4/20〜4/26のSANFRECCE Diary


<03.4.26> 広島フットボールによると、横浜FC戦のメンバーからエルツェグが外れ、李が入る模様。また遠征には西村も帯同しているそうで、選手のコンディション次第では彼のプロ入り初出場の可能性もありそうです。日本で唯一のフルコートの「室内サッカー場」である札幌ドームは、声が反響して異様な雰囲気になるそうです。昨年の最終戦ではその雰囲気に飲み込まれて敗戦を招いてしまっただけに、「大切なのは、自分たちのサッカーをしっかりと出すこと」(小野監督)だと言えそうです。
 今日のキックオフは午後2時で、テレビはスカパーch140で生中継。また午後7時から、Jスカイスポーツ1(スカパーch306)で録画放送がありますので、ケーブルテレビ等の方はそちらをどうぞ。
<03.4.26> NHKの金曜日の夜7時半からは地方局がそれぞれの地方ごとの制作した番組を放送しています。中国地方は「ふるさと発」と言う番組で昨日は世良公則さんの話題だったのですが、広島県のみ「J1へ・サンフレッチェ復活」と言う特別番組が組まれていました。この「ふるさと発」は通常、日曜日の午前8時から再放送されますので、見逃した方はぜひそちらをどうぞ。(もっとも、再放送では世良公則を放送する、と言う可能性もありますが...)
<03.4.26> 今朝の中国新聞によるとサンフレッチェは25日、広島市内のホテルで株主総会を開き、3期連続で黒字決算となったことが分かりました。昨年は営業努力が実って1試合平均の入場者は10,941人と、95年以来実に7年ぶりに1万人の大台を突破。外国人獲得やイベント開催で費用総額が当初計画を上回った(たぶん、エルツェグの獲得が予定外?)ため経常利益は昨期(4,400万円)より少ない4,100万円でしたが、3年連続で黒字を出したということはコンスタントに利益を出せる体質になったということであり、「民間企業」としては一つの壁を越えたと言って良いのではないでしょうか。久保社長は「あとはJ2を1年で突破することが大事」と語っていたそうですが、万一来季もJ2となれば収入が大幅に減る事は必至。せっかく好転した経営状態を後退させないためにも、何としてでもJ1復帰を果たさなければなりません。
<03.4.25> サンフレッチェは昨日、水戸にレンタル中のトゥーリオ選手が水戸地方法務局に対し帰化申請を行い、手続きを無事完了した、と発表しました。広島出身のブラジル移民を祖父として生まれたトゥーリオは、日本でプロになるために高校生の時に来日。渋谷幕張高を卒業して2001年からサンフレッチェでプレーしてきました。新人の年の開幕戦には、怪我をしたポポヴィッチに代わって出場してプロ入り初ゴールを挙げるなど活躍しましたが、熱くなりやすい性格が災いしてその後はやや伸び悩み気味。昨年も2nd stageの半ばまではレギュラーでしたが、それ以降は出場機会を失い、リカルドに弾き出される形で水戸にレンタルされていました。今年はその水戸で、開幕からDFの中心として大活躍。ゴールも既に2つ挙げて、躍進の原動力となっています。プレスリリースによるとトゥーリオは「日本人になれるかまだわかりませんが,気持ちは日本人のつもりでプレーします。オリンピック代表を目指して,山本監督からチャンスが貰えるように水戸で一生懸命頑張ります。日の丸のユニフォームを着てプレーすることを目標に頑張ります」と語っていますが、代表を目指す、と言う事以上に、外国人枠に煩わされずにプレーできる事の方が大きいのではないでしょうか。先日広島スタジアムで行われたゲームでは、試合前に広島ベンチに、試合後にはサポーターに挨拶に訪れるなど、おそらく気持ちはまだ「広島の選手」。日系3世だとは言え生まれ育った国の国籍を捨てるのはかなり悩んだ上での決断だと思いますが、決めたからには水戸で大きく成長して、シーズン終了後には広島に戻ってきて欲しいと思います。
<03.4.25> 開幕からの7試合を6勝1分けでスタートしたサンフレッチェは、明日昇格争いのライバルの一つであるコンサドーレ札幌と対戦します。
 札幌の前身である東芝サッカー部は1935年創部。1978年に初めてJSLの二部に昇格し、その後JSL一部から旧JFLと、アマチュアの強豪としてチームが続いていました。ホームが川崎市でヴェルディやフロンターレと重なるためそのままでプロ化することはなかったのですが、そこに目をつけた?のが、W杯会場に立候補していた札幌市。1996年に北海道に移転してチーム名をコンサドーレ札幌と改称し、Jリーグ準会員となりました。そして1998年には念願のJリーグ昇格を果たし、1st stageは18チーム中10位に入るなどまずまずの成績を挙げました。が、前年度にJFL所属だったことが災いしてJ1参入決定戦に回ることになり、神戸と福岡に敗れてJ2降格。翌年、岡田監督を迎えて1年でJ1復帰を果たしたものの、2年でまたもやJ2降格となってしまいました。これまでJ1とJ2を行ったり来たりする間に多くの選手をツギハギして戦って来た札幌ですが、ユースから昇格した新居や高卒で入った今野などようやく生え抜き選手が育ってきています。昨年のチームから山瀬、小倉、ビジュら主力を放出しましたが、ホベルッチ、ベット、ウィルと経験豊富なブラジル人3人を揃えて、ここに限っては昨年以上のメンバーです。実際、外国人3人がフル出場した唯一のゲームである福岡戦は5-0と圧勝していて、なかなか侮れない力を持っています。前節の甲府戦で怪我のため途中退場した砂川、ウィルが全治3週間と診断されていて出場は微妙ですが、ウィルは医者の診断も聞かずに?広島戦出場を熱望しているとのこと。予想メンバーは、GK:藤ヶ谷、DF:中尾、西澤、曽田、和波、MF:森下、今野、ホベルッチ、ベット、FW:堀井、新居、と言うところ。ホベルッチの正確なFKと若手の思いきったプレーに注意する必要がありそうです。
 対するサンフレッチェですが、怪我や出場停止による主力の欠場はありません。従って先発メンバーは、前節までと同様のものとなる可能性が高いでしょう。
      下田

