11/16〜11/22のSANFRECCE Diary


<03.11.22> 8ヶ月の間ほとんど休みなしに続いていたJ2リーグも明日がようやく最終節。前節J1昇格が決まったサンフは、残った「J2優勝」と言う目標に向けて川崎フロンターレと対戦します。
 開幕戦での引き分けで始まった川崎との対戦は、ここまで2分け1敗。J2で対戦する全11チームのうち唯一勝ちを挙げていないチームです。J2には珍しく高い位置からのプレッシャーをかけてくるチームで、サンフとの「噛み合わせ」は決して悪くなく、試合内容はいつもこちらが押しています。が、なぜか結果が伴わないのもこの川崎戦。3試合中2試合でロスタイムに追いつかれるなど悪い記憶ばかりが残っているように思います。前回の対戦は第25節で、それから4ヶ月ぶりの対戦となります。その間の川崎の成績は次の通り。
25A △1-1広島  【川】小林、【広】マルセロ
26H ○4-1甲府  【川】ホベルチ、伊藤宏、ジュニーニョ、今野、【甲】外池
27A △1-1札幌  【川】アウグスト、【札】アンドラジーニャ
28H ●1-2水戸  【川】アウグスト、【水】冨田、金子
29A ○2-0鳥栖  【川】長橋、ジュニーニョ
30H ○2-1山形  【川】アウグスト2、【山】中村
31A ●2-3新潟  【川】ホベルチ、OG、【新】山口、上野、マルクス
32H ●0-1大宮  【宮】バレー
33A ○3-2福岡  【川】アウグスト、ジュニーニョ、ホベルチ、【福】林、福嶋
34A ○1-0水戸  【川】アウグスト
35H ○7-1鳥栖  【川】アウグスト2、ホベルチ、ジュニーニョ、岡山、【鳥】宮川
36A ○5-2横浜FC 【川】山根、ホベルチ、ジュニーニョ3、【横】小野、城
37H ○3-0新潟  【川】ホベルチ、我那覇、ジュニーニョ
38A ○2-0大宮  【川】ジュニーニョ2
39H ○1-0札幌  【川】我那覇
40A △0-0山形
41A ●0-2甲府  【甲】小倉、水越
42H ○5-2福岡  【川】ジュニーニョ3、我那覇2、【福】ベンチーニョ、江口
43A △2-2湘南  【川】ジュニーニョ、アウグスト、【湘】OG、坂本
 19試合で11勝3分け4敗はサンフと全く同じ成績ですが、この間のサンフが得点24失点13だったのに対して、川崎は得点41失点20。守備の広島、攻撃の川崎と言う色分けが特にはっきりしていた終盤の戦いでした。点を取られても2点、3点と積み重ねて勝ってきた川崎ですが、しかしこのところの3節は毎試合2失点と守備が不安定でそれが失速の原因と言えそうです。ここ2試合は、GK:吉原、DF:伊藤宏、寺田、箕輪、MF:鬼木、茂原、長橋、アウグスト、今野、FW:ジュニーニョ、我那覇、と言う布陣でしたが、広島に相性のよい山根を使ってくるかどうかがポイントです。
 対するサンフですが、今週前半は「お祝いムード」に包まれていたもののその後は徐々に優勝に向けて気持ちも上がって来ているそうで、練習でも相変わらずAチームとBチームの厳しい戦いが繰り広げられているそうです。一昨日の練習ではリカルドが足をひねってリタイアし、昨日は別メニューでしたがトレーナーによるとそれほどひどくはなく、日曜日には間に合うとのこと。今季の最後の試合をベストメンバーで戦う事ができそうです。
       下田

   井川 リカルド 上村

    森崎和 サンパイオ
森崎浩           服部

       大木

    マルセロ  中山

SUB:林、八田、沢田、松浦、眞中
 川崎は勝ちを狙って積極的に攻めてくると思われますが、そう言う戦いはサンフにとっても望むところ。激しい戦いに競り勝って、今年の最後を飾って欲しいものです。
<03.11.21> J1昇格が決まりお祝いムードのこの1週間でしたが、日曜日には最終戦を残しています。勝ちか引き分けでJ1昇格が決まる新潟。勝って新潟の敗戦を待ちたい川崎。そして勝つか新潟の敗戦でJ2優勝が決まる広島。激戦の2003年J2リーグは、どんな形であれ最後にドラマを用意してくれているようです。
