3/16〜3/22のSANFRECCE Diary


<03.3.22> Jリーグディビジョン2第2節、鳥栖と広島のゲームは明日「日本一便利なサッカー専用スタジアム」の鳥栖スタジアムで行われます。昇格を賭けた今年の戦いの初戦で勝ち点を1しか取れなかったサンフにとって、第2節は是非とも勝ちたいゲーム。初めての鳥栖でどのような戦いをするのか、結果、内容ともに問われる試合となりそうです。
 このサガン鳥栖の前身は、静岡からスタートしたPJMフューチャーズです。日本にプロサッカーがまだ姿を現さない頃、能力開発会社のPJMジャパンの社長が世界に伍するクラブを夢見て立ち上げたクラブでした。このクラブは静岡県の一番下のカテゴリーから出発し、着々と戦力を整備して93/94シーズンにはJFL2部に昇格。翌年のJFLで4位に入り、その後鳥栖に移転して「鳥栖フューチャーズ」として96/97シーズンまで活動しました。しかしそのシーズンオフに経営危機が表面化。それによりいったんチームが解散し、その後を拾う形で再出発したのがサガン鳥栖でした。その後鳥栖は少ない予算をやりくりしながらチームを維持し、99年からのJ2での4年間の成績は8位、6位、10位、9位と「中の下」あたりで頑張ってきました。昨年末にも経営陣のゴタゴタがあってチームの存続が危ぶまれた時期もありましたが何とか持ち直し、ジーコの息子ジュニオールらとともに元サンフの中村、鳴尾、井手口を獲得。千疋新監督のもともう一度最初からのチーム作りが始まった段階にある、と言えるでしょう。実際、第1節の甲府戦は相手(こちらも元サンフの池端)の退場もあってなんとか引き分けに持ち込んだものの、全体的な内容は悪くまだまだこれからのチーム、と言う印象です。甲府戦で点を取った「中村のクロスから服部の頭」と言うパターンには注意を払う必要はありますが、選手の実力やチームの完成度では一枚も二枚もこちらが上です。このゲームはアウェイとは言え勝利が至上命題だ、と言って良さそうです。
 鳥栖の布陣ですが、システムは3-4-3で、予想されるメンバーはGK:高橋、DF:朝日奈、川前、三好、MF:鈴木、川崎、小石、中村、FW:大友、服部、鳴尾。3トップでボランチにも元FWの選手を入れると言う非常に攻撃的な布陣ですが、前節を見る限りでは機能しているとは言い難くサンフが押し込む展開になる事は間違いないところ。新外国人のブルーノやジュニオールがメンバー入りする可能性もありますが、チームにフィットさせる時間的余裕も無いままではさほど怖れる事は無いでしょう。むしろ引いた相手をどのように崩して点を取るか。ポイントはその一点にある、と言って間違いないものと思われます。
 サンフのメンバーですが、広島フットボールによると今週は攻撃に重点を置いた練習を繰り返して仕上がりは上々だ、とのこと。特に先週まで不調だった茂木に復活の兆しが見られているそうで、前節結果を出した高橋、エルツェグとのFW争いが激化しそうな雰囲気です。逆に中盤は李が発熱のため練習を休んでおり、鳥栖への遠征には帯同しない模様。その代わりに沢田か高萩がベンチ入りしそうです。
 先発ですが、おそらく次のような布陣になるものと思われます。
      下田

