2001年11月2日(金)


サンフレッチェ広島サポーター通信〜勝つ、と言うことの意味

レポート/瀬戸秀紀

 横浜、福岡に勝って「ようやく残留が見えてきた」と思った矢先の3連敗。特に15位東京Vに負けたことによるダメージは大きかった。「降格圏」の15位まで勝ち点差はわずかに5。年間順位も13位にまで落ち、まさに「崖っぷち」まで俵1枚、と言うところまで来てしまったのである。

 練習中は半袖でもOKの広島から雪が降るかという寒さの札幌へ、そして東京へという過酷な遠征が災いしたのは確かだ。東京V戦は見るからに動きが悪く、自分たちのやりたいサッカーはほとんど出来なかったのだから。だが、この3連敗の敗因はそれだけではないだろう。むしろ「今季最高の内容」だった福岡戦に、その遠因があったのだ。

 ゲームで良い結果が出せれば、それは大きな自信となってはね返ってくる。そして自信を持つことができれば、次のゲームでも普段通りの力を発揮することができるだろう。精神と肉体のバランスを保ち、自分の力を100%発揮することができるはずだ。だが、もし自信が過信になってしまったら。その時にはやはり精神と肉体のアンバランスが生じて、そして無様な失敗に終わってしまうのだ。「自分はできる」と言う思いが強すぎて謙虚な気持ちを失ってしまえば、結局は相手の必死さに負けてしまうのだ。

 第8節から第10節までの2週間で苦しんだ原因。それはおそらく、福岡戦で良いサッカーをしたことが「過信」になってしまった事だったのでは無いだろうか。ヴァレリー監督は札幌戦で途中交代した藤本を「セルフコントロールを失っていた」と表現したが、これがその現れだったのではないだろうか。勝つことによって得るものもあれば、失うものもある。その失ったものの大きさを痛感させられたこの2週間だった、と言えるのではないだろうか。

 その「失ったもの」を取り戻そうとしたのが、この水曜日の神戸戦だった。この日のサンフレッチェの選手達は、全身から気迫がほとばしっていた。絶対勝つんだという決意。それが一歩目の速さ、球際での厳しさ、そしてミスを全員でカバーする気持ちに表れていた、と思う。そのおかげで3−2と言うスコア以上の内容の差を見せつけて、そして「苦手」神戸から貴重な勝ち星を得ることができたのだ。

 この勝利で得たものは、単に勝ち点3だけではない。森崎和が語ったように、「みんなで一丸でやれれば、勝つ。それが改めてわかりました」(メールマガジン「広島フットボール」による)と言う事なのでは無いだろうか。一つの勝ちを本当の自信とするか、あるいは過信にしてしまうのか。それは選手達の捉え方次第だろう。この1勝で本当に大切ななことを学んだ事を、次のガンバ戦でこそ見せて欲しいものだ。