10/30〜11/5のSANFRECCE Diary


<05.11.5> 昨日吉田サッカー公園でヴィッセル神戸と練習試合を行ない、1本目、2本目とも0-1の合計0-2で敗れました。1本目のメンバーは、GK:上野、DF:吉田、吉弘、池田、中尾、MF:李、高柳、木村、桑田、FW:前田、茂木。2本目はGK:上野、DF:入船、池田、中尾、森脇、MF:李、高萩、田村、前田(→木村74分)、FW:盛田、ジョルジーニョ。対する神戸は、GK:徳重(→荻45分)、DF:室井(→石澤45分)、河本、松尾、MF:丹羽、吉田、中村(→練習生45分)、大江、薮田、FW:北野、村瀬。得点は33分に北野、57分に薮田。バスで遠征してきた神戸に対して、ホームの有利さを生かすこともできなかった模様です。
<05.11.5> 一昨日吉田サッカー公園で行われたJユースサハラカップの第4節C大阪U-18戦は、苦戦したものの終了間際に勝ち越して4連勝。グループ2位以内を確定し、決勝トーナメント進出を決めました。この日のユースのメンバーは、GK:金山、DF:中山、横竹、槙野、野田、MF:柏木、遊佐、保手濱(→田中87分)、FW:平繁、江本(→篠原45分)、木原。後半開始早々に横竹がCKに頭で合わせて先制しましたが、後半40分過ぎにカウンターから失点。苦しい展開となりましたが、ロスタイムに混戦から平繁が決めて勝ち越した、とのことです。
<05.11.4> 昨日行われた天皇杯4回戦は、水戸の堅い守りに苦しんだものの後半に3点を挙げ、相手の反撃を1点に抑えて逃げ切りました。
 今年最後のタイトルを取るため全力を尽くす、と言うサンフは、コンディションの上がらない駒野以外はベストメンバーを組んで戦いました。布陣はたぶんこんな感じ。
       佐藤昭

  西河  ジニーニョ  小村

    森崎和  ベット

茂原            服部

       大木(→中尾82分)

    佐藤寿  ガウボン(→前田74分)