駒野 リカルド 上村  服部

  サンパイオ 森崎和

      森崎浩
 高橋      エルツェグ
      大木

SUB:林、八田、沢田、桑原、茂木
 広島フットボールによると、サブメンバーの中では八田が大きく成長している様子で、「『紅白戦でAチームには絶対に点をとらせない』と語っているとおり、今のところ彼のいるDFラインから、Aチームは点を奪えない」のだそうです。高さ、スピードを兼ね備え身体的能力の高さでは他に負けないものを持つ八田でしたが、これまでの課題は練習中のパフォーマンスの低さでした。しかしながらここに来てポジション奪取に強い意欲を示して練習でも結果を残しているということは、彼にとって大きな転換点にあると言うことなのかも知れません。上村は膝の痛みが続いていて動きに不安が残るだけに、ここでもし八田にチャンスがあれば一気にレギュラー取りとなる可能性もありそうです。
<03.3.22> 遠征強行か中止か、二転三転した日本代表のアメリカ遠征ですが、昨日日本サッカー協会の常務理事会で中止が決まりました。この遠征は一度2月中旬に協会が中止を決断していましたが、その後合衆国サッカー協会の「国の威信を懸けて安全を保証する」との言葉を受けて撤回し、先日の代表メンバー発表に至っていました。しかし一昨日から始まった米英によるイラク侵攻によりこの遠征に対する懸念が増大。特に日本代表選手を送り出す立場の欧州各クラブや磐田、清水等が次々と選手供出拒否の姿勢を示したため、協会はこの圧力に屈した形になりました。今後日本協会は合衆国協会との折衝や、代わりになる代表戦のマッチメーク(29日にウルグアイ代表が来日する可能性があるらしい)に忙殺される事になりますが、ある意味これは自業自得でしょう。戦争当事国(開戦前からそうなる可能性は誰にでも読めたはず)への遠征を企画してここまで引っ張ったのが間違いだった訳で、リスクマネージメントの誤りがあったと言わざるを得ないように思います。スポーツが自由に楽しめるのは、平和な状況が有ってこそのこと。今回の遠征中止はジーコ監督の日本代表にとっては痛手でしょうが、それよりもこれによって、サッカーにとっても戦争は無関係ではない、との思いを我々も確認すべきなのかも知れません。
<03.3.21> これまでトーナメント戦が中心で、かつ高校とユースが別々に公式戦を戦っていた二種(U-18)年代が、今年から生まれ変わります。高校とクラブユースが対戦する唯一の大会だった「高円宮杯」はこれまでトーナメントによる一発勝負が中心でしたが、今年から全国を9つの地域(北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国、四国、九州)で行われる「プリンスリーグ」の代表によるリーグ戦+決勝ラウンドと言う形の大会になりました。そのうちサンフレッチェユースなどが参加する中国地域は12チームが参加。6チームずつの2ブロックに分けて、この3/22からリーグ戦を戦います。これらのブロック分けとサンフレッチェの対戦予定は次の通り。
【A組】
多々良高校(山口)
豊浦高校(山口)
広島観音高校(広島)
松江商業高校(島根)
境高校(鳥取)
東岡山工業高校(岡山)

【B組】
山口鴻城高校(山口)
作陽高校(岡山)
サンフレッチェ広島ユース(クラブ)
益田高校(島根)
米子北高校(鳥取)
広島皆実高校(広島)