 サンフで心配なのは、大きな目標を達成したことによる気持ちの緩み。今年の目標は優勝ではなくあくまで「J1復帰」だっただけに、そこでいったん緊張が切れてしまっても無理のないことだと思います。一度落ちたテンションをどこまで持ち直すか。川崎戦がどうなるかは、その1点にかかっていると言って良いと思いますが、広島フットボールによると「昇格の喜びは、選手たちはもう頭から取り払っている。もう2度とチャンスは訪れないであろう『J2優勝』に向けて、選手たちは厳しいトレーニングにとり組んでいる」のだそうです。広島フットボールにもあるように、これまでのサンフレッチェの歴史は準優勝の歴史でもあります。94年には1st stageを制覇しましたが、チャンピオンシップで敗れたためシーズン通算の成績では準優勝。天皇杯でも3度決勝に進出しながらいずれも準優勝に終わっています。サンフレッチェには勝者のメンタリティがない、とは昨年までよく言われていた言葉ですが、その「勝者のメンタリティ」とは勝つ事でしか身につけることができないもの。準優勝の歴史、とは結局のところ最後は敗者だった歴史であり、最後に立ちはだかる壁を破れない歴史だったわけです。目標とする「3年後のJ1優勝」を達成するためには、ここで優勝を勝ち取ることはチームの成長にとって非常に重要なことなのだ、と思います。
 優勝して昇格したチームは数年以内に降格する。これは、まことしやかに囁かれているジンクスです。確かに99年優勝の川崎Fは翌年、00年の札幌は2年後に降格し、01年の京都と02年の大分は今年降格争いの真っただ中にいます。その前に目を向けても、JFLで優勝して昇格したフジタ(現湘南)、C大阪、福岡、札幌はいずれも降格の憂き目にあっています。しかし、そもそも昇格チームが上位リーグで苦しむのは当たり前で、逆に「2位昇格なら大丈夫」というものでもないことは今年の仙台の苦戦を見ても分かるでしょう。もともと広島のJ2降格自体、「リーグ優勝したチームは降格しない」と言うジンクスを破ったわけで、ここでまたジンクスを破ることになっても何の不思議もないと思います。J1に復帰するだけでなく、本当に強いチームになるために、日曜日にはきっちりと優勝を決めて、J2には何も思い残すことの無いようにして次の目標へ出発をしてほしいと思います。
<03.11.20> 先週金曜日に発売された紫熊倶楽部の12月号(Vol. 70)の表紙は、サポーターが掲げる「J1復帰」の横断幕です。トップ記事は「This is Football 自分たちのサッカーとは何か」と言うタイトルのスペシャルドキュメント。7連勝後に2試合連続無得点で甲府に引き分け、福岡に敗れたサンフの、水戸戦から湘南戦、そして山形戦に至る戦いを振り返っています。試合展開だけでなく、練習風景、紅白戦のメンバー、小野監督や選手の雰囲気など、広島フットボールでは書けなかった内容が詳しく書かれていて、山形戦の劇的な勝ち越しゴールがどのようにして生まれたかが分かります。サンフレッチェの「自分たちのサッカー」が何なのか、J1昇格が決まった今だからこそ価値のあるドキュメントではないか、と言う気がします。
 この記事に続くのは、甲府戦、福岡戦、水戸戦、湘南戦のマッチレポート。早川文司さんの「広島サッカー史を歩こう」は、V5指揮官・下村幸男氏が退任後の東洋工業の苦難の時代を書いています。謎のサンフレウォッチャーH氏による「サンフレッチェ地獄耳」は敬虔なクリスチャン・サンパイオ選手について。カープの日系ブラジル人選手・玉置投手との関係について紹介しています。
