4/27〜5/3のSANFRECCE Diary


<03.5.3> 左足を痛めてU-22代表を離脱した駒野が昨日広島市内の病院で精密検査を受け、左踵骨疲労骨折と診断されました。手術は行わず保存療法で直すため、3週間程度で試合出場が可能になりそうだとのこと。第10節の福岡戦から第14節の山形戦あたりまでは駒野抜きで戦わなければならないことになります。広島フットボールによると、福岡戦の右サイドのポジションに今のところ最有力なのはルーキー大久保で、昨日の紅白戦では一番長い時間起用されていたそうです。大久保は「チャンスがきたら、それを絶対に活かしたい。洋次郎が先に試合に出たのは、悔しかったですから。駒野さんがいない時は、自分が出るんだ、と思っていたので」と意欲を見せていますが「チームの動きはつかめてきた。でも、それに自分がはまっているようには、まだ思えない」と課題は認識している模様。また小野監督も「大久保は、一生懸命頑張っている。トライしている。ただ、まだしっかりとしたディフェンスができるのか、という部分で、高いレベルにいけるかどうか。彼は今、その部分で格闘していますね。ポジショニングの問題もありますし。克服しないといけない課題です」と語っています。紅白戦では西嶋も右SBでプレーし、更に八田も練習後にクロス練習を行っていたとのことなので、今日の練習で誰がアピールするか、でチャンスを誰に与えるかが決まりそうです。
 ところで甲府戦で鼻からの出血が止まらず途中交代した大木ですが、鼻骨を骨折していたそうで昨日フェイスガードを製作。福岡戦では「マスクマン」として出場することになりそうです。
<03.5.2> 昨日行われたアテネ五輪アジア二次予選の初戦は、日本が松井、大久保、中山のゴールで3-0でミャンマーに勝ちました。
 勝つには勝った日本でしたが、内容的には良くなく、個人的能力では明らかに下のミャンマーの組織的守備を崩す事ができずイライラが募る展開でした。前半は、特に前線の選手の出来がいまひとつ。誰かがボールを持っても立って見ているだけのことが多く、ボールを引き出す動きが非常に少なかったように思います。(特に最近は、大木や高橋のアグレッシブな動きをいつも見ているだけに。)またどの選手もパスすることよりもまずはドリブルで突き進むことを考えているようで、複数の選手の連動した動きでシュートまで持ち込む、と言うことがほとんどありませんでした。後半は「森崎のポジションを上げて攻撃がスムーズに」(山本監督)なり、また途中から前田を中山に代えて良くなりましたが、このままではとても強豪相手には戦えないのではないか、と思えてなりません。昨年のトゥーロン国際では欧州の同年代の代表に対して素晴らしいサッカーを見せたこのチームですが、その後選手個々の力(技術面でも精神面でも)は上がっているもののチーム全体の「オートマティズム」はいつまでたっても熟成されて来ない、と言う印象です。Jリーグでの疲れや初戦の緊張などいろいろ要因はあったと思いますが、明日の第2戦にはぜひとも修正して、結果だけでなく内容のあるゲームを見せて欲しいものです。
 ところでマスコミ報道によると、駒野はU-22代表を離脱することになり、代役として徳永が招集されたそうです。昨日のゲームではピッチサイドで元気にアップをしていたようにも見えたのですが、左足を痛めていて疲労骨折の疑いもあるとのこと。本当に骨折ならば保存療法でも数週間以上、手術しなければならないとすれば数ヶ月は試合に出れなくなると思われます。前節高萩を起用して成功した右SBのポジションですが、高萩は既にU-18代表に合流しておりこの後オランダ遠征も控えている模様。帰って来てからも学業があるので、そうそういつも出場するわけにはいかないと思われます。左肩を脱臼した沢田もあと1ヶ月はかかるはずなので、小野監督には頭の痛い事になりそうです。
<03.5.1> サンフレッチェは10日の大宮戦で「日ごろの感謝を込めて!お母さんへのメッセージ」を募集します。応募者全員にオリジナルグッズが、また感謝賞に選ばれた5人には親子ペア招待券(SS指定席)とエプロン、下田選手のサイン入り色紙がプレゼントされます。応募される方は、往復はがきかファックスに郵便番号、住所、氏名、生年月日、学年、電話番号、母親の名前、メッセージ、ファックスの場合はファックス番号を記入して、〒733-0036 広島市西区観音新町4-10-2 サンフレッチェ広島「母の日メッセージ」係(tel. 082-233-3233/fax. 082-233-3251)までお送りください。〆切は5/7必着です。
<03.5.1> 今日ミャンマー戦を戦うU-22代表の主将に、森崎和幸選手が選ばれました。山本監督は昨日の記者会見でキャプテンは決まりましたか、の問いに「はい、本人にも伝えています。明日は森崎和幸をキャプテンにして、試合に臨みたいと思います」と答えています。そして具体的にどのようなことを期待するか、との質問には「チームをコントロールすることですね。苦しい時間帯も当然あると思いますし、そういう時間帯をうまくキャプテンを中心に乗り切っていってほしいと思います」としています。
 「リーダー不在」と良く言われる今のU-22世代ですが、その中で最も実績を残しているのが森崎和。Jリーグでの実績は言うまでもなく、一昨年のワールドユース、昨年のトゥーロン国際とアジア大会の全試合にフル出場しているのは彼だけです。いつも思うのですが、このチームは森崎和が機能しているときは良い戦いができますが、消えてしまうと質が落ちる傾向にあります。声で指示を出すシーンがあまり見られない森崎和ですが、プレー面では間違いなくチームの中心です。代表の場合チームとは比べ物にならないほど多くの「雑音」に囲まれると思いますが、あまり気にせず自分のスタイルでチームを引っ張って欲しいと思います。
<03.5.1> 昨日日本サッカー協会は昨日U-20日本代表候補トレーニングキャンプ参加メンバーを発表し、サンフレッチェからは大久保、高木、茂木が選ばれました。このメンバーは5/6-8に千葉県内で合宿を行い、8日には柏と練習試合を行います。
<03.5.1> プリンスリーグU-18中国2003第6節で米子北と対戦したサンフレッチェユースは、前田俊、桑田2、中野、馬屋原、黒飛のゴールで6-0と快勝。対戦成績を5勝1分けとしました。
 なお、ユースは5/3-5に広島県内各地で行われる第13回もみじカップに出場します。ユースが属するのは初芝橋本(和歌山)、熊本国府(熊本)、香川西(香川)と同じD組。5/3の11:15に香川西、16:15に初芝橋本とともにビッグアーチで、また5/4の10:45から熊本国府とみよし運動公園で対戦します。そして5/5には順位決定トーナメントに臨みます。
<03.4.30> 中2日の強行日程、U-22代表の欠場、気温24℃を越える天候、そして相手は好調の甲府。昨日のJ2リーグ第9節は苦戦の条件が揃った中での「我慢比べ」となりましたが、終始粘り強く戦ったサンフが森崎浩のゴールで1-0で勝ちました。
 ここまで失点8と広島と並んでリーグ最少失点の甲府は、GK:阿部、DF:アライール、池端、青葉、奈須、MF:倉貫、外池、水越(→山本83分)、石原(→杉山87分)、FW:須藤(→白尾80分)、藤田、と前節と同じメンバー。対するサンフは、桑原、高萩が今季初先発で、次のような布陣でした。
      下田

