10/16〜10/22のSANFRECCE Diary


<05.10.22> Jリーグ第28節は明日、広島ビッグアーチにセレッソ大阪を迎えます。
 現在3位のC大阪は6連勝中と好調をキープしています。
18A ●1-4 G大阪 【C】鶴見、【G】アラウージョ2、橋本、遠藤
19H △1-1 清水  【C】古橋、【清】チェ・テウク
20A ○2-1 千葉  【C】森島、黒部、【千】林
21A △1-1 柏   【C】ファビーニョ、【柏】大谷
22H ○2-1 神戸  【C】古橋、ファビーニョ、【神】菅原
23A ○2-1 新潟  【C】下村、ゼ・カルロス、【新】エジミウソン
24H ○2-0 磐田  【C】ファビーニョ、西澤
25A ○3-1 名古屋 【C】古橋、前田、西澤、【名】中村
26H ○3-1 浦和  【C】森島、ファビーニョ、古橋、【浦】マリッチ
27H ○1-0 大宮  【C】ファビーニョ
 開幕から3連敗とどん底からのスタートだったC大阪でしたが、しかしその後堅い守備からの速攻と言うスタイルが機能して、第4節から第11節まで負けなしと言う安定感を見せました。G大阪戦以降主力に故障者が相次いだ事もあって負けが込みましたが、しかし小林監督は中断期間中にしっかり立て直すと、再開以降は7勝2分けと負けなしで来ました。その特徴は、何と言っても粘り強さ。しっかり守って少ないチャンスを生かすと言う戦術が定着して、集中力を切らさない戦いを続けています。浦和戦ではそこまでの快進撃を続けてきた下村を怪我で失い、大宮戦では西澤とゼ・カルロスを出場停止で欠きながらも1-0での勝利。「誰が出てもセレッソのサッカーができるようになっている」(ファビーニョ)と言う自信が、強さの秘訣だと言えるでしょう。打ち破ることが最も難しいチーム。それが現在のC大阪です。
 対するサンフレッチェはリーグ最少失点は続いているものの、ここ5試合は12失点と「堅守」の面影はありません。携帯サイトの沖原氏の解説によると、失点が増えたのは「悪くなったところがあるわけではない」らしく「1対1の頑張りが、守備に対しても...悪い影響を同時に与えている」とのこと。複数の選手でボールホルダーを囲い込む連動性がうまくいっていないのが原因で、修正は難しくはないそうです。ただ、問題はこれまでゴール前に君臨していた守護神・下田を失ってしまったことでしょう。代役が予想される佐藤昭も能力は間違いないのですが、局面を読む力やDFラインとの連係等は一朝一夕でできるものではないだけに、長い目で見る必要があるでしょう。ここのところ勝てない試合が増えている、とは言ってもチームの方向性には間違いないので、C大阪を上回る自信と落ち着きで自分たちのサッカーを貫くことができるかどうか、が勝利のポイントになりそうです。携帯サイトによるとシステムを変える可能性もあるようですが、とりあえずは前節と同じメンバーを予想しておきます。
       佐藤昭

