2001年9月21日(金)


サンフレッチェ広島サポーター通信〜攻撃サッカーの呪縛

レポート/瀬戸秀紀

 3試合連続の逆転負け。それも終盤に足が止まり、集中が切れ、バタバタと2点取られて敗れている。セカンドステージ開幕2連勝の勢いは既に無く、「崖っぷち」に向かってずるずると後退する一方だ。

 どうしてこういうことになるのか。選手の精神力が足りないのか。あるいは監督の采配が悪いのか。おそらくそこにはいろいろな要因が絡んでいるのだろうが、見ていて一番感じるのはバランスの悪さだ。サッカーは一般に、両チームの間の力の差が余程大きくない限り、必ず攻勢に出る時間帯と守勢に回る時間帯がある。そういう中で勝っていくには、攻勢の時間帯にしっかりと攻め切って点を取り、守勢の時にはきっちりと守りきることだ。それが出来なければ、安定したチーム力を維持して結果を出すのは難しい、と言えよう。

 今年のサンフレッチェはヴァレリー監督になって「攻撃的サッカー」を掲げている。どんな状況になっても攻める気持ちを失わないこと。どんなに苦しくても点を取りに行くこと。それが、ヴァレリー監督が目指すサッカーだ。だが、このところのサンフレッチェを見るとその気持ちが強すぎるのではないか、と思えて仕方がない。

 浦和戦では2人退場になって数的に圧倒的不利になってたにも関わらずFWは守備に戻らず、FC東京戦では、DFが攻め上がってカウンターを食らう。「攻めなければ」「点を取らなければ」と言う気持ちが強すぎて、むやみに動きすぎて疲労困ぱいし、そして最後は意識も朦朧として集中を切らせて失点、と言うことになっているのではないだろうか。

 一般に守備を組織化するのは易しくても攻撃は難しい、と言われている。ところがヴァレリー監督は、少なくとも攻撃のコンビネーションを確立して毎試合2点以上取れるチームを作ったのだ。従ってヴァレリーに監督としての能力が無い、とは言えないだろう。あとは選手達が、その力を発揮するだけだ。「攻撃サッカー」の呪縛を断ち切って、攻撃と守備のバランスを取り戻すことだ。

 次節は降格争いのライバル、横浜Fマリノスとの直接対決だ。降格回避のためには、絶対に負けられない相手だ、と言えるだろう。相手はドゥトラが出場停止だが、こちらも上村が出られない。戦力的には五分と五分。連敗中という状況も一緒。勝ちと負けを分けるのは、どうしても勝ちたいという気持ちで相手を上回ることができるかどうか、ではないだろうか。上村の代役として先発を予想されるのは、2年目の八田。ファーストステージの柏戦で見せたような集中力を、また見せて欲しいものだ。

GK:下田
DF:駒野、八田、オレグ、服部
MF:沢田、森崎和、コリカ
FW:藤本、久保、大木