12/21〜12/31のSANFRECCE Diary


<03.12.31> 今朝の日刊スポーツと中国新聞によると、上村選手のセレッソへの1年間の期限付き移籍が決まりました。上村はJリーグ開幕時からサンフレッチェに在籍する唯一の選手で、いわば「広島の顔」。3度にわたる膝の靭帯切断と言う大怪我を乗り越えて、選手会長として、またゲームキャプテンとしてチームを引っ張ってきました。昨年もキャンプで怪我をしながら必死のリハビリで予定を早めて復帰して残留争いに苦しむチームを鼓舞し、J2に降格するチームに残留。1年でのJ1復帰に貢献しました。中国新聞によると移籍の理由は「世代交代を進め新たなチーム作りに着手する」とのクラブの方針を受けてのものだそうで、サンフは沢田に続いて経験豊富な選手を失うことになります。
 ヘディングの強さを武器に代表にまで登り詰めた上村は、選手生命の危機を3度も乗り越えるなど精神的な強さが売り物でした。そして今年は開幕からDFラインの一角として17節までフル出場してJ1復帰を目指すチームを引っ張ってきました。しかし第2クールの大宮戦で捻挫して途中退場すると、次の札幌戦を欠場。第19節の横浜FC戦はリカルドの出場停止もあって先発したものの、第20節から3試合連続でベンチに座らされる「屈辱」を受けています。そして久々の先発となった後半戦開幕の大宮戦では、痛恨のオウンゴールで敗戦の原因となってしまい、その後の苦しみのきっかけを作ってしまいました。今年の上村はさすが、と思わせるシーンも多かったのですが、それ以上に集中を欠くプレーが目立ったのは確か。また膝の不安からかスピードがなくなり、更に武器であった高さにも往年のような絶対的な強さを見せる事ができなくなっていたように思います。そんな中で先発を外され、また若返りを進めるチーム内での存在感が薄くなってしまったのは仕方のないことだ、と私は思うのですが、しかし上村本人にとってはプライドを傷つけられる事だったのではないか、と想像します。先月末の契約交渉の場では「今日は、自分がチームに対して考えていることや思っていたことを、伝える場にさせてもらいました。同時に、チームがこれからやろうとしていることを確認しようと思ってました」(広島フットボール)と語っていたそうですが、おそらくその場では自分自身がチームに絶対的な存在として必要なのか、それとも「one of them」として扱われるのかを確認したのかも知れません。そしてこれまで出来ていた「若い世代を中心とするチーム」に向かう流れに合わない、とお互いに判断したのかもしれません。これまで11年間サンフレッチェを引っ張ってきた彼が居なくなるのは非常に残念なことではありますが、上村自身にとっても、ここで一度広島を離れて新しい空気を吸った方が良いことなのかも。そして大阪の地で初心に帰って、もう一度サッカーに打ち込んでかつての強さを取り戻して欲しい、と思います。
<03.12.30> 広島フットボールなどによると、契約が難航していた林の残留が昨日決まったそうです。U-22代表に選ばれている林でしたが、今年のクラブでの出場は下田が代表招集された第一クールの山形戦の1試合だけ。今年28歳の下田がますます安定感を増している現状を考えて、出場機会を求めて焦る気持ちは当然の事だと思います。しかし来年U-23代表に入ればキャンプからシーズン当初までそちらに拘束されるため、どのチームに移籍したとしても最初は出場機会はなくなる可能性が高いでしょう。そう考えると、仮に来季もプレー機会が少なかったとしても、広島に残って下田を目標に、またU-23代表でのプレーを目標に頑張る事が林のためになると思いますし、また林自身もそこを考えて決断したのだろうと思います。
 また昨日は沢田が現役を引退して、サンフレッチェのユース担当コーチに就任することが決まりました。サンフレッチェで戦力外となった沢田は「現役を辞めるともう戻れないから」とJリーグの合同トライアウトに参加し、反町監督の要請をうけて新潟の練習にも参加していました。しかし沢田自身、今年の自分のパフォーマンスには限界を感じていたそうで、広島からの「ゼロ査定」にも納得していたとのこと。新潟からの正式オファーがなかったのか、それとも自分から断ったのかは分かりませんが、今後の自分の人生と天秤にかけて指導者の道を歩むことを決意したものと思われます。教員免許取得のため広島大学に通学するなど、もともと指導者としての指向を持っていた沢田。森山監督のもとで「最強」のユースの指導をすることは、彼の新しい人生にとって良いスタートラインになるのではないでしょうか。ぜひこれから、沢田のような熱いハートを持った選手を育てて欲しい、と思います。