 紫熊短信、Reader's Area、Sanfrecce Topicsを経て、後ろのカラーページは森崎和幸選手のインタビュー。悩み、苦しみ、そして成長してきたこの1年間を振り返ったもので、この1年でチームの中心選手としての存在感を増してきた彼の思いを追っています。そして最後のページはいつものようにtssの石井百恵アナウンサーによる「大好き!サンフレッチェ」となっています。
 唯一のサンフレッチェ専門誌である紫熊倶楽部は1冊350円。ファンクラブ・5万人の会会員はV-POINTで280円で買うことができます。また、年間購読は本誌12冊の他、増刊号「アシスト」とのセット、広島フットボールとのセット等いろいろなパターンがあり、それぞれに会員割引が設定されています。詳しくは紫熊倶楽部・広島フットボールホームページからどうぞ。
<03.11.19> Jリーグは昨日行われた理事会で、サンフレッチェのJ1昇格を承認しました。私は実は全く意識していなかったのですが、J2で2位以内と言うのは昇格の一つの条件でしかなく、その他の条件(A契約選手を15名以上保有するとか1万5千人以上収容のスタジアムを持っているとか)を満たした上で理事会に承認される、と言うのが本来です。J1から降格したクラブの場合は条件を満たしている事は明らかなので審議で落とされる可能性はゼロに近かったのですが、しかしながら15日の段階ではまだ「J1昇格の条件を満たした」と言うべきであって「昇格を決めた」と言うべきでは無かったのかもしれません。ともあれこれでサンフの昇格が正式に決定し、1年間付き合ったJ2とはさよならできることになりました。
 また昨日の理事会では来季の日程等についても審議され、リーグ戦の3/20開幕とナビスコ杯はJ1の16チームで行うことが決定しました。来季は五輪の予選が予定されていますが、UAEラウンドは3/1〜5に、日本ラウンドは3/14〜18に行われるので、その点を配慮したものと思われます。3/20開幕は今年並ではありますが、夏にはアテネ五輪のためにJ1のリーグ戦は中断する予定ですので、今年よりも若干ハードなスケジュールが組まれるかも知れません。(もっとも、J2の厳しさに比べればたいしたことはないのですが ^_^;)
<03.11.18> 日本サッカー協会は11/27から始まるワールドユース選手権大会UAE2003に参加するU-20日本代表メンバーを発表し、サンフレッチェからは茂木弘人選手が選ばれました。選出されたのは次の20人(+バックアップ1人)。
【GK】川島(大宮)、岡本(市原)
【DF】永田、近藤直(柏)、角田(京都)、栗原(横浜FM)、菊地(磐田)
【MF】今野(札幌)、小林(東京V)、山岸(市原)、山口(名古屋)、
    徳永(早稲田大)、鈴木規(FC東京)、成岡(磐田)、谷澤(柏)
【FW】坂田、阿部(横浜FM)、宇野沢(柏)、茂木(広島)、平山(国見高)
【バックアップ】徳重(浦和)
 茂木は「延期ということもありここまで来るのが長かったが、最後に選ばれて大変嬉しいです。選ばれたからには代表の名に恥じないプレーをして、選ばれてない人の分も頑張ってきたいです。思いきったプレーで上位進出が出来るよう頑張ります。」と語っています。この選手達は11/20に集合。11/29にイングランド、12/2にコロンビア、12/5にエジプトと対戦し、12/12以降に行われるトーナメント進出を賭けて戦うことになります。
 なお、この選手達は今週末と来週のJリーグ、及び天皇杯の数試合は出場できなくなります。この中には川島や角田などチームのレギュラーとして活躍する選手も含まれるので、優勝争いや昇格・残留争いに大きな影響を与えることになるかもしれません。
<03.11.17> 昨日、サテライトがアビスパとトレーニングマッチを行い、1-4で敗れました。サンフのメンバーは、GK:林、DF:須田(→前田和45分)、西嶋、佐田、MF:高柳、李、山形、松下、木村、FW:田中(→田坂45分)、松浦。ゴールは後半10分に木村。前日の昇格決定で遅くまで祝杯を挙げていたサンフの選手達はみな身体が重かったようで、前半は福岡に3点を奪われてしまいました。しかし後半、ユースの2人が入ることでチーム全体が活性化し互角の戦いを展開した、とのことです。なお、広島フットボールによると田坂、前田和の2人は本人や家族の希望もあって、大学進学の予定だとのことです。