第1節(3/22)  13:30 広島Y × 米子北 (吉田サッカー公園)
第2節(3/23)  13:30 広島Y × 益田  (吉田サッカー公園)
第3節(3/29)  13:30 作陽  × 広島Y (福田公園サッカー場)
第4節(4/5)   13:30  山口鴻城× 広島Y (東和町陸上競技場)
第5節(4/12)  13:30 広島皆実× 広島Y (広島スタジアム)
第6節(4/29)  13:30 米子北 × 広島Y (鳥取県・未定)
第7節(5/24)  11:00  益田  × 広島Y (島根県立サッカー場)
第8節(6/21)  未定  広島Y × 作陽  (吉田サッカー公園)
第9節(6/29)  13:30 広島Y × 山口鴻城(広島広域公園補助競技場)
第10節(7/12)  11:00 広島Y × 広島皆実(広島広域公園第一球技場)
順位戦(7/19)  11:00~ 7・8位決定戦、1・2位決定戦  (広島ビッグアーチ)
       11:00~ 9・10位決定戦、3・4位決定戦 (広島広域公園第一球技場)
       11:00~ 11・12位決定戦、5・6位決定戦(広島広域公園補助競技場)
 今年のサンフレッチェユースは、高萩、高柳、前田俊、佐藤の4人の「U-17代表組」を初め全体的に粒揃いで、「史上最強」の噂もあります。実際、シーズン前の練習試合ではJユース杯優勝のG大阪ユースに5-2、高校選手権準優勝の国見に4-2で勝つなど強豪を次々と下しており(多々良には8-0ぐらいで勝ったとか!?)、JFLのジャトコとも引き分けるなど順調に仕上がって来ているそうです。トップチーム同様、こちらも年代別代表への招集などで選手を抜かれた場合にどうか、という問題はありますが、GK松岡、DF中野、MF前田和、FW馬屋原等、センターライン上に位置する3年生がしっかりしているため不安は無い模様。森山監督は「中国大会は全て完勝し、全国で勝負できる実力を証明する」と宣言しているそうで、その戦いぶりに注目したいと思います。
 なお3/29から3日間に渡って、毎年恒例の西日本高校サッカーフェスティバルが広島市周辺の高校のグラウンドを中心とした17会場で行われます。サンフレッチェユースはリーグ戦のB組に入り、伏見工(京都)、明石南(兵庫)、筑陽学園(福岡)、観音(広島)と対戦します。この日程はU-17代表のサニックス杯と重なる上にプリンスリーグの第3節ともぶつかりますが、その分は下級生が頑張るはず。こちらも3年ぶりの優勝を目指して頑張って欲しいものです。
<03.3.20> 先週、サンフレッチェの今年のオフィシャルイヤーブック(選手名鑑)が出ました。今年は昨年とほぼ同じページ数ながらA4版に拡大してボリュームアップしています。最初の記事は久保社長のインタビュー。J2降格をポジティブに捉え、東高西低のJリーグで「西日本の雄になる」ための基礎作りの年にする、としています。これに続くのは小野監督のインタビュー。久保社長同様に今年を「3年後にJ1でV争い」をするためのスタートの年と考えて、「いいチームにするためのチャレンジ」をする、と宣言しています。これに続く上村選手、下田選手の記事ではそれぞれ今年に賭ける決意が伝わってきます。
 選手一人ひとりの写真と紹介記事を挟んで、真ん中あたりに位置するのは「NEWリーダーに任せた」と言う森崎兄弟の記事と、「2人でJ1へ引き上げる」と言うサンパイオ、リカルドのインタビュー。「五輪代表は通過点」と言う駒野選手、「2年目、勝負の年」の茂木選手の記事が続きます。
 58ページから後ろは、サンフレッチェのすべてが分かる情報ページ。スタジアム紹介、年間スケジュール、チームプロフィール、下部組織の紹介(今年はユース選手の顔写真とプロフィール付き)、昨年の記録、そしてファンクラブの全会員の名簿が続きます。このイヤーブックは定価1,000円。お買い求めはデオデオインターネットショッピングからどうぞ。
