2/23〜3/1のSANFRECCE Diary


<03.3.1> 年代別代表に次々と選手を送り込んでいるサンフレッチェですが、その選手達がどんな活躍をしているのか、マスコミでは(サンフの選手は)ほとんど取り上げられないのでいまひとつ良く分かりません。昨日の広島フットボールに取り上げられていたので、それを含めて情報をまとめてみます。
 まずブルキナファソ遠征したU-20代表では、大久保が3試合とも出場し、茂木も2試合に先発しました。地元チームのASSFA、ブルキナファソU-20代表、そしてブルキナファソエスポワール(U-22代表)と対戦したU-20代表はそれぞれ0-0、2-1、1-1と1勝2分けの成績を残しています。いずれのゲームも布陣は3-5-2。3バックは3試合とも違う組み合わせが試されていますが、大久保は全試合で右のストッパーで先発しています。広島フットボールによると宮崎キャンプを訪れた大熊監督は「高校時代はユーティリティ性も特徴だったが、ワールドユースやJリーグのレベルで、それが発揮できるかどうかは未知数。努力を続けてほしい」と語ったそうです。昨年の今頃はほとんど無名だった大久保は、この半年で急激に伸びて来ています。しかしその伸びがいつまでも続く訳ではないのが普通で、どこかで壁に当たっても不思議ではないと思います。サンフレッチェではストッパーとしてだけでなく右SBとしても起用されていますが、まだコンビネーションが確立せず「活躍」とまでは行っていない模様です。今後代表に行ったりチームに戻ったりで大変だろうとは思いますが、それは彼への期待の裏返しでもあります。ただ試合に出るだけの選手でなく、もう一皮も二皮も剥けて欲しいと思います。
 茂木はU-20ブルキナファソ代表戦、ブルキナファソエスポワール戦に先発しましたが、どちらのゲームでもゴールを決めることはできず途中で交代しています。大熊監督は茂木について「ポテンシャルの高い選手であることは間違いない。ただ、まじめすぎるのか、指示通りにやりすぎて、指示どおりのことしかできなくなることがある。もう少し臨機応変というか、そういうプレイが欲しい」と語っていたそうです。能力の高さを垣間見せる茂木ですが、ゲームごとに好不調の波が激しいのは確かで、本人もそれを悩んでいるのかも知れません。代表での茂木とサンフでの茂木。器用なタイプではない彼にとって、2つのチームで微妙に違う役割を求められるのはなかなか難しいことなのかも知れませんが、彼にはここを何とか乗り越えて代表でもチームでもレギュラーを取れるような選手になって欲しいものです。
 更にブルキナファソ遠征のメンバーに入らなかった高木ですが、これは別に実力のためではなくインフルエンザのため黄熱病の予防接種を受けることができず、ビザが取れなかったからだったとのこと。大熊監督はかなり高い評価を与えているようで、中国新聞によるとUAE行きメンバー入りは確実だ、とのことです。
 一方、このところ4日間の合宿を行ったU-22代表ですが、サンフから参加した4人はそれぞれ持ち味を発揮した模様です。まずは森崎和ですが、山本監督は彼に対して、技術や戦術よりもリーダーシップの発揮を求めていたとのこと。一部の報道によると宮本、明神が入った時とU-22代表だけになった時とではチームの雰囲気がずいぶん変わったそうですが、そんなことを言わせないようにするためには彼が中心となってチームを引っ張らなければならない、というのは確かなことだと思います。
 森崎浩はトップ下、左サイド、そして3トップの一角と言う3つのポジションをこなしたそうですが、一般マスコミの「無視」としか思えない扱いとは裏腹にそれぞれで光るプレーを見せていたようです。仙台戦の2点にはいずれも彼が絡んでいたそうで、特に2点目は彼の得点と言っても良いようなものだったとのことです。もともとU-22代表の攻撃陣には森崎浩のような左利きの選手はいない事を考えると、監督にとっても貴重な選手である、と言うには間違いなさそうです。
 駒野は、と言うとどうも守備陣の「便利屋」としての使い方をされている様子です。元々彼はU-17代表の頃からこのチームのレギュラー格として活躍してきましたが、右でも左でもできて、Jリーグでストッパーとしての特性を見せたことから貴重なバイプレーヤーとして見られている、と言う感じがしてなりません。仙台戦の1点目は駒野のFKからで非常に素晴らしいものだったそうですが、何か一つ誰にも負けない武器を磨かないと、「貴重なサブ」としての扱いが定着してしまうかも知れません。
 最後は林ですが、カタールで勝ち得た信頼は本物だったようでトレーニングマッチではGK組ではただ1人2試合に出場したそうです。彼にとっては下田の壁よりもU-22代表のライバルたちの方が与しやすいはず。自分を成長させるための経験の場として、是非ともこのチームのレギュラーを取って欲しいものです。
<03.2.28> サンフレッチェは昨日、キャンプ最後の実戦形式の練習として25分3本の紅白戦を行いました。ここで一本目のメンバーは次の通り。
    【Aチーム】           【Bチーム】