<03.11.17> 昨日トヨタスポーツセンターで行われたJユース選手権予選グループ最終戦に臨んだサンフレッチェ広島ユースは、名古屋に4-0で勝ちました。ユースのメンバーは、GK:栗崎(→佐久間65分)、DF:藤井、大屋、佐藤将(→吉本83分)、槇野、MF:田中(→中山56分)、桑田、柏木、FW:前田俊、冨成(→福本)、木原。得点は前田俊2、柏木、木原で、前後半に2点ずつ挙げています。前節決勝トーナメント進出を決めていたためほとんどのメンバーを控えで固めたユースでしたが、それでも4-0で圧勝した、と言うのは驚きです。(もっとも、名古屋は夏の段階で3年生が引退してる、と聞いたことがありますが。)
<03.11.17> 昨日、高校選手権の広島県予選の決勝が行われ、皆実高が3-1で山陽高を下し4年連続優勝を果たしました。序盤からボールを支配する皆実に対して山陽はカウンターからチャンスを見いだすと言う展開でしたが、皆実は後半32分に先制点を挙げて有利になったか、に見えました。しかし山陽はそこから最後の気力を振り絞って後半39分に同点に追いつきます。ところが皆実はまるで山形戦のサンフのようにロスタイムに底力を発揮して、3分間で2点をゲット。粘る山陽を突き放して勝利を収めました。
<03.11.16> J2リーグの第43節、ホーム最終戦を鳥栖と戦ったサンフは2-1で勝ち、川崎Fが引き分けに終わったため1試合を残してJ1復帰を決めました。
 時折小雨が降るあいにくの天候だったにも関わらず、ビッグアーチに詰め掛けた観客は22,052人。入場ゲートには早朝から(先頭の人は3時半からだったらしい)多くのサポーターが列を作り、キックオフ時にはメインスタンドからゴール裏、そしてバックスタンドまで紫色で埋まりました。絶対に負けられないと言う広島全体の思いを受けて、ピッチ上に散ったメンバーは次の通り。
       下田

   井川 リカルド 上村
   (→沢田84分)
    森崎和 サンパイオ
森崎浩(→八田71分)    服部

       大木(→高橋88分)

    マルセロ  中山

SUB:林、眞中
 対する鳥栖は久々に井手口が先発に復帰して、GK:藤川、DF:井手口、宮川、三好(→朝比奈80分)、MF:村主、佐藤陽、山道、古川、米山(→矢部73分)、FW:大友(→小石80分)、鳴尾。高いモティベーションで積極的に出てくる鳥栖に対して、立ち上がりはやや戸惑い気味のサンフでしたが、徐々にペースをつかむと先制点を奪ったのは前半6分。上村のロングフィードを中山が頭で流すと、DFラインの裏に抜け出したマルセロが左足で冷静に流し込みました。
 その後もサンフは、2点目を狙ってボールを回し相手の隙をうかがいますが、鳥栖の集中力も高くなかなか崩す事ができません。15分には森崎和がミドルシュート。31分にもセットプレーから森崎和が左足でミドルシュートを放ちましたが、それ以外はなかなかシュートも打てない時間帯が続きます。30分過ぎからは疲れが出たのかややラインが低くなり、鳥栖に攻め込まれるシーンが増えて行きます。そして前半35分、リカルドのクリアから左サイドからのCKを与えます。米山が左足で蹴ったボールはぽっかりと空いたゴール前のスペースに流れ、ここに鳴尾が身体をひねるようにして頭を合わせて同点ゴールを許してしまいました。
 これで目を覚ましたサンフは、勝ち越しを狙ってシフトチェンジします。38分には中山の左からのクロスに大木がヘディングシュート。39分にはマルセロがシュートを放ちますが枠を外れます。44分には上村が攻め上がってミドルシュートを放ちましたがGK正面。そしてロスタイムにゴール前正面でマルセロが倒されFKを得ます。森崎浩が蹴ったボールは壁(三好の腕?)に当たり、大きく跳ねてゴールネットへ。久々にゲームに戻ってきた彼の今季10点目のゴールで、1点リードで前半を折り返すことが出来ました。