駒野 リカルド 上村  服部

  サンパイオ 森崎和

      森崎浩
 茂木        高橋
      大木

SUB:林、八田、桑原、梅田、エルツェグ
 この中では、五輪予選直前の最後のゲームとなる森崎和と駒野に注目。また前節4得点の高橋と、3試合連続ゴールで途切れた茂木の再びの爆発も期待できます。会場の札幌ドームは、J2降格が決まった「屈辱の地」です。ここでリベンジを果たして、今後の昇格争いを有利に進めたいものです。
<03.4.25> 昨日、アテネ五輪のアジア二次予選に向けてのU-22日本代表が発表されました。今回選ばれたのは、次の18人。
【GK】林(広島)、岩丸(神戸)
【DF】三田(新潟)、茂庭(F東京)、青木(鹿島)、角田(京都)
【MF】森崎和、駒野(広島)、松井(京都)、石川(F東京)、鈴木(浦和)
    根本(仙台)、阿部(市原)、今野(札幌)
【FW】前田(磐田)、中山(G大阪)、大久保(C大阪)、田中(浦和)
 先日の仙台合宿から上野、川島、池田、森崎浩、徳永、原、西野が外れ、新しく招集されたメンバーは無し。アジア大会のメンバー(茂庭、青木、森崎和、駒野、松井、石川、鈴木、根本、阿部、中山、田中、大久保)をベースにカタール国際で活躍した選手(林、三田、前田)とU-20代表(角田、今野)を加えた構成になっています。マスコミ辞令では他にもいろいろな選手が噂されましたが、まずは山本監督の考えるベストメンバーを揃えた、と考えて間違いなさそうです。相手は「格下」のミャンマー。その上4/29と5/5にはJ1、J2ともに試合が予定されている時に何もベストメンバーを組まなくても、とも思うのですが、山本監督は五輪本番までを見越したチーム作りを考えているとのこと。こうなったらブザマなゲームだけは見せて欲しくないし、また怪我や疲れなどでクラブに迷惑をかけないような起用をして欲しいものです。
 ところで、今回サンフレッチェから選ばれたのは森崎和、駒野、林の3人で、森崎浩司選手は選出されませんでした。彼はU-22代表の中では貴重なレフティ、と言う位置づけのようですが、これまでの使われ方を見るとレギュラーからはかなり遠い立場に置かれている様子です。山本監督が今回の代表に不要と判断したのか、あるいはクラブ側が何らかの要請をしてこうなったのかは分かりませんが、少なくともベンチに座っているよりも、チームでレギュラーとして出場する方が遥かに本人のためになるはずです。(もちろん、サンフのためにもなる。)彼にはこれをむしろ幸運と感じてもらって、ぜひとも甲府戦と福岡戦で大暴れして欲しいと思います。
<03.4.25> 日本サッカー協会は昨日、4/29-5/4に行われるトレーニングキャンプに参加するU-18日本代表候補を発表し、サンフレッチェユースからはU-17代表でもあるDF高柳一誠とMF高萩洋次郎が選ばれました。その他広島からは、皆実高校のDF吉弘充志もメンバー入りしました。このU-18代表は、たぶん来年開かれるアジアユースに向けてのものとなるはず。今回選ばれた36人から徐々に絞り込まれていくはずなので、選ばれた選手達には頑張って欲しいと思います。