SUB:上野、李、木村
 対する水戸は、GK:本間、DF:大和田、吉本、深津、小椋、MF:関、永井(→須田67分)、栗田、秦(→眞行寺70分)、FW:ファビオ、岩舘(→磯山60分)。前半はスペースを与えないように守りを固める水戸に対して、サンフは攻めあぐみます。3分の茂原のシュートや17分の佐藤寿のミドル、24分の素早いパス回しからの服部のクロス、その直後のベットのコントロールシュート。更に34分にはワンタッチパスの連続から佐藤寿が抜け出してシュートしますが枠外に逸れるなど、何度か決定的チャンスはつかむものの攻め切れません。逆に相手のカウンターを許して、2度もバーに助けられます。前半は予想通りと言えば予想通りの展開で、ハーフタイムにはサポーターから大ブーイングが沸き起こりました。
 後半もいきなりFKのボールをバーに当てられるなどピンチがあったものの、しかしその後のサンフは人もボールも良く動くようになり、相手を振り回すようになります。特に小野監督が水戸戦用のスペシャル布陣として用意した(J's GOALによる)と言う服部と茂原のポジションの入れ替えで、ゴールに向かうボールをどんどん入れて行きます。そして、それが実ったのは後半7分のことでした。こぼれ球を拾ったベットがドリブルから右サイドにパス。これを受けた服部が、中央に鋭く曲がり落ちるボールを入れます。そしてここに走り込んでいたガウボンが、右足で難しいバウンドに合わせてシュート。このボールは綺麗にゴールネットを揺らしました。
 2点目は後半22分で、右サイドでのボール回しから森崎和のスルーパスで佐藤寿が抜け出してシュート。いったんはGKに弾かれたものの、詰めていた大木がジャンピングボレーで叩き込んで、待望の追加点を上げます。その後は両チームとも足が止まって攻め合いとなり、38分には水戸の右サイドからのFKに深津が頭で合わせて1点を失いましたが、しかし42分、前田のドリブルが止められて得たFKのチャンスで、服部のボールに森崎和が右足で合わせて3点目をゲット。終盤には中尾のスーパーロングスローや前田の3人抜きドリブルなど見せ場も作って、最後は「格上」らしい戦い方で勝利を収めました。
 いつも苦しむ天皇杯の初戦、しかも広島が苦手とする「引いて守ってカウンター」のチームが相手と言うことで、前半は予想通りの苦しい展開となったようです。しかし今年は「取れるタイトルは全て取りに行く」と言う小野監督の意思と周到な準備があり、それに応えた選手の頑張りが、この勝利に結びついたのだろう、と思います。水戸の前田監督は「J2の時の広島の方が、いやらしさはあった。...J2時代は森崎兄弟ががうまくギャップをつくっていたのだが。特に前半は、怖くなかった。カウンターがとりやすい状況だった」と語っていましたが、この言葉をそのまま受け取るわけにはいかないでしょう。J1とJ2は全く違うリーグと言っても良いもので、戦い方を変えなければ勝ち抜けないのは過去2年で散々経験してきたことです。今年のチームの基本形を崩すことなくJ2のチームに勝つこと。その、言うほど簡単ではないミッションを何とか達成できたことは、チームにとっては重要な進歩だった、と言えるでしょう。リーグ戦の残り5試合、そしてその後の天皇杯。久々のホームでの勝利は、11月と12月の戦いに向けての良いスタートとなったと言って良いのではないでしょうか。