高萩 リカルド 上村  服部

  サンパイオ  桑原

      森崎浩
 茂木(→李32分)  高橋(→梅田82分)
      大木(→西村84分)

SUB:尾崎、八田
 最終ラインからパスをつないで攻撃を構築しようとするサンフは、前半2分に早くも最初のチャンスをつかみます。リカルドのロングボールを高橋、茂木、大木とワンタッチでつなぎ、DFラインの前に走り込んだ森崎浩がミドルシュート。しかしこれは大きく枠を外れていきました。その後もショートパスの繋ぎを主体に攻めようとするサンフでしたが、しかし甲府の出足が速くビルドアップの段階で潰される事が多く、またロングボールを入れても前線でマイボールにできずなかなかチャンスを作れません。逆に19分には森崎浩のバックパスを須藤にさらわれ決定的なピンチを迎えますが、これはシュートに力がなく下田が抑えます。甲府はセットプレーから、あるいは流れの中からゴール前にハイボールを放り込んで来ますが、下田とDFは集中を切らせずはね返します。43分には中盤から出たスルーパスを受けた森崎浩が、ペナルティエリアの外からミドルシュートを放ちますがこれも枠の外。結局、前半のサンフのシュートは森崎浩の2本だけ。逆に甲府のシュートも2本に抑え、イーブンペースのままでハーフタイムを迎えました。
 後半もパスを繋ごうとするサンフ。高萩のクロスや高橋のミドルシュート、リカルドのロングシュート等でチャンスを作りますが、決定的な形を作ることはできません。20分頃からは両チームとも疲れから足が止まり、我慢比べの様相を呈してきます。どの選手も足に錘が付いたように重く、点を取られる気もしないが取れる気もしない、と言う感じでお互いに勝ち点1ずつを分けるのが妥当かな、と言う感じだった後半33分、ようやく待望の1点を取る事ができました。サンパイオのボールを受けた森崎浩が高橋に横パス。これをワンタッチで流したところに走り込んだ森崎浩が、右足でボレーシュートを放つと強烈な弾道となって甲府のゴールネットに突き刺さりました。
 これで元気になった両チームは、次々と選手を入れ替えて最後の攻防を行います。しかし双方とも最後まで守りの集中が切れず、そのままタイムアップ。サンフレッチェは苦しいゲームをものにして、8連勝でチーム記録(93年から94年にかけての9連勝)にあと1となりました。
 このゲームのポイントは、森崎和と駒野の穴をどう埋めるか、と言うことだったと思います。実際、中盤での守備とボールの散らしに貢献する森崎和と右サイドの突破と正確なクロスが持ち味の駒野の不在は、やはりチームにとって大きいということはこのゲームを見ても明らかでした。ただ、その穴は桑原と高萩が良く埋めていたと思います。桑原はいつものように最終ラインのカバーや中盤でのパスカットに走り回り、疲れのため足が動かなくなったチームを必死で支えていました。また16歳の高萩は、とてもプロ初先発とは思えないような落ち着いたプレーぶり。体力的にも問題なく、守備面でも正確なパスでもチームに大きく貢献しました。更に森崎浩はミスも目立ちましたが、低い位置に下がってボールを落ち着かせたりDFラインの裏に飛び出したりと積極的なプレーを見せ、苦しい時間帯に勝利を決定付けるゴールを決めるなど「中心選手」にふさわしい働きでした。
 強いチームの条件は、どう言うメンバー、どう言うコンディションでも、少々の困難があっても自分たちの形を守って結果を残せることです。昨年までのサンフは、勝っていても自ら崩れて勝利を逃すことが多かったと思います。またせっかく良いサッカーができていても、メンバーが不調になったり欠場しただけですぐにチームのバランスを崩していました。今季ここまで連勝を続けて来ているのは、もちろんJ2だからということもあるでしょう。しかしそれ以上に小野監督の「思想」が浸透して、チームの全体的な力が上がっているからだ、と思ってよいのではないでしょうか。これから夏場に入って、体力的に厳しい戦いが続きます。また、怪我人や代表招集などで選手が欠けることもあるでしょう。しかしそれをクリアしていくことでチームは更に成長して、そして目標であるJ1昇格と3年後のJ1制覇が現実化できるのだ、と思います。
