが出来たが、これを今後どんな状況になってもそれを続けることが出来るか。まだまだ課題は解決していないと言っていい。

 次節の相手はファーストステージ2位の市原。ここも能力の高い若手を揃えながら低迷してきた歴史があったが、これを断ち切って今年大きく成長したチームだ。ファーストステージの対戦では勝利を収めたが、内容的には圧倒されてむしろ負けても不思議ではなかった。今度は対等に戦うことが出来るかどうか。そして勝利を収めることが出来るかどうか。セレッソ戦で見せたような内容と気持ちの強さを見せることが出来るのか。セカンドステージの今後を占うゲームになる、と言って良いだろう。

 メンバーだが、膝を痛めて代表を辞退した久保の動向が微妙だ。代役と目されるスカチェンコもまだ本調子とは言えないが、久保の状態次第では次のようなメンバーで戦う可能性が高いのではないだろうか。

 GK:下田
 DF:駒野、上村、オレグ、服部
 MF:沢田、森崎和、コリカ、藤本
 FW:スカチェンコ、大木

せっかくいいものを持っているのに、これまでなかなか試合で発揮できなかった駒野。彼がどれだけ積極性を見せられるかを、チーム全体が「気持ち」を強く持てるかどうかのバロメーターとして注目してみたい。