<03.12.29> サンフレッチェ広島ユースは昨日長居スタジアムで行われたJユースカップ決勝で6-4で勝ち、8年ぶり2回目の優勝を果たしました。
 昨日のメンバーは、GK:佐藤昭(→松岡89分)、DF:高柳、中野、藤井、森脇、MF:前田和、田坂、桑田(→田中89分)、前田俊、FW:田村(→馬屋原66分)、西山(→吉村68分)。昨年に引き続いて決勝進出したサンフレッチェユースは、気持ちが入りすぎたのか序盤は動きが硬く、ロングボール主体で攻める市原ユースに押し込まれるシーンが多かったそうです。2分、13分、14分に立て続けに決定的なピンチを迎えましたが、佐藤昭がスーパーセーブ連発で何とか凌ぎます。しかし広島フットボールによると選手達に焦りはなかったようで、徐々に立て直すとペースを奪い返し、26分に先制点を奪います。佐藤昭のキックを前田俊が頭で落とし、ここに走り込んだ桑田がゴール左隅に流し込みました。2点目はその10分後で、FKのボールを田村がGKと競り合い、そのこぼれたところに前田俊が走り込んで頭で押し込みました。更に41分には田坂が魅せます。深い位置からドリブルを開始すると力強く突進して左サイドを突き破り、ゴール前まで切り込んで右のポストに当ててそのままゴールイン。今年敗れたのも、点を取れなかったのも2試合だけ(高円宮杯の静岡学園と天皇杯の水戸)と言う広島ユースの強さが存分に出た前半だったようです。
 「後半は0対0からのスタート。絶対に緩めるな」(森山監督)、「頭を切り替えて頑張ろう」(市原・井上監督)と両監督の檄を受けて、後半は前半以上に激しい「撃ち合い」になります。2分にパス交換から守備を崩され1点を失いましたが、後半12分には桑田のシュートのこぼれに反応した田村が押し込んで4点目をゲット。15分には高柳のロングパスを受けた前田俊が左サイドでボールをキープすると、猛烈な勢いで飛び込んで来た西山にピンポイントのパス。西山はこれをダイレクトで蹴り込むと言うスーパーなゴールで5点目を挙げました。4点をリードしながら更に攻め続ける広島ユースは、その後も何度も決定的なチャンスを作ります。広島の全く守りに入らない姿勢に、市原も吹っ切れたような攻め上がりを見せて後半24分と28分に得点します。ボールが行ったり来たりする激しい戦いの中で、特に素晴らしい動きを見せていた前田俊は何度も危険なシーンを演出していましたが、それが実ったのが後半43分。ゴール前で桑田からのボールを受けた前田俊はフェイントでマーカーをかわすと、GKの位置を確認してループシュート。これはGKもDFも届かない絶妙な位置に飛んで、今大会の得点王となるこの日2点目のゴールとなりました。後半ロスタイムにはセットプレーから4点目を失うというおまけもつきましたが、今年のユースを象徴するような攻撃的なサッカーで夏に続いてクラブユースの頂点に立ちました。
 「史上最強」と呼ばれる今年のユースは、高萩をはじめとする2年生に技術の高い選手を揃えていました。しかし、森山監督や選手のインタビューによると、チームを支えていたのは3年生の力だったとのこと。「広島ユースでは魂のある選手を育てたい。今年は、3年生がその姿を見せてくれた」と森山監督が語るように、練習から試合まで手を抜かずにチームを引っ張った3年生の力があったからこそ、今年の好成績があったそうです。高柳は試合後に「今季の広島ユースは史上最強と言われてきたけど、来年はそれよりももっと強いチームをつくって、今度は高円宮杯もとりたい」と語っていたそうですが、それはきっと実現可能なはず。今度は高柳や前田俊、佐藤昭らの力で、更に良いチームを作って欲しいし、個人の力を伸ばして多くの選手がトップ昇格を果たして欲しいと思います。
<03.12.27> 昨日サンフレッチェは、横浜Fマリノスを戦力外となっていた佐藤一樹選手を獲得した、と発表しました。佐藤は筑波大から97年に横浜フリューゲルスに入り、1年目は3試合出場にとどまったものの2年目には19試合に出場してレギュラーを確保しました。そしてフリューゲルスのマリノスとの「合併」に伴って波戸らとともにFマリノスに移って99年は13試合に出場しましたが、翌年京都にレンタル移籍。01年にはJ2(大分)で1年プレーして、昨年から横浜に戻っていました。これまでのリーグ戦の成績は56試合出場の6得点で、典型的な右サイドのアタッカー。ドリブル、あるいはスルーパスで右サイドを突破してクロスを上げる、あるいはゴール前に顔を出して得点に絡む、と言うプレーが持ち味です。今年のサンフは駒野の離脱後の右サイドが問題で、松下のほか森崎浩や桑原、井川、八田らも起用されましたがいずれも「帯に短したすきに長し」と言う感じで、来季に向けて堅実な補強が求められていました。駒野復帰までの「繋ぎ」と言うだけでなく、これまでのサンフにいないタイプの選手の獲得、と言う意味があるように思います。