<03.4.24> 土曜日に横浜戦を戦ったサンフは、日・月と練習はお休みでしたが、それを受けた火曜日はシーズン中とは思えないようなハードなトレーニングで身体をいじめたそうです。また昨日も生駒コーチによるサーキットトレーニングをたっぷり1時間行い、10分程度の休憩後15分3本の紅白戦。現在のプランとしては、体力的に厳しくなる6月にピークを持ってくるようなトレーニングを行っているそうです。
 ところでこの日の紅白戦は、なかなか見どころの多いものだったようです。広島フットボールによると1本目はこのところのレギュラーメンバーに、サテライトのベストメンバー(GK:林、DF:八田、大久保、河野、佐田、MF:西嶋、西村、李、FW:田中、高木、梅田)が挑む、と言う構図だったそうですが、サテライト側のアグレッシブなプレーが目立ったそうです。横浜FCとの「格の違い」を見せつけたトップチームに対して、サテライトは激しいプレッシャーをかけ、森崎浩が「これまで戦ったどんなJ2のチームよりも速かった」と語るほどだったとのこと。梅田、田中の追い込みから李を中心とした速攻。西村や高木が頻繁に前に顔を出し、軽快なタッチでボールを動かすなど質の高いサッカーを見せました。これに対してさすがに経験豊富なトップチームは両サイドからの攻めに活路を見いだし、特に好調の駒野からの突破でチャンスを作ることが多かったそうです。しかしサテライトは最終ラインが踏ん張ってシュートを許さず、得点シーンこそ無かったものの「非常に楽しかった」15分間だった(広島フットボール)とのことです。強いチームと言うものは例外なく激しいチーム内の争いがあるものですが、サンフもそう言う状況になって来たと言って良さそうです。
 また2本目は甲府戦を想定してU-22代表組抜きのメンバーを組んだそうです。上村、リカルド、八田の3バックに右WBは大久保だったようですが、大久保は戦術理解がまだだったのかポジショニングが悪く、目立った活躍をするには至らなかったようです。得点シーンはこの2本目で、CKのこぼれ球を桑原がミドルシュートを決めたとのことです。
 来週の甲府戦、そして夏から秋にかけての大事な時期にU-22代表組が抜けるのは関係する多くのチームにとって問題ですが、サンフにとっては特に駒野の抜ける右サイドが最大の悩み。しかし盤石のレギュラーと思われる森崎和に「気迫のこもった目で練習しないと、ポジションがなくなる」と言わしめる状況ならば誰かが出てくるのは間違いない、と思われます。札幌戦はこれまでのメンバーで行くでしょうが、それから移動を含む中2日で行われる甲府戦に向けての準備も着々と行われている、と思って良さそうです。
<03.4.23> 中国新聞は今年、J1昇格を目指すサンフレッチェ広島を後押しするために、福山・尾道地区と三原・東広島地区から日帰りバスツアーを行っています。福山・尾道地区は福山駅北口と新尾道駅発着、三原・東広島地区は三原駅西口と西城駅発着で、料金は次の通り。