<03.4.29> 広島フットボールと中国新聞によると、小野監督は「自分たちのサッカーを崩すつもりはない」と言うことで4-3-3の布陣を考えているようです。ボランチにはベテラン桑原が順当に起用されそうですが、問題の右SBには高萩が抜擢されそう。湘南戦でJ最年少記録を更新した後ユースに戻り、またU-17代表のオーストリア遠征に参加していましたが、右SBはその中でも経験していたとのこと。1対1の強さだけでなくスピードと運動量、更に正確なキックも要求される難しいポジションですが、読みの鋭い彼のサッカーセンスをもってすれば問題なくこなせるのではないでしょうか。
 今日の会場は広島スタジアムで、午後2時キックオフ。今日はJリーグの「ファミリーJoinデイズ」と言うことで、様々なイベントが予定されています。12時〜14時にはメインスタンドの総合案内横でフェイスペイントが、11時30分から先着100家族に配布の整理券でサンチェとフレッチェとの写真撮影ができます。またキックターゲット、キックスピード、リフティング、ファミリー宝探しを組み合わせて楽しむ「サンフレッチェ・スタンプラリー」、選手サイン会、選手とハイタッチ、フォリアチャレンジ(小学生による前座試合)等も行われます。先着プレゼントは島根カードガイドブックを2,000名様に、会員限定の先着プレゼントは退団が決まったエルツェグの最後の?缶バッジとなっています。広島スタジアムは駐車場のキャパシティが少ないので、なるべく公共交通機関でお越しください。
 テレビ中継はスカパーのch149で生放送。またJスカイスポーツ1では午後10時から録画放送がありますので、ケーブルテレビなどの方はそちらをご覧ください。
<03.4.29>  サンフレッチェは昨日、昨年まで名古屋に在籍していたFWマルセロの獲得を発表しました。元ブラジル代表の肩書きを持つマルセロは、ブラジルの名門クルゼイロ史上3位の通算130ゴールを挙げています。95〜96年にはオランダのPSVアイントホーフェンに所属して17ゴールを挙げて優勝に貢献。97年にはブラジル杯、リベルタドーレス杯を制してトヨタカップにも出場しています。名古屋には2001年から昨年5月まで在籍し、リーグ戦20試合に出場して6得点とあまり目立った活躍はできませんでしたが、これはウェズレイを中心とするチーム戦術に合わなかったから、と見ていいでしょう。オールラウンダータイプのFWで大木や高橋と似たプレースタイルなのではないかと思われますが、逆に久保やエルツェグのような「異能タイプ」と比べるとチームに馴染むのは早いかも。一時は大木、高橋、茂木で決まりかと思われていた3トップに、新たな争いが生まれそうです。
 なお、これに伴ってエルツェグの4月一杯での退団が決まりました。昨夏、クロアチアから来日したエルツェグはデビュー戦でいきなりVゴールを決めるなど、降格の危機にあったチームを救うことが期待されていました。しかしその後はプレースタイルが戦術に合わず、10試合に出たもののゴールは最初のFC東京戦だけ。今年も開幕戦と鳥栖戦で活躍したものの、その後は徐々に出場機会が減っていました。時折素晴らしいキープを見せるなど技術の高さは間違いなく、また爆発力もあって悪い選手ではなかったと思いますが、彼の動きの少なさは、FWの前からの追い込みとスペースメイキングが要求される今のサンフのスタイルでは致命的と言っても良いもの。終盤で流れを変える役割も果たせなかった事を考えれば、ここでチームを去ることになるのは仕方のないことと言わざるを得ません。彼のようなFWを必要とするチームはきっと他にあるはずだし、そう言う場で働いた方が彼のためにも良いはずです。好漢・トモの今後の他チームでの活躍に期待したい、と思います。