 なお昨日のスポーツ紙の報道によると、G大阪のDF木場が移籍を希望していてその候補の一つに広島が挙がっているそうです。木場はずっとレギュラーでプレーしていただけでなく、ここ数年(3年?)は主将としてチームを引っ張ってきたガンバの顔、とも言える選手。サンフでは上村に相当する立場の選手だと思いますが、その上村との来季の契約がまだまとまっていないと言う噂なので、木場にオファーを出しているのだとすればそのへんの事情とも関係があるのかもしれません。
<03.12.26> 昨日長居第二競技場で行われたJユースカップ準決勝で、サンフレッチェ広島ユースはC大阪U-18を2-1で下し2年連続4回目の決勝進出を決めました。昨日のメンバーは、FW:佐藤昭、DF:高柳、中野、藤井、森脇、MF:前田和、田坂、桑田(→吉村70分)、前田俊、FW:田村(→馬屋原67分)、西山。ホームの利を生かして激しくプレッシャーをかけてくるC大阪に対して、サンフは両サイドバックの攻撃参加でチャンスを作るという展開だったそうです。先制点は後半7分。後方からのフィードボールに走り込んだ前田俊が、利き足でない右足のダイレクトボレーを逆サイドのネットに突き刺したもので、技術的に非常に難しい、誰もが認めるファインゴールでした。しかしセレッソも反撃。後半23分にトップ昇格が決まっている山城が右サイドを突破し、そのクロスを坂本に決められて同点に追いつかれます。その後退場者が出たセレッソは守りを固め、これをサンフが何とかこじ開けようという展開が続いたそうですが、終了間際にCKから藤井が頭で押し込んで勝ち越し、そのまま勝ちました。昨年、決勝に進出しながらG大阪に完敗したユースは、今年はその「悔しさを晴らすことでスタート」(森山監督)してここまで来ましたが、本当の意味でのリベンジを果たすためにはこの大会で優勝することこそが必要です。決勝は12/28(日)で相手は市原。長居スタジアムで午後1時キックオフです。
<03.12.26> サンフレッチェとレッズは昨日、広島を戦力外となった梅田直哉選手の浦和入団が決まったと発表しました。皆実高から明大を経て2001年に広島入りした梅田は、ルーキーイヤーの1st stage第2節に初出場を果たし、恵まれた体格とスピードを生かして貴重なバイプレーヤーとして起用されました。2年目には1st stageの第3節京都戦でプロ入り初ゴール。今年も横浜戦でゴールを決めましたが、結局3年間で挙げたゴールはその2つだけ。真面目で常に全力でプレーする姿は監督からもサポーターからも愛された選手で、FWだけでなくサイドバックで起用されるなど何とか一人前に育てようとしてきましたが、残念ながら広島で開花することはなくこの秋「ゼロ査定」を受けて移籍リスト掲載となりました。その後札幌など複数のチームからオファーがあったそうですが、その中で梅田が選んだ道は浦和。エメルソン、田中達也、永井雄一郎と強力なFWが揃う中での厳しいポジション争いを選択したわけですが、3人とも「スピード系」で梅田とはタイプが違うため監督次第では出場機会は多いかもしれません。好漢・梅田の挑戦が実ることを祈りたいと思います。
<03.12.25> Jリーグは昨日、来季の日程を発表しました。これによると開幕は3/13。6/16までに1st stageを済ませて中断に入り、アテネ五輪期間中の8/14に2nd stageが開幕して11/28に閉幕すると言うスケジュールとなっています。サンフとして気になるのはU-23代表との関係ですが、最終予選と重なるのは1st stageの第1節で、第2節も前日が試合のため事実上不可能。また本大会は出場できるかどうか、あるいはどこまで勝ち進むかにもよりますが、1nd stageの1〜3節に影響する可能性があります。以前書いたように合宿と予選のために1〜3月はほぼずっと拘束され、キャンプによるチーム作りに多大な影響を及ぼすことは間違いないわけで、来年は1年を通じてU-23代表に悩まされることになりそうです。