駒野  小村 ジニーニョ  服部

       森崎和

  李         茂原

       大木 

    佐藤寿  前田

SUB:上野、西河、大木、ジョルジーニョ、ガウボン
 ここ4試合で7得点と好調の佐藤寿、前田のツートップに加えて、ガウボンも復調してきて紅白戦では3ゴールに絡む活躍だった、とのこと。守備の不安を攻撃力で吹き飛ばすような戦いで、2か月ぶりのホームでの勝利を見せて欲しい、と思います。
<05.10.21> 日本サッカー協会は昨日、サンフレッチェユースの木原正和選手が韓国遠征を行うU-18代表から辞退した、と発表しました。理由は怪我のため、と言うことで詳細は不明。また清水の山本真希選手も同じく怪我のため辞退し、代わりに堂垣龍一選手(関学高)が選ばれました。
 一方、協会は中高生の年代のための「GK+ストライカーキャンプ」を行いますが、このメンバーにサンフレッチェユースのGK金山隼樹、兼田亜季重、FW中野裕太とジュニアユースのFW玉田道歩の各選手が選ばれました。この中で特に中野は、この夏から秋にかけて急成長した選手。183cmの高さを生かしたヘディングの強さだけでなく足下の柔らかさも持ち合わせ、さらにドリブルからシュートにまで持ち込む強引さもあって「久保竜彦を彷彿とさせる」(紫熊倶楽部ホームページより)ストライカーなのだそうです。キャンプの日程が30日までとなっていてJユースサハラカップのC大阪戦(10/30 14:00 南津守)と重なるのが気になるところですが、参加するなら大きく成長してきて欲しい、と思います。
<05.10.20> 日本サッカー協会は昨日、ベトナムに遠征するU-20代表を発表し、広島からは吉弘と中尾が選ばれました。
【GK】山本海(清水)、松井(磐田)
【DF】増嶋(FC東京)、吉弘、中尾(広島)、柳楽(福岡)
    森下(磐田)、後藤(鹿島)
【MF】寺田(G大阪)、苔口、藤本(C大阪)、市原(千葉)、
    上田(磐田)、赤星、細貝(浦和)、興梠(鹿島)、鈴木健(FC東京)
【FW】三木(G大阪)、萬代(仙台)、藤井(磐田)
 以前から田島強化委員長は「北京五輪のための代表チームを早く立ち上げたい」と言っていましたが、このU-20代表はその路線に従ったもの。03年にC大阪の暫定監督を務めた塚田雄二氏を監督に、今年のワールドユースに参加したメンバーを中心に構成しています。たださすがにシーズン中に無理はできなかったようで、所属チームで試合に出れる可能性のある選手は軒並み外れ、それ以外の選手でチームを作ったと言う感じになっています。このメンバーからどれだけ来年のU-21代表に残ってくるのか微妙ですが、逆にせっかくの試合の機会なので精一杯頑張って、自分をレベルアップさせて来て欲しいものです。なおベトナム遠征の日程は10/24〜31で、対戦相手はタイ、マレーシア、ベトナムのそれぞれU-23代表。「年上」ばかりが相手となりますが、行くからには優勝を狙ってきて欲しい、と思います。
<05.10.19> ブラジル2部のESバイーアにレンタル移籍していた田村が帰国し、昨日の練習からチームに合流しました。昨年ユースから昇格し、デビュー戦となった名古屋戦でいきなり同点ゴールを挙げた田村でしたが、「あれで勘違いした」(中国新聞)と言うことでその後低迷。8試合に起用されたもののゴールは1点のみで、7月以降はベンチ入りもありませんでした。そこで今年5月から単身ブラジルに渡って武者修行。「公式戦の出場機会が無く、『試合に出ない選手』と冷たく扱われることもあった」そうですが、友人を作りポルトガル語を覚え、食事も好き嫌いなく口にするなど、がむしゃらさを思い出して帰ってきた様子です。田村が不在の間に前田がポジションを取り、桑田や高柳など後輩も着々と成長して来ています。もうこれ以上足踏みしているヒマはない、と言う気持ちで、頑張って欲しいところです。
<05.10.19> 先週末発売の紫熊倶楽部11月号(Vol. 93)はストライカー特集。巻頭と巻末のカラーページでは、佐藤寿人、ガウボンがそれぞれインタビューを受けています。
 佐藤寿人のインタビューのタイトルは「ディフェンスの力」。2001年の久保、コリカ以来久々に2桁得点を記録した彼が、いかに開幕当初の迷いから脱出することが出来たのか。このインタビューによると、その秘訣は「守備の間合いが分かるようになった」ことなのだそうです。そしてそれは「ベンさん(大木)と言ういいお手本がいた」から。前線からの守備が苦もなくできるようになったことが、90分間プレーし続けること、そして得点を量産することに繋がっているのだそうです。寿人が考えるストライカー像とはどう言うものなのか。前田や茂木、ガウボンらチームメイトをどのように見ているのか。そしてチームと自分の将来についてどう考えているのか。今やチームを引っ張る選手となったエースストライカーが思いを語っています。