      下田               尾崎

高萩  上村 リカルド 服部   西嶋  中尾  河野  佐田

   桑原   サンパイオ       前田俊   松下
       李                西村
 大木        高橋     茂木        高木
     エルツェグ              梅田
 広島フットボールによると、疲れが出る前のこの一本目が素晴らしかったとのこと。キャンプで追求した速いサッカーがチーム全体でできていたそうで、特に1点目の得点シーンは素晴らしいものだったそうです。中盤で奪ったボールを大木が右サイドで持ってDFを引きつけ、高橋を経由してエルツェグが決めると言うもので、3トップの連動した動きが結実しました。得点はこれを含めて3点で、2点目は下田のミスパスを拾った西村のミドルシュート。3点目は3本目に右サイドからのリカルドのクロスを高萩がヘッドで押し込んだそうで、この高萩のゴールも素晴らしいものだったそうです。サンフのメンバーは今日は軽い練習でキャンプを打ち上げ、レギュラー16人(たぶんU-22代表組が合流するはず)は空路東京入りして3/1の柏との練習試合に臨みます。また控え組は北九州市に移動して、北九州市長杯(初戦の相手は九州共立大)を戦うことになります。
<03.2.28> 昨日日本サッカー協会は昨日、3/5〜12に行われる合宿に参加するU-20日本代表候補26人を発表しました。
【GK】川島(大宮)、岡本(市原)、徳重(浦和)
【DF】永田、近藤(柏)、坪内(神戸)、角田(京都)、大久保(広島)、大井(磐田)
【MF】今野(札幌)、小林(東京V)、山口(名古屋)、加藤(湘南)、徳永(早稲田大)
    馬場、鈴木(FC東京)、成岡(磐田)、工藤(市原)、菊地(清水商高)、高木(広島)
【FW】坂田、阿部(横浜FM)、宇野沢、矢野(柏)、茂木(広島)、中原(仙台)
 先日のブルキナファソ遠征メンバーから抜けたのは尾亦(FC東京)だけ。逆に2月初旬のキャンプに呼ばれながらブルキナファソには招集されなかった岡本と高木が復帰しています。高木はインフルエンザの影響で合宿にはほとんど参加できず、それが「落選」のきっかけになったものと思われますが、ここで再び呼ばれるということはよほど期待されている、と言うことなのかも知れません。U-20の遠征に行かなかったことで逆にサンフレッチェの中でチャンスを与えられている高木にとって、ここで抜けなくてはならない、と言うのは痛いところかも知れませんが、ワールドユースに出れるチャンスは一生で一回のこと。せっかくの機会ですし、ここは合宿で精一杯アピールして、UAE行きのチケットを手にして欲しいものです。また、
<03.2.27> 宮崎キャンプの2週間に組まれた対外試合は6試合。これをBチーム、Aチームが交互に戦って、Bチームは2勝1敗、Aチームは3連勝と言う結果を残しました。この時期の練習試合はコンディションやメンバー、対戦相手の都合などがありますので結果はそれほど重要ではないのですが、広島フットボール等の報道を見る限りでは概ね内容は良く、小野監督のコンセプトが浸透しつつあることは間違いなさそうです。
 その中で明らかになった事は、と言うと、まずは基本布陣が4-3-3だと言うことです。小野監督は「3バックも4バックもやり方は同じ」と言っているようですが、これはたぶんボランチの1人がDFラインのカバーに入るか、あるいはリベロが最初から低い位置にいるかという違いだけ。4バックと言っても4人がフラットに並ぶのではなく、両サイドは高く位置を取って積極的に攻撃参加し、自陣のゴール前は主に3人で守ると言う形となっている様子です。また3トップはポジションを固定することなく流動的に前線を動き回り、相手陣内からボールを追い回して高い位置でボールを奪い、速い攻撃に繋げると言うコンセプト。そして特に重要なのは、DFラインがしっかりと押し上げて中盤のコンパクトに保つことで、今年はリカルドの加入でこれが非常にうまく行っているように思います。広島フットボールによるとサンパイオは「世界の最先端で行われているサッカーそのもの。ボールを持っていない選手が、相手にプレッシャーをかけ、ダイレクトプレイを多用するサッカーだ」と小野戦術について語っていたそうで、昨年の天皇杯で試みていた戦い方を、更に進化させたものだと考えて良さそうです。
 メンバーですが、レギュラーに一番近いのは次の選手でしょう。