<03.3.19> 日本サッカー協会は、4/1に豊田スタジアムで行われるコスタリカとのキリンチャレンジカップ2003に出場するU-22代表を発表し、サンフレッチェからは林、駒野、森崎兄弟の4人が選ばれました。今回選ばれたメンバーは次の通り。
【GK】上野(京都)、岩丸(神戸)、林(広島)
【DF】池田(清水)、三田(新潟)、茂庭(F東京)、青木(鹿島)、角田(京都)
【MF】森崎和、森崎浩、駒野(広島)、松井(京都)、石川(F東京)、鈴木(浦和)
    根本(仙台)、阿部(市原)、前田(磐田)、徳永(早稲田大)
【FW】原(名古屋)、中山(G大阪)、大久保(C大阪)、西野(磐田)、田中(浦和)
 今回のメンバーは2月末の宮崎キャンプに参加した選手が大部分で、この中からオーバーエイジの宮本、明神のほかに北本(神戸)、中澤(柏)、杉本(C大阪)が外れ、その代わりにU-20年代の角田、徳永が加わった事になります。ここでテスト的に招集したのはたぶんこの2人だけで、それ以外はほぼベストメンバーを揃えた、と言う感じではないでしょうか。特に駒野、森崎浩、森崎和の背番号はサンフレッチェと同じ5と7と8で、このチームの主力として期待されている事の表れなのかも知れません。代表に選ばれ、主力として活躍すると言う事は本人にとってもファンにとっても嬉しい事なのですが、ただ問題はJリーグとのバッティング。J2クラブに所属する選手は今回は3/29の第3節終了後に合流すれば良い、と言う事でそれは良かったのですが、5/1と5/3に予定されている2次予選は4/29の第9節と5/5の第10節の間に入っていて、このゲームに影響が出るのは間違いないところ。コスタリカ戦の後も週2試合ペースでゲームが続く事を考えると、小野監督は早速第4節あたりから、U-22代表抜きを想定したメンバー構成を考えなければならないかも知れません。
<03.3.18> 日本サッカー協会は昨日、来週アメリカに遠征する日本代表23名を発表し、広島からは下田崇選手が選ばれました。今回のメンバーは次の通り。
【GK】川口(ポーツマス)、楢崎(名古屋)、下田(広島)
【DF】秋田、名良橋(鹿島)、服部(磐田)、森岡(清水)、宮本(G大阪)、松田(横浜FM)、山田、坪井(浦和)
【MF】福西(磐田)、中田英(パルマ)、中村(レッジーナ)、三都主(清水)、
    小笠原、中田浩(鹿島)、稲本(フルハム)、小野(フェイエノールト)
【FW】中山(磐田)、鈴木(ゲンク)、黒部(京都)、高原(ハンブルガー)
 下田が代表に選ばれたのはジーコ監督になって初めてで、トルシエ時代を含めても2001年のフランス遠征以来2年ぶりの復帰となりました。トルシエが下田を選ばなかったのは、怪我を理由に辞退しながらリーグ戦に出場したのが気に入らなかったからだ、と言うのがもっともらしい噂で、下田の能力を認めていなかったからではなかった模様。昨年はJ2降格や顔面骨折の大怪我を負うなど良いことがあまりなかった下田でしたが、先日の川崎戦では落ち着いたセーブを連発するなど本来の力を発揮しており、ここで選ばれたことは不思議ではないと思います。プレスリリースによると下田は「久しぶりに代表に呼ばれて嬉しく思っています。気負わずに普段の練習どおり、チームでプレーしているとおりのプレーが代表でも出せるように頑張ります」と語っていますが、同年代のライバルである川口、楢崎に負けないよう、精一杯頑張ってきて欲しいと思います。
 なお、代表選手たちは23日に集合して渡米し、26日にウルグアイ代表と、29日にアメリカ代表と対戦して31日に帰国します。従って下田は29日の第3節山形戦には出場できないことになります。これはチームとしては痛手ですが、しかしこれは逆に林、尾崎にとっては大きなチャンスです。特に林は天皇杯やU-22代表で成長してきているところですから、この機会をぜひとも生かして欲しいところ。下田が戻ってきてもポジションは渡さない、と言うぐらいの気持ちで頑張って欲しいものです。