<03.4.29> アジアサッカー連盟と日本サッカー協会は昨日、今秋に予定されていたアテネ五輪アジア最終予選を延期する、と発表しました。これは東南アジアを中心に猛威を振るっている新型肺炎SARSのため、各地で予選の延期が続いている事によるもの。延期されていた1次予選を9月、2次予選を10月に行い、最終予選は参加国間で3月に集中開催するか、あるいは3/3〜5/12の日程でのH&A方式での開催になるかを調整することになりそうです。
 これは、U-22代表が抜けることが最大の問題だったサンフにとっては追い風だと言えるでしょう。今年は相手チームの主力が怪我や出場停止等で抜けることが多くツキがあると感じることが多いのですが、その「幸運」の最大のものが来た、と言えます。ただ、逆にこれでチームの緊張感が無くなったり、あるいは若手のモティベーションが下がってしまったりしては困ります。サンフの今年の最大の目標はJ1昇格ですが、もっと大きな目標は「3年後のJ1制覇」です。それを考えれば、J2で何連勝しようがあくまで「過程」でしかないわけで、常に努力を怠らず選手の力とチーム力をアップさせ続けなければならない、と思います。
<03.4.28> 中2日でホームに迎える明日の相手は、ヴァンフォーレ甲府です。
 甲府一高OBのクラブとして結成された鶴城クラブが全国社会人大会出場権を獲得したのを機会に甲府クラブとなったのが1965年。その後72年からJSL2部、92年から旧JFL2部を経て、95年からヴァンフォーレ甲府に改称し、97年に運営会社を設立してJリーグを目指す活動を始めました。そして99年のJ2開幕以来、プロクラブとして戦って来ています。多くの地元企業に支えられ、地域を基盤とするクラブとしてアマチュアからプロへと順調にステップアップして来たかに見える甲府ですが、しかしJ2開幕後の戦いは平坦ではありませんでした。99年から01年にかけて3年連続で最下位に終わり、2000年にはJリーグ記録である25連敗を喫しています。その他にもホームゲームでの連敗のJ2記録(14連敗)やアウェイゲームでの連敗のJリーグ記録(23連敗)等も持っており、J2での甲府の歴史は敗戦の歴史である、と言っても過言でないくらい。これを反映してか観客動員も苦戦続きで、99年と2000年はともに平均観客動員数が2,000人を割るなど苦しい経営を強いられ、2000年末にはチーム存続の危機にも陥っています。しかしそこからチーム再建に取りかかると昨年は7位に躍進。観客動員も平均4,914人と、J2では8番目に多く集めました。今季は大木監督が清水に移り、大量19人の選手が去るなどチームを大きく作り替えましたが、チーム戦術は不変で更にレベルアップしている模様。今季はここまで湘南、横浜、札幌、大宮に勝ち、川崎Fと引き分けて勝ち点14と堂々5位に付けています。明日の予想メンバーは、GK:阿部、DF:奈須、青葉、池端、アライール、MF:外池、倉貫、藤田、水越、FW:藤田、須藤。堅い守りと速攻と言うチーム戦術は山形や水戸と似ている感じですが、外池、藤田ら技術の高さは甲府の方が上でしょう。中2日、その上U-22代表組を欠くサンフとしては、なかなか手ごわい相手を迎えることになりそうです。
 森崎和、駒野が代表合宿のためにチームを離れるサンフは、先週は「代役」となることが見込まれるサブ組がモティベーション高く練習していたとのこと。従って誰が起用されても大きくレベルが下がることは無いと思いますが、ただメンバー予想は簡単ではありません。駒野の代役の右SBに不安があるだけに、3バックで戦う可能性が高いのではないでしょうか。
      下田