福山駅・新尾道駅
三原駅
西条駅
大人
4,500円
4,000円
3,500円
中高生
3,500円
3,000円
2,500円
小学生
2,500円
2,000円
1,500円

 これはバス代と自由席チケット代を含む料金で、チケットをお持ちの方は割引となります。広島フットボール掲示板の書き込みによると、車内ではサイン入り色紙や選手タペストリープレゼント等を行いながら、大いに盛り上がって行くそうです。また福山発のバスには広島FM「ゴ〜ル!」の元パーソナリティーのろべると・はまさんも同乗するとのこと。まだ始まったばかりで浸透していないためか先週の横浜戦では参加者が非常に少なかったとのようですので、是非多くの方に検討していただきたい、と思います。申込〆切は試合日の4日前(29日の甲府戦は25日金曜日)となっています。お申し込み、お問い合わせは中国新聞トラベル(084-923-2228)までどうぞ。
<03.4.22> ひろしまフラワーフェスティバルの企画実施本部では、サンフレッチェ広島と後援会、トップス広島の協力の元で「サンフレッチェ広島 ROAD TO J1 パレード」を行います。日時は5/3(土)午後1時30分集合、午後2時40分出発予定で、田中町交差点から平和公園までパレードします。サンフレッチェの選手やサンチェ、フレッチェとサポーターが応援コールしながら歩くと言う内容で、J1復帰を目指すサンフレッチェを市民が応援する機運を盛り上げようと言う企画です。参加を希望する方ははがき(〒730-0854 広島市中区土橋町6-33 中国新聞別館 FF企画実施本部「サンフレパレード」係)、ファックス(082-234-2207)、e-mail(ffes@cisnet.or.jp)で、参加代表者の方の名前、〒番号、住所、電話番号、参加人数を明記して、4/30までにお申し込みください。募集人数は200名で、応募者多数の場合は抽選となります。
<03.4.21> 昨日吉田サッカー公園で行われたサテライトのG大阪戦は、前半の河野のゴールを守り切って1-0で勝ちました。
 広島フットボールによると、サンフレッチェの布陣は次の通り。
       林