<05.11.3> スポーツナビのニュースによると、補助金の目的外使用や観客数の虚偽報告などの不祥事が発覚して経営危機に陥っているザスパ草津の運営会社に、デオデオ取締役の本谷祐一氏が就任することが決まったそうです。本谷氏は久保社長がサンフレッチェの社長に就任した直後の98年8月に事業本部長に就任し、2001年の2月まで務めていたとのこと。仕事の詳しい内容は知らないのですが、久保社長の「懐刀」としてチーム再建の陣頭指揮を執ったのではないかと思われます。それまでのサンフレッチェは観客が1試合平均6,000人台。累積し続ける赤字に悩み、チームの消滅もありうるのではないか、とまで言われていました。しかし本谷氏が事業本部長を務めていた期間内に単年度黒字を達成し、スポンサーを獲得し観客数も着実に伸ばすなど今のサンフレッチェの経営の基礎を作ったものと思われます。彼はその後エディオンの業務提携等に奔走してきた様子ですが、そちらの仕事はいったん棚上げして、今度は草津GM格として(因みに数年前にJリーグのGM講座を受けているらしい)の立て直しに力を尽くすことになるのだろう、と思います。
<05.11.3> ホットニュースによると、駒野に代わって今日のメンバー入りしそうなのはルーキー中尾。小野監督は「中尾は足腰のバネもあるし、スピードもある。いいものをもっているので、どこでチャンスを与えようか、ずっと考えていた。セットプレイでの大きな武器にもなるし、CBもサイドもできるユーティリティ性もあるわけだし、そういう意味でも貴重な人材だ」と語っていますが、中尾自身は「明日は、ロングスローを思い切りゴール前に投げて、点に絡みたい。セットプレイの時も、僕にチャンスがくると思っている」と守備よりも攻撃が気になる様子。どうしても点が取れない場合にロングスローから、あるいはセットプレーからゴールを狙う、と言う役割が求められてのベンチ入りだろうと思われます。因みに他のメンバーは磐田戦と同じで、今日はベストメンバーで臨む模様。昨日は練習の最後にPK戦の練習までしたそうですが、できればそこまで行かないで決着を付けたいものです。
 今日の試合会場は広島ビッグアーチで、午後1時キックオフ。リーグ戦の時のようなアルパークからのシャトルバスや、臨時駐車場の用意はありませんのでご注意ください。またテレビ中継の予定はありませんので、現地に行けない方は携帯サイトの速報などで経過をチェックするしかなさそうです。
<05.11.2> 明日は天皇杯の4回戦。広島ビッグアーチに水戸ホーリーホックを迎えます。
 今年の水戸は開幕から4連敗するなど立ち上がりが悪く、その後もあまり調子が上がることなくずっと10位前後に低迷。前節は横浜FCに1-0で競り勝ったものの、直前の3試合に連敗するなど状況はあまり好転していません。その低迷の一番の原因と言えるのは、明らかに得点力不足。総得点34はリーグで下から2番目で、1試合平均1点も取れていません。特にその傾向が顕著になったのはエース・デルリスを札幌に放出した23節以降で、そこまでの得点率1.09が0.63に激減しています。ただ、ここまでの総失点51と言う数字は極端に悪いわけではなく、むしろボールを支配されることが多い中で良く頑張っている、と言う数字。どんな展開になっても諦めず、最後まで戦い抜くという粘り強さは健在です。圧倒的に攻めながらも守りを固められて得点できず、隙を突かれて失点して逃げ切られると言う展開はありうるだけに、十分な注意が必要です。
 対するサンフレッチェですが、磐田戦の勝利で一つの「壁」を乗り越えて、シーズン終幕に向けての反撃態勢が整いました。天皇杯、と言えば昨年は屈辱の初戦負け。気持ちで負ければやられてしまう、と言うことを身をもって経験しているだけに、よもや気を抜いたゲームをすることはないでしょう。代表遠征などで疲れがたまっている駒野は欠場の予定ですが、その他の選手はむしろ磐田戦で見せた「戦う姿勢」を再確認するよい機会だ、と捉えたいところ。従って敢えてメンバーを落としたりすることなく、全力で勝ちに行った方が良いのではないかと思います。と言うことで、私の予想メンバーは次の通り。
       佐藤昭