      下田

駒野 リカルド 上村  服部

  サンパイオ 森崎和

      森崎浩
 高橋        大木
     エルツェグ
 このメンバーで戦ったのはG大阪戦のわずか1試合、それもサンパイオは前半で退いてしまいましたが、J1上位をうかがう強豪相手に内容的に圧倒したと言うことで、このメンバーが揃う限りはそうそう負けないチームはできそうです。
 これをポジション別に見ていくと、GKは少なくとも当面は下田で決まりでしょう。昨年最終節で負った怪我もほぼ回復して今のところ問題なくプレーできているようで、やはりその経験は他に代え難いものがあります。期待の林は代表招集もあってまだ1試合しか出場していませんし、まずはU-22代表に生き残ること、そして尾崎とのサブ争いに勝つことが課題だ、と言えそうです。
 昨年までの不安材料だったDFラインは、今年は確実にレベルアップした模様です。リカルド、上村が揃ったゲームでの失点は、上村が足を滑らせたG大阪戦の1点のみ。特にリカルドは1対1に強くスピードもあって、広島フットボールによると「ここまでの試合ではほぼノーミス」で来ているそうです。控えの一番手は八田で、状況によっては桑原がリベロに入ることもありそうですが、リカルド、上村に怪我や出場停止が無い限りはほぼ固定で行くのではないでしょうか。3年目の河野や新人大久保、あるいは松下にも期待はできますが、彼らはしばらくはベンチ入りも難しそうです。
 両サイドの駒野、服部もアクシデントのない限りは固定で間違いないでしょう。ただ、ここの問題はやはり彼らに次ぐ人材が不足していることです。沢田が一番手であることは間違いありませんが、大久保や高木がテストされているようにまだまだ答えは出ていません。ここは案外、サテライトでずっと右SBで使われている西嶋にチャンスが巡ってくる可能性もありそうです。
 ボランチの2人も、サンパイオ、森崎和がレギュラーで、それに次ぐのが桑原であるのは間違いなさそうです。これに続くのが松下か李、と言うところでしたが、このところ評価が急上昇しているのがユースの高萩。特に仙台戦では素晴らしい動きを見せていたとの事ですから、先輩たちはうかうかしてはいられません。
 トップ下は、今や人気No.1の選手となった森崎浩。彼にはもうポジションを取るかどうか、よりももっと高いレベルを目指してもらわないといけないわけですが、ここも問題はバックアップの選手です。本来、その一番手となるのは山形か西村、あるいは須田のはずですが、彼らがこのところどうも影が薄いのが気になるところ。最近は李や高木が使われて高い評価を得ていますが、それで決まり、と言うことは無いでしょう。むしろここは今後のポジション争いが最も激しくなるところ、と言って良いかもしれません。
 FWは、エルツェグ、高橋、大木に茂木を加えた4人が頭一つリードしています。そしてここに割って入りそうなのが松浦。そのスピードは誰にもないスペシャルなもので、結果も残していることから少なくともベンチ入りの機会は増えそうです。逆に実績のある梅田はこれまでやや低調で、6試合のうちAチームで27分間、Bチームで70分間出場しただけにとどまっています。FWには田中、木村の新人二人が追って来ているだけでなく、山形、西村、須田、高木ら中盤の選手ともポジションがかぶります。更に夏頃には中山も戻ってきます。トップ下同様、ここもまずはベンチ入りを目指しての激しい争いが展開されそうです。
 ここまで一応レギュラーを想定して書いたのですが、これはあくまで2月末の時点でのもの。半月後から始まるJ2のリーグ戦は8か月間休みなく続くわけで、そこをレギュラーメンバーだけで乗り切れるわけがありません。従って途中で必ず新たな選手にチャンスが与えられるはずで、それを生かす事ができるかどうかが「サッカー選手」としての分れ道だ、と言っても言いすぎではないでしょう。ここまで結果を出せた選手も出せなかった選手も、次のチャンスを必ず生かすと言うつもりで良い準備をして欲しい、と思います。
<03.2.26> 宮崎キャンプ中の練習試合としては最後のものとなる仙台戦が昨日行われ、サンフが1-0で勝ちました。
 U-22代表組を欠いてトップがゲームをするのが初めてのサンフは、次のような布陣だったようです。
     【前半】             【後半】