代表関係の日程

1-1

3/13(土)

3/14〜18 アテネ五輪最終予選

1-2

3/20(土)21(日)

ナビスコ1

3/27(土)

3/31 W杯一次予選

1-3

4/3(土)4(日)

1-4

4/10(土)11(日)

1-5

4/14(水)

1-6

4/17(土)18(日)

ナビスコ2

4/29(木・祝)

1-7

5/2(日)

1-8

5/5(水・祝)

1-9

5/9(日)

1-10

5/15(土)16(日)

1-11

5/22(土)23(日)

ナビスコ3

5/29(土)

ナビスコ4

6/5(土)

6/9 W杯一次予選

1-12

6/12(土)13(日)

1-13

6/16(水)

1-14

6/19(土)20(日)

1-15

6/26(土)

オールスター

7/3(土)

ナビスコ5

7/17(土)

7/17〜8/7 アジアカップ

ナビスコ6

7/24(土)

2-1

8/14(土)15(日)

8/11〜28 アテネ五輪

2-2

8/21(土)22(日)

2-3

8/29(日)

ナビスコ準々決勝

9/4(土)

9/8 W杯一次予選

2-4

9/11(土)12(日)

2-5

9/18(土)19(日)

2-6

9/23(木・祝)

2-7

9/26(日)

2-8

10/2(土)3(日)

ナビスコ準決勝

10/9(土)

10/13 W杯一次予選

2-9

10/17(日)

2-10

10/23(土)24(日)

2-11

10/30(土)31(日)

ナビスコ決勝

11/3(水・祝)

2-12

11/6(土)7(日)

11/17 W杯一次予選

2-13

11/20(土)

2-14

11/23(火・祝)

2-15

11/28(日)