  西河  ジニーニョ  小村

    森崎和  ベット

茂原            服部

       大木

    佐藤寿  ガウボン

SUB:上野、吉弘、李、茂木、前田
 明日はビッグアーチが会場ですが、試合の管轄はサンフレッチェではなく広島県サッカー協会になります。普段は高い指定席となるメインスタンドも、前売り2,500円(当日券は3,500円)で入れます。前売券はV-POINTとジヤバ(ってどこでしょう?)だけの扱いとなっていますが、チケットぴあでも(たぶんローソンチケットも)購入可能ですので、ぜひ多くの人に応援に行って欲しいものです。
<05.11.1> ベトナムに遠征して「Agri Bank Cup」を戦ったU-20代表ですが、U-23マレーシア代表に勝ったもののU-23タイ代表とU-23ベトナム代表に敗れ、1勝2敗で3位に終わりました。
 まず初戦のU-23タイ代表戦のメンバーは、GK:松井、DF:吉弘、増嶋、森下(→上田80分)、MF:赤星、細貝、市原、鈴木(→松下42分)、寺田(→萬代85分)、FW:藤井(→興梠65分)、三木。「サッカーダイジェスト」によるとこの試合の日本の決定機はわずかに1回。塚田監督が「何もできずに終わってしまった」と語るほど、手も足も出ないゲームで0-2の完敗だったそうです。3か月前から準備をしてきたというタイに対して急造チームの日本は「球際の厳しさや速さで完全に負けていた」(吉弘)と言う出来で、中盤でのインターセプトからの速攻と言うタイの戦術に圧倒されて何もできなかった、とのこと。普段試合に出場していない選手ばかりだったということもあって、なかなか厳しいゲームだったようです。
 続く第2戦のマレーシア戦は初戦から半分以上を入れ替えて、GK:山本、DF:丹羽、吉弘、後藤(→中尾73分)、MF:細貝、上田(→赤星69分)、市原(→寺田77分)、鈴木、興梠(→藤井86分)、桑田、FW:萬代(→三木68分)、と言うメンバー。この試合は「マレーシアとタイではレベルが全く違っていた」(赤星)と言うこともあってか、日本が2日前とは見違えるようなサッカーを見せたそうです。リベロに入ったキャプテン・吉弘がラインを高く保ち、前線の萬代が高さで圧倒してゲームを支配。先制点は19分で、萬代が倒されて得たPKを上田が決めます。2点目は前半ロスタイムで、セットプレーから市原。3点目もFKからで、後半24分に丹羽が決めます。そして後半28分、カウンターから桑田が抜け出し、フリーになった三木が冷静にゲットして試合を決めました。
 そして最終戦の相手は地元・ベトナム。「前の試合にいいイメージで戦っていた点を大切にした」(塚田監督)と言うことで、マレーシア戦とほぼ同じ先発メンバーで臨みました。GK:松井、DF:丹羽、吉弘、後藤、MF:細貝、上田(→赤星66分)、市原(→中尾80分)、鈴木(→森下72分)、興梠(→藤井24分)、桑田(→三木40分)、FW:萬代。地元・ベトナムの優勝がかかっていると言うこともあって4万の大観衆に囲まれた完全アウェイの状態だったそうで、序盤からかなり押し込まれていたようです。しかし日本はこれを耐えると、前半22分相手ゴール前でのセットプレーのチャンスから萬代が押し込み(記録はオウンゴール)、先制点を奪いました。その後は最終ラインを統率する吉弘がラインを高く張って戦い、完全に主導権を握って戦いを進めたそうです。しかし40分に桑田に代えて三木を投入し、ツートップにした采配が裏目。ツインタワーが全く機能せず、前線と最終ラインが間延びして後半は劣勢を強いられます。そして後半10分、サイドをえぐられ折り返しを押し込まれて同点に追いつかれ、後半41分には後藤のパスミスを拾われて逆転を許すとそのまま敗れました。