 後半に入ってサンフは、3点目を狙って積極的に攻めます。後半1分には服部が中央突破してこぼれ球を中山がシュート。5分には森崎和が、9分にはセットプレーから上村がミドルシュートを放ちます。サンフは速いパス交換から何度も鳥栖陣内に攻め込みますが、鳥栖の帰陣が早くなかなか決定的な崩しができません。23分には中山が右サイドからペナルティエリアに侵入しましたが、ゴールを狙わず森崎浩へのパスを選択してカットされます。34分には左サイドからのFKにサンパイオが頭で合わせましたが、ボールは惜しくも枠の外。攻めながらもなかなか追加点が奪えない展開に、小野監督はまず八田を投入して井川を右WBに上げます。しかしこの布陣は機能せず、後半39分には久々に沢田を起用します。背の高い朝比奈を前線に入れて放り込んで来る鳥栖のシンプルな攻撃に終盤は押し込まれるシーンも見られましたが、守備陣の集中は高くシュートを打たせません。じりじりする展開の中3分弱のロスタイムも凌ぎきり、今季を象徴するような苦しい展開のゲームをやっとのことでものにする事ができました。
 試合終了後、喜びの表情を見せながらも「まだまだこれからだ」と最終節に向けての決意を固め直すサンフレッチェの選手達。しかしその直後、川崎が引き分けたという情報が入ってビッグアーチ全体が爆発します。スクリーンには大きく「サンフレッチェJ1昇格決定!!」の文字が表示され、ピッチ上では選手とスタッフが誰かれ構わず抱き合います。キャプテンの上村は、感きわまって目を赤くしながらインタビューに答えます。小降りだった雨はこの頃から強くなっていきましたが、スタンドを埋めたファン・サポーターは喜びを冷まされることはなく、何度も何度も歓喜のコールを繰り返します。ホーム最終戦のイベントは即座にJ1復帰祝いの場となって、選手とサポーターがともに喜び合います。長い長いJ2の戦いをともに悩み、苦しみ、励まし合ったスタッフと選手達、サポーターなどサンフレッチェに関わるすべての人にとって、ようやく重荷から開放された日となりました。
 前節ロスタイムに追いつかれながら奇跡的な勝ち越しゴールで勝ち点3を取ったサンフにとって、昨日のゲームは最終節に向けての過程、と言う位置づけだったと思います。川崎との「最終決戦」を有利なままで迎えること、その1点に焦点が絞られていたゲームだったと思います。そのためにはとにかく勝ち点3を取る。それがこの日唯一のミッションでした。川崎が引き分け以下ならここで昇格が決まる、と言うのは当然頭の中に入っていたはずですが、それはあくまで可能性があったと言うだけのこと。1試合を残してホームで昇格を決めたということは、(サンパイオではありませんが)神の恵みだった言っても良いほどです。しかし、それは単に運がよかったわけではなく、やはりこれまでの積み重ねの結果だったのだと思います。昨年11月30日の屈辱の降格から1年。木村前監督の辞任の後を引き継いだ小野監督は、久保、藤本という主力2人を失ったところからチーム作りをスタートしました。サンパイオ、リカルドを補強したとは言え、U-22代表を多く抱えるとは言え、J2に降格した「弱い」チームです。この1年間の戦いは、降格に至ったチームの弱点を埋め、徐々に成長させていくプロセスだったと思います。そしてそれは小野監督自身にとっても同じ。代表のコーチを長く務め、日本サッカー界きっての指導者として知られていましたが、長いシーズンを通して戦う経験は初めて。すなわち、彼にとっても成長せざるを得ない過程だったのだと思います。10連勝の第1クール、なかなか点が取れなくなった第2クール、そして全く勝てなくなった第3クール。この過程の一つ一つをクリアしてきた事が、昨日の昇格と言う結果に繋がったのだと思います。山頭火の俳句ではありませんが、「まっすぐな道はさみしい」もの。紆余曲折があるからこそ人もチームも成長し、更にサポーターも成長したのだと思います。ここで目標の「1年でのJ1復帰」ができたことは、サンフレッチェにとって大きな一歩を記したことになると思います。