 またナビスコカップの予選リーグの組み合わせも発表され、広島は横浜FM、東京V、C大阪とともにAグループに入りました。
<03.12.25> サンフレッチェは昨日、水戸にレンタル中の闘莉王の浦和への完全移籍を発表しました。2001年に渋谷幕張高から広島入りしたトゥーリオは、その年の開幕戦に途中出場してゴールを決めると言う鮮烈なデビューを果たし、ルーキーイヤーに17試合に出場するなど活躍して将来の飛躍を期待されていました。そしてその翌年は開幕から数試合は途中出場が多かったものの、第7節から2nd stageの第8節までレギュラーとして起用されて22試合に出場しました。しかしその後調子を落として終盤はサブにも入れないことが多くなり、チームの残留争いに貢献できずに終わります。貴重な外国人枠を使っているにも関わらず大事なところで戦力にならなかった、と言う事実にチーム内での評価が下がってしまったのは確かなようで、リカルド、サンパイオの獲得でチームとして抱えていくことが出来なくなり、起用法に不満を持っていたトゥーリオ自身も移籍を希望していたようです。しかし当時はこれと言ったオファーもなく、かと言ってクビにすることもできず(高卒新人は3年は面倒を見る、と言う方針だから)移籍先を探した結果、水戸に拾ってもらった(何でもほとんどタダで貸し出していたらしい)と言う経緯があります。今年水戸で活躍し、日本に帰化してU-22代表候補に選ばれた事もあって「人気者」となった闘莉王ですが、クラブとしても本人も移籍は当然眼中にあったはずで、ここで良いオファーがあって高く売れた(移籍金は1億円とも1億4千万円とも言われている)事は双方にとって良いことだ、と言えるのではないでしょうか。若手の将来性のある選手がいなくなる事はファン、サポーターにとっては残念なことではありますが、本人の将来とクラブ経営を考えれば理解できる決断だ思います。
<03.12.24> サンフレッチェがオファーを出していた秋田の名古屋移籍が決定し、同様に中西も移籍先を横浜FMか東京Vに絞ったそうです。外国人FWについてはリヴァウドや崔龍洙にオファーを出していたと言う噂がありましたがいずれも移籍先が決まり、サンフが狙っていた選手については今のところ「全敗」と言う結果になっています。J1で戦うにあたって弱点だと思われる「前と後ろ」に限らず全体的に補強が進まない現状に、これで良いのか、来季のサンフは本当に大丈夫なのか不安に思う人も多いのではないでしょうか。
 しかし、その前にこれまでのサンフのチーム作りの流れをよく考える必要がある、と思います。かつてトムソン監督の時代には、伊藤、宮沢、沢田などある程度実績のある選手を獲得し、彼らをチームの中心に据えて何とかチームを維持してきました。98年以降に限っても、移籍で獲得した選手は古賀、皆本(98年)、佐藤、藤本、沢田、菊地(99年)、加藤、上野、栗原(00年)、奥野(01年)、井手口、鳴尾、中村(02年)とほとんどが他チームを戦力外になった選手ばかり。小野(現フェイエノールト)にオファーを出したことはあるものの移籍市場に出てきた選手に声をかけることもめったになく、取れる選手で何とかやりくりしてきました。これは新人選手に対しても同様で、有望な選手を何とか練習に参加させても結局は断られ、有力選手には最初から声もかけない、と言う状況が何年も続いていました。Jリーグ開幕当初には代表選手を多く抱えてステージ優勝を果たしたサンフでしたが、その後ははっきり言ってじり貧で、そのままの流れが続いていればおそらくもっと早くJ2に降格し、そしてしばらくは浮かび上がって来れなかったのではないでしょうか。
 しかし2000年、いわゆる「スーパーセブン」が入って来た年を境に状況が変わります。これは久保社長が就任してフロントが刷新され、吉田サッカー公園や三矢寮などが整備されたことが大きかったと思いますし、また森崎兄弟と駒野がユースから育ってきた事も大きかったと思いますが、とにかくそれ以降、若手を育てる事によりチームを作っていく、と言う方向性をはっきりとさせました。そして00年には森崎和、01年には駒野がポジションを獲得し、昨年から今年にかけて森崎浩がようやくレギュラーを確保したほか、中山、松下、李、八田らが戦力になって来ています。来季の契約が確定的な選手のうち23歳以上の選手が9人なのに対して22歳以下が20人。年代別の代表・代表候補が目白押しで、このまま順調に育てば数年後には黄金時代が到来すると言う夢が現実になりつつあるように思います。従って選手の補強をするもしないもこの大原則を前提に考えるべきで、その役に立つ選手は取る、役に立たない選手は要らない、と言うスタンスは当然のことだと思います。今年、「大物」に多く声をかけたのは若手選手を押しのけてまで起用する価値のある選手は誰か、を考えての事だと思いますし、また声をかけても競合して断られる可能性があることは前提の事だったのではないでしょうか。彼らを獲得できなかったのは残念ですが、しかしだからと言って補強に失敗しているとは言えないのではないかと思います。
