2001年9月28日(金)


サンフレッチェ広島サポーター通信〜きれいなサッカーでなくても

レポート/瀬戸秀紀

「きれいなサッカーではなかった。」

 前節の横浜F・マリノス戦終了後、ヴァレリー監督が開口一番に発した言葉がこれだったそうだ。確かにこのゲーム、前半こそボールを支配して押し気味に展開したものの全体的に攻めが遅く、相手に何度か決定機を作られていた。そして後半になると横浜ペースとなって、早い段階から守備的な布陣にシフトチェンジしてカウンター狙いに変更した。スコアは3-1で内容的にも完勝だったとはいえ、常に攻めることをポリシーとする指揮官にとっては不満足なサッカーだったようだ。

 だが、サッカーにおいて大事なのはバランスだ。攻めるときは攻め、守るときは守る。そのバランスを崩さないように注意し、逆に相手のバランスを崩すように戦うのがセオリーだ。サンフレッチェも将来的には常に攻め続けることの出来るサッカーを実現して欲しいものだが、現状ではまだそこまでの完成度には至っていない。従って先週のような「普通のサッカー」で勝ち点を拾うこともまた、必要な事なのである。

 次の相手は、年間通算でもセカンドステージでもすぐそばの順位にいる福岡。広島同様にファースト・ステージ終盤に連敗したが、盧、呂比須の加入で立て直して来ている。今後の事を考えれば、是非とも勝ちたい相手だ。が、最近の相性は最悪。昨年から今年にかけて福岡の激しいサッカーに押されて、リーグ戦では3連敗となっている。このベテラン揃いの老獪なチームに、「きれいなサッカー」は通用しない。気持ちで負けないこと。1対1の競り合いを制すること。泥臭いサッカーでもいい。サッカー選手としての「原点」の部分での勝利への執念を見せることが大切なのではないだろうか。

 メンバーだが、久々に日本代表に選ばれた上村が復帰するものの今度は駒野が出場停止だ。練習では新しいメンバーを試したりもしているようだが、やはりスペシャリスト・沢田をサイドに回すと考えるのが妥当だろう。

GK:下田
DF:沢田、オレグ、上村、服部
MF:桑原、森崎和、コリカ
FW:藤本、久保、大木

これまで日本の蒸し暑さに負けて出番の少なかった元ウクライナ代表スカチェンコが、涼しくなるとともに本領を発揮してきた。前節見せたような技術の高さをまた見せてくれるかどうか、に注目したい。