 素晴らしい戦いを見せたマレーシア戦とベトナム戦の前半。防戦一方となったタイ戦とベトナム戦の後半。プラス面とマイナス面の両方が出たこの遠征だったようですが、試合経験の少なさや急造チームだったことを考えれば、ある程度は仕方のない事だったと言えるかも。この中でフル出場してチームを引っ張った吉弘や、流れの良い時間帯に出場していた桑田にとっては非常に良い経験になったのではないでしょうか。北京五輪を目指すチームのスタートとなったこの大会。この経験を生かすも殺すも、選手一人一人の成長次第。吉弘、桑田、中尾にはここでの経験を忘れないように、チームで更に成長して欲しいと思います。
<05.11.1> 毎週火曜日の午後8時から広島FMで放送している「ラジオサポーターズクラブGOA〜L」ですが、今日の放送がインターネット経由で全国に配信されるそうです。これは広島FMの「ホームページリニューアル記念 HFM全生番組動画配信!」の一環で、7:30〜22:00の間の全番組をネット中継するとのこと。今日の「GOA〜L」には森崎浩司選手がゲストとして出演する予定ですので、ぜひHFMホームページにアクセスして下さい。
<05.10.31> 昨日Jユースサハラカップの予選リーグの第3節が行われ、アウェイでC大阪と対戦したサンフレッチェユースは2-1で逆転勝ち。グループリーグ突破に大きく前進しました。U-18代表で韓国遠征していた槙野と負傷で代表を辞退していた柏木はいずれも元気に先発。同じく代表を辞退した木原もベンチには入っていたそうですが、GKキャンプに金山と兼田を取られてメンバー的には苦しかったとのこと。そのせいかどうか前半はボールを支配するものの好機を作れず、逆に前半終了間際に自陣でのミスから失点してしまいました。しかし後半は森山監督の檄が効いたのかセレッソを圧倒したそうで、平繁が2ゴールを挙げて逆転。その後もゲームを支配して、危なげなく勝利を飾りました。これでサンフレッチェユースは勝ち点を9に伸ばし、同じく3連勝の大分ユースを得失点差で上回って首位をキープ。11/3に予定されているホームC大阪戦に勝てば、グループリーグ突破が決まります。
<05.10.31> 昨日の日刊スポーツによると、サンフレッチェは小野監督に来季の続投(サッカーにはふさわしくない言い方ですが)を要請する方針を固めた、とのことです。3年前にJ2降格が決まった直後に監督に就任し、天皇杯ではベスト4に進出。翌年のJ2では最後まで苦しんだものの、最後に川崎Fに競り勝って1年でのJ1復帰に導いた、クラブにとっては「功労者」とも言える小野監督。昨年は思ったほど成績が伸びずようやくJ1残留を果たしただけに終わりましたが、今年はこれまで勝ち点43を取り、紆余曲折を経ながらもチームを上昇カーブに乗せています。「クラブ関係者」によるところの「30年契約を結びたいくらい」(日刊スポーツ)と言うのはさすがに大げさだとは思いますが、しかし若手を育成しつつ徐々に地力を付けていく、と言うサンフレッチェの「家風」に合っているのは確かです。もともと持っていたコーチとして、戦術家としての資質に加えて「指揮官」としての成長も見えるだけに、このまま来季も任せると言うのはクラブとして当然の選択だ、と思います。おそらく彼には他のクラブからのオファーもあるでしょうし、また噂になっている「五輪代表監督」と言う選択肢もあるかも知れません。しかしできることならサンフレッチェを頂点に導いて、それから次のステップに進んで欲しいと思います。
<05.10.30>  昨日ヤマハスタジアムで行われた第29節磐田戦は、気持ちを前面に出した戦いで3ゴールを奪い、反撃を1点に抑えて快勝しました。
 「強気な選手を起用する」と言う方針のもと、小野監督は5試合ぶりに西河を先発起用。また木村を今季初めてベンチに入れて、3バックで臨みました。
       佐藤昭