西嶋  八田  河野  佐田
(→大久保45分)
   李     高木

      西村(→山形80分)
 梅田        松浦
      田中

SUB:須田、木村
 対するガンバは羽畑、児玉、嵜本、井川、入江など、トップ経験のある若手中心のメンバーだったそうです。技術的に高くフィジカルの強い選手が多く、ドリブルでがんがん攻め上がってくるガンバに対して、サンフはトップ同様のパスサッカーで対抗。ワンタッチ、ツータッチのパス回しでガンバを翻弄していたそうです。また前線では梅田の意欲的な動きと田中の働きが目立っていたとのこと。前線の3トップから始まるプレッシングで相手の自由を奪い、強引な突破も八田を中心としたDFの網に引っ掛け、李からの展開と高木のドリブルを交えたゲームメイクで何度も決定的なチャンスを作っていたそうです。得点は前半39分に高木の精度の高いCKに河野が合わせたものですが、流れを見ればいつかはサンフに得点が入る、と言う感じだったとの事です。このところ鳥取戦や福岡戦など収穫の少ないゲームを繰り返してきたサテライトですが、一昨日の梅田の抜擢と活躍がかなりの刺激になったのでは無いでしょうか。U-22代表抜きとなる4/29の甲府戦は最大3つのポジションが空くことになるだけに、ここで燃えなければプロではない、と言って良いでしょう。この日特に目立っていたのは田中、李、高木あたりだったとのことですが、彼らを含めたメンバーの中から数人が、甲府戦に向けて抜擢されるのは間違いないと思われます。
 ただ、広島フットボールによるといくつか問題があったのも確かで、例えば度々あった決定機を決められなかったFW陣や、70分過ぎから高木の運動量が落ちて相手に支配権を渡してしまったこと、更に後半から右サイドに入った大久保が機能せず、ここから相手にチャンスを作られてしまった事など、課題はあった模様です。特に駒野が抜けた後の右サイドをどうすべきかは答えが見つからないままとなっており、先々週練習していた3バックの布陣なども含めて今後試行錯誤する事になりそうです。
<03.4.20> 昨日行われたJ2リーグ第7節横浜FC戦は、高橋の4ゴールなどで6-1と快勝。首位をキープしました。
 チームの調子の良さを反映してかこのところ不動のメンバーを組むサンフレッチェは、この日も前節までと同様の次のような布陣でスタートしました。
      下田

駒野 リカルド 上村  服部

  サンパイオ 森崎和

      森崎浩(→エルツェグ83分)
 茂木        高橋(→梅田76分)
      大木(→桑原60分)