 一方、ガウボンの記事のタイトルは「ストライカーよ、シュートを打とう!」。ここまで8得点3アシストと決して結果を残していないわけではないのに、なぜか印象が薄いガウボン。その理由はおそらく、あまり強引にシュートに行かないからなのではないでしょうか。初めての国外でのプレー。暑く湿った夏。そして6月の怪我。いまひとつ乗りきれない理由は多々あるものの、中でも前線からの守備のやり方が分かっていない、と言うのが一番の問題なのだそうです。また彼自身の「優しさ」もある意味問題で、ボールを持ったら強引にでもシュートまで持って行く、と言う気持ちの強さが欲しいところ。ここ数試合先発の座を奪われ、途中出場でも結果を出せていない若きブラジル人の悩みが伝わってくるような内容です。
 トップ記事に続くのは、中野編集長による「広島ストライカー論」。なぜ昨年よりもFWの得点力が上がったのか、チームの戦い方がどう変わったのか、そして選手がどのように成長したのか。佐藤寿、前田、ガウボン、大木、そして茂木。チームとFWの選手たちの現状と課題について分析しています。
 マッチレポートは、G大阪戦、浦和戦、新潟戦、名古屋戦。金広督子さんの「サポーターコラム・ユースをよろしく!」では、低迷を脱したユースのストライカー、平繁龍一選手を取り上げています。広島ホームテレビの望月ディレクターのコラムは「2つのオウンゴールから学ぶべきこと」。私のコラムでは「ビッグアーチへの車でのアクセス」を取り上げています。tssの石井百恵アナウンサーの「大好き!サンフレッチェ」は、地元チームがあってそれを応援することの楽しさ、素晴らしさについて。そしてトップページのいまおかゆう子さんの「サンフレッチェを支える人々」では、元サンフレッチェの選手で、今やゴール裏の「応援団長」として頑張っている吉田安孝さんを取り上げています。更に、最終ページの「私たちは、サンフレッチェサポーターです」では広島市の小森年美さん、和子さんご夫妻が登場しています。
 サンフレッチェオフィシャルマガジン「紫熊倶楽部」は定価350円。V-POINTとホームゲーム会場では、サンフレッチェクラブ会員は割引で購入できます。通信販売と定期購読のお申し込み、お問い合わせは、紫熊倶楽部ホームページからどうぞ。
<05.10.18> 土曜日のFC東京戦で負傷退場した下田は、右ひざ後十字靭帯断裂で全治4ヶ月と診断され、シーズン中の復帰は絶望となりました。ここまで全試合に出場してリーグ最少失点の守備陣を支えてきた下田の離脱は、チームにとっては大きな打撃。今後は「上々のデビューだった」(小野監督)ルーキー・佐藤昭と、京都で6試合の出場経験のある上野の2人に期待するしかありません。
<05.10.18> 昨日日本サッカー協会は韓国遠征に向けてのU-18代表を発表し、広島からはユースの槙野、木原、皆実高の森重が選ばれました。今回のメンバーは次の通り。
【GK】林(流経大柏高)、秋元(横浜FMY)
【DF】福元(大分U-18)、槙野(広島Y)、堤(浦和Y)
    伊藤博、安田(G大阪Y)、内田(清水東高)、大島(柏Y)、
    吉田(名古屋Y)
【MF】梅崎(大分)、横谷(G大阪Y)、森重(広島皆実高)、
    柳澤(柏ユース)、山本(清水)、青山(名古屋Y)
【FW】木原(広島Y)、ハーフナー(横浜FMY)、森島(滝川二高)、
    小澤(青森山田高)、星原(G大阪Y)、森本(東京V)、
    伊藤翔(中京大中京高)
 仙台カップのメンバーから柏木(広島Y)、松本(青森山田高)、河原(新潟)が外れ、大島、吉田、森重、木原、森島、小澤、星原、伊藤翔が招集されています。これは仙台カップで内容が悪かったため、チームを変えうる選手を発掘しようと言う意図なのかも知れません。木原は5月のトレーニングキャンプ以来の招集となりましたが、ぜひとも頑張って本番のメンバー入りを果たして欲しいと思います。なお、柏木が外れたのはおそらく怪我の影響でしょう。仙台カップから高円宮杯と怪我を押して頑張ってきましたが、さすがにこれ以上無理はできないと言うことになったのではないか、と思われます。
 このU-18代表は10/23に集まって韓国に遠征し、10/25, 26にU-18韓国代表と連戦を行う予定です。11/23から始まるアジアユース1次予選に向けて、最後の実戦の機会となります。
<05.10.17> 昨日いぶきの森で今年のサテライトリーグのヴィッセル神戸戦が行われ、1-2で敗れました。サンフレッチェのメンバーは次の通り。
       上野