  八田 リカルド 上村

李    サンパイオ   服部

      森崎浩
 茂木        高橋
      大木

SUB:尾崎、大久保、桑原、エルツェグ、梅田
 誰が出るにしろ、小野サッカーのコンセプトは不変のはず。全員が労を惜しまずにプレッシャーをかけ、パスをつないで相手を崩す戦いができるかどうかがポイントです。ここでチャンスを与えられる選手には、森崎和と駒野が帰って来てももうポジションが無いと思わせるような、そんな働きを期待したいと思います。
<03.4.27> 昨日札幌ドームで行われたJ2リーグ第8節は苦しいゲームをものにし、7連勝で首位を守りました。
 昨年ともにJ2降格となり、今季の昇格争いのライバルの一つである札幌は、GK:藤ヶ谷、DF:中尾、曽田、西澤、大森、MF:今野(→相川30分)、ベット、森下、ホベルチ、FW:堀井(→佐藤尽74分)、新居(→森山60分)。結局ウィルはサブにも入れずスタンド観戦、その上今野は前半途中で怪我のために下がり、ベストからは程遠いメンバーでした。これに対するサンフは、前節同様に次のような布陣でした。
      下田

駒野 リカルド 上村  服部

  サンパイオ 森崎和

      森崎浩
 茂木(→李45分)  高橋
      大木(→八田77分)