SUB:林、八田
 対する横浜は城が出場停止の上に大柴が怪我。家庭の事情で帰国していたマシューを急遽起用して、GK:水原、DF:重田、眞中、マシュー、小野智、MF:早川(→横山45分)、ルディ、高木、小野信、FW:臼井、佐藤(→ファンデルフェン64分)、と言うメンバーでした。リトバルスキー監督の元でパスサッカーを指向する横浜は、ショートパスをつないで攻めを構築しようとします。対するサンフは立ち上がり、浅いDFラインの裏に早めにボールを送り込む戦術を取ります。これは初めこそオフサイドに引っ掛かることが多かったのですが、中盤からの正確なパスと3トップの激しいポジションチェンジでDFラインを脅かします。このプレッシャーに負けて横浜は徐々にラインを下げて守らざるを得なくなり、これに伴って中盤が空いてしまいます。結局横浜が狙いとするサッカーができたのは最初の数分間だけ。それ以降はサンフがピッチ全域を完全に制圧下に収めます。先制点は前半12分。パス回しによって空いた右サイドのスペースに抜け出した駒野がゴールライン際に向けてグラウンダーのクロス。ここにDFともつれ合うようにして飛び込んだ高橋が、上手にコースを変えてゴールに流し込みました。続いて前半18分、茂木が倒されて得た右サイドからのFKを蹴るのは森崎浩。壁の上を鋭く曲がり落ちたボールは飛び込んだ上村の頭をかすめてGKの前でワンバウンドして、そのままゴールに飛び込みました。更に前半33分、再び森崎浩のセットプレーから追加点を取ります。ニアサイドに入れたボールは横浜の選手の頭に当たって、絶妙な軌道を描いてゴール前へ。ここに飛び込んだ高橋が難なく合わせて、早くも3点のリードを奪いました。
 これで楽勝パターンか、と思われましたが、しかしそう簡単には行かないのがサッカー。油断した、と言うわけでも無いでしょうが、38分に横浜の意地を見せつけられることになりました。右サイド(横浜左サイド)からのCKは、いったん下田がはね返します。しかしペナルティエリアの外側に待っていた重田が、思いきってミドルシュートを放ちます。これがゴール前にいたルディに当たってコースが変わり、ネットを揺らすことになりました。
 これで意気上がる横浜。逆にサンフはやや落ち着きを失い、ペースを奪われかけます。サッカーにとって2点差は危険な点差だというのは言わば常識。次の1点がどちらに入るかで展開ががらりと変わってしまうだけに、このゲームのポイントと言える時間帯でした。そしてそこでチームを救ったのは、絶好調のスリートップでした。前半ロスタイム、水原のフィードを森崎和がヘッドで大木に渡します。ここで茂木が右斜め前に向けて猛然とダッシュ。これによってできた左のスペースに走り込んだ高橋に、大木からスルーパスが出ます。高橋は冷静にトラップすると、追いすがるDFと立ちふさがるGKにも慌てずに軽く浮かせてシュート。この日絶好調の高橋は、2年前(2001.5.3)のFC東京戦以来のハットトリックを前半だけで決めました。
 ゲームの流れを45分間で決定付けたサンフでしたが、その後も手を緩めずに戦います。前線から激しく動いてスペースを作り、ワンタッチ、ツータッチでボールを回し、ゲームを支配します。前半4本あった横浜のシュートも後半は2本。逆にサンフは11本のシュートを放つなど何度も横浜ゴールを脅かします。5点目は後半9分で、森崎浩のスルーパスで右サイドを抜け出した高橋が、冷静にGKの頭を越すループシュートを決めました。高橋の1試合4ゴールは、チーム新記録であると同時にJ2リーグ記録(過去にエメルソン(川崎F・現浦和)が記録)に並びました。更に終了間際には、途中出場の梅田が服部のCKにヘッドで合わせて6点目をゲット。サンフレッチェとしてはクラブ記録に並ぶ6得点(過去には2001年2nd stageのC大阪戦(6-2)と93年2nd stageのG大阪戦(6-3))を挙げて快勝しました。
 この日のチームの課題は何だったのか。小野監督が「フィジカルコンディションよりは、一つ成し遂げたあとの空白が心配」だった、とインタビューで語っていた(広島フットボールによる)ように、5連勝でトップに立って安心してしまうこと、1週間休んで精神的に緩んでしまうことだったのではないか、と思います。実際にこれまでのサンフレッチェはそう言うことの繰り返しで、せっかくアウェイで良いゲームをして帰って来ても、ホームで緊張感を失ったゲームを見せてしまう、と言うことが多かったと思います。特にこの日の横浜はチーム作りの途上にある上に主力の多くが欠場していて、ついつい相手を舐めてしまう要因は揃っていたように思います。更にU-22代表組は疲労が蓄積していて、思うようにパフォーマンスが出せなかった可能性もありました。しかし、それは杞憂に過ぎませんでした。先発でピッチ上に立った11人には1人も気を緩めた選手は無く、労を惜しまずに走り回っていました。その上途中出場した選手のパフォーマンスの高さも称賛すべきもの。桑原は出ていた30分間ずっとストップ&ゴーを繰り返して横浜の選手の前に立ちはだかり、梅田も前線からのチェイシングに参加して今季初ゴールを決め、エルツェグも10分弱の間に2本のシュートを放ちました。リトバルスキー監督は試合後に自チームについて「サンフレッチェとはレベルが違うし、格も違う」と選手個々の力の差を敗因として挙げましたが、それだけでこの大差になったわけではないでしょう。個人の力を組織に生かし、その組織の中で個人が輝く。そう言う良い循環がチームにできているからこそ、このようなゲームができたのではないでしょうか。小野監督は今後について「ちょっとリフレッシュさせたい。そこから、札幌から一連のシリーズが始まります。トレーニングでリズムとモチベーションをつくりたい。練習でずっと取り組んできたことが、ようやく形になってきた。それを強固に、確実に自分たちのものにしたい」と語っています(広島フットボールによる)が、彼の頭の中にはもっともっとレベルの高いサッカーが用意されているはず。それが今後どのように形になっていくのか、本当に楽しみです。
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