      下田               下田

大久保 上村 リカルド 服部     八田 リカルド 上村
                      (→松下73分)
   桑原   サンパイオ    李   桑原  高萩   服部(→沢田73分)
       李          (→高木65分)
 大木        高橋     茂木        高橋(→松浦65分)
     エルツェグ              大木
 対する仙台は、GK:小針、DF:森川、小村、数馬、村田、MF:千葉、石井、財前、岩本、FW:マルコス、佐藤寿。ファビアーノ、シルビーニョ、山下、森保らが出ていませんが、メンバー的にはそれほど落ちるものではなかったようで、おそらく今季を戦うために層を厚くする、と言うテーマを持った布陣だったものと思われます。
 「今日は勝ちにこだわる。U-22代表がいないから負けた、なんて事は言わせたくない」との小野監督の試合前の檄を受けて、サンフは序盤からゲームを支配します。先制点は前半9分で、李のCKに大木がヘッドで流し込みました。その後やや押し込まれる時間帯が続いたものの、サンパイオのリーダーシップで持ち直したそうで、30分過ぎから攻勢に転じます。34分には高橋の決定的なヘディングシュート、41分にはエルツェグのヘッド。44分にはエルツェグのスルーパスに高橋が飛び出してGKと1対1になりかけ、更にロスタイムにはセットプレーからのこぼれ球をサンパイオが押し込んだもののファウルを取られるなど、チャンスの山を築いたそうです。サンパイオが試合後に語ったという「今、世界の最先端で行われているサッカーそのもの」を展開したサンフは今季J1中位を狙う、と言う仙台を圧倒。決定的チャンスを決め切れなかった、と言う課題は残ったものの、全体としては良い仕上がり具合を確認できた前半だった模様です。
 後半になるとキープレーヤーのサンパイオに代えて、前日大活躍の高萩が中盤に入ります。初のトップチーム、それもJ1が相手と言うことで「最初は緊張していた」(小野監督)ようですが、慣れるに従ってその能力を発揮。キープ、パス出し、そして前線への飛び出しなど全般的に素晴らしい動きを見せたそうです。また後半20分から右サイドに入った高木も得意のドリブルを武器に右サイドを席巻した模様で、昨日の後半に続いて若い力が躍動した後半の戦いだったとのこと。ゴールは大木の1点だけに終わったものの、内容的に仙台を圧倒してゲームを終えました。
 今季、最大の課題は何かと言うと、(これまで何度も書いているように)五輪予選で選手が抜かれた場合どうするか、と言うことです。昨年アジア大会の期間中に全く勝てなかった昨年のような事が無いようにするにはどうしたら良いか、と言うことです。そのための回答の一つがサンパイオだったわけですが、それが正しかったことを証明したのがこの日のゲームだった、と言えるかもしれません。また、高萩と高木がボランチと右サイドで活躍したことも好材料。高萩については小野監督も「堂々とプレイしていた。学校等の関係もあるが、可能な限り高いレベルで練習させたい」と語っていたそうで、シーズン中もトップチームとともに練習を続けることになりそうです。また海外留学に出すプランも浮上している模様で、これから半年間の成長次第では五輪予選中にレギュラーを取る、と言う可能性も出てきそうです。このところの数試合でチーム力の向上を実感したことは収穫ですが、それにも増して若手が活躍し、ポジション争いが激化しそうなのは更に大きな収穫です。宮崎キャンプはあと数日で終了し、後はチームの仕上げの時期になりますが、若手選手達にはこれからまだまだチャンスが与えられるはず。ここまで結果を残した選手も残せなかった選手も、「これからが勝負」という気持ちを失わないで欲しいものです。
<03.2.25> 宮崎キャンプ9日目となる昨日は、サテライトが大宮アルディージャと練習試合を行いました。出場したメンバーと布陣は次のような感じ。
     【前半】             【後半】