SUB:林、桑原、梅田
 マイボールを大切にしてパスを繋ごうとするサンフに対して、札幌はロングボールから裏を狙う戦術が中心。立ち上がりは一進一退でしたが、前半5分にサンフが先制点を挙げます。右サイドの深い位置からの森崎浩のFKは、ゴール前に上げてFWの頭に合わせる狙いだったそうですが、しかしボールは前に出て抑えようとしていた藤ヶ谷の頭の上を越えて直接ゴールに飛び込みました。「ゴールはたまたまです。入ったことがびっくり」と蹴った本人が語る(広島フットボールによる)ラッキーゴールでしたが、これでゲームの流れが決まります。同点に追いつきたい札幌はホベルチがボールをキープし、ベット、森下が中盤からどんどん仕掛けてサンフ陣内に攻め入ります。この日のサンフは3トップの動きが悪く前線からの追い込みが効かず、中盤でプレスがかからず札幌にボールを支配されます。また攻めに入ってもボールの繋がりが悪くなかなか相手を崩せず、ドリブルで突破を試みても途中で潰されて相手ゴール前にボールを運ぶことができません。前半のサンフのシュートは森崎浩のゴールだけ。逆に札幌のシュートは8本で、その中には新居にDFラインの裏に抜け出されたものやホベルチにゴール前1メートルまで迫られたものなど決定的なものも何回かありました。DFラインの集中と下田の好セーブで失点こそ許さなかったものの、ほほ一方的な展開で前半を終了しました。
 後半、動きが重かった茂木に代えて李を入れたサンフは、立ち上がりは前からのボール回しが機能して押し込みます。が、それも続いたのはわずか10分ほど。ホベルチが低い位置でボールをキープして攻撃の起点になると全体的に下がらざるを得なくなり、再び札幌の攻勢を許します。中央から、サイドから繰り返しドリブル突破を試みる札幌。これをファウルで倒すと、ホベルチやベットの正確なキックがゴールを襲います。サンフは時折カウンターから相手陣内に攻め入りますが、決定的に崩すことはできずロングシュートを放つのが精一杯となります。後半29分に札幌は、昨年の最終戦でハットトリックの曽田を前線に上げて来て、パワープレーを仕掛けてきます。これに対してサンフは八田をDFラインに入れて守備を固め、必死で守ります。なかなか進まない時計。しかし下田を中心にしたサンフの守備陣は一瞬たりとも集中を切らさず、相手にゴールを許しません。そして後半ロスタイム。センターサークル付近で得たFKをサンパイオが蹴り、これを森崎和がロビングで右サイドに通します。受けた李はボールをキープしながら何度も中を確認して、慎重にインサイドキックでクロス。ここにサンパイオが飛び込んでDFの前でボールを頭に当て、決定的な2点目で止めを刺しました。これでサンフはチーム新記録となる7連勝。勝ち点も22となり、2位との差を6に広げました。
 この試合、サンフのシュートは6本だったのに対して札幌は14本。決定的なシュートと言えば入った2本ぐらいのもので、内容的には札幌に圧倒されたと言って良いゲームでした。ジョアン・カルロス監督は試合後に「向こうはほぼフルメンバーだが、こちらは必ずしもそうではないだけ。力の差があるとは思えない」と語っていたそうですが、それは強がりではなく実感だったものと思われます。高い位置でボールを奪い素早く攻めるサッカー、マイボールを大切にするサッカーを目指す小野サンフレッチェの理想からは程遠い出来での1勝は、課題の方が多かったと言って良いでしょう。しかし、そんな中で先制点と勝ち越し点を奪い、相手に得点を許さず逃げ切れたということは、チームの成長の現れだ、と私は思います。アウェイでは押し込まれる、というのは言わば世界の常識。運動量が必要とされる小野監督のサッカーが、アウェイではままならなくなってしまうのは現時点では仕方のないことなのかもしれません。むしろ問題は、そう言う自分たちのサッカーができない状況でいかに我慢して相手に点を与えないようにするか、そして1つでも多くの勝ち点を取るか、と言うことです。これから暑くなるに従って、ますます苦しいゲームが増えるでしょう。ホームでさえも自分たちのサッカーができずに、押し込まれることが増えるかもしれません。しかしこの日のような集中力があれば、チームは持ちこたえることができるはずです。疲れがたまっていても、主力選手が欠けたとしても、何とか勝ち点を積み重ねていくことができるのではないでしょうか。小野監督は試合後に「前節の大勝よりも今日の勝ち点3の方が嬉しい」と語っていたそうですが、たぶん思いは同じでしょう。指導者にとって技術を教えることよりも精神面を指導することの方が難しいものですが、サンフレッチェに小野監督の指導が浸透している事がはっきりと分かるゲームだったと言えそうです。
 
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