<03.3.17> 先週末に出た「紫熊倶楽部」4月号(Vol.62)は、創刊後初めてリニューアルし、小野監督と森崎和幸選手の小さめの写真にこの2人の言葉を大きくあしらった表紙となっています。
 トップ記事は、小野監督のチーム作りについて。「理論家」のイメージの強い小野監督は、世界の流れの先端を行くものとして流動的な「トータル・フットボール」を植え付けようとしていますが、しかしそのベースになるのはメンタル面の強さ。選手に「プロとしての自分を、24時間デザインしろ」と要求し「泣き言は一切受け付けない」と宣言して、相手やチームメイトとの戦いよりもまず自分自身に勝つことを求めています。フィジカルだけでなくメンタル面の強化に取り組んだ淡路島キャンプ。着々と戦術的な整備を進めた宮崎キャンプ。そして開幕直前の柏、名古屋との練習試合。「どこかで鼻をへし折られるときが来る」との予言は柏戦だけでなく開幕戦でも当たりましたが、それを乗り越えることのできる「揺るぎないもの」はできつつある。それが実感できるレポートとなっています。
 続く記事は、J2各チームの分析。2000年入団組を取り上げる連載「Super Seven」は中山、ベテラン選手特集の「君がサッカーの時」はエルツェグ、今年入団の「SAMURAI GENERATION」は高木、2001,2002年組の「Run & Run」は林、ユース年代の「Hiroshima Youth」は高萩、そしてチームスタッフの「Life is Football」は生駒コーチをそれぞれ取り上げています。国際主審の山西博文氏による「いまさら聞けないサッカールール」はゴールについて。更にサッカー用語辞典が「ア」から始まっています。
 外部ライターによるコラムは2本。早川文司氏による「広島サッカー史を歩こう」第3回は、JSL2年目となる1966年の東洋工業の戦いぶりを振り返っています。また日刊スポーツの中上博記者による「愛すべき紫熊野郎たち」では、今年加入した新戦力への思いを綴っています。そして「紫熊短信」の後の「SANFRECCE Topics」では、サンフレッチェを励ます会の記事とワールドユース延期決定の記事と並んで、先日亡くなったトムソン氏を追悼する記事が掲載されています。
 後ろのカラーページは、21歳にしてチームの中心選手となった森崎和幸選手。チームのJ2降格と言う「挫折」をバネにして、更に大きく成長しようとしている彼の横顔を紹介しています。そして最後のページは、いつものようにTSSの石井百恵アナウンサーの「大好き!サンフレッチェ」。彼女にとって「ちょっと特別」な存在である茂木選手を取り上げています。
 ところで、この号には久々にサポーターを紹介する連載記事の第2回が掲載されていますが、ここに私が登場させてもらっています。私がどんな顔をしているのか見てみたい、と言う奇特な方(^_^;)は、ぜひご覧ください。
 「紫熊倶楽部」は定価350円ですが、ファンクラブ・後援会員は290円で購入できます。(ただしV-POINTのみ。)広島県内ではフタバ図書等大手書店で、また新宿にある広島県のアンテナショップ「ひろしまゆめてらす」でも販売中です。それ以外にお住まいの方は通販で買えますので、紫熊倶楽部ホームページよりお申し込みください。
<03.3.16> 広島ビッグアーチで行われたJ2開幕戦に集まったファンは、昨年の平均観客数より千人以上も多い12,426人。開門前から多くのサポーターが列を作ってJ1復帰に向けての熱い戦いに期待していましたが、突きつけられたのは厳しい現実でした。川崎の速いプレスに自分たちのサッカーができず、またせっかく逆転しながら逃げ切れずに、勝ち点1からのスタートとなりました。
 大事な開幕戦に小野監督は、練習を重ねた次のような布陣で臨みました。
      下田