 しかしその一方で忘れてはならないのは、我々にとってこの目標は小さなものでしかない、と言うことです。サンフレッチェはJリーグ開始時の10チームに入り、94年の1st stageで優勝を経験し、天皇杯では10年間に3度ファイナリストになったチームです。前身の東洋工業からの歴史をたどれば、日本リーグでは最強チームと呼ばれ、天皇杯への出場回数も最も多い日本サッカー界の「名門」です。しかしここ数年はその誇りを失い、下を向くことばかりが多かったように思います。典型的な中位チームと言われ、時には「田舎チーム」と蔑まれた事もありました。J2降格は直接は監督人事の失敗が原因でしたが、しかし問題はそこに至ったプロセスでした。人気が落ち、チーム力が低迷して行くという10年間の歴史に原因を見なければなりません。来年J1の舞台に戻るということは、サンフレッチェにとってはようやくスタートラインに戻る事ができたと言うことです。再び「名門」としての輝きを取り戻すための戦いに復帰できるということです。この1年の「回り道」を終えて、我々はようやく本当の戦いに臨む事ができるのです。
 これで今年最大の目標を達成し、選手もサポーターもほっとした気持ちが強いと思います。昨日は誰もが祝杯を挙げて、J1昇格を喜び合ったと思います。しかし、来週にはJ2優勝を賭けた戦いがあり、その後には天皇杯が待っています。今年が本当に為になった、回り道も無駄ではなかったと言うためには、今後が非常に大切です。昇格の喜びに浸るのは今日までにして、明日からはまた新たな目標に向けてスタートして欲しいと思います。
<03.11.16> 報知新聞の情報によると、水戸に期限付き移籍中の田中マルクス闘莉王のサンフレッチェへの復帰が濃厚になったそうです。これまでの新聞報道によれば闘莉王の帰化が決まった頃からJ1クラブからのオファーが相次ぎ、大分からは「J1残留の切り札に」と破格の条件でのオファーがあったとのこと。また浦和など数クラブから来季に向けてのオファーが来ていたそうで、J1でのプレーを望む闘莉王がそちらを選ぶのではないか、との観測が流れていました。決定は来月にも予定されている交渉の結果によりますが、サンフがJ1への復帰を決めた事により復帰の可能性が高くなった、と言うことだと思います。一方サンパイオ、マルセロ、リカルドの去就については現時点では流動的(契約交渉を行っていないはずなので当たり前なのですが...)で、今後の交渉と戦力検討の結果次第となる模様。久保社長は「『自分で突破できるような選手がほしい。あとヘディングに強いDFも必要...補強は思い切ってやっていこうと思っている。お金のことは考えるな、と強化部には言ってある』と大物選手獲得の可能性も示唆した」とのことです。
 一方新人補強についてですが、昨日高校選手権への出場を決めた作陽高のMF青山のサンフへの入団が内定しているとのことです。(報知新聞による。)また、同じくU-18代表の吉弘(皆実高)は広島の他に浦和など数チームからオファーが来ているそうで流動的ですが、噂によるとこちらもサンフのJ1昇格がカギになるらしいとのことで、広島入りが有力になったと考えて良いのではないでしょうか。更にユースの3年生から1〜2名の昇格があるようです。ここ数年、年代別代表クラスの有望な新人選手の獲得が続いていたサンフでしたが、J2降格に伴ってスカウティングの方もかなり苦戦していたと言う噂を聞きます。しかし昨日J1復帰を決めたことで、その点では心配が少なくなったと言えそうです。
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