  西河  ジニーニョ  小村

    森崎和  ベット

駒野(→茂原45分)     服部

       大木(→李63分)

    佐藤寿  ガウボン(→木村76分)

SUB:上野、前田
 対する磐田は福西、鈴木が欠場して、GK:川口能、DF:茶野、田中、金、MF:服部、名波(→中山45分)、村井、太田(→河村74分)、成岡、FW:西(→船谷65分)、カレン。「強気」の言葉通りサンフの選手は序盤から積極的で、開始早々に大木が高い位置で名波のボールを奪ってシュート。また金に佐藤寿がタックルを仕掛けてイエローをもらうなど、戦う姿勢を前面に押し出して行きます。ホームの磐田もショートパスのつなぎから何度か広島ゴールに殺到し、4分には村井のパスを西が戻してカレンが強烈なシュートを放つなど決定機を作ります。序盤は磐田ペースでしたが、しかしサンフが徐々に押し戻し、20分頃からはペースを奪います。22分にはベットが左足で強烈なシュートを放ちバーを直撃。23分には森崎和のミドルシュートが磐田ゴールを襲いますが、川口が左手一本で防ぎ詰めた大木も及びません。高い位置でボールを奪って速く攻めようとするサンフ。磐田もカウンターから何度か広島ゴール前まで押し寄せてきます。両チームとも一瞬たりとも足を止めないスリリングな攻防でしたが、37分、サンフが待望の先制点を奪います。中盤でボールを奪ったベットがサイドに展開。ここに流れた佐藤寿がゴール前を横切るクロスを上げると、ファーにポジションを移していたベットが頭で折り返します。これを大木が冷静にワントラップしてDFとGKの間を抜くシュート。大木の第9節以来久々のゴールで、サンフは先制点を奪います。そしてその後前に出てくる磐田の攻撃を凌ぎ、サンフは良い流れで前半を折り返しました。
 後半から名波を中山に代えた磐田に対して、広島は駒野に代えて茂原を投入します。右サイドから何度か良いクロスを入れていた駒野を下げてどうなのか、と思えばこの采配が大当たり。茂原はアグレッシブなプレーで右サイドを走り回り、磐田の左サイドを押し込みます。サンフは高い位置からのディフェンスが機能して、中盤でボールをカットして速い攻撃を仕掛けます。そして10分、森崎和がカットしたボールを大木、ベットがつないで再び森崎和。そのスルーパスでガウボンが抜け出し、GKをかわしてループシュート。これが見事にゴールネットを揺らして、2点目を奪いました。更に12分、高い位置でボールをカットした大木のロングパスで抜け出した佐藤寿がCKを取ります。右からショートコーナーを蹴ったボールをベットが戻し、ゴールライン際まで侵入した森崎和が速いクロス。これがゴール前を横切ってファーまで届き、ジャンプした佐藤寿が頭で合わせ、リードを3点に広げました。
 西に代えて船谷、太田に代えて河村を投入し、パスをつないで攻め込む磐田。サンフは茂原や李が中盤を走り回り、小村、ジニーニョ、西河が身体を張り、佐藤昭が高い集中力で波状攻撃をストップします。サンフは37分にCKから小村がヘディングで狙いましたが枠外。38分には佐藤寿のシュートを西河が押し込みましたがオフサイドを取られます。42分には左サイドを崩されて最後は中山に決められて2点差にされましたが、その後の決定的なピンチの連続もチーム全体の力で凌ぎ、約1か月ぶりの勝利を上げる事ができました。
 中国新聞によると小野監督は試合後に「危険な賭けだった」と語っていたそうですが、確かにここまで結果を出していなかった3バックの採用、ルーキー西河の起用、そして最近4試合で2ゴールの前田を外したこと、その上後半から駒野を交代させたことなど、「賭け」と言って良い要素が多々ある試合でした。しかしここで重要だったのは、選手の質やチーム戦術ではなく、「戦う気持ち」そのものでした。ゴールを決めた大木、ガウボン、佐藤寿。中盤を走り回ったベットや茂原。何度も相手のペナルティエリアまで攻め入った森崎和。高い集中力で23本のシュートをはね返し続けたDFラインと佐藤昭。誰もが前節まででは見られなかったような闘争心を発揮して、ボールに食らいついて行きました。磐田も途中までは戦う気持ちを見せていたとは思うのですが、しかしサンフレッチェの気迫に押されてミスが増えて行って、そしてサンフレッチェのペースになりました。最後は攻め込まれて1点は失ったものの、全体を見ればサンフレッチェの完勝。そしてそれを導いたのは、監督と選手たち自身だった、と言って良いのではないでしょうか。
 思うに、このチームにはこれだけのポテンシャルがある。磐田もモティベーションの点で問題があったのかも知れませんが、それにしても高い技術を持った選手が多いのは確かです。そこに対してがっぷり四つに組みに行って、アウェイで勝ちきるだけの力があるのです。小村がインタビューで語っているように、「みんなこれから自信を持ってやれる」かどうか。それさえできれば、どんな状況でも力を出しきる事ができれば、そして「うちのサッカーができれば」「どの相手でも勝てるということが証明できた」(森崎和)試合だったと言えるのではないでしょうか。今年のシーズンは残り5試合。数字上は優勝の可能性は低いのですが、だからと言って諦めてしまっては何も起こらないし、残らない。この気持ちを忘れずに戦い抜いて、今年は良いシーズンだった、と振り返ることができるようになって欲しい、と思います。
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