 他のクラブの動向を見ると浦和、名古屋、京都などの積極的な動きが目立ち、これらに比べてサンフが遅れていると言う印象は否めないのですが、しかし冷静に見れば多くのクラブはまだこれから。マルクスとの契約を更新しなかった新潟、崔と中西がいなくなる市原など主力を失うチームも多く、現有戦力をほぼ確保したサンフの現状は悲観したものでもないと私は思います。フロントには戦力整備のための最大限の努力をして欲しいと思いますが、それ以上に今いる若手選手が更に自覚を持ち、成長して、来季以降のサンフを支えてくれる事に期待したいと思います。
<03.12.23> 昨日サンフレッチェと大宮アルディージャは、高橋泰選手の大宮への期限付き移籍を発表しました。99年に帝京高から広島入りした高橋は、1年目からレギュラーとして起用されて24試合出場6得点と活躍し、その年の優秀新人賞を受賞しました。しかし翌年は「2年目のジンクス」(これは野球用語ですが)にどっぷりとはまってリーグ戦は無得点に終ります。3年目のヴァレリー体制の元ではFC東京戦でハットトリックを決めて最下位に落ちたチームを救いましたが、その後大木にポジションを奪われて結局5ゴールに終り、徹底的に冷遇されたガジエフ時代を経てポジション獲りを今年に賭けていました。そして今年は開幕戦でチーム初ゴールを決め、第7節の横浜FC戦では4ゴールをゲットする大爆発。一時は得点王争いのトップに立つ活躍を見せましたが、その後は怪我もあってまたもや控えの座に甘んじていました。
 身体能力が高いわけでも技術が優れているわけでもない高橋の売りは、ハイクロスにピンポイントで合わせる巧さとゴール前での感覚です。これが冴えているときはどんな形ででもゴールに押し込むことができる選手で、ある意味非常にFWらしい選手だと思います。しかし、残念なのはその波がたまにしか来ないこと。厳しいマークが付いたり後ろから(あるいはサイドから)良いボールが来ないと何もできなくなる、と言う弱点は未だに解消できていないと言う気がします。ボールのないところの動きの質を高めること、他の選手とのコンビネーションを高めることが大事なのだろうと思うのですが、そのためには試合に出続けることが必要です。これまでの高橋は調子が上がると怪我をしたりコンディションを崩したりして出場機会を失い、そのまま練習でアピールできないまま沈んでいくという悪循環を繰り返してきましたが、プロとして更に飛躍するためにはその連鎖をどこかで断ち切らなければならない、と思います。高校時代に強いプロ指向を持ちながら声がかからなかった状況をひっくり返したのは、怪我を隠して出場しながらゴールを量産した高校選手権でした。彼の持ち味は、逆境になっても諦めずに戦い続けるその気持ちのはずです。ここで広島を出ることはある意味「挫折」ですが、しかし高橋にとっては大きなチャンスでもあります。今年の序盤で見せたような働きをシーズン通して見せることで、ぜひ大きく成長してまた広島に戻ってきて欲しい、と思います。
<03.12.22> 昨日平塚で行われたJユース杯準々決勝で、サンフレッチェ広島ユースはヴェルディユースを4-1で下しました。この日のメンバーは、GK:佐藤昭、DF:高柳、中野、藤井、森脇、MF:前田和、田坂(→柏木79分)、桑田(→吉村68分)、前田俊(→大屋84分)、FW:田村(→馬屋原64分)、西山(→田中70分)。前半から相手を圧倒して33分に西山がドリブル突破から先制弾を決めると44分の桑田の2点目をアシスト。後半藤井のオウンゴールで動揺してやや押し込まれる時間帯があったものの、前田俊と桑田が後半10分と18分にゴールを決めて突き放し、そのまま勝ちました。準決勝は25日(木)に長居第二陸上競技場で、C大阪U-18が相手となっています。
<03.12.21> 昨日諌早市の長崎県総合運動公園陸上競技場で行われた天皇杯4回戦の横浜Fマリノス戦は、接戦に持ち込んだものの1-2で敗れ、ベスト8進出を逃しました。
 森崎和に加えて大木も肉離れで欠いたサンフは、久々に高橋が先発して次のような布陣で戦いました。
       下田