      尾崎               尾崎

西嶋  大久保 河野  沢田   西嶋  中尾  河野  佐田

   松下    桑原         高萩    松下(→高柳58分)
      山形               山形(→西村65分)
 須田        梅田     須田(→木村60分) 梅田(→田中70分)
     エルツェグ              茂木
 対する大宮は、GK:荒谷、DF:島田、木谷、辻田、松本、MF:斉藤、鈴木、丹野、竹村、FW:盛田、黒崎。経験豊富なツートップだったものの全体的にはBチームだったようです。先制したのはサンフレッチェ。前半6分にFKを梅田が折り返し、これをエルツェグが個人技でゴールを決めましたが、その後は大宮に押し込まれっぱなしだったそうです。初めてDFラインを統率した大久保の奮闘はあったものの、中盤がDFラインに吸収されてツーラインとなってしまい、こぼれ球をことごとく拾われて波状攻撃を受けたとのことで、「ここまで見たすべてのゲームの中で、最悪の出来だった」(広島フットボール)そうです。
 ところが後半、雰囲気ががらりと変わります。ボランチに入った高萩が「スーパーな出来。カズがそこにいるのかと思ったくらい」(織田強化部長)の活躍だったそうで、ボールを積極的に奪い、中盤でキープし、スルーパスを出すなど中心となって働いて、ゲームの流れを変えたそうです。高萩は私も一度だけ見ましたが、やや線が細いものの技術がしっかりしていて、ボールの動きを読むのが非常に上手いという印象でした。U-16代表のこの選手はまだ高校一年生。これからの伸び方次第では、今季中の公式戦デビュー(実現すればサンフとしては史上最年少!)もあり得るかもしれません。
 2点目は後半10分、梅田のパスで抜け出した茂木がDFに足を引っ掛けられてPKを得ます。これを松下がきっちりと決めて、押し込まれた流れの中でリードを広げました。その後も高柳、木村、茂木ら若い選手達が躍動して素晴らしいサッカーを展開し、そのまま2-0で勝ちました。
 何度も書いているように、今年のサンフレッチェの課題はレギュラーに次ぐ選手をどれだけ育てる事ができるか、と言うことです。そんな中でユースの選手が結果を出したのは、その選手自身が自信をつけただけでなく、先輩たちの刺激にもなったのではないかと思います。今後はこの日結果を出した選手だけでなく、それ以外の選手の巻き返しにも期待したいと思います。
<03.2.24> 昨日サンフレッチェは大分トリニータと練習試合を行い、1-0で勝ちました。
 前のゲームから3日空いたサンフは、ほぼベストメンバーで次のような布陣だったようです。
      下田