駒野 リカルド 上村  服部

  サンパイオ 森崎和

       李(→松浦40分)
 森崎浩       高橋(→桑原76分)
      大木(→エルツェグ66分)

SUB:林、八田
 対するフロンターレは、GK:吉原、DF:伊藤宏、箕輪、渡辺、MF:アウグスト、山根、塩川(→小林83分)、茂原(→中村87分)、今野(→久野76分)、FW:ジュニーニョ、我那覇。バルデス、鬼木、寺田と中心選手を3人も欠いて苦しいメンバー攻勢だったはずですが、しかし序盤からペースを握ったのはフロンターレの方でした。速い出足と前線からのプレスでサンフに自由にパスを回させず、アウグストと塩川の両サイドの上がりとジュニーニョの個人技でチャンスを作ります。ファーストシュートはアウグストのFKから。また前半7分にもパスミスを奪われてジュニーニョに決定的なシュートを打たれます。そして11分には森崎浩が2人に囲まれてボールを奪われると、そこからのカウンターから茂原のスルーパスを我那覇が決めてあっさりと先制点を許してしまいました。
 サンフは立ち上がり緊張からか身体が硬く、パスミスを連発。特に大木、高橋がほとんどボールをキープできず、前線に起点を作る事ができません。また守備も不安定で高い位置でボールを奪う事ができず、森崎和が最終ラインに吸収されることが多く思うようにパスを回すことができません。20分頃からサンパイオにボールを集めて、そこからの展開でチャンス一歩手前までは行けるようになりましたが、フロンターレの速い集散と集中した守りを崩す事ができません。時々訪れるセットプレーのチャンスも単純な放り込みでははね返されるばかりで、逆にカウンターから相手のチャンスになってしまいます。下田の落ち着いたセーブで何とか追加点は許さずに済んだものの、ペースを取り戻すことのできないままに時計が過ぎていきます。
 しかしそんな中で前半33分、ワンチャンスを生かして同点に追いつきます。森崎浩が倒されて得た遠い位置からのFKを、サンパイオが素早く蹴って森崎和へ。森崎和が右に展開したボールを、駒野はダイレクトでクロスを入れます。ゴール前に飛び込む大木、李、高橋、そして森崎浩。このうち右から3番目の位置に飛び込んだ高橋の頭にピタリと合って、今年の初ゴールを叩き込みました。空いたサイドのスペースを見つけてパスを出した森崎和、スピード、コースともに完璧なクロスを入れた駒野、そしてゴール前に4人が飛び込んだこと。得点を取るための「方程式」を解いた、と言う感じの得点で、開幕戦の重苦しい雰囲気をようやく取り払う事ができました。
 後半に入ると小野監督は、サンパイオをやや下がり目に、森崎和をやや上がり目にして修正を図ります。川崎の運動量もやや落ちたかプレスが弱まって、サンフのパスが繋がるようになります。後半2分には駒野のクロスから高橋がヘッド。5分には相手のクリアミスを拾った大木がシュート。8分にも松浦が左サイドから決定的なシュートを放ちます。川崎はジュニーニョのスピードを生かす事ができなくなり、不正確なロングボールを蹴るしか無くなります。後半21分には、相変わらずボールを失うことの多かった大木に代えてエルツェグを投入。そして彼のキープから何度かチャンスを作ります。川崎も勝ち越し点を狙って何度かペナルティエリアに侵入しますが、下田を中心にした高い集中力ではね返します。そして後半33分、ようやく勝ち越し点を得ます。森崎和のボールを受けた駒野がワントラップして中を見て、DF2人に挟まれたエルツェグにピンポイントのクロスを送ります。エルツェグは足を止めると落ち着いてヘディングシュート。至近距離のボールにGKも反応できず、「ゴールを決めてこい」と命じられて送り出されたエルツェグがすぐに嬉しい結果を出してくれました。
 その後もサンフは駒野の突破からのシュートやCKの折り返しからの森崎浩のシュート等、3点目を狙って果敢に攻めを繰り返します。これに対して川崎は次々とFWを投入し、「4トップ」とも言える布陣で必死で攻め込みます。お互いに一歩も引かない攻防は後半44分となり、あと数分守り切れば勝ち点3となった時間帯、右からのCKを得たのは川崎。ふわりとしたボールにアウグストがヘッドで合わせます。これがゴール前で守っていた駒野の頭の上を越えてゴールポストへ、そしてそこに飛び込んだ下田の背中に当たり、不運な失点となってしまいました。これで気落ちしたサンフはロスタイムにも我那覇に決定的なシュートを打たれますが、これは何とか抑えてそのままタイムアップ。お互いに死力を尽くした90分間は、勝ち点1を分け合うことになりました。
 このゲーム、展開としては決して悪くは無く、先制されながらも押し返して逆転したわけで、そう言う意味では勝ちを逃したのは非常に痛い、と言えるでしょう。終了間際の失点で勝ち点2を失った事は昨年繰り返した轍を再び踏んでしまった訳で、終了後のサポーターのブーイングも理解できます。しかしだからと言って「勝つべきゲーム」だったか、と言うと私はそうは思いません。内容、特に前半のサッカーは理想からは程遠いもので、これで勝ったとしてもとても満足できるものではなかったと思います。むしろJ2の厳しい洗礼を受け、課題続出だったにも関わらず勝ち点1を得たと言うことは、この日のサッカーにふさわしい結果だったと言っても良いのではないか、と思います。昨年のC大阪、2000年の浦和は初戦に完勝してスタートしましたが、その後相手が修正してきたのに対応しきれず最後まで苦しむことになりました。逆に一昨年の京都は開幕戦を引き分けでスタートし、その後チーム全体が成長して優勝を勝ち取り、その後の躍進に繋げました。J2の長い戦いはまだ始まったばかりです。この1試合だけが大事なのではなく、本当に大切なのはこれから43試合をどう戦うか、と言うことです。選手たちにはまだまだ理想のサッカーからは程遠いことを認識して、気を抜くことなく次の準備をして欲しいと思います。
<03.3.16> 昨日行われたSC鳥取との練習試合は、3-1で勝ちました。サテライトで臨んだサンフレッチェのメンバーは、GK:尾崎、DF:佐田、西嶋、大久保、沢田、MF:松下、高木、山形(→木村68分)、FW:西村(→須田68分)、梅田、茂木(→田中74分)。1点目は前半34分に松下のFKが直接入り、2点目はその4分後にオウンゴール、そして3点目は左サイドからのクロスのこぼれ球を木村が叩き込みました。このゲーム、私はほんのちょっとしか見る事ができなかったのですが、目立っていたのは大久保と高木、そしてファーストタッチでゴールを決めた木村ぐらいのもの。全体的に連動した動きが見られず、また1対1で抜くこともできない場面も多くぱっとしない内容。また守備面でもカウンターからサイドを破られるシーンが多く、相手のシュートの精度が高ければ決められていた、と言うシーンも多かったように思いました。本来ならレギュラーを脅かす存在のはずの松下、山形、梅田というあたりに精彩が無く、ベンチ入りできないのも仕方ないと思わざるを得ないような出来でした。
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