   井川 リカルド 上村

松下  李  サンパイオ  服部
(→山形71分)
   森崎浩     高橋(→茂木45分)
      マルセロ

SUB:林、八田、中山
 対する横浜は、GK:榎本達、DF:柳(→波戸71分)、河合、中澤(→金子89分)、ドゥトラ、MF:上野、那須、佐藤由、遠藤、FW:久保、安永(→清水60分)で、奥と退団が決まったマルキーニョスがいなかった以外はベストメンバーを組んで来ました。横浜は立ち上がりから、Jリーグチャンピオンの力を見せつけます。いきなり久保がロングボールを絶妙なトラップからDFラインの裏に抜け出してシュートを放ったのをはじめ、3分間で3度も決定的な場面を作られます。サンフはチーム全体、特に右サイドが横浜の「速さ」に混乱してしまった感じでしたが、しかしこのピンチを下田の落ち着いたプレーで凌ぐと徐々に押し返します。横浜の判断の速さと組織だった動きに翻弄されつつもしっかりと立て直し、相手を怖れてラインを下げるのではなく勇気を持って戦いを仕掛けます。そして20分過ぎからは何度かチャンスを作り、松下のクロスや服部の強烈なロングシュート、マルセロの中央突破からのシュート等で相手ゴールに迫ります。しかし33分、センターサークル付近からの上野のロングパスで抜け出した久保が競り合うリカルドより一歩前で左足の外側でボールに触ってループシュートを放ち、これが飛び出した下田の頭の上を越えてゴールに飛び込みます。久保のスピードと技術をまざまざと見せつけたゴールで、リードを許してしまいました。
 後半、風上に立った横浜が更に攻勢を強めてくるかと思いましたが、むしろボールポゼッションは広島。サンパイオと服部のラインを中心に攻めを組み立てようとするサンフに対し、カウンターからチャンスを狙う横浜、と言う構図になります。しかし立ち上がりに飛ばしすぎた影響か、あるいは強い風を気にして慎重になったのかゲームの流れは停滞気味。特にサンフの攻撃は横浜の強固な守備ブロックを崩す事ができず、なかなかシュートまでも持ち込むことが出来ません。小野監督は後半立ち上がりから茂木を、後半途中から山形を投入して打開を図りますが、有効な手とはなりません。そんな中の後半40分、河合のDFラインからのロングボール(クリアボールにも見えた)で抜け出した久保が、リカルドのマークを外して中央にグラウンダーで折り返します。そしてここに走り込んだ清水がその勢いのままにゴールネットに突き刺し、リードを広げられてしまいました。
 絶望的な2失点目を喫したサンフでしたが、しかしこれで下を向くことなく最後のパワーを振り絞って攻撃に出ます。そして後半43分、服部が左サイドから中央に切れ込み、密集でボールを受けたマルセロが強引にシュート。これはDFに当たりましたが、こぼれたボールに素早く反応した服部が足を突き出すようにしてボールをゴールネットに突き刺しました。この後、更に同点を狙うサンフはサンパイオをFWに上げて攻撃を繰り返します。中澤が痛んだためチャンスはあるかに思えましたが、残念ながら有効な形を作れないままに4分のロスタイムはあっと言う間に過ぎて、そのまま1-2で敗れました。
 J1チャンピオンの横浜は、高校生相手に苦戦した直後でモティベーションも上がっていると言う事もあって、今のサンフにとっては非常に手強い相手だったと思います。小野監督も語っているように、判断やパススピード、攻守の切り替え等いろいろな面での速さが、やはり「レベルの違い」を感じさせてくれました。立ち上がりの三つの決定機のどれかを決められていたら、一方的な展開になる可能性もあったと思います。また横浜の攻勢を凌ぎながらチャンスを窺っていた時間帯に先制を許したことで、気持ちが切れていても不思議ではなかったと思います。しかし、昨日のサンフは違いました。相手との力関係や流れをしっかりと掴んで、ゲーム中に修正してみせました。下田が、服部が、サンパイオが、またリカルドやマルセロや森崎浩が次々と「J1モード」にプレーの質を切り替えて、スリリングなゲームを演出してくれました。服部の得点は横浜を焦らせるまでは行かなかったかもしれませんが、来季に向けての手がかりとなる1点だったと言えるような気がします。
 客観的に見れば、この日の広島と横浜の力の差は点差以上のものがあったかも知れません。選手個人の力だけでなく組織の面でも、まだまだ横浜には及ばないところが見えてしまったかもしれません。J2でのゆったりしたペースとミスが目立つサッカーに慣れてしまったチームにとっては、J1での戦いが厳しいものとなるであろうことを改めて思い知らされたような気がします。しかしこの1年の戦いは、精神面での強さがいかに大切なのかをチーム全体に教えてくれました。少しでも気を抜いたらすぐにやられること、常に成長し続けなければ敗北が待っていることを学びました。そしてこの日の横浜に対する戦いは、今年1年の苦しみがしっかりと身に付いていることを示したのだ、と思います。今年の苦しみが決して無駄ではなかったことを、示していたのだと思います。開幕の川崎戦から昨日の横浜FM戦までの48試合の経験を糧にして、来季は更にレベルアップしたチームを見せて欲しいものです。
<03.12.21> 広島フットボールや中国新聞の情報によると、ユースの3トップの一角として活躍した西山貴永選手の川崎フロンターレ入りが決まったそうです。今季のユースの中でプロ入りが決まったのは高萩、田村に次いで3人目で、今年の3年生の中では2人目。彼の切れ味鋭いドリブルがプロでも通用するかどうか、今後の成長に注目したいと思います。
 一方、広島フットボールによると広島を戦力外となった梅田選手にはJ1を含む複数のクラブから打診を受けているとのことです。現在は環境面や条件面での確認をしているそうで、数日中にも移籍先が決まりそうだとのことです。
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