西河   吉弘  池田   吉田

       高柳
   木村      ベット
       桑田

    茂木  ジョルジーニョ
 対する神戸は、GK:徳重、DF:石澤、松本、河本、MF:田中、菅原(→中村52分)、丹羽、大江、栗原、FW:和多田、小島(→村瀬65分)。最初の20分ぐらいは見れなかったのですが、全体的に凡戦。両チームともミスが多く、潰しあいに終始します。そんな中で前半20分、ショートパスの交換で左サイドを破られ、中央への折り返しに小島が飛び込み先制点を奪われてしまいました。サンフは30分にベット、ジョルジーニョ、茂木、桑田がワンタッチパスを交換してシュートまで持込み、37分にはベットのFKをジョルジーニョがダイレクトボレー。またロスタイムにも右から崩してシュートを打ちましたが、前半の決定機と言えばそれぐらい。どうにも盛り上がりに欠ける展開で前半を折り返しました。
 後半はサイド攻撃を徹底してきた神戸に対して、サンフはDFラインが身体を張って守ります。そして攻撃はジョルジーニョが、茂木が、木村がドリブル突破を図りますが、神戸の厳しい寄せを打ち破ることができずなかなかシュートまで持ち込めません。13分には相手のパスミスを高い位置で拾ったジョルジーニョがシュートしましたがGKがクリア。23分には高柳のクサビのパスを受けたジョルジーニョが反転してシュートまで行きましたが、こぼしたGKのボールに詰める選手はなし。あまり点が取れる気がしない流れでしたが、しかし後半32分、後ろからのロングフィードを受けた茂木が突破を図って倒されPKをゲット。これをジョルジーニョが冷静に決めて、サンフは同点に追いつきました。しかし40分、ショートパスの交換から左サイドを崩され、至近距離からのシュートを打たれます。上野はいったんはこれを止めましたが、詰めていた栗原の押し込まれて再びリードを許してしまいました。そして結局これが決勝点となって、サンフはサテライト最終戦を落としました。
 攻撃的なポジションに実績のある選手を並べていた神戸に対して、中盤に経験豊富な選手を並べたサンフがボールを支配するか、と思えばさにあらず。ボールの動きと選手の動きの連動性が悪く、組み立て段階でパスが相手に引っ掛かってシュートまで行けない、と言う展開が続きました。特にこの中では「別格」のはずのベットが今一つで、相変わらずチャレンジパスを出しては相手に奪われる、の繰り返し。元セレソンらしさを見せることはできませんでした。またジョルジーニョも茂木も単独突破を図っては相手DFに潰されるばかり。審判の判定に納得できずイライラする事も多く、なかなか良さを発揮できませんでした。またDFラインはゴール前での堅さは見せたものの押し上げが弱く、特に両サイドからの攻撃がほとんど機能していなかったのも苦しさの要因。ピッチを広く使って相手を振り回す、と言う事ができなかったためどうしても中央からの突破に偏り、相手を崩す事ができていなかったのではないか、と思います。
 ただそんな中で一筋の光明と言えるのは、中盤の底に入っていた高柳でしょうか。彼はDFラインから相手ゴール前まで、また右サイドから左サイドまで縦横に走り回って奮闘していました。特に終盤、低い位置で倒されたジョルジーニョがぶつぶつ文句を言いながら立ち上がったときに、さっと近寄って「早く前に行け」と指示していたシーンは印象的でした。ベットは次節も出場停止なので、ひょっとすると高柳の先発もあるかも?
<05.10.16>  昨日味の素スタジアムで行われたJリーグ第27節FC東京戦は、2度のリードを守れず引き分けに終わりました。
 ベットが出場停止のサンフレッチェは、3試合連続で佐藤寿と前田のツートップで臨みました。
       下田(→佐藤昭59分)

