2001年11月23日(金)


サンフレッチェ広島サポーター通信〜来季につながる希望を見せろ

レポート/瀬戸秀紀

 守りを固め、カウンターやセットプレーから点をもぎ取る、と言うのが昨年までのサンフレッチェのサッカーだった。しぶとく、相手チームからは嫌がれるが、あまり面白みの無いスタイルだった。そこで今年はヴァレリー監督を招いて、攻撃的なサッカーへの転換を図った。その結果ここまでの年間通算得点57は、昨年と比べて約1.5倍。トップの清水と4点しか違わない数字だ。だがその一方で失点も大きく増加し、年間通算失点はリーグワースト2位の59。点は取れるが同じくらい取られると言う試合展開同様、今年は浮き沈みの激しいシーズンだった。

 リードして終盤を迎えても、守りきれずに逆転負けを喫する。連勝してもそれ以上に連敗する。立て直しのきかないチーム。迫るJ2落ちの恐怖。サポーターの間に監督への不信が渦巻くことも一度や二度ではなかった。実際にヴァレリー監督は心労に耐え兼ねて、辞表を提出しかかったこともあったらしい。

 しかし、そこでサンフレッチェのフロントは慌てなかった。久保社長や今西総監督が繰り返し監督へのサポートを表明し、最小限かつ的確な外国人の補強を行った。終わってみれば戦術が浸透してチームの団結は一段と固くなり、J2落ちは余裕で(?)回避。森崎和や駒野などの若手がチームの中心に成長し、この2人に続く選手も出番を待っている。今年の苦労は、必ず今後報われる。そう思えるような、2001年シーズンだった。

 最終戦の相手は、セカンドステージチャンピオンのアントラーズだ。開幕戦で今季を暗示するような逆転負けを喫した相手だ。だが逆にこの1年間の成長の度合いを測るには、絶好の相手だと言えるだろう。明日はコリカ、服部が不在の上に森崎和が出場停止だが、その穴は全員サッカーで埋めてくれるはず。ホーム最終戦に集まるファンに、来季につながる「希望」を見せて欲しいものだ。なお、予想されるメンバーは次の通り。

 GK:下田
 DF:オレグ、奥野、上村
 MF:駒野、松下、桑原、沢田
 FW:藤本、久保、大木

 森崎和のポジションに入るのは、同い年の松下になるだろう。これまで大きく期待されながらなかなか出場機会をつかめなかった松下だが、ロングパスの精度はレギュラー選手にも負けないものがある。弱気にならないよう、周りを信じて思い切ってプレーして欲しいものだ。