駒野 リカルド 上村  服部
        (→八田45分)
  サンパイオ 森崎和(→松下74分)
  (→桑原45分)
      森崎浩
 高橋        高木(→李45分)
      大木(→松浦60分)
 これに対して前日にG大阪とのゲームをしたばかりの大分はBチームで、GK:小山、DF:金守、柴小屋、山崎、瀬戸、MF:梅田、金本、浦本、小森田、FW:高松、柿本。J1相手とは言え実力的に上回るのはサンフなので、圧倒できるかと思われましたがそうでもなかったようで、「苦戦した」と言って良いような内容だったようです。前半から速いパスワークでボールを支配したものの、大分はDFラインの前にボランチが固まって守備のブロックを作り、なかなかシュートも打てなかったとのこと。初めてトップでプレーした高木が思うようにキープできなかったこともあって攻撃の形を作る事ができず、またミドルシュートで脅かすという意識も希薄でフィニッシュにまで行けない展開が続いたようです。逆に守備はロングボールの放り込みにも冷静に対処。特にリカルドのカバーリングが秀逸だったようで、点を取れる気もしなければ取られる気もしない、と言う感じの前半だったとのことです。
 後半になってメンバーを入れ替え、桑原をリベロに置いた3トップを選択したサンフ。立ち上がりは中盤が薄くなった隙を突かれピンチを招きましたが、最終ラインが踏ん張って押し返すと何度もチャンスを作り始めたそうです。李の運動量と森崎和のパスワークで中盤を支配し、松浦の投入後は彼のスピードを生かした攻撃も冴えて何度もチャンスを作ります。この日唯一の得点は後半29分で、森崎浩のFKのこぼれを拾った駒野がリカルドとのワンツーを受けてペナルティエリア前でフリーになると左足を振り抜きます。このボールはグラウンダーで相手GKの横を抜き、ゴールネットを揺らしました。中国新聞によるとこの日の駒野は「ほぼイメージ通り」だったそうで、かなり高目のポジションをキープして攻撃を強く意識したプレーをしていたとのこと。昨年はストッパーをこなすなど守備面での成長が著しかった駒野は、更に一段ステップアップするため「攻めることを課題にして」いたそうですが、その言葉通りの結果を残したことになります。
 その後、大分の松橋のミドルシュートがポストに当たって跳ね返るなどピンチはありましたが全体的にサンフのペースで終了。「J1対J2」という図式ながらサテライト相手のゲームに勝利という結果を収める事ができ、何とか面目を保ちました。ただ、この日のゲームはある意味両チームの監督が思い描いたとおりの展開だった、と言えそう。しっかり守りを固めてロングボールという戦術は今季の大分が狙うパターンでしょうし、逆にサンフは守備的な相手をどう崩すかというシミュレーションになったと言えます。唯一のゴールシーンは素早いパスワーク、サイドの攻撃参加等、守備ブロックを崩すための「セオリー」に沿ったもの。また相手の放り込みに慌てず対処し、先に点を失わないようにできた事も重要です。ハードな練習が続いた後の体力的に厳しい状況で行われた大分戦は、今季の戦いで必要なものは何かを知る事ができた、と言う意味でいろいろ収穫があったと言って良さそうです。また、3トップの一角として初めてトップでプレーした高木はかなり戸惑いがあってボールを失うことも多かったようですが、それも貴重な経験。DFからFWまでこなすユーティリティープレーヤーとしての課題と可能性を見つけることができたようです。
 なお、昨日の練習からU-20代表の遠征から茂木、大久保が復帰。怪我人を除いてようやく全選手が揃いましたが、今度は今日からU-23代表組が抜けることになります。今日の大宮戦には若手中心のメンバーで臨む事になるようですが、出る選手にはこれを大きなチャンスと捉えて、「目の玉をひんむいて、僕(小野監督)にアピールして」(広島フットボール)欲しいものです。
<03.2.23> 昨日の報道によると、元U-17代表の中尾剛選手が一昨日から練習生としてキャンプに参加しているそうです。中尾は四日市中央工出身の19歳のDFで、昨年甲府に入団したものの右鎖骨骨折など故障が続き、出場は1試合にとどまっていました。河野が怪我のため、大久保が代表招集のために不在となっている中で若いセンターバックを探していたサンフレッチェが中尾に声をかけてテストすることになったそうで、「自分の持ち味である激しいディフェンスでアピールしたい」(中国新聞による)と語っています。また、ユースからは高柳、高萩に続いてGKの佐藤昭大、FWの前田俊介が合流し、一緒に練習を始めています。逆に一次キャンプから練習に参加していたパラグアイのFWトーレスは不合格が決まりました。
<03.2.23> 日本サッカー協会は21日、サンフレッチェ広島のスクールマスター山出久男氏をU-12担当の技術委員に選出しました。山出氏は元小学校教諭で、矢野FCコーチの時代に森崎兄弟を育てると言う実績を残しています。99年からはサンフレッチェ入りして小中学生を担当し、長所を伸ばす指導力を発揮してきました。今後は協会で幼児から小学生世代の育成についてのガイドラインを作り、全国の指導者に伝える仕事を行うことになります。
 SANFRECCE Diaryトップページに戻る