駒野  小村 ジニーニョ  服部

       森崎和

  李(→ガウボン78分)茂原

       大木(→高柳74分)

    佐藤寿  前田

SUB:西河、ジョルジーニョ
 対するFC東京は加地が怪我のためベンチにも入らず、GK:土肥、DF:茂庭、ジャーン、今野、藤山、MF:馬場、宮沢(→金沢66分)、梶山、栗澤(→鈴木規56分)、FW:ルーカス(→ササ71分)、阿部、と言うメンバーでした。立ち上がりは両チームとも潰しあいに終始しましたが、ボールが落ち着くようになると徐々にサンフがペースをつかみます。9分には前田のクロスを大木が落とし、佐藤寿がボレーシュートを放ちましたが枠外。14分には駒野が右を突破してクロス、18分には李のクロス、21分には李のミドルシュートが土肥を襲います。25分には前田のCKがゴール前でワンバウンドし、これを佐藤寿が頭で押し込もうとしましたが枠外に外れます。FC東京はDFラインでパスをつないでも前に持ち込めず、可能性の低いミドルシュートを放つだけ。16分のルーカスのシュートが左ポストを叩いたシーンは決定的でしたが、それ以外は広島守備陣の集中が高くチャンスを与えません。逆に攻撃は駒野と李が何度も右からクロスを入れましたが、中とわずかに合わずシュートまで行けません。前半は両チームとも守りの堅さを発揮して、スコアレスで折り返しました。
 J1残留を確定するためには何としても勝ち点3が欲しい東京は、後半立ち上がりから積極的に攻めてきます。1分にはルーカスの突破の後のCKで今野がフリーでシュートしましたが下田がキャッチ。7分には宮沢のループパスで抜け出した阿部がシュートしましたが、下田が飛び込んでセーブします。この時、カバーに入った小村と絡んで痛む下田。その後、FC東京はカサにかかって波状攻撃を仕掛けてきますが、パスミスに助けられます。そして10分、カウンターから森崎和が攻め上がり、ペナルティエリアの前で前田にスイッチ。この動きが相手DFの裏をかいて、前田の左足のシュートが土肥の脇を抜いてゴールネットに飛び込み、サンフは待望の先制点を奪う事ができました。
 しかし、試合が本当に動いたのはここからでした。原監督は栗澤に代えて鈴木規を投入して左サイドからの攻めを強化し、11分にはいきなり左からのクロスでチャンスを作ります。そして最大のポイントは、この直後に下田が交代したこと。7分のシーンで右足を痛めた下田は痛みは無いものの力が入らない状態だったらしく、新人・佐藤昭に交代します。守護神がピッチを去ってプロ初出場のGKが後ろにいる、と言う状況になり、サンフの選手たちの神経は極限まで張りつめられます。14分には李のクロスに佐藤寿が飛び込みましたがジャーンがクリア。その直後のCKのボールはクリアされたものの、駒野のクロスを服部が折り返し、これを小村が押し込みましたがオフサイドを取られます。19分には前田のFK、22分にも駒野がFKでゴールを狙います。しかし原監督が金沢を投入し、右SBを務めていた今野をボランチに戻すと、一転してFC東京のペースに。更にササ・サルセードの投入により、広島ゴール前のシーンが増えて行きます。28分には阿部が決定的なシュートを放ちましたがジニーニョがクリア。直後には今野のシュートがポストを叩きましたが、跳ね返りを佐藤昭が必死で抑えてゴールを許しません。ところが31分、馬場?の何でもないロングボールをササが落とすと、そこに飛び込んでいた阿部が胸で落として反転してボレーシュート。もう一度やれ、と言われても二度とできない(たぶん^_^;)スーパープレーで、同点に追いつかれてしまいました。
 ここからは両チームとも肉弾相打つ必死の攻防。37分には広島のCKのクリアボールが鈴木規に当たり大きく跳ね、これをダイレクトで折り返した森崎和のボールを佐藤寿が叩き込んで再びリードを奪います。しかしその直後に右サイドを突破され、鈴木規のクロスが馬場にドンピシャで合ってゴール。激しい試合は同点のままで終盤にもつれ込みました。ササを起点に攻め込む東京。前田が、佐藤寿がチャレンジを繰り返す広島。どちらに転んでもおかしくない展開でロスタイムの4分はあっと言う間に過ぎて、両チームとも勝ち点1を分け合うことになりました。
