2001年9月14日(金)


サンフレッチェ広島サポーター通信〜今はまだ、我慢の時

レポート/瀬戸秀紀

 前半、2度のリードを奪ったがその都度追いつかれ、後半27分についに勝ち越し点を与え、後半36分にも失点してそのまま敗戦。これが先週の名古屋戦の簡単な試合経過だ。この経過を見ただけなら、サンフレッチェにも勝つチャンスがあったのだろう、と思うかも知れない。だが、現実には勝てる可能性はほとんど無かった、と言ってよいだろう。相手ゴールを脅かすことが出来たのは、前半の30分ちょっとの間だけ。その後は圧倒的にボールを支配され、選手交代は全て裏目に出てしまっていた。

 後半はかなり守備を頑張ったのは事実だが、ついに失点してしまったのは必然、と言って良いようなもの。これで選手の集中も切れてしまって、最後は情けない姿を晒してブーイングを浴びる始末だった。セカンドステージを2連勝で立ち上がり、一瞬とは言え首位に立ったサンフレッチェだったが、残念ながら名古屋との力の差は明らか。早くもこのゲームで「優勝の夢」は潰えてしまったような気がしたものだ。

 この名古屋戦の終盤の集中切れは、見ていたサポーターをも不安に陥れるものだった。ピッチ上の混乱をどう収拾してよいか分からない、と言う雰囲気の選手達は、監督の采配にも疑心暗鬼になっているのではないか、と見えたのだ。転落していくチームは、首脳陣と選手、あるいは選手同士の間に不信感が生じて、自ら崩れていくものだ。戦術に対する疑問、選手起用に関する疑問、試合中の指示に対する疑問。そう言うものが積み重なり、首脳陣批判に繋がればほぼ確実にチームは壊れていくのである。

 だが、今週の練習では選手達の表情に暗さは無かったらしい。ヴァレリー監督も自分のサッカーに迷いを見せる様子もなく、いつも通りの練習をこなしていたそうだ。Jリーグにようやく慣れてきたこのベテラン監督は、どんなに戦術に対する批判の声が高まっても自分の信念を曲げずに貫こうとしている。そして選手達は誰もJ2落ちの心配などしておらず、もっと高いところに目標を置いて練習に取り組んでいるのだそうだ。

 機能しないシステムへの不満、理解できない選手起用に対する不満、選手が最後まで集中を保てない不満。サポーターにもいろいろと不満はあるのだが、しかし監督と選手がまだ諦めていないなら、力を合わせて戦っていこうとしているのなら、それを応援するのが「サポート」と言うものだろう。

 ここでチームや監督、選手に不信を募らせるのではなく、できる限りの声援をすることが必要な事なのだ。前節名古屋戦では地元テレビ局の協力もあって、これまでに無かったような大きな声援でスタジアムを埋めることが出来たが、こちらの戦いもまだ始まったばかり。チームもサポーターも、将来の大きな夢の実現のために今は我慢の時、なのではないだろうか。

 今週の相手のFC東京は、名古屋とは反対に今季の3度の対戦でまだ負けていない相手だ。順位はステージでも通算でも相手が上だが、選手達に苦手意識は無いだろう。幸い、今節は守備の要のオレグ、沢田がピッチに戻ってくる。これが本当のヴァレリーの攻撃サッカーだ、と言うものを、関東のサポーターにも披露してもらいたいものだ。

GK:下田
DF:駒野、上村、オレグ、服部
MF:沢田、森崎和、コリカ
FW:藤本、久保、大木