 この試合、内容的にどちらが良かったか、と言うとサンフレッチェの方だったと思います。3試合目となった佐藤寿、前田のツートップは初のアベックゴールで結果を残し、代表帰りの駒野は疲れも見せずに攻撃に、守備に奮闘していました。またプロ初出場となった佐藤昭も、落ち着いたプレーで相手の決定機を防ぎました。怪我人が多くまだ「迷い」も見えるFC東京に対して広島の組織力は明らかに上で、勝ち点3を取るべきゲームだった、と言って良いと思います。昨年の味の素スタジアムで引き分けたときにはブーイングで迎えたFC東京のサポーターがこの日は拍手だったのは、苦しいゲームをよく引き分けに持ち込んだ、と言う気持ちが強かったからに違いありません。
 ではなぜ勝てなかったのか、と言うと一番大きな要因は「運」だった、と言わざるをえません。その最大のものは下田の負傷。佐藤昭は良く頑張ってはいたものの信頼感の点で下田に及ばないのは当然で、後半のサンフの選手たちの危機感、悲壮感はテレビの画面からも伝わってきました。またここで交代のカードを1枚使ってしまったために、終盤に西河かジョルジーニョを投入することができなかったことが微妙に影響していた、とも思います。更に、ジャッジの面での不運もありました。後半15分に小村がゴールネットを揺らしたシーンは駒野のクロスが服部に渡った時点でのオフサイドを取られたものですが、ビデオで見直したところ明らかに服部の場所よりもゴール側に1人残っています。こう言うことはあまり言いたくはないのですが、ミスジャッジで1点損したシーンだった、と言わざるをえないでしょう。逆に阿部のゴールはササがヘディングした瞬間に阿部の身体は半分前に出ていて、正確に見ればたぶんオフサイド。副審は完全にDFラインから遅れていて難しいジャッジとなってしまったわけですが、これも厳しい見方をすれば審判のミスです。サッカーに誤審は付きものとは言え、これだけ不運が重なると愚痴も言いたくなってしまいます。ただ、そんな状況になりながらもサンフレッチェの選手は最後まで挫けず、諦めずに戦い抜いたわけで、まずはその姿勢を賛えたい、と私は思います。
 しかしその一方で、プレー面でもう少し何とかならなかったのか、と言う思いは残ります。例えば前半、思うようなサッカーができないFC東京に対してサンフがペースを握っていたわけですが、そこで点が取れなかったのはやはり精度とアイディア、そしてリスクチャレンジの物足りなさなのではないかと思います。また、2点目を取った直後にすぐに失点したのも頂けない。点を取るしかなくなった相手がキックオフから全開で攻め入ってくることは明らかなのに、なぜもっと前で潰してしまうことができなかったのか。これまで何度も見られたそのへんの「甘さ」がまたもや出てしまったわけで、こればかりは運、不運で片付けるわけにはいきません。森崎和も自身のホームページで「得点後、失点後、前後半の立ち上がり、終了間際は1番集中が切れやすく、1番危ない時間帯で、今年何度も痛い目にあってきてチームとし課題になっていて、何度も監督に言われてたのに...これをいい経験にして次に活かさないと意味がない」と語っていますが、この壁を乗り越えない限り本当に強いチームにはなれません。この引き分けで首位との勝ち点差は14となってしまいましたが、ここで諦めて下を向いてしまうようなメンタリティではいつまでたっても優勝争いなんて無理。この困難に立ち向かえるチームと選手なのかどうか、将来優勝を狙えるチームなのかどうかが、本当に問われるのはここからの戦いなのです。
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